ティファニーで朝食を(小説・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ティファニーで朝食を』とは、1958年にトルーマン・カポーティが発表した中編小説及び、それを基にして1961年にアメリカ合衆国で制作された恋愛映画である。ニューヨークで気ままに暮らすホリーは同じアパートに越してきた作家ポールと出会う。お互いに惹かれ合っていく2人の姿がロマンティックかつコミカルに描き出されていく。映画の冒頭と中盤に有名な宝石店ティファニーが登場するシーンが見どころだ。また、オードリー・ヘップバーンが着こなす華麗な衣装も見どころである。

『ティファニーで朝食を』の概要

『ティファニーで朝食を』とは、1958年にトルーマン・カポーティによって発表された中編小説及び、それを基にして1961年にアメリカ合衆国で制作された恋愛映画である。

ホリー・ゴライトリーは大都会ニューヨークのアパートで独り暮らす自由気ままで、少しだけ天然なパーティーガール。彼女は夜を一緒に過ごす男性から化粧室へ行く時に50ドルのチップをもらい、タクシー代金としてさらに50ドルを受け取っている。彼女が住むアパートにホリーと過ごした男たちがやって来て、小さな騒動になることがある。
ある日、ホリーが住むアパートの上に階に若手作家ポール・バージャックが引越してきた。ポールと出会ったホリーは彼に、軍隊に入っている兄の姿を重ねていく。一方、ポールは彼女の自由気ままな性格に次第に惹かれていく。

1953年の映画『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を初ノミネートにして初受賞したオードリー・ヘップバーンが主人公ホリー・ゴライトリー役を務め、ホリーに惹かれていく作家ポール・バージャックを1964年の映画『大いなる野望』で知られるジョージ・ペパードが演じた。1935年の映画『真夏の夜の夢』で知られるミッキー・ルーニーが日本人写真家ユニオシを演じた。
『酒とバラの日々』や『テン』、『ブラインド・デート』などで知られるブレイク・エドワーズが監督を務めた。
第34回アカデミー賞で主演女優賞、脚色賞、劇・喜劇映画音楽賞、歌曲賞、美術監督賞・装置賞/カラーの5部門にノミネートされ、劇・映画音楽賞と歌曲賞の2部門で受賞した。

『ティファニーで朝食を』のあらすじ・ストーリー

朝のニューヨーク5番街

明け方のニューヨーク五番街。
シックなドレスとパールのネックレスを身に着けたホリー・ゴライトリーはタクシーを降り、宝石店ティファニーのショーウィンドウを眺めながらデニッシュを食べてコーヒーを飲んでいた。彼女は自由気ままで少しだけ天然なパーティーガールで、夜を共に過ごす男性から化粧室へ行くと言っては50ドルを受け取っていた。そんな彼女はお金持ちとの結婚を夢見ており、ティファニーのような静かな気持ちになれる場所に住みたいと思っていた。

彼女の住むアパートには共に過ごした男性がやって来てはちょっとした騒動になることがある。彼女と同じアパートに住む日本人写真家ユニオシは、部屋の鍵を無くすことが多いホリーに不満を抱いていた。そのようなユニオシに対してホリーは、「写真のモデルになってあげる」と言って彼を丸め込んでいた。

ホリー・ゴライトリーとポール・バージャックの出会い

ある日、ホリーが住むアパートの上に階にポール・バージャックという名の青年が越してきた。電話を貸して欲しいと依頼してきたポールの申し出を受けた彼女は部屋に彼を招き入れた。
あまりにも殺風景な彼女の部屋にポールは驚いた。ホリーは一匹の猫を飼っているが、名前など付けずにいる。何かを所有することや、所有することを嫌っているとポールに話す。
そのようなホリーであるが、宝石店ティファニーには夢中になっており、何かを所有してもいいと思わせる場所であると言った。

しばらくして、今日が木曜日であるということをポールに言われたホリーは慌て始めた。実はシンシン刑務所に収監されているマフィアのボス、サリー・トマトの面会に行く日だったからだ。トマトの伝言をある弁護士に伝えることでホリーは収入を得ていたのだ。

アパートを出たホリーのためにポールはタクシーを呼ぼうとするが、止まらない。しかし、ホリーが指笛を吹くとタクシーが止まった。
止まったタクシーから降りてきたのは裕福な年上マダム「2E」だった。彼女は室内装飾家を職業としており、さらにポールのパトロンでもあった。

惹かれ合っていく2人

ある夜、ホリーは自室に呼んだ男が酒に酔って暴れ出したために逃げ出した。そして、非常階段を使って同じアパートに越してきたポールの部屋にやって来た。
ホリーとポールはお酒とタバコを楽しみながら話をしていく。ポールは作家であるのだが、本を出版したのは何年も前のことであった。

