Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の徹底解説まとめ

アース・ウインド&ファイアーとは、創設者のモーリス・ホワイトによって1969年にシカゴで結成された黒人R&B、ファンク、ディスコ、アフロポップグループである。「シャイニング・スター」「宇宙のファンタジー」「セプテンバー」「ブギー・ワンダーランド」「レッツ・グルーヴ」などヒット曲多数。2016年にモーリス・ホワイトは他界したが、フィリップ・ベイリーが継承し、50年以上経った今も活動するウルトラバンドである。グラミー賞6度受賞、全世界で約9千万枚のセールスを記録している。

01. IN THE STONE
02. CAN'T LET GO
03. After The Love Has Gone
04. LET YOUR FEELINGS SHOW
05. BOOGIE WONDERLAND (with The Emotions)
06. STAR
07. WAIT
08. ROCK THAT!
09. YOU AND I
10. Diana
11. Dirty (Interlude Featuring Junior Wells)
12. Dirty (Junior's Juke)

ベスト盤を除くと約2年ぶりとなる、1979年発表通算9作目のオリジナル・アルバム。当時頭角を現しつつあったデイヴィッド・フォスターが全9曲中6曲のソングライティングに関わり、更にスティーヴ・ルカサー、スティーブ・ポーカロといったTOTOのメンバーもセッションに加わり、ブラックミュージックの本流だったEWFに白人のエッセンスが注入され、高度な音楽的化学反応を起こした傑作アルバムとなった。EWFの不滅のバラード「After the Love Has gone」は、デイヴィッド・フォスターがジェイ・グレイドンと組んだユニット「エアプレイ」の為に書かれたが、モーリス・ホワイトが気に入った為にアースに提供された曲。全米2位のヒットとなり、グラミー賞、最優秀R&Bソングを受賞した。また、女性コーラス隊エモーションズをフィーチャーしたダンスナンバー「Boogie Wonderland」も全米6位を記録、アースを代表するディスコチューンとなった。エモーションズは、モーリス・ホワイトが設立したレーベル「カリンバ・エンタテインメント」プロデュースにより、「ベスト・オブ・マイ・ラブ」の全米ナンバー1ヒットを放った新人コーラスグループである。
アルバムジャケットは前作に続き長岡秀星が担当、(エジプト+UFO)や、『黙示録』というアースのテーマを表しているが、内容的にはこれまでのアースのアルバムの中でも最もポップでスピード感のあるアルバムとなった。かつての黒っぽさや野性的パワーはなくなり、より洗練されてポップよりに進化したアースに、大衆的すぎると拒否反応を示したオールドファンも少なくなかったが、逆に言えば、様々な要素を取り入れて進化したバンドは、他のファンクバンドが到底たどり着くことの出来ない高みに達したと言える。アルバムはビルボードポップチャート3位、R&Bチャート1位を記録した。

Faces (フェイセス)

01. Let Me Talk
02. Turn It Into Something Good
03. Pride
04. You
05. Sparkle
06. Back On The Road
07. Song In My Heart
08. You Went Away

01. And Love Goes On
02. Sailaway
03. Take It To The Sky
04. Win Or Lose
05. Share Your Love
06. In Time
07. Oriental (Interlude)
08. Faces
09. Pipe Organ (Interlude)

1980年発表。2枚組となった大作。サウンド的には前作をさらにゴージャスにした内容で、パワフルなホーンや美しいコーラスを活かしてEWFらしさを追求したアースの完成形。前作に引き続き、デイヴィッド・フォスターが「You」と「And Love Goes On」の2曲を担当、TOTOのスティーヴ・ルカサーも「Back on The Road」と「You Went Away」でキレキレのギターソロを披露している。また、「世界最高のリズム・ギタリスト」と言われるアル・マッケイのギタープレイが存分に味わえる。因みにアルはこのアルバムを最後にアースを去る。長岡秀星のジャケットをやめ、トータル・コンセプト性を打ちださなかったが、粒ぞろいの佳曲が多く、アースの全盛期の末尾を飾るアルバムとなっている。「アースの最高傑作はこれ!」という声も多い中、「ヒットシングルがない」「一番地味」「最も売れなかった」等々、否定的な声も多く、評価が分かれるアルバムである。アルバムはゴールドディスクを獲得、全米10位・R&B2位に輝いた。

Raise! (天空の女神)

