天元（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ

天元のプロフィール・人物像

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CV：アニメ未登場

天元（てんげん）とは、『呪術廻戦』の登場人物で、高度な結界術を操る呪術界の中枢的存在。呪術師たちの重要拠点などに張られた国内の主要な結界を、その強大な呪力で維持・補強しており、彼なくして日本の呪術師たちは満足に活動できない。
『呪術廻戦』では日本は世界的な呪術大国となっているが、その大きな理由の一つが天元による結界である程度安定した環境で呪術的研究・後進の育成ができることに因る。このため、作中の呪術師からは敬意を込めて「天元様」と呼ばれている。

普段は薨星宮（こうせいぐう）で隠遁生活を送り、人前には姿を見せず、面会できる者も限られる。不死の術式を持ち、少なくとも奈良時代には活動が確認されている。人柄も含めて作中で本人について触れられることはほとんどないが、少なくともその頃は非常に良識的な人物として活動しており、「個々としては強者であっても数の上では少数派である呪術師がどうあるべきか」を仲間たちに説き、その道徳的基盤を確立した。

不死ではあるが不老ではなく、何百年と生きる中で次第に肉体が変容。ついには人間を超越した高次存在となり、意識すら保てなくなる。こうなると最悪人類の敵になることも考えられるため、五百年に一度自身と適合する人間と同化することでこれを避けている。
『呪術廻戦』の主人公である虎杖悠仁（いたどり ゆうじ）が呪術師を志すようになる十年ほど前には、この星漿体との同化の時期を迎えている。奈良時代に活動していたことを踏まえると、（常に五百年周期で星漿体との同化を果たしていたとする場合）千五百十年以上前の生まれということになる。

名前こそたびたび取り上げられていたが、作中では長らく出番の無い状態が続いていた。渋谷事変を経て日本が存亡の危機に立たされる中、この状況を打破するための情報を求めて主人公虎杖悠仁（いたどり ゆうじ）らが薨星宮に侵入。空振りと見て引き返す彼らを呼び止める形で、ついに本格的な登場を果たす。歪な頭部に巨大な口、四つの目玉と完全に人間離れした姿だが、間違いなく本人であり、曰く「五百年も生きればこうなる」とのこと。ここでいう五百年とは、前回の同化を果たしてからの数字である。

天内理子との同化に失敗した後、肉体の変質を止められずに不死のまま自我と肉体を維持できなくなっていく。結果「地球上のあらゆる場所に遍在する幽霊」のような存在へと成り果てるも、その強大な結界術を応用して“自他の境界”をむりやり設定し、なんとか己の意識と姿を保持している状態にある。
その状態の自分を利用して、「呪術の可能性を見極めたい」という自身の知的好奇心がためにこの世の全てを地獄絵図へと塗り替えようと画策する羂索（けんじゃく）に対抗するため、虎杖たちに協力する。

本人曰く「どちらかというとババア」とのことだが、もともとの性別が女性だということなのか、女性の星漿体と多く融合した結果肉体としては女性に近い状態になっているということなのかは不明。

天元の呪術・能力

不死の術式

文字通り死なない体となる術式。天元はこの術により人外の長寿を誇っている。
不死ではあっても不老ではなく、肉体は時と共に老化し、ついには変容。最終的には天元自身を高次存在へと昇華させ、人としての意識も喪失することが予想されている。
これを避けるため、天元は五百年に一度、特殊な条件を満たした「星漿体」という人間と同化する必要がある。

結界術

特定の領域に対する知覚及び侵入を阻む術。天元のそれは前者、つまり「隠す方」に特化しているため、場所さえ特定できれば侵入すること自体はそれほど困難ではない。さらに植物に対しても効果が薄く、作中では植物の呪霊である花御がこれをほぼ素通りしていた。それでも結界自体は規模も精度も規格外で、よほど特殊な条件をそろえない限り天元の結界の内まで辿り着くことは不可能である。
東京にある薨星宮に居ながらにして、何千kmも離れた場所に結界を張り、あるいは他の術者が張ったそれを補強し、必要であればそれを半永久的に持続する。誰もが真似できない恐るべき神業ではあるが、現在の天元の意識はこの結界の維持と管理にのみ向けられており、それ以外のことにはまるで興味を示さない。その様は木石にも例えられている。

天元の来歴・活躍

奈良時代以前に生まれる

今から千年以上も昔、不死の術式を持つ術師として生まれる。少なくとも奈良時代には活動が確認されており、当時の術師たちに「個々としては強者であっても数の上では少数派である自分たち術師がどうあるべきか」を説いている。
これが現在に至るまで続く“呪術師”という職業の源流の一つにもなっている一方、その高潔な生き様を神聖視するあまり、天元を神と崇める宗教「盤星教」までもが誕生。天元本人とは無関係に様々な遺恨を生み出していった。

星漿体との同化

時を経て、次第に術師としての立場を変化させ、その強大な呪力で仲間たちの結界を補助する役回りに就く。これにより研究や後進の育成の面で日本の呪術界は安定及び活性化を果たし、術師が野放しに暴れられる海外諸国と比較して発展。呪術大国への道を進んでいく。
一方、天元の不死の術式は、必ずしも彼の永遠を約束するものではないことも徐々に明らかとなる。その肉体は老化を重ね、やがては根本的に人とは異なる高次存在と成り果て、“天元個人の意思”が喪失することが判明。その場合彼の力で得た日本呪術界の安定が危うくなるどころか、最悪天元自身が人類の敵になることも予想された。
これを防ぐために、「星漿体」という特別な条件を満たした人間との同化を果たす。こうすることで肉体の情報が刷新され、天元は人間のままでいられるのである。

