薬屋のひとりごと(ラノベ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『薬屋のひとりごと』は、日向夏による日本のオンライン小説、ライトノベル作品。コミカライズもされており、ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)と「猫猫の後宮謎解き手帳」の副題がつくサンデーGX版(作画:倉田三ノ路)がある。なお2誌とも同じ原作の内容を描いている。物語は中国によく似た世界での話。元花街で働いていた猫猫(マオマオ)が後宮で働くことになる。そこで様々な事件に巻き込まれ(たまに自ら首を突っ込み)持っている薬の専門知識で事件を次々と解いていくファンタジーラブコメミステリー作品。

繋がっていく事件

李白が猫猫を訪ねて、煙管を倉庫番に突っ返され、薬の匂いの女からもらったと倉庫番が言ったと言い、ぼや騒ぎの際に祭具が盗まれたと話す。ぼや騒ぎは陽動だという李白に、猫猫も同意した。薬の匂いの女は翠苓に思えた。猫猫は全て繋がったと思った。報告すると壬氏は事件調査を依頼した。

翌日、猫猫は礼部で調査した。物の少ない礼部について案内人に尋ねると、今日は中祀だと言われた。中祀では柱に布をつけて柱をワイヤーで天井から吊るす。柱の下で祈祷するから強度が必要だ。盗まれた祭具には固定部分もあったが、代わりが見つかり良かったと話す。猫猫は中祀会場まで走ったが、兵士に制止されて殴り飛ばされ、羅漢が通すように言う。祈祷している人間を押し倒し、間一髪で下敷きを免れたが猫猫は足に深い傷を負う。押し倒した人物は壬氏だ。

目を覚ました猫猫は壬氏の自室にいた。猫猫は全ての真相を壬氏に伝えた。1つ目の事件は浩然が大量の塩を摂取した事件だ。2つ目は食糧庫のぼや騒ぎで祭具が盗まれた。祭祀で何が起こるか予測できなかったが、盗まれた祭具が彫金細工師の作品だと知り、全て繋がった。固定具が低温で溶ける金具で作られ、バレないように彫金細工師は消された。高順が翠苓を調べると思ったが、後日翠苓が毒を飲んで死亡したと聞く。

翠苓の訃報を耳にした猫猫は計画を1人でしたとは思えなかった。猫猫は死亡確認した医官と死体安置室へ向かう。彼女の飲んだ毒に曼荼羅華が入っていたのか聞いた。猫猫は翠苓の棺桶を開けたが、別人の遺体があった。翠苓は死んだように見せる薬を飲み、死亡確認させて逃げた。暗殺未遂だったが彼女は勝ったようなものだ。

再び後宮にて

不可能と呼ばれた青薔薇

壬氏から玉葉妃が懐妊したかもと聞き、猫猫は毒見役になる。侍女達は警戒を高め、猫猫も出来る限りの対策を打つ。

玉葉妃の懐妊が確かになった頃、春の園遊会が開催される。楼蘭妃に席を譲る形で懐妊を伏せて欠席した。壬氏から青薔薇を園遊会で愛でたいと依頼が入り、猫猫は承諾した。

猫猫は小蘭を目付役にして薔薇を育成した。徹夜でサウナの温度を管理した。
園遊会当日、猫猫は色とりどりな薔薇を花瓶に入れて壬氏に渡す。壬氏に薔薇の作成方法を尋ねられ、内側から染めたと答えた。猫猫は1つ仕事があり、あの男に一泡吹かせると気合十分だ。