01. Let's Groove (Album Version)
02. LADY SUN
03. MY LOVE
04. EVOLUTION ORANGE
05. KALIMBA TREE
06. YOU ARE A WINNER
07. I'VE HAD ENOUGH
08. WANNA BE WITH YOU
09, THE CHANGING TIMES

1981年に発表した通算11枚目のアルバム。前作「Faces」のセールス的不振、そして中心メンバーの一人アル・マッケイの脱退という逆風の中、起死回生を目指してスピーディーに発表された。「Faces」でピークに達した管弦楽器の大量投入は一段落し、それまでの壮大なスケールは無くなったが、グッと引き締まったドライなサウンドを展開、「セプテンバー」と並ぶEW&Fのディスコ曲として名高い「レッツ・グルーヴ」(R&B1位/ポップ3位)で勢いよく幕を開ける。それまでとは異なる整ったシンセサイザーとホーンの音色、そしてヴォコーダーとシンセ・ベースの響きが特徴の「レッツ・グルーヴ」で、アースは見事に起死回生を果たした。この曲を書いたモーリス・ホワイトとウェイン・ヴォーンのコンビによる曲が秀逸で、「マイ・ラヴ」「アイ・ウォナ・ビー・ウィズ・ユー」はシカゴ・ソウル的なアーバン作法が粋な極上なトラック。グレッグ・フィリンゲインズが携わった「果てしなき挑戦」は、マイケル・ジャクソンへの意識も窺える。『地球最後の日』録音時のギタリストだったローランド・バウティスタがメンバーに復帰してルーツ回帰的な面も見せつつ、それをエレクトロニックなサウンドで再構築したようなアプローチが新鮮なアルバムである。
アートワークには長岡秀星が復活、エジプトのファラオをモデルにしている。全米5位、R&B1位、ダブル・プラチナ・アルバム獲得。日本ではオリコン洋楽アルバムチャートで1981年12月14日付から3週連続1位を獲得した。

Powerlight (創世記)

01. Fall in love with me
02. Spread Your Love
03. Side By Side
04. Straight From The Heart
05. The Speed Of Love
06. Freedom Of Choice
07. Something Special
08. Hearts To Heart
09. Miracles

1983年発表の12枚目のオリジナルアルバム。冒頭から「レッツ・グルーヴ」の続編的なディスコ・チューン「フォール・イン・ラヴ」で幕を開ける。R&Bチャート6位を記録し、前作のヒットの余勢を駆って制作されたアルバムだが、これまでのような突進力よりも、モッタリとしたグルーヴが全体を覆うアルバムとなり、約1年半ぶりとなるアルバムは、とうとうトップ10を逃してしまい、プラチナ・アルバムも逃した。しかし全米12位、R&B4位、ゴールド・ディスクを獲得し、まだまだアース人気は続く。「レッツ・グルーヴ」の作者だったウェイン・ヴォーンが全9曲中4曲「ゲッタウェイ」のべロイド・テイラーが3曲を提供しており、ヴォーンの曲のうち、『フォール・イン・ラヴ』」と80年代EW&F屈指の名曲「サイド・バイ・サイド」はエモーションズの奥さんとの共作である。アース・ウィンド・アンド・ファイアーと長岡秀星のコラボはますます冴えわたり、今回も古代と宇宙がテーマとなっている。

Electric Universe (エレクトリック・ユニヴァース)

01. Magnetic
02. Touch
03. Moonwalk
04. Could It Be Right
05. Spirit Of A New World
06. Sweet Sassy Lady
07. We're Living In Our Own Time
08. Electricnation

