The Hanged Man(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『The Hanged Man』とは2017年5月11日公開、Uri Games・うり制作のホラーADV。『The Strange Man』シリーズの第四作目。探索・アクションパートがあり、突然の脅かし要素や残酷描写が多分に含まれている。
内にこもりがちな主人公ウィルが親友を探すために廃墟を探索する。その中で起こる事件を通して、親友との別れや新たな人々との出会いを経験し、成長していくストーリー。これまでの主人公達が登場するなど、作品のファンに大きく期待された。
『The Hanged Man』の概要
『The Hanged Man』とは2017年5月11日公開、Uri Games・うり制作のホラーホラーADV。『The Strange Man』シリーズの第四作目、本作が最終章となる。探索・アクションパートがあり、突然の脅かし要素や残酷描写が多分に含まれている。
前作までの三作品の主人公、デヴィッドやソフィー、キースが登場するなど、最終章にふさわしくこれまでの作品ファンから好評である。
ゲームの配信サイトSteamではレビュー全体で「非常に好評」と評価されており、熱心なファンのために『The Hanged Man』を含む『The Strange Man』シリーズ4作のバンドルが作成され、度々セールの対象となっている。
マルチエンディングを採用しており、エンディングは全部で5つ。ハッピーエンドは2種類用意されているが、「Happy End2」を閲覧するには周回プレイが必要となる。残りの3つはバッドエンドである。
対応言語は日本語・英語・韓国語・ロシア語。キャラクターのセリフにボイスがついているが、言語は英語のみとなっている。
『The Hanged Man』のあらすじ・ストーリー
前作『The Boogie Man』から一年後、雪の中を彷徨う少年ウィルと、その相棒であるネズミのポップ。家出をした彼は保護してくれた親戚・デヴィッドの家を抜け出し、廃墟となった精神病院に迷い込む。
廃墟の不気味な様子にウィルはすぐに逃げようとするが、なぜかポップが飛び出していってしまう。親友を探すために彼は恐怖に直面し、成長していく。
序盤
ゲームは主人公であるウィルが雪の中、街を歩くところから始まる。彼は序盤の間、何も台詞を発することはなく、相棒であるネズミのポップが語り掛ける形で話が進む。
街で釣具屋に入ったウィルは突然売り物の釣り竿を足蹴にし、店員に取り押さえられる。店長に詰め寄られてもだんまりを決め込むウィルだったが、持ち物の中にあったメモから第一作目『The Crooked Man』の主人公デヴィッド・フーヴァーが呼び出される。
店に現れたデヴィッドはウィルのいとこだと名乗り、店長に謝罪するとウィルを自宅へと招き入れる。優しく話しかけるデヴィッドにもウィルは心を開くことが出来ず、デヴィッドの家から逃げ出してしまう。
その後ウィルは一晩の宿にモーテルを選ぶ。そこで間違った部屋を案内され、チェーンのかかった部屋の中から先客の男に話しかけられる。男の正体は前作『The Boogie Man』の主人公キース・ベアリングだったが、この時点ではプレイヤーに彼の存在は明かされない。キースに質問され、慌ててフロントまで逃げ帰ったウィルはやっと正しい部屋に案内してもらうことが出来、モーテルで一夜を明かした。
次の朝、遅くに目覚めたウィルは食事をとるためにカフェに向かう。そこで彼はシリーズ二作目『The Sand Man』の主人公ソフィー・グランドラーと出会う。彼女はウィルがデヴィッドに似ていることから彼に話しかけるが、驚いたウィルは店から飛び出してしまう。
デヴィッドやソフィーから逃げたウィルは町に戻ることが出来ず、寒さをしのぐ場所を求めて森に迷い込み、今作の舞台である廃墟にたどり着く。
中盤
寒さをしのぐために廃墟に入ったウィルは内部を探索し、懺悔室を見つける。無人の懺悔室で懺悔を始めようとしたウィルのために、ポップは神父の代わりを申し出る。自身の境遇についての罪悪感を語るウィルをポップは軽い調子で励ますが、その内容をホームレスのエドに聞かれてしまう。不気味さを感じたウィル達は廃墟から脱出しようと出口を探す。その中で、昨晩モーテルで出会った男性キースと再会する。彼は刑事で、この廃墟には捜査で訪れていた。
