神のみぞ知るセカイ(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『神のみぞ知るセカイ』とは、2008年から2014年まで『週刊少年サンデー』にて連載していた、若木民喜によるラブコメ漫画である。コミックスの累計発行部数は700万部以上で、3度に渡ってアニメが放映された。恋愛シミュレーションゲーム、いわゆるギャルゲーをこよなく愛する高校生桂木桂馬が、悪魔のエルシィと共に駆け魂(かけたま)と呼ばれる悪人の魂を捕まえるため、現実の女子たちを恋に落としていく物語。現実の女性たちと関わっていく中で成長する桂馬や、桂馬を巡って繰り広げられる恋愛模様が見どころである。

『神のみぞ知るセカイ』の概要

『神のみぞ知るセカイ』とは2008年から2014年まで『週刊少年サンデー』にて連載していた、若木民喜によるラブコメ漫画、及びそれを原作としたアニメ作品である。派生作品として、『神のみぞ知るセカイ』の原案作品である『恋して!? 神様!!』や、ヒロインの1人でアイドルである中川かのんを主役とした作品『マジカル☆スター かのん100%』がある。恋愛シミュレーションゲームをこよなく愛し、現実を「クソゲー」だとする主人公の桂木桂馬が、多くの現実の女の子との恋愛を繰り返して人間的に成長していく様子や、桂馬を取り巻く恋愛模様が魅力である。
コミックスの累計発行部数は2014年時点で700万部を超え、2010年、2011年、2013年には『テレビ東京』などで3期に渡ってアニメが放映された。コミックスの14巻、19巻、20巻、22巻はOVA付きの限定版も販売され、14巻付属のOVAではヒロインの1人であるちひろがバンドを結成するまでのエピソードが、19巻、20巻付属のOVAではこちらもヒロインの1人である鮎川天理のエピソードが、22巻付属のOVAでは『マジカル☆スター かのん100%』がそれぞれ映像化されている。
舞島学園高等部に通う桂木桂馬は、ギャルゲーに関する深い知識やその攻略スピードなどからネット上では「落とし神」と呼ばれていた。そんな彼のもとにある日、とある1通のメールが届く。「攻略してほしい女がいる。ムリなら、絶対に押さないように!!」。挑発的な文面に迷わず返信ボタンを押した途端、桂馬の頭上から悪魔を名乗る少女エルシィが降ってくる。彼女は地獄から抜け出した悪人の霊魂「駆け魂(かけたま)」を捕まえるために、地獄から派遣されてきた悪魔だった。現実の女とは関わり合いになりたくない桂馬は逃げようとするが、既に悪魔との契約が為され、勝手に破棄すると桂馬の首にいつの間にか嵌っていた首輪が爆発すると聞かされる。仕方なしにエルシィに協力することになった桂馬。「駆け魂」は人間の女性の心のスキマに入り込む習性があり、捕まえるにはまずその女性の心のスキマを恋で埋めてあげねばならない。こうして桂馬は意に反してギャルゲーで培った知識を活かして、現実の女性を攻略していくことになる。

『神のみぞ知るセカイ』のあらすじ・ストーリー

攻略編

落とし神と駆け魂隊

舞島学園に通う桂木桂馬は授業中でも堂々とゲームをするほど恋愛シミュレーションゲーム、いわゆるギャルゲーを愛する男だった。ネット上では「落とし神」とさえ呼ばれる彼のもとに、ある日ドクロウという人物から挑発的なメールが届く。

桂馬がそのメールに返信した途端、空から勢いよく女の子が降ってきた。エルシィと名乗った彼女は、自らを地獄から抜け出した悪人の霊魂「駆け魂(かけたま)」を捕まえる「駆け魂隊(かけたまたい)」の悪魔だと言い、桂馬を駆け魂狩りにいざなった。

契約を反故にすると爆発する首輪をはめられたこともあって、人間の心のスキマに入り込んだ駆け魂を捕まえるため、桂馬は渋々現実の女子を攻略し恋愛で心のスキマを埋めることになった。

現実の女子と恋愛をしたことのない桂馬は、ギャルゲーの理論を当てはめて見事に高原歩美という同級生を攻略し、駆け魂を捕まえることに成功する。しかし1匹捕まえた程度で桂馬が解放されることはなく、妹として学校に転校してきたエルシィとともに駆け魂の勾留に奔走していく。

