食べて、祈って、恋をして(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『食べて、祈って、恋をして』は2010年8月13日にアメリカで制作されたロマンス映画である。ライアン・マーフィーが監督を務め、エリザベス・ギルバートが書いた回顧録『食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探求の書』を映像化。ニューヨークでライターをしているリズは、取材で訪れたバリで出会った薬療師クトゥ・リエの予言をきっかけに、自分を見つめ直し、離婚を決意。本当の自分を見つけるために、旅に出る。イタリアで食を堪能し、インドで瞑想を身につけ、そしてバリで恋をする物語。

『食べて、祈って、恋をして』の概要

『食べて、祈って、恋をして』は、2010年8月13日に公開されたロマンス映画である。作家エリザベス・ギルバートの回顧録である『食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探求の書』を映像化。監督はライアン・マーフィーが務め、音楽はダリオ・マリアネッリが担当する。主演を務めるのはジュリア・ロバーツだ。ピープルズ・チョイス・アワード映画女優賞、サテライト賞の衣装デザイン賞にノミネートされた。
ニューヨークでライターの仕事をしている主人公のリズは、離婚と失恋を転機に、自分探しのために海外を旅行することを決意。イタリア、インド、バリを巡る。イタリアでは何もしない歓び、食べる楽しさを感じ、インドでは瞑想を学び、バリで新しい恋をする。一度自分を見失ったリズが、自分の生き方を見つけ、もう一度恋をする物語。

『食べて、祈って、恋をして』のあらすじ・ストーリー

クトゥとの出会い

本作の主人公であるリズはニューヨークでライターの仕事をしている。取材でバリに旅行に行った際、薬療師9代目のクトゥ・リエの元を訪ねた。打ち明けたのは男性問題。クトゥはリズの手相を見て、未来を占う。予言はこうだ。「リズは世界を旅して、たくさんの友達と経験に恵まれる。結婚は短い結婚と長い結婚で2度ある。さらに半年から10ヶ月の間に全財産を失う」という。でもそれは「取り戻せる」と告げられた。そして「世界を見たら、いつかバリに戻り、クトゥに英語を教える」と予言する。英語の練習相手が欲しいのだと笑うクトゥ。リズが英語を教えてくれたら、代わりにクトゥが知っていることを教えてくれるという。リズがバリから帰っていく時、クトゥは1枚の紙を渡した。その紙には、足が4本あり、目が心についている生き物の絵が描いてあった。「揺らがずに立ち、頭ではなく心にある目で世界を見れば、神の存在が分かる」、とクトゥは言った。

それから6ヶ月が過ぎ、リズと夫のスティーヴンはパーティーに参加していた。仕事仲間の黒人女性デリアは、リズを関係者に紹介してまわる。デリアには生まれて間もない子どもがいる。デリアはずっと子どもが欲しかったから、夫の心の準備が出来るまで、箱の中に子どもができたら着せたい服などのベビー用品を集めていたという。その箱を見たリズは、1度行ってみたい場所の切り抜きや旅行雑誌ばかり集めている自分と比べて、ため息をついた。デリアは、「子どもを作るには、顔にタトゥーを入れるくらいの相当な覚悟が必要だ」と言う。
パーティーの帰り、スティーヴンから突然、教育学を学ぶために大学へ戻りたいと話をされた。その考えにリズは賛同出来ない。夜、リズはベッドの中で、今の結婚は予言の中の短い結婚なのではと考えていた。自分が望んだ結婚で、1年前に家も買い、こだわって手に入れた生活をしているのに、自分の家ではないように感じていた。リズは人生で初めて神に祈る。そしてリズは、スティーヴンに結婚生活を辞めると告げた。8年間の結婚生活を解消したリズは、デリアの家に居候をすることになった。リズは気を紛らわせるため、書店で目についたイタリア語の本を買い、勉強を始める。