賭け将棋と妓女の身請け

羅漢は人の顔が判別できない。彼の父は羅漢に冷たくしたが、叔父は見捨てず将棋を教えた。羅漢は人の顔が将棋の駒に見え、見える駒にあった場所に配置すれば勝てるので、軍師だと呼ばれる。羅漢が呼ばれた場所には猫猫と壬氏、高順がおり、羅漢を将棋に誘った。猫猫は勝敗にルールと賭けの代償を決めた。羅漢が勝てば猫猫は羅漢の子になり、猫猫が勝てば羅漢は緑青館の妓女を1人身請けする。並々と注がれた盃5杯の中身は酒だが、その内3つに粉を入れる。粉は1杯なら薬だが3つ飲めば毒になる。それを分からなくして、勝者は1杯選び敗者がそれを飲む。どんな理由でも試合放棄は負けになる。

猫猫は2連敗し酒を飲み干す。3戦目は羅漢が負け、羅漢は毒の味を確認し、しょっぱいと言った。壬氏は猫猫が3杯の毒を飲まなくていいと安堵したが、猫猫の負けは濃厚だ。羅漢が倒れ、酒の吸収を高めるために砂糖と塩を加えたと言う。猫猫は羅漢が下戸だと言い、壬氏が驚くと一応父親だと答えた。猫猫は「私の勝ちです」といった。

10年前、羅漢の耳に囲碁将棋が得意な妓女の話が入る。羅漢は負け、初めて顔が見たいと思い、顔を初めて見た。羅漢は名前を聞き、鳳仙と答えた。鳳仙は価値ある妓女で3ヶ月に1回会うのが精一杯だ。

鳳仙の身請け話が出て、賭けで勝った羅漢は鳳仙を手に入れた。身請け話が破談になったと聞き、羅漢は都を去る。3年ぶりに帰宅した羅漢は鳳仙から小指と子供の小指が入った手紙を見て、緑青館に向かうが鳳仙はおらず、追い返される。

ある日、羅漢は少女の顔が見えて迎え入れるために尽くし、賭け将棋で一緒に暮らせると思った。

羅漢が目を覚ますと緑青館の梅梅がいた。妓女の身請け話をすると、どの妓女でも良いと言う。鳳仙が歌っていた歌が微かに聞こえ、外れの小屋へと入ると鳳仙がいた。羅漢は鳳仙の手を取ると碁石を乗せ、涙を流した。

猫猫にとっての父は義父の羅門だった。壬氏に羅漢を露骨に嫌がったと言われ、あの男にパパって呼んでと言われたらどうかと言った。壬氏はすぐに「眼鏡をかち割りたくなるな」と言い、猫猫も同意した。

『薬屋のひとりごと』の登場人物・キャラクター

主要人物

猫猫(マオマオ)

ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ)

サンデーGX版(作画:倉田三ノ路)

CV:悠木碧(ドラマCD)

本作の主人公。小さな背丈痩せ型、ソバカス、胸が小さい。
薬や毒に対する探究心が強い少女。自身の身体を薬や毒の実験体として利用しており(彼女が左腕に包帯を巻いているのは自ら傷をつけ薬や毒の効果を診ているため)養父である漢 羅門(カン・ルォメン)から「マッドサイエンティスト」と言われていた。医務室で薬に囲まれた時小躍りしてしまうほど薬が大好き。
薬や毒に対する興味に比例して人に対する興味が薄い。壬氏(ジンシ)がサービスのつもりで笑顔を向けてもゾワゾワした気持ち悪さしか感じず、どんどん彼から好意的な行動をされるがそれには一切気付かない。更には言葉足らずなところもあるため、何か誤解が生じた時に弁明をすると大抵相手を怒らせるか事態を悪化させるかである。かといって人に対して冷たいわけではなく、彼女なりの誠意と正義感を持って行動している。
花街生まれ育ちなため、言葉や態度が基本悪い。後宮で過ごしている時は大人しい態度だが、それでも壬氏のことをナメクジを見るかのような目で見たり、梨花(リファ)妃の豊満な胸の使い方を助言したり、後宮内で男女の営み本を販売したり、となかなかに肝が据わった性格。
本当は整った顔立ちをしており美人。しかし花街で暮らしていた頃未遂ではあったが路地裏に連れ込まれたことがあり、自衛のためソバカスの刺青を入れた。後宮へ売られた頃には薄くなってしまったため化粧でソバカスをいれている。化粧で化けるタイプ。
妓女である母親・鳳仙(フォンシェン)から幼児期に指を切られた過去があり、思い出すキッカケがあるとその時の光景を悪夢として見る。あっけらかんと指はまた生えると言ってはいるがトラウマとして彼女の中に刻まれている出来事だ。
実の父親・漢 羅漢(カン・ラカン)に関しては嫌いではあるが、恨んではいない、という感情を持つ。養父である漢 羅門のことを父親と認めているため彼を父親として認めない。更にはその尊敬している漢 羅門が漢 羅漢を認めているため彼に対して嫉妬している。
薬や毒に関しては豊富な知識を持っているため勘違いされがちだが、それ以外の勉強は一切苦手であり官職の試験には落ちた。

