Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の徹底解説まとめ
アース・ウインド&ファイアーとは、創設者のモーリス・ホワイトによって1969年にシカゴで結成された黒人R&B、ファンク、ディスコ、アフロポップグループである。「シャイニング・スター」「宇宙のファンタジー」「セプテンバー」「ブギー・ワンダーランド」「レッツ・グルーヴ」などヒット曲多数。2016年にモーリス・ホワイトは他界したが、フィリップ・ベイリーが継承し、50年以上経った今も活動するウルトラバンドである。グラミー賞6度受賞、全世界で約9千万枚のセールスを記録している。
Open Our Eyes (太陽の化身)
01. MIGHTY MIGHTY
02. DEVOTION
03. FAIR BUT SO UNCOOL
04. FEELIN' BLUE
05. KALIMBA STORY
06. DRUM SONG
07. TEE NINE CHEE BIT
08. SPASMODIC MOVEMENTS
09. RABBIT SEED
10. CARIBOU
11. OPEN OUR EYES
1974年3月25日、コロンビア・レコードよりリリースされた、アース、ウィンド&ファイアーの5枚目のスタジオ・アルバム。ビルボード・トップ・ポップ・アルバム・チャートで15位、R&Bチャートで1位を獲得した。 RIAAによって米国でプラチナ(100万枚)に認定された。J・ウィザートに加えてモーリス・ホワイトがプロデュースに名を連ね、モーリス・ホワイトとはチェスレコード時代の仕事仲間でもあった名匠チャールズ・ステップニーもアレンジと共同プロデュースで関わった。ここからいよいよEW&F黄金期がスタートする。R&Bチャート4位を記録した「MIGHTY MIGHTY」、アースの裏名曲とされる「DEVOTION」、ケニー・アルトマン作のメロウでメランコリックな「FEELIN' BLUE」、R&Bチャート6位を記録した、カリンバを称えた曲「KALIMBA STORY」、そのカリンバを主役としてアフリカン・ルーツを誇示したインスト「DRUM SONG」など、一曲大作志向に終止符を打ち、よりポップで明快なメロディーが特徴になり、バラエティ豊かな曲が揃った。
Another Time
01. Fan The Fire
02. Moment of Truth
03. Love Is Life
04. Help Somebody
05. C'mon Children
06. Handwriting On The Wall
07. This World Today
08. Bad Tune
09. I Can Feel It In My Bones
10. I Think About Lovin' You
11. Everything Is Everything
12. Beauty
13. Energy
1974年9月7日、ワーナーブラザーズから発表されたコンピレーションアルバムで、初期の2作からのセレクションとボーナストラック「Handwriting On The Wall」を収録。ビルボード・トップ・ソウル・アルバム・チャートで29位に入った。
That's the Way of the World (暗黒への挑戦)
01. SHINING STAR
02. THAT'S THE WAY OF THE WORLD
03. HAPPY FEELIN'
04. ALL ABOUT LOVE
05. YEARNIN' LEARNIN'
06. REASONS
07. AFRICANO
08. SEE THE LIGHT
09. SHINING STAR (FUTURE STAR)
10. ALL ABOUT LOVE (FIRST IMPRESSIONS)
11. HAPPY FEELIN' (ANATOMY OF A GROOVE)
12. CARIBOU CHASER (JAZZY JAM)
13. THAT'S THE WAY OF THE WORLD (LATIN EXPEDITION)
1975年発表、ハーヴェイ・カイテル主演の同名の映画のサウンドトラックであり、映画は興行的に失敗するも、アルバムは大ヒットし、EWF初の全米チャート1位を獲得した記念碑的アルバムとなった。モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーによるツイン・ヴォーカル、アル・マッケイがカッティングするギターの存在感、ラリー・ダンのシンセinterlude、アルバムとして芸術的とも言えるほど高い完成度を誇っている。「SHINING STAR」はビルボード全米ポップチャートで1位を記録、R&B、ヒップホップチャートでも1位に輝く。「THAT'S THE WAY OF THE WORLD」もポップチャート12位、R&Bチャート5位を獲得、名曲「REASONS」などハイ・クオリティな楽曲をフィーチャーした不滅の名盤。日本のディスコ・カルチャーにも大きな影響を与えた作品である。『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、486位にランクイン。