『呪術廻戦』本編開始の十年ほど前、幾度目かの星漿体との同化の時期を迎える。しかし当代の星漿体だった天内理子は、「他者と同化して天元の純度が損なわれる」ことを忌避した盤星教の策略によって殺害。高次存在への進化の危機に瀕するも、結界術を応用して自我を保ち、危ういところでこれを回避する。
同化された星漿体は天元の肉体と同化していくが、事実上の人身御供にも等しいこの手法を、天元自身もベストの方法であるとは捉えていない。後にこの時の星漿体の候補の1人でもあった九十九由紀（つくも ゆき）から「“大義のため”という逆らいようのない理由で何も知らない子供たちを犠牲にしてきたのか」と痛罵された際には、黙ってそれを聞いた上で「もっと話がしたかった」と言葉を返している。

崩れ行く日本の中で

“現代最強の術師”五条悟の封印とその救出を巡る、大規模な呪術合戦「渋谷事変」が発生。その中で無数の呪霊（人間が無意識に漏らした呪力が実体を得た怪物）が都心部に放たれ、東京は壊滅。国家としての日本は存亡の危機に追い込まれる。
この状況を打破するため、“呪いの王”両面宿儺をその身に宿す虎杖と彼の仲間たちは、天元との面会を求めて薨星宮へと赴く。五条の封印を解除する術、渋谷事変も含めた一連の事件の黒幕である加茂憲倫の目的と対策について天元の知恵を借りるのが目的だった。
薨星宮内部に無断で侵入するも天元の姿を見つけられず、落胆して帰ろうとする虎杖たちを呼び止め、初対面ながら一人一人の素性を端的に言い当てつつ、ついに姿を現す。

羂索を倒すために協力してほしいという虎杖たちに、彼らの内特級に相当する実力者二人を自身の護衛とすることと引き換えに了承する。これは天元自身に起きた転変と、その力を羂索が狙っていることが理由である。
天内理子が死に、星漿体との同化に失敗した後、天元は不死のままその自我と肉体を維持できなくなっていった。結果「地球上のあらゆる場所に遍在する幽霊」のような存在へと成り果てるも、その強大な結界術を応用して“自他の境界”をむりやり設定し、なんとか己の意識と姿を保持している状態だった。

もはや人間より呪霊に近しい存在で、羂索が我が物とした呪霊操術の対象にもなりうる。この状態の天元が羂索の支配下に置かれ、無為転変で全人類との融合を果たせば、それは「個としての人類」の消滅と、剥き出しの自我同士が延々と互いを呪い合う地獄絵図が完成することを意味していた。天元が一度は虎杖たちとの面会を拒む素振りを見せたのも、彼らが羂索と通じている可能性を危惧したためだった。

事情を聞いて、特級呪術師の九十九、特級相当の実力を持つ脹相の二人が天元の護衛に名乗りを上げる。これに満足した天元は、獄門疆「裏」（ごくもんきょう うら）という呪具を虎杖らに見せる。これは羂索が五条を封じる際に用いた獄門疆の“裏門”であり、内部には封じられた五条がいるという。
五条は羂索すらどのように戦っても勝ち目がないほどの圧倒的実力者で、彼が解放されれば戦況は文字通り一変することとなる。しかしそのためには獄門疆「裏」の強固な封印を解除しなければならず、そのために役に立ちそうな道具は行方不明。そこで天元は、羂索が自身の全人類との融合の下準備として仕掛けているデスゲーム「死滅回游」の名を持ち出し、そこに参加している“全ての術式を解除する”術式を持つ天使こと栗栖花（くりす はな）の協力を取り付けることを提案する。

薨星宮への襲撃

虎杖たちが死滅回游の終着のためそれぞれに動き、羂索がそれを上回る勢いで様々な謀略を進めていく中、天元は“元星漿体”である九十九と意見を交わしていた。高尚な理屈と大極的な視点から星漿体との同化を続けてきた天元だったが、どういう心づもりで12年前に突如それをやめたのか。同化しなくても大丈夫なら、今まで大義のためだと信じてその身を捧げてきた星漿体たちに対してどう詫びるというのか。敵意にも等しい怒りが込められた九十九の痛罵を黙って聞くと、天元は「もう少し話がしたかった」と言葉を返す。ちょうどそのタイミングで羂索が薨星宮に乗り込んできたことで、2人の対話は終わりを迎えたのだった。

先んじて戦闘を開始した脹相が倒れ、九十九が出陣。天元は「羂索に“呪術の奥義”ともいわれる領域展開を発動させ、自身がこれを解体し、相手が力を使い果たしたところで九十九たちに決着をつけさせる」という策を立てていたが、羂索の領域展開のあまりの完成度に予定よりも時間がかかり、九十九は大きなダメージを受けてしまう。脹相をむりやり退避させた上で九十九は切り札を発動するも、これさえも凌ぎ切られて敗北。守る者のいなくなった天元の下に、羂索がついに辿り着く。

天元の関連人物・キャラクター

天内理子（あまない りこ）