かくしごとの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『かくしごと』とは、漫画家の父親と小学生の娘の騒々しくも優しく温かい日常を題材とした、久米田康治による漫画作品。タイトルは「隠し事」と「書く仕事」の2つの意味が込められている。2016年から『月刊少年マガジン』で連載され、2020年にはアニメ化された。
下品な作風で知られる漫画家の後藤可久士は、失望されたくない一心で、娘の姫には自分の職業を隠している。親子愛が感じられる温かい言葉や、周囲のキャラクター達のクスっと笑える一言など、『かくしごと』には印象に残る名(迷)言が多く登場する。
友達に父の仕事について聞かれ、「働いているよ」と答える姫。可久士は、確かに無職ではないと納得する。無職という言葉を知らない姫は、無色と勘違いし「じゃあ、いろんなお色、い~っぱい塗れるね!何色にだって塗れるね!」と無邪気に話す。一般的に無職はネガティブなものであるが、考え方次第では何者でもなれるチャンスだと捉えることもできる。
「ぜんぶ合わせてお父さんってお仕事でいいよ」
自身の漫画制作以外に、原作やアニメのキャラクターデザインなど様々なクリエイティブな仕事をしているうちに、自分が何者なのか混乱してしまった可久士。可久士の悩みを汲み取った姫は、「ぜんぶ合わせてお父さんってお仕事でいいよ」と伝える。様々な肩書に疲弊していた可久士だったが、姫の言葉で自分は「お父さん」という仕事を全うしていこうと気持ちを切り替えることができた。
「嫌な当番も誰かがやらないと、社会が回って行かないって、先生が言ってた」
新人賞の審査員の仕事が可久士のもとに回ってくるが、恨みを買うような事をしたくないと断る。帰宅後、「当番はちゃんとやらないと」と給食当番の準備をしている姫に、「嫌な当番はないのか?」と問う。すると「嫌な当番も誰かがやらないと、社会が回って行かないって、先生が言ってた」と答える。その言葉を聞いて反省した可久士は、審査員の仕事を引き受ける。やりたくないことや嫌な当番が回ってきた時に思い出したい言葉である。
「私にとって、お父さんは金メダルってことだよ」
テレビを見ていると、大会のメダル授賞式の様子が映る。それを見た姫は、学校で金メダルを作ったことを思い出し、可久士に渡す。可久士はなんのメダルか問うと、「いろいろ。私にとって、お父さんは金メダルってことだよ」と伝える。娘からの金メダルとその理由に可久士が素直に喜ぶ微笑ましいシーンだ。
「いい名前なら、誰が付けたかなんて関係ないよ」
犬を飼うことになった可久士と姫。可久士は姫に自分で犬に名前をつけて、区役所で登録してもらいなさいと言う。姫は一人で受付に向かうが、まだ名前が決まっていないので立ち止まってしまう。すると受付の人が察して、「ご登録ですか?」と姫に声をかける。姫は自分の犬が、「後藤ロク」という名前なのだと勘違いし、しっくりきたのでそのまま名付けた。それを知った可久士は、「自分で付けなくてよかったのか?」と聞くと、「いい名前なら、誰が付けたかなんて関係ないよ」と答える。他者の意見を良いと言える素直さが姫の良いところである。
「信じてるってたいどでいるのが、誰もがっかりさせないと思うの」
姫の学校でサンタの存在を信じるか信じないかという話が話題になる。姫はサンタについて、「本当にいるかどうか分からないけど、信じていても信じてなくてもサンタが誰でも、信じてるってたいどでいるのが、誰もがっかりさせないと思うの」と回答する。つまり、サンタの存在の真偽が重要ではなく、サンタはいると信じている態度でいれば誰も傷つけないことにつながると考えているのである。誰も傷つけない方法を考えることができる点から、姫が優しい心の持ち主であることがわかる。またその言葉を聞いた可久士は、編集者に対する漫画家の態度にも通ずると気が付く。こだわりが強い可久士は、編集者のことをあまり信じない傾向にある。だが、実際に信じているかどうかは置いておき、信じているような態度でいることが、編集者たちと上手にコミュニケーションを取る上で大事なことだと考え直す。
「毎日ちがうからあきないよ」
クラス替えが無かったことから、可久士は「あまり新鮮味はないかもしれないね」と言うと、姫は「そんな事ないよ」と答える。そして、「同じ友達の子でも、小4の時のその子と小5の時のその子はちがうから。それどころか毎日ちがうからあきないよ」と話す。姫が毎日を楽しく、そして大切に過ごしていることがわかる。
「それは、とてもとてもつまらない漫画でした。剣も魔法も出てこない、何のハプニングも起きない。ただ、父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした。でも、そのつまらない日常こそが、一番の、夢物語だったのです」
かつて倉庫として使っていた鎌倉の平屋で、可久士の漫画を見つける姫。「それは、とてもとてもつまらない漫画でした。剣も魔法も出てこない、何のハプニングも起きない。ただ、父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした。でも、そのつまらない日常こそが、一番の、夢物語だったのです」と涙を流しながら姫はその漫画を読む。母は行方不明で、父は事故で意識が戻らない姫にとって、そのありふれた日常は胸に響いたのだった。
「お父さん、優しすぎたから」
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目次 - Contents
- 『かくしごと』の概要
- 後藤可久士の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「ダメだ、他人の人生がかかっている。これは履歴書と一緒で、ふざけていい場所ではないのだ」
- 「それは違うんですよ。少なくとも俺は、育てさせてもらってるんだ」
- 「自分の信じた漫画を描くだけだ」
- 「来週に一番期待しているのは、読者より作者自身だ!」
- 「正解なんて描いても漫画にならないだろ!」「無知は想像力の器なり!調べる前に想像せよ!」
- 「何か、犬を飼うのと連載を始めるのは似ている気がする。始めたはいいが、投げ出さず続けるのは大変だ。そして、終わらせるのはもっと難しい」
- 「最初の印象が全てでその印象を覆せないとか、速くて忙しくて社会に余裕がないのかもな」
- 「あのな、姫。こういうのは、祝える時に、祝っとけ」
- 「たしかにうちは二人家族で人手不足かもしれないけど、少ない分お互いに深い愛情を注ぐことが出来るんだ」
- 「どんなことがあっても、最後まで立派に育てあげるからね」
- 「一流の漫画家なら白黒原稿でもカラーに見せる事が出来る」
- 「会える時に会っておいた方がいい。集まれる時に集まっておいた方がいい。いつ会えなくなるか分からないからな」
- 「姫がちゃんと我が家に帰ってきますように」
- 間取りが同じ家
- 後藤姫の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「じゃあ、いろんなお色、い~っぱい塗れるね!何色にだって塗れるね!」
- 「ぜんぶ合わせてお父さんってお仕事でいいよ」
- 「嫌な当番も誰かがやらないと、社会が回って行かないって、先生が言ってた」
- 「私にとって、お父さんは金メダルってことだよ」
- 「いい名前なら、誰が付けたかなんて関係ないよ」
- 「信じてるってたいどでいるのが、誰もがっかりさせないと思うの」
- 「毎日ちがうからあきないよ」
- 「それは、とてもとてもつまらない漫画でした。剣も魔法も出てこない、何のハプニングも起きない。ただ、父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした。でも、そのつまらない日常こそが、一番の、夢物語だったのです」
- 「お父さん、優しすぎたから」
- 姫のひめごと
- 「想い出はモノクローム。色を点けてくれ」
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- 「姫ちゃんは先生しかいないからね。要らないって思われたくなくて必死なんだよ」
- 志治仰の名言・名セリフ/名シーン・名場面
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