部屋の机の上に置かれているタイプライターを見たホリーは、それにリボンがないことに気付いた。ホリーは、「ポールを見ると軍隊に入っている兄フレッドを思い出す」という理由で、ポールをフレッドと呼ぶことにした。ホリーはお金を貯めて兄と一緒にメキシコで牧場経営を考えているが、貯金ができないと嘆くのだった。

程なくして、ホリーはポールのベッドで眠りに就くが、悪夢にうなされて目を覚ました。ホリーは自分を心配するポールに対して、詮索しないように言って部屋を出ていった。

ホリーの部屋で開かれるパーティー

ホリーは、「詮索しないで」と強く言ってしまったことに対するお詫びとして、自室で開かれるパーティーにポールを招待した。招待の手紙にはタイプライターのリボンが添えられていた。
招待されたポールは自分の本を1冊持参してホリーにプレゼントした。ポールは客の多さに驚くが、実はホリーも知らない人達ばかりであった。

客の中には芸能界の大物であるO・J・バーマンという男がいた。バーマンはロサンゼルスに来たホリーを見出してテキサス訛りを1年間掛けて直し、スクリーンテストまで準備したのに、当の本人がニューヨークへと行ってしまったことをポールに話した。他にもブラジル人の富豪ホセ・デ・シルバ・ペレイラ、モデルでアーカンソー州出身のメグ・ワイルドウッドもパーティーにやって来た。ホリーはメグのことを「退屈な女」と呼んでいる。そんなメグは彼氏が三流女優と浮気したことに愚痴をこぼし、酒に酔って倒れてしまった。

ホリーの部屋で開かれるパーティーが盛り上がる中、上の階に住む日本人写真家ユニオシは我慢がならなかった。限界に達した彼はついに警察を呼んだ。そしてパトカーのサイレンを聞くや、ポールはホセを部屋から逃がし、自分の部屋に戻る。そしてホリーもどこかへ行くのであった。

ホリー・ゴライトリーの知られざる過去

木曜日、ホリーはシンシン刑務所を訪れ、サリー・トマトと面会した。この日はポールも一緒だった。面会終了の際、いつものように彼女は、天気予報をサリーから聞かされた。

アパートに戻ってきたポールはタイプライターに向かい、ホリーを題材にした小説を書き始めた。タイプライターを打ち続けるポールの耳にホリーの歌声が聞こえてきた。彼女は窓枠に座ってギターを弾きながら歌っていたのだ。彼女の歌に耳を傾けるポールに気付いたホリーは彼に挨拶をした。執筆していることを聞いたホリーはうれしそうにうなずくのだった。

そのような時、ポールの部屋にマダム「2E」がやって来た。何やら周囲を警戒しているような様子である。実はアパートの外にいつも立っている男がおり、彼が2Eの夫が雇った探偵ではないかと疑っているのだ。ポールは男が誰であるのかを確かめようと部屋を出た。

気付かれないようにポールは男を尾行していく。そしてベンチに座っていたポールの隣に男が来た。ポールは彼に「何の用だ?」と聞いた。
男はドク・ゴライトリーと名乗った。ホリーの父親だと思っていたが、実は彼女の夫だった。テキサス州で獣医と農業に従事しているとポールに話した。そしてホリーの本当の名前はルラメーということをポールに教える。
浮浪者同然であったホリーと彼女の兄フレッドが、牛乳を盗もうとしたところをゴライトリーに見つかったという。かわいそうに思った2人を助けたのだ。
やがてホリーは14歳の時に彼と結婚したのだった。ゴライトリーは兄のフレッドが間もなく除隊するというので彼女を迎えにテキサス州からニューヨークに来ていた。

過去の自分に別れを告げる

ホリーは自分を迎えに来た夫ゴライトリーをバスでテキサス州に帰らせようと考え、ポールに協力を求めた。

バス乗場までホリーはポール、そして夫と共に向かって行く。ポールに加勢を求めたが、ゴライトリーが自分とホリーとの間のことだと言い、ポールは彼女をゴライトリーと2人だけにした。
ホリーはバスに乗ってゴライトリーと一緒にテキサス州に行くつもりはなかった。ゴライトリーはなんとか彼女を連れ戻そうとする。だがホリーは夫が獣医として野生動物を助け、その動物がやがて遠くへ行ってしまうことを例に挙げ、過去の自分に別れを告げたと言う。
ホリーの気持ちの強さを知ったゴライトリーはあきらめてバスに乗り込む。その夫をホリーは涙を流しながら見送るのであった。

ホリーは一緒にバス乗場に来たポールを誘ってお酒を飲むことに決めた。酔ったホリーはポールに抱きかかえられながら自分の部屋に戻った。お金のために結婚するというホリーに反対した。
しかし、ホリーはポールが年上マダムに資金援助されていることを言い放ち、2人の間に険悪な空気が流れてしまった。

