薬屋のひとりごと(ラノベ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『薬屋のひとりごと』は、日向夏による日本のオンライン小説、ライトノベル作品。コミカライズもされており、ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)と「猫猫の後宮謎解き手帳」の副題がつくサンデーGX版(作画:倉田三ノ路)がある。なお2誌とも同じ原作の内容を描いている。物語は中国によく似た世界での話。元花街で働いていた猫猫(マオマオ)が後宮で働くことになる。そこで様々な事件に巻き込まれ(たまに自ら首を突っ込み)持っている薬の専門知識で事件を次々と解いていくファンタジーラブコメミステリー作品。
『薬屋のひとりごと』の概要

『薬屋のひとりごと』は、日向夏による日本のオンライン小説、ライトノベル作品。挿絵担当はしのとうこ。
コミカライズもされており、ビッグガンガン版(作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)と「猫猫の後宮謎解き手帳」の副題がつくサンデーGX版(作画:倉田三ノ路)がある。なお2誌とも同じ原作の内容を描いている。
物語は中世中国によく似た世界観で描かれている。花街で薬屋として働いていた猫猫(マオマオ)は薬草採取中に人攫いに攫われ、後宮に売り飛ばされた。自分の容姿体型がまったく男性受けしないことを認識していた猫猫は大人しく年季明けを待つ。しかし花街で薬屋として生きてきた猫猫は自身の好奇心とほんの少しの正義感から、妃と帝の子供達を苦しめていた謎の体調不良の原因を見抜き警告をしてしまった。それが猫猫の人生を大きく変えるとは知らずに。
警告文が自身の服の布だったためすぐに猫猫が警告をしてきた人物だと見抜かれてしまう。見抜いた人物は後宮の宦官で絶世の美貌を持つ壬氏(ジンシ)であった。そして彼から様々な事件の相談や頼み事をされ、その度に美味しい餌を釣らされまんまと乗ってしまう猫猫。
猫猫と壬氏が事件を通して親しくなるにつれ、壬氏は自身の目的のために利用していた猫猫に『壬氏』としてはらしくない感情を持つ。笑顔で女性、果ては同性である男性までも魅了する彼のぎこちない愛情表現にまったく気付かない猫猫は常にクールな態度で彼に対応し思いっきり彼を振り回す。
猫猫の薬の専門知識で事件を次々と解いていく中華ファンタジーラブコメミステリー作品である。
時系列別発行書籍内容。
2011年10月、Web小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載開始。
2012年に主婦の友社のRay Booksレーベルより単行本全一巻として発売。
2014年に同社のライトノベルレーベルであるヒーロー文庫にてその後、新装刊として発売。それ以降継続され発売されている。挿絵担当:しのとうこ。
2017年はコミカライズ版連載開始。5月から月刊ビッグガンガン版(出版社:スクウェア・エニックス。作画:ねこクラゲ、構成:七緒一綺)が。8月から月刊サンデーGX版(出版社:小学館、作画:倉田三ノ路)副題として「猫猫の後宮謎解き手帳」がつく。
2020年9月時点でシリーズ累計発行部数は900万部を突破している。
2019年8月22日、ねこクラゲ作画の漫画版が「次にくる漫画大賞」2019年度コミックス部門第1位に選定。
『薬屋のひとりごと』のあらすじ・ストーリー
後宮編
連続不審死と出世

妃の姿を一目見ただけで原因がわかる主人公の猫猫。
