怪獣8号の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『怪獣8号』とは、“怪獣”が存在する世界に生きる男性・カフカの活躍を描いた、松本直也による漫画作品。防衛隊への入隊を望むも叶わず、怪獣の死体清掃の仕事を続けていたカフカは、謎の小型怪獣に体内に侵入されて怪獣としての力を得る。“怪獣8号”と呼ばれるようになったカフカは、その力で怪獣に立ち向かっていく。登場人物の年齢が高めであることもあり、作風はハードでシリアスな展開が多い。それだけにその中で語られるカフカたちの言葉には重みがあり、多くの読者が共感する至言となっている。

『怪獣8号』の概要

『怪獣8号』とは、『少年ジャンプ+』で2020年より連載している、松本直也による漫画作品。松本直也の3作目の連載作品であり、本作が初のヒット作品となった。3週に一度休載しながら、毎週金曜日に更新される。休載日には「怪獣百景」と称した日常風景イラストが掲載されている。本作で登場する怪獣は「自然災害」として捉えられており、発生した順に台風のような番号で呼ばれ、その怪獣の強さを表す単位としてマグニチュードを模した「フォルティチュード」という単位が使われている。「大人が過去にワクワクしていたものを大人目線で楽しめるような作品にしたかった」と担当の編集者は発信しており、メインターゲットである若者に受け入れられるか危惧していた所もあったようだが、結果として大反響を呼び、少年ジャンプ+内ランキングでは1、2を争う人気を見せている。
単行本第一巻の発行部数は43万部を突破しており、2021年、日本で最も売れた単行本となった。二巻では累計発行部数が少年ジャンプ+での連載作品内最速で100万部を突破している。2021年には電子版を含め、累計発行部数が150万部を越えた。同年のマンガ大賞では、6位に入賞している。

怪獣が出没する世界で、怪獣の発生率が世界一である日本を舞台としている。子供の頃に住む町を破壊された主人公の日比野カフカは、幼馴染である亜白ミナと「二人で怪獣を全滅させよう」と、防衛隊となる事を約束する。しかし、防衛隊に合格し大活躍するミナに対して、試験で不合格となったカフカは夢破れ、怪獣の死体の清掃業者に就職し、鬱々と、だが真面目に仕事をこなしていた。ある日、アルバイトとして入社した市川レノから防衛隊の年齢制限が引き上げられることを教えられ、その直後怪獣に襲われた際に感じた無力さや助けたレノから感謝された事から、決意を新たに再度試験を受けることを決めたカフカ。だが、謎の小型怪獣に体内へ侵入され、身体が怪獣化してしまう。人知を超えた怪獣の力を手にすると同時に「怪獣8号」と呼ばれるようになってしまったカフカが、その力と清掃業で培った怪獣の知識を駆使して、怪獣に立ち向かっていく。
漫画作品としては登場人物の年齢が高めであることもあり、作風は全体的にハードでシリアスな展開が多い。それだけにその中で語られるカフカたちの言葉には困難と共に生きていく者ならではの重み、ままならない現状を前にした苦み、それでも明日へと歩いていく力強さがあり、多くの読者が共感する至言となっている。

日比野カフカ(ひびのかふか)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「夢を追うっていうのは 一番譲れない大事な物で 毎分毎秒誰かに負け続けることなんだ」

物語開始時点で、カフカは決して恵まれた人生を歩んでいるわけではなかった。夢見た防衛隊への入隊は成らず、怪獣の死体清掃という裏方の仕事で生きていく糧を得る日々。幼い頃に抱いた“夢”を実現させられる者は一握りで、他の大多数は何かを諦めながら日常に埋没していく。見出しのセリフは、カフカがそんな毎日の中で感じていた、屈辱と諦観を言葉にしたものだと言える。
しかしカフカは、防衛隊の入隊年齢が引き上げられると聞いて、もう一度夢に挑戦することを決意する。このセリフにも「けど そんなことどーでも良くなるくらい熱くなれるんだよな」との言葉が続いており、カフカが決して夢を諦めたわけではないことが伝わってくる。カフカという人物の持つ情熱と心の強さが伝わってくる、彼の人間性を語るセリフである。