新しい彼氏

リズとデリアは劇場に足を運んでいた。リズの書いた『透過膜』という作品の舞台だ。あまり評判の良い舞台ではなかったが、リズは役者のデヴィッドに夢中になった。観劇後、飲みの席でリズとデヴィッドは言葉を交わすと、すぐに意気投合。リズはデヴィッドの家に行った。そこでリズは、デヴィッドが信仰する導師グルの存在を知る。デヴィッドが仕事がなくどん底で、縋るものを探していた時に友だちから紹介されたという。グルの修行道場(アシュラム)はインドにあり、いつか行ってみたいと語るデヴィッド。今のリズにも縋るものが必要だった。その夜を共にした二人は付き合うことになる。グルの修行者の集まりなら近くでもやっているとのことで、二人は日を改め、その集まりに参加した。
そんな生活を送る中、リズは離婚を拒否するスティーヴンと弁護士を立てて、話し合いをすることになった。話し合いは最初から怒鳴り合いになり、結果が出ないまま終わる。上手くいかないことは重なり、その夜、リズはデヴィッドに少し距離を置こうと告げられるのだった。翌日からリズに見向きもせず、自分の時間を過ごすデヴィッド。リズは「世界を旅する」というクトゥの予言を思い出していた。情熱も活力も信念もないまま生きていくことに恐怖を覚えたリズは、デリアに1年ほど海外に行くことを告げる。結局、デヴィッドとの仲も戻らず、その間に、リズはイタリア、インド、バリを回ることを決意する。出発の準備をしているうちに、スティーヴンとの離婚も成立していた。

イタリアへ

リズはイタリアへ出発する。イタリアに着くと、単語帳を片手にオンボロ宿を借りた。イタリアの街は迷路のようだ。カフェに入ってみるが、コーヒーもうまく頼めない。そんなカフェでソフィーという女性と出会う。ソフィーはスウェーデン出身で、リズより1ヶ月早くイタリアに来たという。イタリア語がペラペラなソフィーは、リズにイタリア語の先生であるジョバンニを紹介してくれる。リズはイタリアの街並みを見て、道路に設置された蛇口から水を飲み、ジェラートを食べて過ごした。そしてジョバンニとともに食事をしながら、イタリア語を教わった。リズはお気に入りの単語を見つける。「向こうに渡ろう」という意味の単語「attraversiamo(アトラヴェルシアーモ)」。響きの美しさが気に入り、何度も繰り返し発してみる。ジョバンニとは次の約束をして別れた。
翌日はついにパスタを口にする。美味しいパスタに舌鼓を打ち、単語帳を片手に新聞を読む。リズはソフィーとさらに仲を深め、友だちの輪を広げる。イタリアの人々からは、「アメリカ人は働き過ぎだ」と言われる。快楽に耽るのは当然の権利なのだから、何もしないことの歓びを感じるべきだという。そして、みんながイタリア語についても教えてくれる。イタリア語は口だけでなく、手も使う。みんなで街を歩きながら、ジェスチャーを学び、食事をとった。リズはイタリア語で注文が出来るようにになっていた。食事中、みんなでいろんな街を形容する言葉探しを始めた。ロンドンは「堅苦しい」、ストックホルムは「順応主義」、ニューヨークは「野望」「煤煙」など。リズはソフィーから自分を表す言葉を探してみるように言われる。これからのリズの課題になった。

食べる歓び

リズはソフィーを誘って、ピザを食べにナポリへ行く。美味しいマルガリータを前に、ソフィーは食べる手を止めていた。「太ってジーンズが弾けそうだ」と体型を気にしていたのだ。そんなソフィーにリズは、「太ることは嫌だけど罪悪感とは別れることにした」と言う。ピザを食べて、サッカーを見て、ビッグサイズのジーンズを買おうと提案。ソフィーは賛同し、二人はピザを平らげ、じゃれあって大きなジーンズを買った。そんな日もあれば、自分のために選んだ部屋着を身につけ、家で素材の味がメインのシンプルなご飯を一人で食べる日もある。何もしない歓びの実践だ。その時間に思い出すのは、デヴィッドのことだった。「惨めでも別れるよりは幸せだから関係を続けよう」というデヴィッドの考えに頷くことは出来なかった。リズはデヴィッドにメールを送る。人は変化を嫌うが、アウグストゥス廟のように変化に備えるべきだ。壊すことで、新しい自分が生まれるのだ、と綴った。
そうして、リズはイタリアを去る決意をする。ジョバンニの母親を筆頭にアメリカ式の感謝祭の用意をし、リズのお別れ会をすることになった。リズは、「こんな素敵な仲間に入れてもらえて世界一幸運だ」と話す。みんなは心ゆくまで料理を堪能し、お酒を飲んだ。