壬氏(ジンシ)

ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ)

サンデーGX版(作画:倉田三ノ路)

CV:櫻井孝宏(ドラマCD)

後宮で働く暇人宦官。
この役職は帝からの命令で、帝への忠誠を量るための試金石としての働きを担っていた。彼の美貌に目が眩み寝所に誘い込もうとすれば、妃として相応しくないと判断される。
男から催淫剤入りのプレゼントをもらったりと、天女のような美貌は老若男女誘惑してしまう。
猫猫のことは初め自分の目的のために利用していた。しかし彼女からナメクジを見るような目で見られると悦に入った表情をし(付き人の高順(ガオシュン)がその色気に満ちた顔が他の者に見られなくて良かったと言っていた)、他の男と仲良くすれば拗ねたり落ち込んだり怒ったりと、とてもわかりやすい感情を抱くようになる。
猫猫に事件の相談をしに会いに来たり、経過を見に行ったり、と猫猫から「この暇人が」と毒づかれているが、実際は多忙で常に書類に囲まれた生活をしており多くの有力者と縁を持っているようだ。
猫猫が拐かされ後宮に売られたことを知り真摯に謝る。とても誠実な人間。
本人は自分のことを容姿以外は凡人だと思っている。
多くの謎を抱えている壬氏だが、本当の名は華 瑞月(カ・ズイゲツ)といい、帝の弟。なので宦官ではない。
壬氏の時は実年齢より5歳年上に見えるよう振る舞っており、宦官としての役割を果たすため男性としての機能を減退させる薬を飲む。
病弱を理由に公の場には出席せず、どうしても出席しなくてはいけない祭事に参加する時は顔が見られないような工夫をして参加。
元々帝とは10歳以上歳が離れておりその顔立ちから本当に先帝の子供であるか怪しまれていた。その予想通り、実は帝と阿多(アードゥオ)妃との子であるため帝の息子だ。

高順(ガオシュン)

ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ)

サンデーGX版(作画:倉田三ノ路)

CV:津田健次郎(ドラマCD)

壬氏の付き人である武官。生まれた頃から壬氏に仕えており、主人の美貌にはまったく目が向かない貴重な人材。
とても生真面目で誠実な人柄であるが茶目っ気もあり、猫猫と初めて会った時は彼女のことを「様」付けで呼んでいたが、本人から「様」はいらないと言われるとすぐに「小猫(シャオマオ)」呼びに変える。ちなみに「小」は日本で言う「ちゃん」と同じ意味であり、「マオちゃん」と呼んだことになるので彼の柔軟さがわかる。
彼も壬氏と同じく宦官ではない。37歳の時に孫が産まれていた。
壬氏の猫猫に対する態度には若干呆れており、手間のかかる厄介な主人だと思いながらも2人の関係が終わらないよう、様々な手助けをしている。
今後手間のかかる厄介な主人とその主人を振り回す猫猫の面倒を見ることになる彼の苦労が偲ばれる。

後宮の人々

玉葉(ギョクヨウ)妃

ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ)

kariaka13
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@kariaka13

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