彼はウィルを保護し、過去に廃墟で起こった「幸福の殺人」事件について語る。この廃墟ではかつて、五人が殺害された。その五人の死体は足を縛られ、逆さまに吊られたうえで腹を裂かれていた。凄惨な殺人事件の話を聞いたウィルは驚き、尻もちをつくがそのタイミングでポップが逃げ出してしまう。ポップがいなくなったこのタイミングから、ウィルは自分で話し始めるようになり、被っていたフードが無くなる。彼はいなくなったポップを探すため、一人で廃墟を探索することになる。
かつて精神病院として使われていた廃墟の中は、患者達の奇行の痕跡が色濃く残っていた。鉄格子の並ぶ廊下や赤黒い汚れのついた隔離室、壁や床に残された不気味な落書き、医者がノイローゼになるほど患者から送り付けられた手紙と患者自身の髪を使った人形。キースに聞かされた「幸福の殺人」事件についての影響もあり、廃墟の不気味さにウィルの精神は追い詰められていく。途中、デヴィッドに頼まれたソフィーがウィルを探しに来る。彼女はウィルを連れて帰ろうとするが、ウィルはポップを探すと言って拒否したため、廃墟での探索に一時的に同行する。しかし、ポップを見つけた際、ウィルの友達がネズミだと聞いていなかったソフィーはネズミが苦手だったこともあり、気持ち悪いと拒絶してしまう。その言葉にショックを受けたウィルはソフィーを拒絶し、再び逃げてしまったポップを探すために一人廃墟に残る。
この際、廃墟から去っていくソフィーを追いかけて会話をするか、会話をしないかでエンディングの内容が分岐する。
ソフィーを追いかけた場合、彼女は「しばらく帰ってこなければその時はまた迎えに来てあげる」とウィルと約束をして去っていく。
終盤
ウィルはキースと再会し、過去にハムスターを飼っていたことを話されるなど、ポップを探すことへ理解を示され二人の距離が縮まる。
その後廃墟探索中にウィルはエドの兄、ロバートと出会う。ロバートは最初ウィルに対して優し気に振る舞うが、ウィルの口から弟の名前が出た途端態度を豹変させ、エドの行方を尋ねてウィルを締め上げる。
ロバートに締め上げられるウィルを救うため、飛び出してきたネズミがロバートの足元にまとわりつく。しかしそのネズミはイラついたロバートに踏み潰され、死んでしまう。ポップが死んでしまったと取り乱すウィルだったが、キースに踏み潰されたネズミはポップではないと伝えられ立ち直りポップの捜索を再開する。
キースとの距離が近づいたウィルは、彼に自らの境遇を語る。作中で初めて登場した際、デヴィッドはウィルのいとこだと名乗ったが、デヴィッドの蒸発した父親と、ウィルの父親は同一人物であり二人は異母兄弟であった。
ウィルはデヴィッドの父親が浮気をして、家族の元を去った後に生まれた子どもだった。ある日すでに亡くなっていた父親の秘密を知ってしまったウィルは、自分は父親の不義の子であり、デヴィッド達の家族をバラバラにしてしまったという罪悪感に苦しんでいた。
釣具屋でウィルが暴れたのも、父親のことを思い出したためだった。ウィルの父親は釣りが好きで、よくウィルを連れて釣りに行っていた。釣具屋でウィルが折った釣り竿は死んだ父親と同じものだった。ウィルは父親のせいで母親が苦しんでいると思っていたため、気が付くとその父親のものと同じ釣竿に感情をぶつけ、壊してしまった。
この時にウィルのポケットに入っていたデヴィッドの住所のメモは、ウィルがデヴィッドを探して謝りたいと思い持ち出したもので、ウィルがこの街に現れた目的はデヴィッドを探すことだった。
その後ウィルは再度ロバートと再会し、ロバートやキースが探しているのがエドであることを知る。
エドは父親を殺して逃走中の殺人犯であり、ロバートはその手助けをしていた。ロバートは弟であるエドに会うため、キースのつけた護衛から逃げ、廃墟に来ていた。キースはエドの事件を捜査しており、手掛かりを探すために廃墟を訪れていた。そのことに気が付いたウィルはエドが廃墟にいたことをキースに伝える。キースはウィルにすぐに廃墟から脱出するように伝え、エドの確保に向かう。
ウィルはキースの言いつけ通り殺人犯の潜む廃墟から脱出しようとするが、道中でネズミを見つけ、ポップだと思って追いかけ、ダストシュートへ落ちてしまう。
落ちた先で、エドとロバートが密会しているのを発見したところから、これまでの行動によってエンディングが分岐する。
ルート分岐
終盤でキースが落とした拳銃を彼に返すことでHappy End、拳銃を返さないとBad Endへ分岐する。また、Bad Endは三つあるが、そのうち二つは中盤、ソフィーが廃墟を去る際に会話をしている必要がある。