インドへ

リズはインドに渡る。到着するなり、グルの集会に途中参加した。しかし、リズは瞑想の途中で眠ってしまう。眼鏡をかけた男性が咳払いをして起こしてくれる。リズはその後、部屋に案内され、作業着に着替えてセヴァと呼ばれる奉仕活動として、掃除をする。リズが床磨きをしているとトゥルシーという少女から声をかけられた。両親が熱心なグルの信奉者で、隣町から来ていると言う。家族と意見が合わず、家ではみ出しものになっているというトゥルシー。リズは親近感を抱き、二人はすぐに仲良くなった。トゥルシーは大学で心理学を学びたいが、結婚させられるのだという。
朝の詠唱(グルギータ)は早朝から始まる。詠唱後のご飯はトゥルシーと食べる。そこへあの眼鏡の男性がやってきた。名前はリチャード。リチャードは大量の朝ごはんを食べるリズを「ガッツリ」と呼んだ。最初の印象は良くなかったが、リチャードは自分もバツイチであること、妻から「クソタレ」と言われたことなどを話してくれ、少しずつ打ち解ける。リズは安らぎを求めて魂の里であるインドに来たはずなのに、拠り所を感じないのだと打ち明けた。瞑想室で瞑想を試みるも1分も保たない。イライラが募るリズにリチャードは、「人生を変えたいなら、まず自分の心を変えろ」とアドバイスをする。リズはこのアドバイスをもとに庭で瞑想に耽る。その夜、デヴィッドから電話があった。「関係が続いているように感じる」と言うデヴィッドに、リズは「すれ違っていた」のだと答える。電話はそれだけだったが、リズはまたデヴィッドへ想いを馳せる。リチャードはそんなリズを気にかけ、一緒にサムズアップを飲む。リチャードは「彼氏への執着を捨て、心に空きが出来れば、神が入ってくる」と助言をする。

トゥルシーの結婚式

ついにトゥルシーの結婚式の日がやってくる。綺麗に着飾ったトゥルシーは緊張した面持ちで夫になるリジュルの隣に立っていた。ダンスが始まると、リズは自身の結婚式を思い出してしまう。新郎新婦のダンスでかかった曲は、予定と違う曲だった。しかし、スティーヴンはリズの気持ちもお構いなしに、勝手に踊り出したのだ。思い出したらたまらなくなり、リズは式を抜け出した。少しして、トゥルシーがリズの元にやってきた。リズは結婚のお祝いに、「朝の詠唱はトゥルシーを思って詠う」、と言う。トゥルシーは喜び、感謝を述べた。
式の帰り、自分達の結婚について話すリズとリチャード。「スティーヴンに許してもらいたい」と言うリズに、リチャードは、「まずは自分を許せ」、と言う。リチャードは自分の話を始めた。昔は酒とドラッグに溺れ、遊び歩いていたという。ある日、酔ったまま車を運転して帰宅し、帰りを待っていた息子を轢きかけた。それを見ていた妻は、息子を連れて家を出て行った。「息子の成長を見損ねた」と涙を流すリチャード。リズは自分の結婚のことを考え、頭の中でスティーヴンと対話することで、自分を許す。リチャードはテキサスへ行くことにしたという。リチャードはリズに、「ガッツリ、また恋をしろ。」と言い、インドを出た。
その後、リズは、各国から50人ほどが10日間の合宿に訪れる際の世話役に任命された。その活動を通して、インドで学ぶ聖なる真理は「神は私とともに、私の中にいる」ということに気付く。

バリでの出会い

リズはバリに行き、クトゥと再会を果たす。クトゥは悲しそうな顔をしていたリズが生き生きとした美しい女性になったことに驚いた。リズはバリで家を借り、クトゥに言われた通り、朝はインドの瞑想をし、昼はバリを楽しんでからクトゥに会いに行き、新しい瞑想をするという生活を始めた。
ある日、リズが自転車を漕いでいると、反対から来た車とぶつかりそうになった。原因は運転手のよそ見運転だ。リズは避けた反動で自転車から落ち、足に怪我をしてしまう。リズは足の怪我を診てもらうため、ワヤンという女性が営む治療院を訪れる。ワヤンは離婚経験が有り、娘のトゥッティと生活しているシングルマザーだ。リズとはすぐに仲良くなった。リズの治療中、ブラジルから来たという女性アルメニアがやってくる。ユーモアに溢れた明るい女性だ。アルメニアは初対面のリズに、今夜ドレスを着てビーチに来るように言う。
その夜、リズは1着だけ持っていたドレスを身に纏い、ビーチに行く。リズがカウンターでお酒を注文すると、隣に男性が座った。リズを車で轢きそうになった男性で、名前をフェリペという。フェリペはその時のことを謝罪した。そこへアルメニアがやって来て、リズにイアンというイケメンの男性を紹介する。バリではみんな、恋人ごっこをするのだ。リズはイアンと踊り、お酒を飲んだ。そんなリズをフェリペは気にしていた。イアンはリズを海に連れて行き、一緒に泳ごうと裸になるが、リズは断って帰ることにした。酔っているリズにフェリペは家まで送ると声を掛ける。家に着いたのは朝の5時。家に帰るリズをフェリペは愛しそうに見つめていた。