怪獣8号の出現

日本の多くのバトル漫画作品がそうであるように、本作の主人公であるカフカにも、「特別な力」が備わっている。謎の小型怪獣に体内に侵入されて以来、彼は“怪獣としての力”を手に入れ、鬼人のような怪物の姿に変身できるようになったのだ。
その力は無比にして無双、恐るべき暴威を振るって他の怪獣を叩きのめす。しかし変身したカフカは「怪獣8号」と呼ばれ、防衛隊の討伐対象となってしまう。そこには、古き良きヒーローが背負っていた“異形ゆえの悲哀”があり、本作が評価される大きなギミックともなっている。

果たしてカフカはいつか完全な人間に戻れるのか、防衛隊との和解はいつになるのか。怪獣8号の存在は物語を盛り上げると共に、その壮絶な暴れっぷりは紛れもなく本作の見所の1つともなっている。

仲間のために戦う怪獣

防衛隊選抜試験の際、突如会場に現れた人型の怪獣が現れ、試験で倒したはずの余獣が次々と甦る。試験会場が混乱する中、試験では圧倒的な強さを見せたキコルも人型の怪獣には全く歯が立たず、危機を迎える。立ち上がることができない彼女を救うため、カフカは怪獣8号に変身して現れ、「あとは任せろ」と言葉を発するのだ。防衛隊に追われる身でありながら、自分の保身よりも目の前でうずくまる仲間を助けることを優先したカフカ。このシーンからは、カフカの優しさや強さが感じられる。この戦闘がきっかけでキコルにも怪獣8号に変身できるという秘密を知られてしまうが、彼女から一目置かれ、共に戦う仲間として認められるのだった。

「じゃあ どっちがカッケー隊員になるか勝負だ」

子供の頃、幼馴染の亜白ミナ(あしろみな)と一緒に、怪獣に破壊された街を目にししたカフカ。ミナと共に、防衛隊の隊員となって怪獣と戦う決意をする。その時にカフカが言った「じゃあ どっちがカッケー隊員になるか勝負だ」という言葉は、成長して一度は挫折したカフカに、「ミナの隣に立ち、怪獣から日本を救う」という目標を思い出させるのだ。この言葉はミナの心の支えでもあり、彼女はカフカとの約束を胸に訓練に励み、最強クラスの隊長へ成長を遂げたのだった。

「お前を信じる」

識別怪獣が同時に出現し、各地域を襲撃。隊長・副隊長クラスでも苦戦する中、「怪獣9号に狙われている」という理由で、出撃を許可されないカフカ。しかし次々と隊員がやられていくのを目にした彼は意を決し、変身。各地で戦う仲間と強大な敵の気配を感じ、怪獣15号との戦いでキコルが窮地に立たされていることに気付く。以前、どんな強敵も必ず自分で倒すと決意していた彼女の姿を思い出したカフカは「お前を信じる」と通信機を通してキコルに告げた。この言葉によって精神攻撃を受けていたキコルもまた、戦意を取り戻す。仲間を信じるカフカの心の強さが感じられる名言である。

亜白ミナ(あしろみな)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「君の力が必要だ」

防衛隊第3部隊隊長で、最強クラスの実力を持つミナ。彼女の魅力は強さだけではなく、人の心を掴む言動も多い点である。第3部隊に保科宗四郎(ほしなそうしろう)を迎えた入れた際、それまでは周囲から隊員としての限界を度々指摘されていた彼の実力を評価し、「君の力が必要だ」と真っ直ぐな言葉をぶつけた。この言葉に心を動かされた保科は第3部隊に入隊。それまで否定され続けてきた自分の能力を評価し、自分を迎え入れてくれたミナの期待に応えようと活躍を見せる。

「今度は私が射抜く番だ」

怪獣10号が立川基地を襲撃。保科は重大なダメージを負いながらも、ミナが到着するまで10号との死闘を繰り広げる。そこへ到着したミナは「今度は私が射抜く番だ」と言い放ち、10号との戦闘を開始する。戦力全開放状態で現れたミナの気迫、仲間が自分へと繋いでくれたことを無駄にしないという強い思いが伝わってくる。

YAMAKUZIRA
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@YAMAKUZIRA

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