Bad Endはこれまでの選択肢によって1~3に分岐する。
Bad End1「A Cornerd Rat」
ソフィーと会話をせず、拳銃を所持している場合に起こるEND。
エドは密会中に逆上し、兄であるロバートを殴り殺してしまう。その後エドはキースを人質にウィルを捕獲。ロバートを殺した分も罪が増えたのでちょうどよいと語り、幸せになるための儀式として地下室で二人を殺そうとする。一瞬の隙をついてエドに抵抗したキースに救われたウィルはその場から逃げ出し、近くの部屋に隠れる。ウィルを探すエドの足音が遠ざかり、ウィルは残して来たキースを救うためにもう一度地下室を訪れる。
地下室には部屋に入った時から、何かが軋む音が響いていた。その出所を探るように進んでいくウィルは、地下室の天井から吊るされたキースを発見する。
エドはすでにキースを殺害していた。キースの死体を見たウィルは絶叫し、嘔吐する。
自分もキースや、かつての被害者達のように吊るされて死ぬのだという恐怖に怯えたウィルは拳銃を持ち、殺されるくらいならばと、地下室に戻ってきたエドに発砲する。足と手を撃たれ、命乞いをするエドに馬乗りになったウィルは、そのまま彼の頭を撃ちぬく。友人を殺したことに再び嘔吐するウィルだったが、彼はエドの死体に向かって悪態をつく。
追いつめられたウィルは攻撃的になり、自分や母を苦しめるものはすべて排除してやる、と決意する。
ラストでは、降りしきる雪の中ウィルがデヴィッドに電話をかけ、これまでの礼を述べる。「もう迷ったりしない」「今から会いに行くよ」とデヴィッドに語るウィルの手には拳銃があり、電話を切った彼は、デヴィッドの家に向かって歩いていく。
Bad End2「Out of the Window」
ソフィーを引き留め会話をし、拳銃を所持している場合に起こるEND。
ゴミ置き場でエドとロバートの密会イベント中、二人の会話を盗み聞きしていたソフィーがロバートに見つかってしまう。ソフィーはウィルとの約束を守り、廃墟に戻ってきていた。二人はソフィーを小部屋に連れ込み、逃走準備のために去っていく。二人が去ったあとようやく動き出したウィルはソフィーを助けようとするが、ロッカーに閉じ込められたソフィーはすでに息をしていなかった。ウィルは彼女が連れ込まれた際にすぐに助けに行かなかったことを悔やみ、キースに知らせようと部屋を飛び出す。
動揺したウィルと合流したキースは、先にウィルを廃墟から脱出させようとしてがれきの下敷きになってしまう。怪我をしたキースのためにタオルを取りに行くウィル。その間に、がれきの下敷きとなったキースの元にエドが近づく。彼はキースを手当しようとしていたが、ソフィーの死体を見たウィルは信じられず、キースから離れないエドに銃を向ける。
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目次 - Contents
- 『The Hanged Man』の概要
- 『The Hanged Man』のあらすじ・ストーリー
- 序盤
- 中盤
- 終盤
- ルート分岐
- Bad End1「A Cornerd Rat」
- Bad End2「Out of the Window」
- Bad End3「Deep Woods」
- Happy End1「Real Good Man」
- Happy End2「Tiny Rat Journey」
- 『The Hanged Man』のゲームシステム
- 公式の攻略情報
- 探索
- アクション
- 謎解き
- エンディング分岐
- 『The Hanged Man』の登場人物・キャラクター
- ウィリアム・モートン(William Morton)
- ポップ(Pop)
- デヴィッド・フーヴァー(David Hoover)
- キース・ベアリング(Keith Baring)
- ソフィー・グランドラー(Sophie Grundler)
- エドワード・ヘイズ(Edward Hayes)
- ロバート・ヘイズ(Robert Hayes)
- 『The Hanged Man』のアイテム
- ジョージ・シュミッドの手帳
- 首のない人形
- 『The Hanged Man』の用語
- 「幸福の殺人」事件
- 『The Hanged Man』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- エドの思想は殺人犯から影響を受けたもの
- ロバートの行動は家族のため
- 『The Hanged Man』の公式HP