花街で薬屋をしていた猫猫(マオマオ)は後宮に売られた。猫猫は「皇帝の後継者が連続不審死している」と耳にした。後宮には、梨花(リファ)妃が産んだ東宮と、玉葉(ギョクヨウ)妃が産んだ公主の2人いる。猫猫は妃達の住居に向かう。途中で梨花妃が玉葉妃を目にし、原因に気づく。猫猫は破った服に警告文を書き届けた。梨花妃は無視し、東宮は死に梨花妃の体調は悪化。玉葉妃は警告に従い、公主も玉葉妃も回復した。玉葉妃は警告文をある人物に渡した。
ある日猫猫は呼ばれ、向かうと女官がいた。そこに壬氏(シンジ)と呼ばれる男が来て、紙を全員に見せ、解散を告げる。文字を理解して反応が遅れた彼女は壬氏に引き留められ、翡翠宮に着く。玉葉妃は感謝をし、命の恩人と微笑む。猫猫は人違いだと言ったが、警告文の布は、下女の仕事着だろうと言われ、猫猫は服を隠す。観念した猫猫は不審死と病の原因を話す。猫猫は送り主だと認め、今後の処遇を尋ねた。玉葉妃の侍女になった。
翡翠宮の仕事
猫猫は毒見役なので4人の侍女から気を遣われていた。猫猫は壬氏から媚薬の作成を依頼され、準備を始め、壬氏の付き人の高順(ガオジュン)と会う。チョコを壬氏に渡し、依頼は完了した。猫猫は夜に城壁の上で踊る女の幽霊がいると耳にする。壬氏に夢遊病は治るかと聞かれ、薬で治せる病ではないと返答する。城壁に行くと中級妃の芙蓉(フヨウ)妃が踊っていた。彼女は武官に下賜される予定だ。猫猫は壬氏に報告した。芙蓉妃は嬉しそうに去った。武官と芙蓉妃が結ばれるには下賜しかなく、踊りをわざと失敗して夢遊病のふりをした。玉葉妃が、「下賜先の武官が村人の処刑を止め、下賜された」と言う。
水晶宮の出向
帝から「梨花妃を診てくれ」と依頼され、水晶宮に出向く。白粉は使用禁止で、治すには体内の毒素を出すしかない。猫猫が部屋に入ると用意した粥と茶、食事は捨てられ、重い食事が与えられていた。部屋は換気してない上に、白粉を塗っていた。猫猫は侍女に激怒した。妓女は反論したが猫猫には勝てなかった。梨花妃は2ヶ月後に回復した。猫猫にお礼をし、子はもう出来ないかと相談した。猫猫は試してみればいいと回答し、ある秘術を囁いて翡翠宮に戻った。
園遊会

久々に食した毒に思わず恍惚の表情をする猫猫。
園遊会では宮廷の庭園に偉い人が集まり、出し物や食事をする。上級妃と侍女達は皇帝に付き従う。
園遊会当日、上級妃と侍女は召し物の色を合わせる。しかし里樹妃と玉葉妃の色が被り、里樹妃を注意する人がいないことに猫猫は疑問を抱く。行事は後宮の侍女が武官や文官に装飾品をもらう場だ。猫猫は玉葉妃から首飾りを、壬氏から簪を貰う。猫猫は李白(リハク)という武官からも簪を貰い、梨花妃からも簪を貰う。他の毒見役が恐る恐る食事する中で猫猫は淡々と食べた。通常、青魚が使用される料理になますがあると気づく。配膳を間違えたのかと観察していると、無理している里樹妃を目撃し、里樹妃の毒見役が笑っているのに気づく。スープを口に含むと、猫猫はうっとりとし、口元を覆い「毒です」と言う。水飲み場に来た壬氏に里樹妃と毒見役を連れてきてと依頼した。猫猫は里樹妃の袖を捲り、赤い発疹を確認した。猫猫はアレルギーの説明をし、毒物混入事件の考えを話す。アレルギーは最悪の場合、命を落とすと言い、危険性を話す。毒見役は震えながら注意書きを手にする。翡翠宮に戻ると休養を言い渡される。自室に戻った猫猫の元に、高順は毒入りスープを器ごと運んだ。器からスープを準備した者と配膳した者、毒見役、謎の指紋を発見した。猫猫はいじめがあると話し、高順は驚愕する。高順は猫猫が侍女を庇った理由を聞く。猫猫は「侍女の命など軽くたやすいものです。」と答え、高順は「上手く説明する」と答え、壬氏に報告した。
