怪獣8号(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『怪獣8号』とは、『少年ジャンプ+』で2020年より連載を開始した松本直也による漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。怪獣の発生する世界で、怪獣から国を守る防衛隊に入る事が叶わずに怪獣の死体清掃の仕事を続ける主人公・カフカが、もう一度防衛隊を目指そうと決意するも、謎の小型怪獣に体内へ侵入され、人知を超えた怪獣の力を手にする。「怪獣8号」と呼ばれるようになってしまったカフカがその力と怪獣の知識を駆使して、怪獣に立ち向かっていくバトル漫画である。

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『怪獣8号』の概要

『怪獣8号』とは、『少年ジャンプ+』で2020年7月3日から2025年7月18日まで連載された、松本直也による漫画作品、およびそれを原作としたアニメ作品である。単行本は全16巻。本作は松本直也の3作目の連載作品であり、初のヒット作品となった。3週に一度休載しながら、毎週金曜日に更新されるという形で連載され、休載日には「怪獣百景」と称した日常風景イラストが掲載された。
テレビアニメは、第1期が2024年4月から6月まで、第2期が2025年7月から9月まで放送されている。

本作は、シン・ゴジラやパシフィック・リム等の怪獣を自然災害に暗喩した作品の系譜にある。本作で登場する怪獣は「自然災害」として捉えられており、発生した順に台風のような番号で呼ばれ、その怪獣の強さを表す単位としてマグニチュードを模した「フォルティチュード」という単位が使われている。「大人が過去にワクワクしていたものを大人目線で楽しめるような作品にしたかった」と担当の編集者は発信しており、メインターゲットである若者に受け入れられるか危惧していた所もあったようだが、結果として大反響を呼び、『少年ジャンプ+』内ランキングでは1.2を争う人気を見せた。
単行本第一巻の発行部数は43万部を突破しており、2021年、日本で最も売れた単行本となった。二巻では累計発行部数が少年ジャンプ+での連載作品内最速で100万部を突破している。2021年の「次にくるマンガ大賞2021」Webマンガ部門1位にランクインしている。
怪獣が出没する世界で、怪獣の発生率が世界一である日本を舞台としている。子供の頃に住む町を破壊された主人公の日比野カフカ(ひびの カフカ)は、幼馴染である亜白ミナ(あしろ ミナ)と「二人で怪獣を全滅させよう」と、防衛隊となる事を約束する。しかし、防衛隊に合格し大活躍するミナに対して、試験で不合格となったカフカは夢破れ、怪獣の死体の清掃業者に就職し、鬱々と、だが真面目に仕事をこなしていた。ある日、アルバイトとして入社した市川レノ(いちかわ レノ)から防衛隊の年齢制限が引き上げられることを教えられ、その直後怪獣に襲われた際に感じた無力さや助けたレノから感謝された事から、決意を新たに再度試験を受けることを決めたカフカ。だが、謎の小型怪獣に体内へ侵入され、身体が怪獣化してしまう。人知を超えた怪獣の力を手にすると同時に「怪獣8号」と呼ばれるようになってしまったカフカが、その力と清掃業で培った怪獣の知識を駆使して、怪獣に立ち向かっていく。

『怪獣8号』のあらすじ・ストーリー

怪獣8号の誕生

謎の生命体を飲み込み、怪獣に変身してしまったカフカ

怪獣による脅威が日常となった日本。主人公の日比野カフカ(ひびの カフカ)は、防衛隊が倒した怪獣の死骸を解体・清掃する仕事に就いていた。カフカはかつて幼馴染の亜白ミナ(あじろ ミナ)と共に「防衛隊に入って怪獣を倒す」と約束していたが、ミナが第3部隊の隊長にまで上り詰めた一方、夢を諦めた自分に葛藤していた。

ある日、防衛隊を目指す青年・市川レノ(いちかわ レノ)が清掃会社に入社。カフカはレノと共に働く中で、再び防衛隊への想いを募らせる。そんな中、突如現れた怪獣に対しカフカはレノを逃し一人で立ち向かうが、戻ってきたレノと共に粘り、駆けつけた防衛隊に救われる。
入院中、カフカはレノに防衛隊を再び目指すと誓う。その直後、謎の小型生命体がカフカの体内へ侵入し、彼を人型怪獣へと変貌させた。驚いたレノと共に病院を脱出したカフカは、拳一つで他の怪獣を粉砕する強大な力を手に入れた。その危険度(フォルティチュード)は8.0を超え、「怪獣8号」として防衛隊から追われる身となるが、彼はそれでも防衛隊への入隊を決意する。

カフカとレノは防衛隊の一次試験を突破し、二次試験で天才児・四ノ宮キコル(しのみや キコル)と出会う。二次試験の怪獣討伐後、突如人型怪獣が出現し、キコルに攻撃を仕掛け、倒された怪獣たちを復活させて姿を消した。重傷を負い絶体絶命のキコルを助けるため、カフカは怪獣8号に変身し、巨大怪獣を撃破した。
後日、カフカは試験成績こそ基準に満たなかったものの、第3部隊副隊長・保科宗四郎(ほしな そうしろう)の推薦により、候補生として防衛隊へ入隊を果たすのだった。

