シャイニング(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『シャイニング』とは、スタンリー・キューブリック監督の傑作ホラー映画だ。
原作はモダンホラーの巨匠、スティーヴン・キング。
壁から出てきたジャック・ニコルソンの狂気に満ちた顔のポスターで、この映画の怖さが伝わるだろう。
小説家志望のジャックは、冬季閉鎖されるホテルの管理人として雇われ、妻のウェンディと息子のダニーを連れてホテルに住み込むことになる。
だがそのホテルは、過去に殺人事件が起きたいわくつきのホテルだった。
ホテルでのジャック一家の恐怖を描いたのが『シャイニング』だ。
原作はホテルそのものが邪悪なものに満ちている、というホラー作品だが、映画は怪奇現象なのか、ジャックがプレッシャーにより発狂してしまったのか曖昧だ。全く違うテイストになったことで、スティーブン・キングは監督のスタンリー・キューブリックへの批判を繰り返した。
原作との違いは以下のようなものがある。
・原作ではジャックが発狂したのは、ホテルについている邪悪な何かの仕業だとウェンディもダニーもわかっているが、映画では曖昧にしている。
・原作に巨大迷路は出てこない。
・原作では217号室だったが、撮影をしたホテルには217号室があり、ホテルからの要望で映画では237号室に変更になった。
・エレベーターから血があふれ出るシーンや、双子の少女の霊も原作にはない。
・ウェンディは小説では強く毅然とした女性として描かれており、映画の泣きわめくような女性に描かれたことを、スティーブン・キングは嫌っていた。
三輪車のシーンはステディカムを持ったカメラマンが、車いすに乗って低い位置から撮影された
ダニーがホテルの中を三輪車で走るシーンが何度か登場する。ガラガラと音を立てて走り回る三輪車。その三輪車を後方の下の方からずっとカメラが追いかけている。このシーンはステディカムを持ったカメラマンが車いすに乗って撮影した。ステディカムを使った、当時としては画期的な撮影方法だ。
ハロラン殺害シーンは40テイク以上も撮られ、ハロラン役のスキャットマンは疲弊しジャック・ニコルソンが助け船を出す
ハロランを殺害するシーンも数秒なのだが、このシーンは40テイク以上も撮られたという。ハロランを演じていたスキャットマンはすっかり疲弊し、ジャック・ニコルソンが見かねて監督に終了するように頼んだという。
『シャイニング』の主題歌・挿入歌
『シャイニング』のアナログサントラ盤は映画が公開された1980年に発売された。
A面
1. Main Title "The Shining"(映画のテーマ曲)
2. Rocky Mountains(ロッキー・マウンテンズ)
上の2曲は『時計じかけのオレンジ』のウェンディ・カルロスが自身のプロデューサーであるレイチェル・エルカインドとともに作った
3. Lontano(『2001年宇宙の旅』でも使った作曲家ジョルジ・リゲティの作品)
4. Music For Strings, Percussion And Celesta(クラシック音楽の作曲家ベラ・バルトークの作品)
B面
1. Utrenja
2. The Awakening Of Jacob(ヤコブの目覚め)
3. De Natura Sonoris
上の3曲はクラシック音楽の作曲家クシシュトフ・ペンデレツキの作品
4. Home(演奏はヘンリー・ホールとグレン・イーグルス・ホテル・バンド)
※劇中で使われたジャック・ヒルトン楽団の「Masquerade」(仮面舞踏会)や、アル・ボウリーとレイ・ノーブル楽団の「真夜中、星々と君/もうすべて忘れて」はこのサントラには収録されていない。
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目次 - Contents
- 『シャイニング』の概要
- 『シャイニング』のあらすじ・ストーリー
- オーバールック・ホテルの冬季管理人となったジャックは家族とともにホテルに向かう
- ダニーとハロランのシャイニング(超能力)
- ストーリーは夢か現実かわからない世界になってゆく
- ジャックはウェンディとダニーを斧で襲う
- 『シャイニング』の登場人物・キャラクター
- ジャック・トランス(演:ジャック・ニコルソン)
- ウェンディ・トランス(演:シェリー・デュヴァル)
- ダニー・トランス(演:ダニー・ロイド)
- ディック・ハロラン(演:スキャットマン・クローザース)
- スチュアート・アルマン(演:バリー・ネルソン)
- デルバート・グレーディ(演:フィリップ・ストーン)
- ロイド(演:ジョー・ターケル)
- 双子の姉妹の霊(演:ルイーズ・バーンズ、リサ・バーンズ)
- 237号室のバスルームにいた若い女の霊(演:リア・ベルダム)
- バスルームにいた老婆の霊(演:ビリー・ギブソン)
- 『シャイニング』の用語
- シャイニング
- オーバールック・ホテル
- 237号室
- 『シャイニング』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ジャックが斧でドアを壊し顔をのぞかせるシーン
- エレベーターから血があふれ出すシーン
- ブルーのおそろいのワンピースを着た双子の姉妹
- 巨大迷路
- 「All work and no play makes Jack a dull boy」の文字
- 『シャイニング』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作とは別モノとなったことによる原作者スティーブン・キングとの確執
- 三輪車のシーンはステディカムを持ったカメラマンが、車いすに乗って低い位置から撮影された
- ハロラン殺害シーンは40テイク以上も撮られ、ハロラン役のスキャットマンは疲弊しジャック・ニコルソンが助け船を出す
- 『シャイニング』の主題歌・挿入歌