憧れのティファニーへ

作家として原稿料50ドルを受け取ったポールは仲直りのためにホリーの部屋を訪れる。そしてホリーは今まで経験したことがないことをしようとポールに提案した。ポールが先にして、次はホリーがするということに決め、2人はニューヨークの街へ繰り出していく。

ホリーはポールと一緒に宝石店ティファニーに入った。そこには大きなイエローダイアモンドがあり、その輝きにホリーは目をみはった。ポールはタイプライターのリボンのお礼に何かプレゼントすると言う。10ドル以内のプレゼントならいい、とホリーは言った。

高価な品物を置いているティファニーで、10ドル以内の予算で買える物があるかどうか探していた2人に男性店員が声を掛けてきた。
その店員は10ドル以内で購入できるのは純銀製のダイアル回しだと2人に言い、その品物を出した。
しかし、ポールは何かロマンティックな物が欲しいと店員に言う。それならばと、ポールはクラッカージャックというお菓子のおまけに付いてきた指輪に文字を刻印できるかどうか尋ねる。おまけが付いていることに懐かしさを覚えた店員の配慮により、異例のことではあるが、指輪に文字を刻印してもらえることになった。喜びのあまり、ホリーは店員の額にキスをした。

初めて交わしたキス

宝石店ティファニーでおまけの指輪に文字の刻印を依頼した後、ホリーとポールはニューヨークにある公立書館にやって来た。ポールから自分が書いた本があると言われたホリーはそれを見つける。ホリーはポールに、自分が書いた本にサインするように言った。それを見た女性司書にお構いなしに2人はその場を後にしていった。

次は雑貨店に入って、万引きするようにホリーはポールを誘った。万引きする品物を探し、店員や見張りの目を盗んでポールは犬、ホリーは猫のお面をかぶったまま店を出た。
走って逃げ出した2人は目の前にいた警察官に叫び声を上げる。笑いながらアパートに戻ってきたホリーとポールは初めてキスを交わした。

やがてホリーを愛するようになったポールは年上マダム「2E」に別れを告げた。しかし、ホリーの姿が見えなくなってしまう。ポールはニューヨーク中を探し回って、彼女が公共図書館にいることを知った。彼女はブラジル人の富豪ホセと交際を始め、熱心に南アメリカに関する書籍を読んでいた。お金のためにホセと結婚することを決めたホリーに対して、それを辞めるようにポールは言った。
それでもホリーの考えは変わらない。

結局、ホリーから自分も他の男たちと同じように見られていたことを知ったポールはチップとして50ドルを渡す。
その後、ホリーは兄のフレッドが事故で命を落としたことを電報で知る。そのショックから激しく取り乱し、涙に暮れるのだった。

雨の中のキスと熱い抱擁

作家としての仕事が軌道に乗り始めたポールはブラジルへ旅立つホリーに呼ばれた。ホリーのアパートに行ったポールは、彼女が家庭的になっている姿を見た。ホセからは正式な結婚の申し込みがないこと、そして彼が体面を気にする人であることをホリーはポールに話した。作っていた料理が失敗してしまい、ポールとホリーは別れの食事をするためにレストランへ向かった。

食事を終えてアパートに戻ってきた2人を警察官が待ち構えていた。シンシン刑務所に収監されているマフィアのボス、サリー・トマトの麻薬密売容疑に加担した容疑でホリーは逮捕されてしまった。ホリー逮捕のきっかけは、彼女と同じアパートに住むユニオシが麻薬課の刑事にもたらした情報だった。ホリーと同じく手錠を掛けられたポールだったが、彼はすぐさま釈放された。
新聞でホリー逮捕を知ったロサンゼルスに住む芸能界の大物O・J・バーマンは、彼女の釈放のために手を打った。証拠不十分で釈放されたホリーをポールが迎えに行った。バーマンが手配した身を隠すためのホテルに向かうタクシーにポールとホリーは乗り込んだ。車内で、ホセからの手紙をポールは読み上げた。家名に傷が付くことを恐れたホセから別れを告げる内容であった。ホリーは独りで生きていくことを決め、猫を雨の中に放す。そしてポールもホリーの気持ちが変わらないことを知り、タクシーから降りた。

しかし、ポールの自分に対する愛に気付いたホリーはタクシーを降りて、雨の中で必死に猫を探し始める。
見つからないと思っていた猫がようやく見つかり、降りしきる雨の中でホリーはポールと熱い抱擁とキスを交わすのであった。

『ティファニーで朝食を』の登場人物・キャラクター

主人公

ホリー・ゴライトリー(演:オードリー・ヘップバーン)

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@y-kurg

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