立川基地襲撃

夜間に巨大怪獣が相模原に出現し、第3部隊が出動した。新人のカフカたちは本獣(巨大怪獣)の周囲に出現する余獣(小型怪獣)の駆逐を命じられる。武器を使った戦闘では役立たずだったカフカだが、清掃業の知識を活かして余獣の弱点を保科副隊長に報告し、ミナ隊長による本獣討伐を成功させる一助となった。カフカはミナとの実力差を改めて痛感する。

一方、別所で余獣討伐にあたっていたレノは、試験会場に現れた人型怪獣(怪獣9号)が擬態した男と遭遇する。レノと古橋伊春(ふるはし いはる)は立ち向かうも窮地に陥るが、怒りに燃えた怪獣8号に変身したカフカが乱入し、9号を追い詰めて核を露出させる。しかし、防衛隊が怪獣姿のカフカを敵と認識して攻撃を始めた隙に、9号は逃亡し、カフカもその場を離脱した。

離脱した路地裏でカフカを待ち伏せていたのは保科であった。中小型怪獣との戦闘を得意とする保科の剣術にカフカは苦戦し、核の一部を露出させる。カフカは保科の渾身の一撃を寸前で防ぎ、武器を破壊して逃亡に成功した。防衛隊はカフカと戦った人型怪獣を「怪獣9号」と名付けて捜索を開始する。

相模原掃討作戦での功績が認められたカフカは、保科の推薦もあり、候補生から晴れて正隊員へと昇格する。
そんな中、立川基地に「怪獣10号」と呼ばれる別の人型怪獣が率いる多数の怪獣が上空から襲来した。ミナ隊長が不在の中、保科が「大怪獣」クラスの10号と交戦。保科が優位に立つも、10号は進化を遂げ、保科がピンチに陥る。そこへミナが現着し、保科とキコルのサポートを得て10号を撃破したかに見えた。しかし、10号は超巨大な余獣爆弾を生成し、基地全体を破壊しようとする。

その時、カフカは大勢の防衛隊員の目の前で怪獣8号に変身し、爆弾を押し返し基地の危機を防いだ。だが、正体が露見したカフカは、その場でミナによって拘束されるのであった。

四宮功の死と9号災害の予兆

拘束されたカフカの前に、防衛隊長官・四宮功(しのみや いさお)が現れ、識別怪獣兵器(ナンバーズ)を用いて怪獣8号の処理を試みた。功の攻撃を受けたカフカは怪獣8号に変身するが、自我を失い功を圧倒する。しかし、寸前で自我を取り戻し、功は「怪獣8号を兵器化せず戦力とする」と決断。カフカは防衛隊員として戦うことを許され、鳴海弦(なるみ げん)率いる第1部隊へ異動し、キコルも仮配属された。

その後、品川区で大量の怪獣が発生し、第1部隊が出動。そこへ怪獣9号が出現し、カフカの怪獣の力を狙う。カフカは鳴海やキコルと共に9号を討伐するが、これは罠だった。
9号は本部基地に侵入し、功の持つ怪獣2号の力を狙う。功は自身の命を懸けて9号と激突するが力及ばず死亡し、その体は9号に乗っ取られてしまうのだった。

その後、怪獣6号ベースの識別怪獣兵器「ナンバーズ6」と同調の兆しを見せたレノは適合訓練を開始。同期の伊春のサポートを受け、ナンバーズ6の制御に成功し、適合者となった。
レノが努力と才能で適合者となった一方、「怪獣8号」の力に頼る自分にカフカは葛藤する。保科はカフカに怪獣8号の力に頼らず戦えるよう隊式格闘術の習得を命じ、神社で厳しい強化訓練を開始した。

一方、四宮功の身体を乗っ取った怪獣9号は、功の内部からの抵抗を抑え込み、日本各地で従来の怪獣とは異なる新たな怪獣を大量発生させていた。防衛隊はこれを「9号災害の予兆」と捉え、対策に追われる。
キコルは母・ヒカリが使用したナンバーズ4を受け継ぎ、父・功の仇を討つ決意をする。カフカも保科の特訓を、キコルも鳴海との訓練を重ねた。

識別怪獣との戦い

各地の重要施設への怪獣出現が相次いだ。そして怪獣9号の手引きにより、鳴海、キコル、保科の元にフォルティチュード9.0を超える識別クラスの怪獣が出現。その狙いは、隊長・副隊長格や第一部隊主力隊員の抹殺であった。
キコルは怪獣15号と戦う、強大な敵の前にキコルは重傷を負う。さらに怪獣15号の精神攻撃を受け、戦闘不能に陥ってしまう。
怪獣8号に変身したカフカは、各地の状況を察知し、精神攻撃を受けるキコルに「お前を信じる」と呼びかけ、フォルティチュード9.2の識別怪獣を一撃で倒した。また、カフカの言葉をきっかけに、覚醒したキコルは15号を撃破した。キコルはさらに、怪獣11号に苦戦する鳴海を鼓舞。吹っ切れた鳴海は11号を討伐する。保科も、自身への対応に特化した怪獣12号との激戦の末、ナンバーズ10の力を100%解放し、新たな技で12号の討伐に成功した。