新しい恋

時刻を改め、リズの元を訪れたフェリペ。二日酔いに効くと有名なワヤンの薬を持って来てくれる。フェリペは自分の連絡先と住所を置いて家を出る。リズはフェリペを引き止め、コーヒーに誘った。二人は街を歩く。お互いにいろんな国に行っていて、フェリペは「自分達はアンテヴァシンだ」と言う。アンテヴァシンとは、境界線に住んでいて、二つの世界を行き来するもののことだ。その表現が素敵だとリズは同調する。夜、ご飯を食べにフェリペの家に誘われたリズ。フェリペの家で食事をしながら、離婚についてなどの身の上話をした。日が変わり、リズとフェリペは海で泳いで過ごし、リズはフェリペをクトゥの元に連れて行く。クトゥはフェリペのことを言い当てていく。フェリペは、妻を愛していた故に離婚がトラウマで、また傷付くことを恐れている。克服するのに大切なのは信頼だとクトゥは言う。リズとフェリペはお似合いだとも言った。
一緒に過ごすことが増えたリズとフェリペ。リズとフェリペとフェリペの息子で山を登った。大学生の息子は春休みで1週間だけバリに来ていた。フェリペは息子から、10年も独身の期間を過ごしたのだから、そろそろ恋愛をしてもいいのではと言われる。あっという間に1週間が過ぎ、フェリペは息子を送り出す。取り乱すほど寂しがるフェリペ。リズはフェリペの優しさを感じた。
その夜、二人はそれぞれ本を読んで過ごしていた。フェリペはリズを見つめ、ベッドに誘う決意をする。フェリペは音楽をかけ、リズを誘った。リズは誘いに応じ、夜を過ごす。それから二人は2週間ほど、べったりくっついて過ごした。

愛と調和

リズは2週間ぶりに瞑想をする。瞑想中、左の脇腹に痛みを覚え、ワヤンの元を訪ねると、膀胱炎だと診断される。突然セックスの回数が増えたからだ。ずっとフェリペと一緒にいたリズは自分を見失うことを密かに恐れていたが、ワヤンは「自分にも経験がある」と話してくれる。ワヤンは暴力を振るわれても夫婦関係を客観的には考えられず、まだ4歳だった娘のトゥッティに「離婚して」と言われ、目が覚めたのだという。でも、「フェリペは良い人だ」と背中を押してくれた。リズは、もう時期来る自分の誕生日にもらえるプレゼントのお金で、ワヤンとトゥッティに家をプレゼントしようと決める。リズの呼びかけにより、18000米ドルが集まり、トゥッティが望んだ青いタイルが敷き詰められた家を作ることが出来、二人はとても喜んだ。
そんな中、リズは突然フェリペに浜辺に連れていかれる。フェリペは二人で船に乗って小島に行き、二人だけで1週間過ごそうと提案する。リズは手ぶらで、5日間家を空けており、クトゥにも会っていない状態だった。小島に行くことは出来ない。断るリズを説得するためフェリペは、リズがこだわる調和について口を出してしまう。リズも言い返して、喧嘩になった。フェリペは一人で小島に行くと言い、リズはアメリカに帰る準備をする。リズはクトゥの元に別れの挨拶をしに行った。クトゥに恋人との関係を聞かれたリズは、別れたと答える。フェリペといると、調和が崩れてしまいそうで怖いのだと打ち明ける。そんなリズにクトゥは「愛のために調和を乱すことは、調和のある生活の一部だ」と言った。その言葉で決心が付いたリズはフェリペに会いに行く。リズはフェリペに、自分の言葉を決めたと宣言する。「アトラヴェルシアーモ」だ。意味は「さあ、渡りましょう」。二人は小島に船を出した。

『食べて、祈って、恋をして』の登場人物・キャラクター

ニューヨーク

エリザベス・ギルバート(演:ジュリア・ロバーツ)

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