蹴撃手マモル(ゆでたまご)のネタバレ解説・考察まとめ

『蹴撃手(キックボクサー)マモル』とは、集英社発行の『週刊少年ジャンプ』上にて1990年から1991年にかけて連載された原作者ゆでたまごによる格闘技漫画作品。単行本は全4巻。中学生の走り高跳びの選手である蹴田マモルが兄の敵を討つため、ムエタイのチャンピオンであるパイソンに挑み、修行を始めるストーリー。日本の子供にムエタイを広める事を目的に連載開始したが、5ヶ月で打ち切りになってしまった。2014年夏には電子書籍化が発表されている。

ストープ山の麓にあるラダン村のムエタイ道場である「エレファント会」の師範。山のような大男で、マモルと勝負したが完勝する。しかし負けても何度も挑戦状を送ってくるマモルの熱意に対して感銘を受けていた。バナナが大好物で、食事を邪魔されることを何より嫌う。最終シーンでは、マモルとニシキ蛇会に挑んでいくような描写が見られた。

バカンボ

バツヤリの達人ゼペット・チャンガーの友人で、ムエタイ戦士が足に巻く包帯「ラァン・ティン」の名人である。目が悪いが、相手の心理状態を的確に見抜く能力を持ち、試合に臨む選手の足に包帯を巻きながら心理状態を一瞬にして把握して選手の恐怖心を取り除いて、リラックスさせる天才。ゼペットからは「心のドクター」と呼ばれている。

『蹴撃手マモル』の用語

バツヤリ

タイの格闘技ムエタイの兄弟と呼ばれる格闘技。500年前にタイの国王であったナレスワンが生み出した体術を護身術として大きく発展させたもの。ムエタイと起源は同じで、本作ではチャンガー家が代々伝承してきた格闘技。マモルが修行により身につける事になった。ゼペット・チャンガーいわく、人気ではムエタイに大きく劣るが、格闘技としての強さは五分とのこと。実際は存在しない架空の格闘技である。

ムエタイ

地上最強と謳われるタイの格闘技。500年前のタイの国王ナレスワンが生み出した体術を、ルールあるリング上のスポーツとして発展させたもの。キング・パイソンを筆頭とする格闘家たちが扱い、作中では最強の格闘技とされている。ボクシングに蹴りを追加したようなスタイルで、防具は用いず、グローブも素手同様の薄手のものを採用した実戦的な格闘技となっている。

九十日殺し蛇刻印 (きゅうじゅうにちごろしへびこくいん)

キング・パイソンの必殺技で、人間の足の骨を折り、その骨片を体内で自由に動かす秘術。骨片のある場所の皮膚には蛇の刻印が現れ、90日間をかけて骨片が心臓まで到達するようになっている。解除の仕方はパイソンしか知らず、マモルが逃げ出さないよう、パイソンがイサオに対して施した技。

ティムティム人形の舞

マモルと最初に闘ったニシキ蛇会の戦士スコルピオンの得意技。ヒザによる蹴りを往復ビンタのように繰り出して、相手にダウンする隙を与えない。これを食らった相手は人形のように棒立ちとなり、なす術なくヒザ蹴りを受け続け死に至る。

『蹴撃手マモル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

マモル「足の力だけで壁に90度に立っている!!」

走り高跳び大会のオフの日に、タイ人ガイドのプーアンに連れられて日本選手団と共にバンコク市内を観光していたマモルは、偶然ムエタイの偉大なチャンピオンであるキング・パイソンが、脱走した門下生達に制裁を加えている場面に遭遇する。その際パイソンは足を壁に掛けただけで、垂直に立った姿で登場した。それを見てマモルは「足の力だけで壁に90度に立っている!」と叫ぶ。力学的には荒唐無稽であるが、初登場のパイソンの恐ろしさを演出するゆでたまごらしいシーンであると言える。

キング・パイソン「九十日殺し蛇刻印!」

パイソンがマモルが逃げ出さないための保険として、イサオに対してかけた技「九十日殺し蛇刻印」。相手の足の小指付近の骨を折って針として、激痛と熱さ、そして蛇状の痣を伴いながら心臓に上らせていくという恐怖の必殺技。90日間足の骨の破片が体を巡り、蛇の頭の痣が心臓に達する90日後に骨が心臓を突き刺して死に至らしめる。これを解除させるツボはパイソンしか知らない。

マモル『戦いはこれからだ!!』

ゆでたまご得意のギャグを控えめなリアル路線にした事もあり、またKー1による格闘技ブームには少し早すぎた事もあって、本作はブレイクする事もなくあっという間に連載打ち切りとなった。たくさん張られた伏線の回収もなく、唐突にストーリーは終了し、最終回でのマモルの台詞「戦いはこれからだ!」は、清々しいまでに打ち切り漫画の典型だったと言われている。ムエタイという非常にマイナーなスポーツを採り上げる意欲は良かったが、その内容や展開は荒唐無稽なものが多く、読者を夢中にさせるには至らなかった。肝心の格闘描写もいま一つ迫力不足で32週で打ち切りとなり、この作品をもってゆでたまごは『週刊少年ジャンプ』を去る事となった。

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