バッカーノ!(BACCANO!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『バッカーノ!』とは成田良悟が書いたラノベ小説及び、アニメ作品である。物語は1711年、1930年、1931年、1932年の禁酒時代のアメリカを舞台に悪魔が作り出した不死の薬を巡りマフィアや爆弾魔、錬金術師や人造人間などの個性的なキャラクターが奮闘する群像劇だ。本作の見どころは舞台設定とキャラクターである。まず禁酒時代を舞台にしたアニメは本作を除くと『91DAYS』くらいである。その舞台設定の希少性に加え前述した個性的なキャラクターが本作にしかない見どころである。

路地で物乞いをする浮浪者に対してマフィアのボスながら心優しいフィーロは大金を恵む。その行いに「主もあなたの行いを祝福してくださいますよ」と喜ぶホームレスを諭すように、フィーロは「都合のいい時だけ信心深くなるのはやめとけ」と言い放つ。実力でマフィアのボスにまで出世をしたフィーロからすれば状況が良くとも悪くとも己の力のみを信じるという哲学がこのセリフから垣間見える。

ラッド「お前ら、こう思ってるはずだ。『この列車でこれだけすごい武器を持ってる俺達に逆らうやつなんていない。俺達は最強だ。俺達は安全だ』ってなあ!楽しいだろうな。楽しいだろうなあ。そういうやつらを殺すの。腸を引きずり出すのは。ソーセージの中身みてーにグチャグチャにすり潰してやるのはよお!」

ラッドは銃で列車をハイジャックした「幽霊」のメンバーを素手でノックアウトし、「お前ら、こう思ってるはずだ。『この列車でこれだけすごい武器を持ってる俺達に逆らうやつなんていない。俺達は最強だ。俺達は安全だ』ってなあ!楽しいだろうな。楽しいだろうなあ。そういうやつらを殺すの。腸を引きずり出すのは。ソーセージの中身みてーにグチャグチャにすり潰してやるのはよお!」と叫びながらメンバーの顔面を死ぬまで殴り続ける。快楽殺人者たちを束ねるリーダー、ラッドの狂気じみた内面が如実に表現されたセリフである。

グース「これも試練と考えるべきか。ヒューイ氏への高見へは通常の道ではたどり着けぬのだからな」

グースは部下から列車のハイジャックをした時に白服集団に仲間を殺された報告を受けるが、「これも試練と考えるべきか。ヒューイ氏への高見へは通常の道ではたどり着けぬのだからな」と冷静に応える。どんな障害が現れようとも自分たちがこれから成す目的の希少性に比べれば当然の代償だ、とても言わんばかりの冷静さにこの計画に掛ける計画の用意周到さが見える。

セラード「シルヴィー、わしは楽しい! それぞれの経験、それぞれの知識、それぞれの欲望 人生に無駄なく知るべきことに果てはない! わしはまだまだ知りたい まだまだ食い足りないのだ、シルヴィー!」

不死者となったセラードは大いなる万能薬を独り占めしようと次の日に船員を襲い、マイザーの弟を殺した後、彼の思い人であるシルヴィーに手をかけ、「シルヴィー、わしは楽しい! それぞれの経験、それぞれの知識、それぞれの欲望、人生に無駄なく知るべきことに果てはない! わしはまだまだ知りたい。まだまだ食い足りないのだ、シルヴィー!」と言う。本作ではメインを張る悪役だけあって13人もの仲間を殺した後に自らの欲望をここまでありのままにさらけ出したセラードの悪の本性が垣間見えるセリフであった。

グラハム「俺が壊したいのは、物理的なもの~。 分かる? …分かってるなら返事! …返事は? …返事がな~い。 だったら!ただの屍になれや!!」

本編14話。グラハムはジェノアード家を乗っ取り、か弱いイブに取り入り富を奪おう、という「寄生虫根性丸出しの計画」を提案してきた部下を殴る。そして「俺が壊したいのは、物理的なもの~。 分かる? …分かってるなら返事!」と言うが、殴られたせいで部下は声が出なくなって返事ができなかった。それでもグラハムは「…返事は? …返事がな~い。 だったら!ただの屍になれや!!」と部下の頭をめがけて巨大スパナを振りかぶる。しかし、スパナは部下の頭ではなく地面に着地し、グラハムは「冗談だ」と笑う。杉田智和の名演技と相まって彼が快楽殺人者のラッドの弟分であることを再認識させられる見事なセリフである。

金には恵まれても悲しむイブを盗みで幸せにするアイザックとミリア

泥棒に入った屋敷で、独り泣いているイブの話を聞き、「金持ちであることから上辺の人間関係に悩んでいる」と悲しむイブから不幸の根源である豪邸の財産を盗む。アイザックとミリアは去り際にイブに「君はきっと幸せに、なれる!」と断言する。目の前で本人の財産を盗み、全く根拠もないのに「君は幸せになれる」と言い切れるバカさ。しかし、バカでありながらも他人を幸せにしていくアイザックとミリアのキャラクター性が表現された名シーンである。

本作で最も盛り上がるバトルシーン:ラッドVSシャーネ

第10話。屋根の上でシャーネと対峙したラッドはショットガンを構え、屋根の上をシャーネに向かってひた走る。シャーネはショットガンの弾をナイフで弾くなど今作で最も激しいアクションシーンである。ラッドの名言「お前らがそんな楽団の恰好をしてんのってよお!!俺に演奏を聴かせてくれるためだよなあ!俺に俺だけのためにい!あんたはわざわざ屋根の上にまであがってくれるとは!これはもはや愛だあ!!受け止めたぜ!お前の巨大な愛を。今度はお前が俺の愛を受け止めてくれ。愛してるぜえ!だから死ね!」も飛び出す名シーンである。

物語が終わっても視聴者に「その後」を想像させるエンディング

最終話にて、すべての物語が終わり、助手のキャロルが「なぜ、物語に終わりはないのですか?」という質問に対して副社長は悠然と応える。「物語に終わりなどないのだよ、キャ~ロル。 あのネズミ、今の今までどこでどう過ごしてきたと思う? そして、これからどのような経験をしていくのだと思う? 想像してみろ、キャロル。イマジン!!」それに続き、「不気味に笑うラッド」「ダラスの姿が消えたドラム缶」「トランプカードを切るキース・ガンドール」などの続編を期待させ、物語は盗んだ金をばらまくアイザックとミリアを最後に物語は視聴者に高揚感を残して幕を閉じる。

『バッカーノ!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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