1983年作品。前作からわずか9か月で発表されたアルバム。今作で総師モーリス・ホワイトは遂にEWFの特徴であったホーン・セッション(フェニックス・ホーンズ)と決別し、アルバムはエレクトリックな音で埋め尽くされた。ロビー・ブキャナンやマーティン・ペイジらをシンセ・プログラミングで起用して、時代の波に乗ることを目指した。R&Bチャート10位となったペイジ作の「マグネティック」は、そんな彼らの方向性を明快に伝えるロック調なエレクトリックファンク。続いて、ペイジとJ・リンドが共作したAOR風のミディアムバラード「タッチ」、デイヴィッド・フォスターのペンによるモータウン調ビートの「ムーンウォーク」がヒットしたが、この当時にはEWFの人気は衰えてきており、転機を図ったものの結局起死回生にはならず、ビルボード・チャートは40位で止まり、ついにゴールド・ディスクすら獲得できなかった。1973年の「ヘッド・トゥ・ザ・スカイ」以降続いていたゴールド、プラチナの流れについに終止符が打たれた。このサウンドの転換について、フロントヴォーカルのフィリップ・ベイリーも「なぜホーンズを外したのか、分からない」とコメントしている。結果、このアルバムを最後に活動は一時休止、各メンバーはソロ活動に移る。活動再開は、1987年のアルバム『Touch the World(タッチ・ザ・ワールド)』からとなる。デビューから常に新しい要素を加えて進化を続け、その度にオールドファン、ニューファンとの評価が二分されてきたアースだったが、このアルバムに関してはどちらからも評価の低い作品となってしまった。モーリスは「自分たちのサウンドは多くの人々から借りてきているわけだから、何か新しいことをする時だと思ったんだ」「R&Bは停滞していて、ヨーロッパからやってきたエレクトリック・ウェイブが眩しかった」「こうした変化は自分たちにとって良い事だと思った」と語っているがリズムマシーンによる典型的な80年代型エレクトロニック・サウンドがアースから放たれることにファンは拒否反応を示した。しかしデイヴィッド・フォスターとの共作「クッド・イット・ビー・ライト」や、セルジュ・ゲンズブールとのコラボで知られるフランスの音楽プロデューサー、ミシェル・コロンビエとの共作「We're Living In Our Own Time〜銀河の輝き」など、渾身のバラードもあり、粒揃いの曲が詰まったアルバムと言える。

Touch the World (タッチ・ザ・ワールド)

01. System of Survival
02. Evil Roy
03. Thinking Of You
04. You And I
05. New Horizons: Musical Interlude
06. Money Tight
07. Every Now And Then
08. Touch The World
09. Here Today And Gone Tomorrow
10. Victim Of The Modern Heart

1987年作品。グループ活動を一旦休止し、前作『エレクトリック・ユニヴァース』から実に4年ぶりの新作。1980年代に4年のインターバルは長く、もう活動しないものと諦めていたファンも多かった。その間、グループの2大看板だったモーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーはそれぞれにソロ・アルバムを発表し、とくにフィリップの『チャイニーズ・ウォール』からは、フィル・コリンズとデュエットした「Easy Lover」が大ヒットし、ビルボード2位まで上がった。モーリスも唯一のソロアルバム『スタンド・バイ・ミー』を発表し、ここからのシングル「I Need You」は甘いバラードで、日本でもテレビCMで使用された。そうした中発売されたアルバムだが、グループのラインナップに変化があり、ジョニー・グレアム(ギター)が抜けた穴にシェルドン・レイノルズが加入、ラリー・ダン(キーボード)が抜けてヴァンス・テイラーが着任。ドラムもフレッド・ホワイトからソニー・エモリーに代わっている。しかし、本作のレコーディングがそのラインナップでおこなわれたのかどうか、諸説ある。メンバー数はこれまでで最少となるも、サウンドは世のヒップホップ流行りを視野に入れ、マシーン・ビートを取り入れ、一聴してスリムでタイトになった印象を与える。ストリート感覚溢れるオープニングの「System of Survival」は「レッツ・グルーヴ」以来久しぶりのR&Bチャート1位となり、EWF健在をアピールした。続いてダンス・ポップ風の「Thinking Of You」もR&B3位のヒットとなり、美しいバラード「Here Today And Gone Tomorrow」もフィリップのファルセットが健在である。『タッチ・ザ・ワールド』の雑誌でのレヴューはおおむね好評で、大絶賛といったトーンではなかったが、EWFの水準は充分にクリアしており、既に大御所となったアースの貫禄は十分に発揮している。ファンにとっても満足の出来であった。
アルバムジャケットも、それまでのEW&Fとは一変し、ピラミッドも石像も姿消し、メンバーがカジュアルな服装で街角に立ち、黒人の生活風景を切り取った様なストリート感覚のジャケットになった。アルバムは全米33位、R&B3位となった。

Heritage (ヘリテージ)

01. Interlude: Soweto
02. Takin' Chances
03. Heritage (featuring The Boys)
04. Good Time (featuring Sly Stone)
05. Interlude: Body Wrap
06. Anything You Want
07. Interlude: Bird
08. Wanna Be The Man
09. Interlude: Close To Home
10. Daydreamin'
11. King Of Groove
12. I'm In Love
13. For The Love Of You
14. Gotta Find Out
15. Motor
16. Interlude: Faith
17. Welcome
18. Soweto (Reprise)