里帰り
園遊会でもらった装飾品は、くれた人を保証人として外出する事が許される。それを知った猫猫は、李白に条件を提示し、3日間花街に行く。猫猫は緑青館の主人に李白を紹介し、主人は白鈴(パイリン)を呼んだ。猫猫は義父の元を訪ね、漢 羅門(カン・ルォメン)が迎える。
次の日、禿が訪ねてきて猫猫は妓楼に行く。香りの漂う部屋へ急ぐと、男女が倒れていた。心中事件と判断し、禿に炭の準備と羅門を呼べと指示した。現場には煙草の草が撒かれていた。水は飲ませなかったかと聞く羅門に猫猫は「飲んだら逆効果だろ?」と言う。「もし水に溶かしたものなら、薄めた方がいいのかもしれない」と言われ、再確認すると煙草の草はなかった。麦稈(むぎわら)の使い方がわからずに主人を見ると、飲み物に入れて吸い出しているもの(所謂ストロー)に感心する。猫猫が男の容態を確認すると、殺そうとする禿がいた。男は禿の姉がいる妓楼に通い、身請け話をした後に捨て、禿の姉は自殺した。禿の懐いた妓女にも身請け話をして心中に発展し、禿は殺そうとしたと語る。猫猫は現場を振り返って、真相に辿り着く。3日間の里帰りが終わり、翡翠宮に帰宅した。
柘榴宮の出向
後宮の堀から柘榴宮の下女の水死体が見つかる。遺書には里樹妃暗殺を企てたと書かれていたが、壬氏は納得してなかった。猫猫は1人では自殺も無理だと伝える。彼女は幼少期から足を包帯で巻かれ、足が変形していたので城壁を1人で登る事など不可能だ。壬氏は柘榴宮に手伝いに行けと命令した。手伝いに来た猫猫の前に侍女頭の風明(フォンミン)がいた。猫猫は壺の並んだ棚を見つける。中身は全て蜂蜜で、風明の実家が養蜂と聞いて納得したが、玉葉妃と里樹妃がお茶をしたとき、蜂蜜を見て園遊会の時と同じ反応をしたのを思い出す。
猫猫は柘榴宮で休息を取ることになり、風明の部屋を軽く覗くと、纏足用の靴が隅にあるのを見つけた。そして猫猫の出向は終了した。
壬氏に報告し、猫猫は風明の部屋に纏足の片方があったと伝えた。里樹妃が蜂蜜嫌いだと思い出し、猫猫は里樹妃に蜂蜜は嫌いかと聞いた。里樹妃は赤子の頃に命の危険に陥ったので、食べないようにしていると説明した。風明との面識について聞くと、里樹妃は阿多妃を母の様に慕い、よく会っていたと話す。猫猫は風明を訪ね、持っていた箱の中身を見せると風明は自室へと猫猫を入れる。
17年前、阿多妃は出産を迎えたが、先帝の妃が産気づき、阿多妃の処置をする医官は無理矢理皇后の元へと送られた。子供は無事だったが、阿多妃は子宮を失った。風明が子供の世話をしたが、赤子に蜂蜜を与え、子供は亡くなる。里樹妃が後宮入り後、里樹妃がいなければ阿多妃は妃の立場でいられるし、里樹妃の体質を聞けば子を殺したのがバレるので、殺害を決意するが毒殺は失敗する。犯人探しが始まり、下女が罪を被って身を投げた。
猫猫は阿多妃が傷つかない様に提案をし、風明は里樹妃の毒殺を計画したと自首し、処刑された。
阿多妃が後宮を去る前夜、猫猫が自殺現場に登ると阿多妃がきて、酒を酌み交わす。阿多妃が戻った後、大声で声をかけられ、驚いた猫猫は城壁から下にいた人を下敷きにする形で落ちた。下敷きになったのは壬氏で猫猫を抱きしめた。酒の匂いがする壬氏に離せと言うが、駄々をこねて拒否をする壬氏の頬に涙が流れているのを見て固まる。
翌日、阿多妃は後宮を去る。阿多妃と壬氏が似ていると気づき、皇后の子供として、育つ方が優先されると阿多妃が考えて子供を入れ替えても仕方ないと思う。
解雇と再就職