新たなる悪魔

歩美に続いて4人もの女子を攻略した桂馬のもとに、エルシィの同期であるハクアという悪魔が現れる。ハクアは誤って駆け魂を逃がしてしまい、挽回しようと躍起になっていた。桂馬はエルシィよりも事情を知っていそうなハクアから情報を聞き出すべく、彼女の駆け魂捕獲に協力する。ハクアから駆け魂が人間の悪人ではなく悪魔にとっての悪人「古い悪魔」であることや、人間の負のエネルギーを食料にして肉体を得ようとしていることを聞いた桂馬は、その情報から逃げた駆け魂の居場所を突き止める。逃げた時よりも強大になっていた駆け魂に苦戦するものの、ハクアはエルシィと力を合わせて勾留することに成功した。

天理とディアナ

夏休みに入った日、桂馬の近所に幼馴染の鮎川天理が引っ越してくる。エルシィは自身の持つ駆け魂センサーが天理に一瞬だけ反応したことから、天理に駆け魂が取り憑いているのではないかと考える。
はじめは半信半疑だった桂馬も、天理の人が変わったように話す様子や、高いところから飛び降りても平気な様子から彼女の中に駆け魂がいると思い始める。

しかし天理の中にいる人物は、自分のことを「悪魔ではなく女神だ」と桂馬に語った。彼女によると10年前、大量の駆け魂に襲われる天理を助けるために、天理の中に入ったのだそう。
思い当たる節のある桂馬は詳しく聞き出そうとするが、天理を追ってきた駆け魂隊・ノーラに邪魔をされる。弱った駆け魂をノーラに捕まえさせて危機を脱した桂馬は後日、天理の中にいる人物ディアナから、女神と古悪魔(ヴァイス)の話を聞いた。それに一定の理解を示しつつも、次の客観的根拠が出るまでは話半分で聞いておこうと桂馬は思った。

レベル4の駆け魂

駆け魂は成長段階によってレベル分けされており、桂馬とエルシィが今まで捕まえてきたのはレベルの低い駆け魂だった。しかし箱入り娘の五位堂結の攻略では時間がかかり、レベル4にまで育ってしまう。エルシィは捕まえられなかったものの、何者かの手によって駆け魂は勾留された。

13人目の攻略相手、春日檜(かすがひのき)の攻略でもレベル4の駆け魂が出現。実体化した巨大な悪魔に対して、ハクアやノーラをはじめとした周辺の駆け魂隊が一丸となって勾留を試みるが、まったく手に負えなかった。それを捕らえたのは桂馬の担任の二階堂由梨であった。結の駆け魂を捕らえたのも彼女だ。彼女は駆け魂隊に姿を見せることなく、勾留した駆け魂を置いてその場を去っていった。

女神編

ヴィンテージの暗躍

かつて桂馬に攻略されたアイドルの中川かのんは地獄の記憶修正によって攻略された時のことを忘れていた。しかし鏡に映った自分が天界の女神アポロと名乗り始めてから、記憶を取り戻し始める。そんな彼女を、旧地獄の復活を望む悪魔の組織である正統悪魔社(ヴィンテージ)が襲う。
恐怖を感じたかのんは試験中に桂馬に縋りついた。その際に桂馬に告白したことから愛のエネルギーでアポロが力を取り戻し、かのんと入れ替わる。アポロは無関係な人間を巻き込むわけにはいかないと桂馬の前から走り去ってゆくが、ヴィンテージのフィオーレに襲われて昏睡状態に陥ってしまう。

かのんを追って校舎を飛び出した桂馬とエルシィは短剣が刺さる彼女を目にする。桂馬は「もっと早く女神探しに取り組んでいればかのんが刺されることはなかった」と自責の念に駆られ、1週間以内に他の女神を見つけ出してかのんを救うことを決意する。

力を取り戻す女神たち

ハクアと協力する桂馬。

桂馬はかのんのアイドルとしての立場を守るために、エルシィにかのんのふりをさせ、自身はハクアとともに女神探しを開始する。
「恋愛で駆け魂狩りをしている人は桂馬以外にはいないだろう」ということをハクアから聞いていた彼は自分の攻略した女性の中に女神がいると予想し、簡単な調査を行う。その結果、女神候補は高原歩美、小阪ちひろ、汐宮栞、九条月夜、五位堂結の5人にまで絞られた。ディアナたちユピテルの姉妹はディアナ、アポロを除いて残り4人。とにかく時間がない桂馬は女神を見つけるだけではなく女神自身に力をつけてもらおうと、同時に5人と恋をすることになる。

女神攻略4日目の日曜日、桂馬は月夜の持つ人形のルナから襲撃を受けたことで、月夜に女神がいることを確信する。月夜は攻略のことを覚えており、その後一切音沙汰がなかった桂馬に怒っていた。桂馬は彼女の中にいる女神ウルカヌスにどれだけ痛めつけられても真剣に月夜と向き合い、彼女と和解した。