70年前後にファンクの最前線を走っていたスライ&ファミリー・ストーンや、スティーヴィー・ワンダー、マービン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、ダニー・ハサウェイなどニュー・ソウル派の面々も、この75年あたりを境にして勢いを失いつつあり、代わって台頭してきたのがEWFであった。サウンド面でもよりダイナミックで輪郭がハッキリしたものになり、格段に迫力が増してきた。ホーン・セクションが輝かしく空間を飛翔していく代名詞のようなサウンドもこの頃いよいよ完成に近づいてきた。
Gratitude (灼熱の狂宴)
01. Introduction By MC Perry Jones (Live)
02. MEDLEY: AFRICANO/POWER
03. YEARNIN' LEARNIN'
04. DEVOTION
05. Sun Goddess (Live)
06. REASONS
07. SING A MESSAGE TO YOU
01. SHINING STAR
02. NEW WORLD SYMPHONY
03. INTERLUDE #1
04. SUNSHINE
05. SING A SONG
06. GRATITUDE
07. Celebrate (Live)
08. INTERLUDE #2
09. CAN'T HIDE LOVE
1975年作品。前作のヒットを受けて発売された、新曲を含む初のライヴ盤(LPは2枚組)。LPのSIDE1から3がライブ・アルバムで、SIDE4がスタジオ・アルバムという構成になっている。ライブは、アメリカ・ツアーとして1974年から1975年にかけて、シカゴ、ロサンゼルス、セントルイス、アトランタ、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンの各都市で行われたものから編集しており、ギターのアル・マッケイとジョニー・グラハム、そして本作から正式にクレジットされたフェニックス・ホーンズが抜群のキレを披露している。ラムゼイ・ルイスとの共演「Sun Goddess ~太陽の女神」の重厚なプレイはまさにこのアルバムのハイライトと言える。ファンクバンドとしてのアースはこの頃が頂点であるとするファンも多く、まさに迫真のライブを聴くことができる。アルバム後半に用意された新曲は、「シング・ア・ソング」がR&Bチャート1位、スキップ・スカボロウ作のドラマティックなバラード「キャント・ハイド・ラヴ」も秀逸である。ビルボード、ポップチャート、R&Bチャートともに1位を獲得した。
Spirit (魂)
01. GETAWAY
02. On Your Face
03. Imagination
04. Spirit
05. SATURDAY NITE
06. EARTH, WIND & FIRE
07. DEPARTURE
08. BIYO
09. BURNIN' BUSH
1976年9月リリース。まさにEWFの黄金期の始まり。このアルバムこそがアースの頂点と推すファンも多い。前作までと比べるとサウンドも洗練されて、今に続くサウンドの始まりがここにある。半面、かつての野性味やファンクネスが薄れ、それまでのファンにとっては受け入れがたい変化ではあったが、この変化により新しいファンがぐっと増えたのも事実である。このアルバムを制作中の1976年5月16日、初期からのサポーターであった作曲家のチャールズ・ステップニーが心臓発作で急死した。S・スカボロウと共作した「EARTH, WIND & FIRE」やステップニーに捧げた「Spirit」等、スピリチュアルなムードがアルバム全体を包み込むが、R&Bチャート1位を記録したオープニングの「GETAWAY」は、ホーンセクションとアル・マッケイのリズムギターが炸裂、更に「SATURDAY NITE」も4位となり、後のダンスバンドとしてのアースのサウンドも確立されてきた。ジャケットにはピラミッドが初登場し、カリンバ・プロダクションのロゴも刻印されるなど、EWFのコンセプトが明確に打ち出されている。アレンジがトム・トム84にバトンタッチされた。アルバムはビルボードポップチャート、R&Bチャート共に2位を記録し、ダブルプラチナアルバムに輝いた。
All 'N All (太陽神)
01. Serpentine Fire
02. Fantasy
03. In the Marketplace
04. Jupiter
05. Love's Holiday
06. Brazilian Rhyme (Beijo)
07. I'll Write a Song for You
08. Magic Mind
09. Runnin
10. Brazilian Rhyme (Ponta De Areia)
11. Be Ever Wonderful
1977年発表の8枚目のオリジナルアルバム。70sソウル絶頂期を代表する名盤中の名盤。
ダブル・プラチナ・アルバム獲得。全米アルバム・チャート最高3位。グループの代名詞でもある「Fantasy~宇宙のファンタジー」「Jupiter」をはじめ名曲のオン・パレード。間奏曲の「Brazilian Rhyme」は1分足らずながら根強い人気があり、ライブでも演奏されることも多い。マーカス・ミラーやテイク6等にもカバーされており、ダニー・クラヴィットによる3分の再編集版もある。
このアルバムから、長岡秀星がアルバムワークを担当し、「ピラミッド」「神殿」「宇宙」というEWFのテーマを体現していくことになる。アフリカンミュージックとスピリチャルの融合、さらにブラジル音楽の要素も取り入れ、音楽的広がりも見せる。サウンド的には荒削りだったファンクから、より洗練され、踊りやすいダンスミュージックにシフトし、非黒人層にも広く受け入れられるバンドに変貌していく。EWFのトータル・コンセプト性がはっきりと打ち出された、アースの最高傑作の一つ。