猫猫は風明に関係する人が解雇されたと聞き、嫌な予感がした。解雇後は、妓女として売られる。猫猫は焦り、壬氏は猫猫の名が書かれた名簿を見せた。壬氏はどうしたいのかと尋ね、猫猫は「言われるままに下働きでも、賄いでも毒見役でも命じられればやります」と、解雇してほしくない思いを答えたが、解雇される。
解雇から1週間後、腑抜けた顔の壬氏を見て高順は動く。
李白の紹介で大口の仕事が緑青館に入る。やり手婆の命令で化粧と服を変え、猫猫は仕事先に向かう。猫猫は宴席で客の盃が空かないように、目を配っているとある客を見つける。壬氏は猫猫の声に驚いて目を向け、手を握ろうとするが避けられる。壬氏は嫌でやめたのではと聞くと、猫猫は続けたいと答えたが解雇したのはそっちだと答えた。数日後、壬氏は目が眩むお金を払って猫猫を身請けした。
宮中にて
度重なる事件

自身の目的のため、唯一の武器である容姿を利用することを決める壬氏。
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目次 - Contents
- 『薬屋のひとりごと』の概要
- 『薬屋のひとりごと』のあらすじ・ストーリー
- 後宮編
- 連続不審死と出世
- 翡翠宮の仕事
- 水晶宮の出向
- 園遊会
- 里帰り
- 柘榴宮の出向
- 解雇と再就職
- 宮中にて
- 度重なる事件
- 価値ある妓女の価値が下がる方法
- 繋がっていく事件
- 再び後宮にて
- 不可能と呼ばれた青薔薇
- 賭け将棋と妓女の身請け
- 『薬屋のひとりごと』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 猫猫(マオマオ)
- 壬氏(ジンシ)
- 高順(ガオシュン)
- 後宮の人々
- 玉葉(ギョクヨウ)妃
- 紅娘(ホンニャン)
- 愛藍(アイラン)・桜花(インファ)・貴園(グイエン)
- 梨花(リファ)妃
- 里樹(リーシュ)妃
- 阿多(アードゥオ)妃
- 風明(フォンミン)
- 楼蘭(ロウラン)妃
- 小蘭(シャオラン)
- 虞淵(グエン)
- 緑青館の人々
- 梅梅(メイメイ)
- 白鈴(パイリン)
- 女華(ジョカ)
- やり手婆
- 漢 羅門(カン・ルォメン)
- 鳳仙(フォンシェン)
- 宮廷の人々
- 皇帝
- 李白(リハク)
- 馬閃(バセン)
- 漢 羅漢(カン・ラカン)
- 翠苓(スイレイ)
- 『薬屋のひとりごと』の漫画2作の違い・相違点
- ストーリー構成の違い
- 作画の違い
- 世界観の表現の違い
- 『薬屋のひとりごと』の用語
- 世界観を彩る設定用語
- 茘(リー)
- 後宮(コウキュウ)
- 宦官(カンガン)
- 正一品(セイイッピン)
- 東宮(トウグウ)
- 公主(コウシュ)
- 妓女(ギジョ)
- 妓楼(ギロウ)
- 禿(カムロ)
- 作中に出てきた毒や薬
- 鉛(ナマリ)
- チョコレート
- 石楠花の葉 (シャクナゲのハ)
- 煙草の葉(タバコのハ)
- つつじの蜜(つつじのミツ)
- 朝鮮朝顔(チョウセンアサガオ)
- 牛黄(ゴオウ)
- 『薬屋のひとりごと』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 猫猫「お父さまに言いつけられないような身体に…してやろうか?」
- 猫猫「高順さまが舐ってください」
- 壬氏「私の身体を見ても同じようにわかるか!?」
- 『薬屋のひとりごと』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実は生々しい描写も多い大人向け作品
- 原作者によるオリジナルストーリーでドラマCD化