かくしごとの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『かくしごと』とは、漫画家の父親と小学生の娘の騒々しくも優しく温かい日常を題材とした、久米田康治による漫画作品。タイトルは「隠し事」と「書く仕事」の2つの意味が込められている。2016年から『月刊少年マガジン』で連載され、2020年にはアニメ化された。
下品な作風で知られる漫画家の後藤可久士は、失望されたくない一心で、娘の姫には自分の職業を隠している。親子愛が感じられる温かい言葉や、周囲のキャラクター達のクスっと笑える一言など、『かくしごと』には印象に残る名(迷)言が多く登場する。

『かくしごと』の概要

『かくしごと』とは、漫画家の父親と小学生の娘の騒々しくも優しく温かい日常を題材とした、久米田康治による漫画作品。2016年1月号から2020年8月号まで連載された後、2020年には亜細亜堂によってアニメ化された人気作品だ。漫画家の後藤可久士(ごとう かくし)は、自身の作品が下品な内容であるため、10歳の娘・姫(ひめ)に自分の職業を隠している。『かくしごと』は、そんな2人の日常をコミカルに描いた作品である。また、姫10歳編と同時進行で姫18歳編の物語も進む。10歳編とは対照的に、18歳編はシリアスな雰囲気で展開されている。コメディとシリアスの間を行き来するため、読者は次の展開が読めず、最後までドキドキしながら作品を楽しむことができる。タイトルの『かくしごと』は、「隠し事」と「描く仕事」の2つの意味が込められている。本作では可久士と姫の家族愛溢れる名言や、騒がしい制作現場の面白い迷言が数多く登場する。

後藤可久士の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「ダメだ、他人の人生がかかっている。これは履歴書と一緒で、ふざけていい場所ではないのだ」

新人賞の審査員の仕事で、批評を考える可久士。自身が下品な作品を描いていることから、まじめに書くと「お前が言うな」と言われそうなので、面白いコメントにしようと考える。だが、「ダメだ、他人の人生がかかっている。これは履歴書と一緒で、ふざけていい場所ではないのだ」と考え直す。普段はふざけている可久士だが、仕事に関して強い責任感を持っていることがよく伝わる。

「それは違うんですよ。少なくとも俺は、育てさせてもらってるんだ」

可久士から見た姫の可愛らしい笑顔

仕事からの帰り道。子供に向かって「誰が育ててやってると思ってるの!」と叱る親を目撃する。その言葉を聞いた可久士は、「それは違うんですよ。少なくとも俺は、育てさせてもらってるんだ」と思う。可久士が姫を大切に想っているからこそ出てきた言葉である。

「自分の信じた漫画を描くだけだ」

サイン会を引き受けたものの、自分のサインを欲しがる人なんていないと自信を無くす可久士。当日、実際にサインを楽しみにやってきたファンを前にしても、アルバイトとして雇われたのかと疑いながらサインをする。しかし、ファンが会場に持ってきた手紙やプレゼントを見て、自身の作品が愛されていることを知り、「自分の信じた漫画を描くだけだ」と自信を取り戻す。

「来週に一番期待しているのは、読者より作者自身だ!」

週刊誌を読んでいたアシスタントの芥子駆(けし かける)は、いいところで引きになった作品に、「来週超期待!」と物語の続きを楽しみにしている。その言葉を聞いた可久士は、「来週に一番期待しているのは、読者より作者自身だ!」とカッコよく台詞を吐く。作者は、読者以上に良い続きが思いついたらいいなと来週の自分に期待しながら作品を描くことも多いらしい。更に、「人類はいつも未来の知恵に期待しているのさ」と問題の先送りをかっこよく言い換える。世の中の週刊漫画は、作者たちが日々苦しみながらもアイデアを捻りだしていることが、改めてわかる。

「正解なんて描いても漫画にならないだろ!」「無知は想像力の器なり!調べる前に想像せよ!」

打ち合わせにて正解だけを語る十丸院に、「いろいろ想像した末、出した勘違いが面白いんじゃないか!正解なんて描いても漫画にならないだろ!」と、持論を語る。さらに「ラブコメ漫画は2コマで終わる話を勘違いで30巻に引き延ばす作業なんだよ!」とラブコメの構成を面白くかつ分かりやすく説明する。正しい知識は想像力を邪魔する面もあり、逆に詳しくない故に名シーンが生まれるパターンもあるのだ。時には、正しさに囚われすぎないことも大事なのである。

「何か、犬を飼うのと連載を始めるのは似ている気がする。始めたはいいが、投げ出さず続けるのは大変だ。そして、終わらせるのはもっと難しい」

犬を大切そうに抱く姫

姫から「犬を飼いたい」とお願いされると同じ頃に、可久士へ新連載の依頼が入って来る。チーフアシスタントの志治仰(しじ あおぐ)からは犬について、「飽きて放ったらかしにしたりせず、最後まで面倒をみてください」と注意される一方、ちょうど職場で話題となっていた新連載については同じくアシスタントの墨田羅砂(すみた らすな)から「飽きて途中で放ったらかしにせずに、最後まで描く自信があるならいいと思うよ」と助言される。可久士は、「何か、犬を飼うのと連載を始めるのは似ている気がする。始めたはいいが、投げ出さず続けるのは大変だ。そして、終わらせるのはもっと難しい」と呟く。責任を伴うことや夢や目標を達成することに通ずる重要な台詞である。

「最初の印象が全てでその印象を覆せないとか、速くて忙しくて社会に余裕がないのかもな」

人の名前の第一印象や漫画の下書き、SNSにおける最初の「喰いつき」、単行本やアニメの初動。何事も最初が肝心だという話を耳にしすぎた可久士は、「最初の印象が全てでその印象を覆せないとか、速くて忙しくて社会に余裕がないのかもな」と思う。かつて可久士は、妻と姫との幸せな暮らしを夢見ていた。しかし、妻は行方不明になってしまった。それでも、「最初のビジョンを超えてやる」と意気込むのだった。物事が最初に立てた計画の通り進むことは少ない。だが、思い通りに進まなくても、最初に描いたイメージを越える意気で取り組めば、予想もしていなかった幸せを手にできるのかもしれないのだ。

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