その後、桂馬は立て続けに結の中にいるマルス、栞の中にいるミネルヴァを目覚めさせることに成功する。残る女神はメルクリウスのみ。女神候補は歩美とちひろの2人。

舞校祭という学園祭で、桂馬はちひろから夜に行われるキャンプファイアーに誘われる。一緒にキャンプファイアーを楽しんだ桂馬とちひろは屋上でいい雰囲気になった。しかしそこでちひろには女神がいないことが判明した。攻略とは関係なくちひろが自分を好きになっていたという事実に対する動揺から、桂馬は心にもない暴言を吐いてしまう。

自己嫌悪に陥る桂馬だったが、ヴィンテージの活動から時間がもうないことを目の当たりにし、歩美攻略を急ぐ。その最中、ヴィンテージのリューネがハクアの行動ログから桂馬の行動を怪しみ、彼の攻略対象を襲い始める。
桂馬と歩美、ちひろのもとにもヴィンテージが襲来するが、間一髪のところでハクアが助けに入る。桂馬はハクアとノーラ、そしてちひろの助力を得て歩美を攻略。覚醒したメルクリウスのおかげでアポロが目覚め、女神6人の力を合わせて復活目前だった駆け魂を滅することができた。

過去編

ドクロウという少女

ヴィンテージの企みを阻止した女神と駆け魂隊。しかし駆け魂隊の室長ドクロウがヴィンテージを統率していたとして捕まり処分されてしまう。一方の桂馬は女神の力でエルシィとともに、ハクアたちが持ってきたドクロウの形見だという謎の球を持って10年前、駆け魂の大脱走が起こる数日前の晩まで飛ばされる。

謎の球の導きで海浜公園に停泊する船「あかね丸」の操舵室の下に謎の装置を発見した桂馬たちは、その後、女の子が船の帆から飛び降りた直後にみるみるうちに赤ん坊まで若返る様子を目撃する。そして次の瞬間にはちょうど過去へ来た時の場面にまで時間が巻き戻った。謎の球に描かれた線の数は1本減っていた。
球の線はやり直しができる回数で、失敗すると時間が巻き戻るのだと理解した桂馬は「ドクロウ」と名乗った記憶喪失の女の子を助けることに。3週目で彼女の肉体の巻き戻りを止めると桂馬の持つ球の模様が変化した。

翌朝、桂馬が小学校へ行くと先生から校内キャンプが中止になった旨が発表される。校内キャンプは桂馬と天理が駆け魂の大脱走に遭遇した大事なイベントだ。
この過去では海浜公園で大規模な工事が行われていた。桂馬は悪魔に対して恨みがある白鳥正太郎と、彼の孫である白鳥うららを駆け魂から救ってキャンプを再開させる。
その後、桂馬は室長ドクロウの話で、過去に戻ったのは未来の自分の攻略の下準備のためだったと知る。桂馬はこの時代にも暗躍していたヴィンテージの装置を使って、未来の攻略対象たちの心にスキマを開けていく。そしてドクロウは攻略対象者や桂馬をヴィンテージから守るため、自ら囮をかって出た。

サテュロスとエルシィ

一方、現在ではヴィンテージを利用していたサテュロスという新地獄最大の敵が動き出していた。人間界で戦争を起こすため、保安部を動かして女神たちの捕獲に乗り出したのだ。
動態巨人という巨大な兵器に狙われる女神たちを助けたのは白鳥正太郎だった。彼は過去の時代で桂馬から悪魔に対抗する壮大な計画を聞かされており、この日のために準備をしていたのだ。

同じ頃、桂馬の担任「二階堂由梨」として桂馬を見守っていたドクロウはあかね丸の異変に気付いたフィーネと交戦する。フィーネを倒すことには成功したものの、あかね丸にあった桂馬たちが過去から現代へ帰るための装置が破壊されて世界が崩壊してしまう。何もない世界の中で、女神とその宿主だけが無事だった。彼女たちが力を合わせて装置の復元を行うと、無事に世界が崩壊する前まで時間が巻き戻る。ようやく過去と現在が繋がり、女神たちが動態巨人を破壊していく。地獄でもサテュロスの討伐が行われ、すべての関係者を捕らえることはできなかったが一応の決着がついた。

エルシィは、実はサテュロスが起動させようとしていた兵器が悪魔に転生した姿だった。そのことを思い出した彼女は兵器ではなく桂馬の妹として過ごした日常を取り、因果律を操作して本当に桂馬の妹「桂木えり」となったのだった。

nishi_7a4
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