1990年作品。モーリス・ホワイトによる自主プロダクション、カリンバ・プロダクション制作。このアルバムを最後に長らく在籍していたコロムビアと別れ、最初期に属していたワーナー・ブラザース・レコードに戻る。ソニー・エモリーがドラマーに正式就任し、ラルフ・ジョンソンが復帰して、改めてアフリカン・ルーツに意識的に取り組んだコンセプト・アルバム。しかしなんといっても話題は、テディー・ライリーが提唱し、当時のブラックミュージック界を席巻した「ニュージャックスウィング」のリズムを取り入れたことであろう。R&Bチャート5位を記録した表題曲「ヘリテッジ」は、モータウンの少年グループ、ザ・ボーイズを招いた典型的なニュー・ジャック・スウィング調のナンバーで、続くスライ・ストーン客演の「グッド・タイム」も含め、NJS全盛期らしい煌びやかで快活なサウンドの中にもEWF流のグルーヴを発していく。また、当時人気絶頂だったMCハマーがソングライトし、曲中でラップを披露する「ウォナ・ビー・ザ・マン」はチャート的には伸びなかったものの、大きな話題を呼んだ。ステファニー・ミルズ作の「フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー」はR&Bチャートで19位まで上昇した。アルバムは全米70位・R&B19位を獲得した。
この時代のアースを語るとき、必然的に全盛期のアースとの比較として語られることが多い。アースの全盛期は70年代後半である。確かにこの時代のアースは「セプテンバー」「ブギーワンダーランド」のディスコヒットや「シャイニングスター」「ファンタジー」のヒットなど、荒削りながらも圧倒的なパワーとファンクネスがあった。その時代と比べるとセールス的にもヒット的にもパワーダウンしたことは否めない。しかしそれがすなわちアースの衰退を意味するかというと、それは正確ではない。この時代のアースは大御所として君臨しており、その知名度、存在感は他のグループを圧倒していた。日本でもこの時代はちょうどバブル期にあたり、ユーロビートのディスコに飽きた若い女性達は、ブラックミュージック系のクラブに移行する者も増えた。「アースも好きだけどクール(クール&ザ・ギャング)も好き」と言うワンレンボディコンのお姉様達が現れたりもした。時代はヒップホップを始め、ブラック、ソウルミュージック全盛だったが、その中でもアースは初心者にとって入門であり、ナンバーワンの知名度を誇っていた。アーティストの歴史を俯瞰して見たとき、単にセールスやチャートアクションだけで語ってしまうことが多いが、数字だけでははかれない人気や存在感というものがある。この時期のアースはブラックミュージック界において、まさに王者の地位を確立していたのである。

Millennium (千年伝説)

01. Even If You Wonder
02. Sunday Morning
03. Blood Brothers
04. Kalimba Interlude
05. Spend The Night
06. Divine
07. Two Hearts
08. Honor The Magic
09. Love Is The Greatest Story
10. The 'L' Word
11. Just Another Lonely Night
12. Super Hero
13. Wouldn't Change A Thing About You
14. Love Across The Wire
15. Chicago (Chi-Town) Blues
16. Kalimba Blues

1993年9月にリリースされたアース、ウィンド&ファイアの16枚目のスタジオアルバム。
21年ぶりに古巣ワーナーブラザーズレコードに復帰し、アルバムは、総師モーリス・ホワイトによって制作された。横尾忠則のジャケットが表すように、バラエティ豊かな聴きごたえのある内容となっている。プリンスやジェラルド・アルブライト、ロニー・ロウズ等、外部のミュージシャンを多く呼んでいる。批評家達の間では、原点回帰したアルバムとして好評で、USAトゥデイは「バンドがきびきびしたホーンとカリンバのサウンド、重厚なファルセットハーモニー、アフロキューバやラテンのリズム、インストゥルメンタルの間奏曲、哲学的歌詞など、トレードマークのサウンドに戻った」と評価している。バッファローニュースは、5つ星中4つ星と評価し、「ディスコが支配した後もブラックミュージックの本流を保ち続けた数少ないグループの1つである」とし、「全盛期にバンドが持っていたメッセージを改良して再現した」と評している。デイトンデイリーニュースは「このアルバムは、アース、ウィンド&ファイアが、今日の音に追いつきながら数十年に及ぶ音楽スタイルを維持できる珍しいグループの1つであることを証明する」と評している。アルバムは、ビルボード全米チャート39位、R&Bアルバムチャートで8位に達した。

In the Name of Love (イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ)

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