The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1
01. GOT TO GET YOU INTO MY LIFE
02. FANTASY
03. CAN'T HIDE LOVE
04. LOVE MUSIC
05. GETAWAY
06. THAT'S THE WAY OF THE WORLD
07. SEPTEMBER
08. SHINING STAR
09. REASONS
10 .SING A SONG
1978年作品。コロンビア時代前期(72~78年)からセレクトした、アース初のベスト盤だが、代表曲「セプテンバー」を収録しているアルバムとして有名。全10曲のうち3曲はオリジナル・アルバムに未収録のナンバーである。「セプテンバー」はR&BチャートNo.1を記録したアースの最も有名なナンバーの一つ。作曲にも名を連ねるアル・マッケイの小気味よいギター・カッティングとサビで登場するフィリップ・ベイリーの空駆けるようなファルセットが印象的なダンス・ナンバー。同じくR&Bチャート1位を獲得した「ガット・トゥ・ゲット・イン・マイ・ライフ」はビートルズのカヴァーで、1979年度のグラミー賞ベスト・アレンジ部門("Best Instrument Arrangement Accompanying Vocalist(s)/Best Background Arrangement)を獲得した。「ラヴ・ミュージック」は、EW&Fのヒットに貢献してきたS・スカボロウの作で、隠れた名曲である。アルバムは全米6位・R&Bチャート3位を獲得した。
I Am (黙示録)
01. IN THE STONE
02. CAN'T LET GO
03. After The Love Has Gone
04. LET YOUR FEELINGS SHOW
05. BOOGIE WONDERLAND (with The Emotions)
06. STAR
07. WAIT
08. ROCK THAT!
09. YOU AND I
10. Diana
11. Dirty (Interlude Featuring Junior Wells)
12. Dirty (Junior's Juke)
ベスト盤を除くと約2年ぶりとなる、1979年発表通算9作目のオリジナル・アルバム。当時頭角を現しつつあったデイヴィッド・フォスターが全9曲中6曲のソングライティングに関わり、更にスティーヴ・ルカサー、スティーブ・ポーカロといったTOTOのメンバーもセッションに加わり、ブラックミュージックの本流だったEWFに白人のエッセンスが注入され、高度な音楽的化学反応を起こした傑作アルバムとなった。EWFの不滅のバラード「After the Love Has gone」は、デイヴィッド・フォスターがジェイ・グレイドンと組んだユニット「エアプレイ」の為に書かれたが、モーリス・ホワイトが気に入った為にアースに提供された曲。全米2位のヒットとなり、グラミー賞、最優秀R&Bソングを受賞した。また、女性コーラス隊エモーションズをフィーチャーしたダンスナンバー「Boogie Wonderland」も全米6位を記録、アースを代表するディスコチューンとなった。エモーションズは、モーリス・ホワイトが設立したレーベル「カリンバ・エンタテインメント」プロデュースにより、「ベスト・オブ・マイ・ラブ」の全米ナンバー1ヒットを放った新人コーラスグループである。
アルバムジャケットは前作に続き長岡秀星が担当、(エジプト+UFO)や、『黙示録』というアースのテーマを表しているが、内容的にはこれまでのアースのアルバムの中でも最もポップでスピード感のあるアルバムとなった。かつての黒っぽさや野性的パワーはなくなり、より洗練されてポップよりに進化したアースに、大衆的すぎると拒否反応を示したオールドファンも少なくなかったが、逆に言えば、様々な要素を取り入れて進化したバンドは、他のファンクバンドが到底たどり着くことの出来ない高みに達したと言える。アルバムはビルボードポップチャート3位、R&Bチャート1位を記録した。
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目次 - Contents
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の概要
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の活動経歴
- 1969-1970 創成期
- 1970-1974 黎明期
- 1975-1980 全盛期
- 1981-1986 エレクトリックサウンド
- 1987-1994 再始動
- 1996年-現在 ネオ・ピリオド
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)のメンバー
- Philip Bailey(フィリップ・ベイリー/vo)
- Verdine White(ヴァーダイン・ホワイト/b)
- Ralph Johnson(ラルフ・ジョンソン/dr)
- Myron McKinley(マイロン・マッキンリー /key)