怪獣12号の討伐後も大規模戦闘は収束せず、怪獣9号は他の怪獣に街を攻撃させ、その隙にミナの吸収を企む。この危機に、レノをはじめとするカフカの同期たちが援護に駆けつけた。
一方、9号の体内で必死に抵抗していたミナは心が折れかけるが、そこに怪獣8号に変身したカフカが現れ、ミナを救出した。
ついにカフカと9号の激戦が開始された。カフカは怪獣8号の力に加え、保科流格闘術などの鍛錬の成果を駆使して戦うが、ギアを上げてくる9号を倒し切れず圧倒されてしまう。カフカの窮地に、意識を取り戻したミナが加勢。幼い頃の約束通り、隣に並んで戦う。カフカは1分間限定の奥の手モードを解放し、ミナの攻撃で露になった9号の核に強烈な一撃を見舞うのであった。

明暦の大怪獣との決戦と生還

カフカの一撃で核が砕けたかに見えたが、怪獣9号の中から「明暦の大怪獣」が覚醒した。その反撃でカフカの生体反応は消失し、防衛隊は最大の危機に陥る。鳴海や保科が交戦する中、意識を失ったカフカは、明暦の大怪獣に殺された人々の怨念である怪獣8号と対話。怪獣8号は、勝利のために完全同化すれば人間には戻れないと告げるが、カフカはそれを受け入れ、完全な怪獣として復活を遂げた。

完全体となったカフカと明暦の大怪獣は測定不能レベルのフォルティチュードで激突し、歴史上最大級の戦闘が始まった。明暦の大怪獣は9号の身体を脱ぎ捨て本来の姿になりカフカは苦戦するが、そこにキコルとミナが参戦し大ダメージを与える。さらにレノが氷結攻撃を加え、仲間たちの連携により、ついに大怪獣の核への道が開かれた。カフカは全ての想いを込めた最後の攻撃を放った。

戦いから4ヶ月後、カフカは病院で目を覚ます。身体は人間に戻り、心臓も元通り脈打っていたが、消滅したはずの怪獣8号の怨念は体内に残っていた。
ミナに連れられ立川基地へ帰還したカフカを、レノやキコルら第3部隊の仲間たちが出迎えるのだった。

『怪獣8号』の登場人物・キャラクター

主人公

日比野 カフカ(ひびの カフカ)

CV:福西勝也、潘めぐみ(幼少期)

『怪獣8号』の主人公。32歳で誕生日は8月5日、身長は181cm。好きな物は防衛隊、カレー、ハンバーグ、お酒、煙草(防衛隊を再び目指し始めてからは控えている)。
子どもの頃住んでいた街を怪獣に破壊され、幼馴染のミナと「怪獣を全滅させよう」と約束するが防衛隊の入試試験で不合格となる。その後、怪獣の死骸を解体・清掃する(株)モンスタースイーパーに入社。仕事に対して真面目で経験、知識共に豊富である。新入アルバイトのレノから入隊試験の年齢制限が引き上げられた事を聞き、再び防衛隊を目指す事に。しかしその直後、小型怪獣が体内に入り込み、怪獣化してしまう。その後普通の人間として挑んだ入隊試験では再度不合格となったが、監視目的の保科から「候補生」としての試用期間を設けられる。初任務での活躍を経て正式に防衛隊員として採用された。怪獣と戦う術が無くともレノを逃がしたり、危機に陥った隊員を迷い無く救いにいったりと勇敢な一面がある。見た目は厳ついが、他人への思い遣りに溢れている。落ち着きのない面もあるが、優しい性格である。怪獣を全滅させる為隊員となった後も、防衛隊スーツの解放戦力も初めは0%とほとんど力を引き出せず、怪獣討伐は出来ない。その一方で、清掃職で得た知識を活かし、サポートや情報提供を行って隊へ貢献している。

怪獣8号

怪獣になったカフカの名称。フォルティチュードは9.8を記録する大怪獣クラス。見た目は人型で、鬼のような髑髏面に2本の角が生えており、身体は漆黒である。自由に怪獣化したり人間に戻ったり出来るが、気付けば一部が怪獣になっている事もあり、コントロールは少し不安定。全力で攻撃すると大型怪獣を粉々に出来る程の強力な力を持つ。変化してもカフカ自身の理性は残っているが、本能なのか鳥などの生物を捕食してしまったり、乳首から排尿する事がある。討伐対象として指名手配されている。

日本防衛隊第3部隊

市川 レノ(いちかわ レノ)

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