- Philip Bailey, Jr(フィリップ・ベイリー・ジュニア/background vo)
- B. David Whitworth(B デビッド・ホイットワース/vo/perc)
- Morris O’Connor(モリス・オコナー/g)
- John Paris(ジョン・パリス/dr/vo)
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の旧メンバー
- Maurice White(モーリス・ホワイト/vo)
- Fred White(フレッド・ホワイト/dr)
- Al McKay(アル・マッケイ/g)
- Larry Dunn(ラリー・ダン/key)
- Greg Moore(グレッグ・ムーア/g)
- GARY BIAS(ゲイリー・バイアス/sax)
- Johnny Graham(ジョニー・グラハム/g)
- Jessica Cleaves(ジェシカ・クリーブス/vo)
- Roland Bautista(ローランド・バウティスタ/g)
- Robert Brookins(ロバート・ブルキンズ/key)
- Sonny Emory(ソニー・エモリー/dr)
- Freddie Ravel(フレッド・レイヴェル/key)
- Ronnie Laws(ロニー・ロウズ/sax)
- Sheldon Reynolds(シェルドン・レイノルズ/g)
- Andrew Woolfolk(アンドリュー・ウールフォーク/sax)
- Wade Flemons(ウェイド・フレモンズ/vo)
- Bernard Beloyd Taylor(ベロイド・テイラー/per)
- Yackov Ben Israel(ヤコフ・ベン・イスラエル/per)
- Leslie Drayton(レスリー・ドレイトン/tr/vo )
- Sherry Scott(シェリー・スコット/vo)
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)のディスコグラフィー
- Earth, Wind & Fire
- The Need of Love(愛の伝道師)
- Last Days and Time(地球最後の日)
- Head to the Sky
- Open Our Eyes (太陽の化身)
- Another Time
- That's the Way of the World (暗黒への挑戦)
- Gratitude (灼熱の狂宴)
- Spirit (魂)
- All 'N All (太陽神)
- The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1
- I Am (黙示録)
- Faces (フェイセス)
- Raise! (天空の女神)
- Powerlight (創世記)
- Electric Universe (エレクトリック・ユニヴァース)
- Touch the World (タッチ・ザ・ワールド)
- Heritage (ヘリテージ)
- Millennium (千年伝説)
- In the Name of Love (イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ)
- The Promise
- Illumination
- Now, Then & Forever
- Holiday
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の代表曲
- SHINING STAR
- THAT'S THE WAY OF THE WORLD
- SING A SONG
- GETAWAY
- SATURDAY NITE
- FANTASY
- JUPITER
- BRAZILIAN RHYME
- SEPTEMBER
- AFTER THE LOVE HAS GONE
- BOOGIE WONDERLAND
- LET'S GROOVE
- FALL IN LOVE WITH ME
- MAGNATIC
- SYSTEM OF SURVIVAL
- THINKING OF YOU
- HERITAGE
- WANNA BE THE MAN
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の名言・発言
- モーリス・ホワイト「私もジョン・コルトレーンやFunkadelicやKool&the Gangからいろいろ盗んでる。そこにオリジナリティを足して次の世代に受け渡すのがお前たちの仕事だ」
- フィリップ・ベイリー「僕がアース・ウィンド・アンド・ファイアーのリーダーになってから、20年になるけど、バンドとして決断が必要な時には、いつもモーリスが尊重するだろうと思うことを念頭に入れている。そのことが、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのDNAの一部ということだけでなく、アース・ウィンド・アンド・ファイアーとしてやっていくための方法だということをみんなわかっているんだ」
- Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アース・ウインド&ファイアー「セプテンバー」の日
- 「September 」誕生秘話
- 「After the Love has gone」誕生秘話