ワンダー 君は太陽(Wonder)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワンダー 君は太陽』(原題:Wonder)とは2017年のアメリカ合衆国のドラマ映画。原作は、2012年に発表された新人作家R・J・パラシオの処女作『ワンダー』である。
外見からわかる先天性の障害がある少年が様々な困難に立ち向かい、周囲の考え方を変え、周りと共に成長していく。少年の視点だけでなく、複数の登場人物の視点が導入されている。「見た目ではなく中身を見る」という事の大切さを伝えている物語。

オギーの通う学校のトゥシュマン校長のセリフ。ジュリアンがオギーの事を受け入れる事ができず、オギーに対する嫌がらせを繰り返してしまう。そんなジュリアンをかばう母親に、私たちの考え方を変えないと状況は何も変わらないという事を理解してもらうために「彼の見た目は変わらない。変えられるのは、我々の見る目」と伝えた。
変えられないものを変えるより、変えられるものを変えていく。いろんなことをありのままに受け入れる柔軟性と強さ、そして優しさの大切さがこのセリフには詰まっている。

「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらか選ぶときには、親切を選べ」

オギーが入学して初めての授業で担任の先生がクラスメイト全員の前で伝えた言葉。やさしさがどれほど大切なことか、それを感じさせる名言。
時に正しさと相反する「優しさ」だが、この名言は一つの指針になり得る。

「人をいたわれ。みんなも闘っている。相手を知りたかったらやることは1つ。よく見ること」

オギーの学校の終業式で校長先生は「人をいたわれ。みんなも闘っている。相手を知りたかったらやることは1つ。よく見ること」と言い、全校生徒に「相手の中身を見ること」の大切さを伝える。映画はオギーだけの物語ではなく、姉のヴィア、親友のジャック、ヴィアの親友のミランダなどの周りの人々もそれぞれ悩みや葛藤を抱えていることが描かれる。
この名言の通り、みんな、悩みを抱え、懸命に生きていることをこの映画は気づかせてくれる。それゆえに周りの人に優しくしなければならない。苦しいのは自分だけではない。そんな優しさの使い方をこの言葉は教えてくれている。

『ワンダー 君は太陽』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アカデミー賞にノミネートされた特殊メイク

主演のジェイコブ・トレンブレイは、アカデミー賞受賞映画『ルーム』で、圧巻の演技力を見せつけた天才子役。そんな彼が特殊メイクを駆使して、ユニークな顔を持つ男の子オギーを演じる。そのメイクを担当したのが、映画『マレフィセント』でアンジェリーナ・ジョリーのメイクを担当したほか、映画『アリス・イン・ワンダーランド』などの映画で世界観にマッチさせるメイクを施してきたアリエン・タイテン。特殊メイクのプロだが、本作のメイクは従来よりも時間を費やし、撮影が始まる2年も前からリサーチを始め、2ヵ月もの間、試作の改良を重ねてついに完璧なメイクを完成させたのだという。さらに、通常の特殊メイクはメイクを施すのに3時間ほどかかるのは当たり前で、まだ11歳の子役であるジェイコブの限られた労働時間を考慮して、メイク時間は90分と大幅に短縮しなければいけなかった。複雑なメイク構造と子役ならではの制約という壁を乗り越えて、完成したオギーの顔。映画の中で、クラスメイトと同様に観客も最初はオギーの顔に慣れなかったが次第にオギーのユーモアに惹かれていく。特殊メイクは細やかな表情の動きを反映する為に薄く作られており、表情からオギーの気持ちが汲み取りやすくなっている作りになっている

「スター・ウォーズ」ネタ満載な映画

オギーは「スター・ウォーズ」が大好きという設定。部屋には映画のグッズが溢れ、父ネートとはライトセーバーのオモチャでチャンバラ遊びをする。オギーにとって「スター・ウォーズ」は、精神的な支えにもなっていた。ここまで「スター・ウォーズ」ネタが映画に登場したのは「原作を忠実に再現したかった」という監督チョボスキーの願いからだった。更に、「スター・ウォーズ」のキャラ等を映画にここまで登場させる事ができたのは、プロデューサーのデヴィッド・ホバーマンが30年間に渡ってディズニーと仕事をしており、ルーカスフィルムの社長に掛け合う事ができたためである。
オギーの精神的な支えだけではなく、オギーを演じたジェイコブも「スター・ウォーズ」の大ファンであり、撮影中の心の支えにもなっていた。

『ワンダー 君は太陽』の主題歌・挿入歌

主題歌:Bea Miller『Brand New Eyes』

『ワンダー 君は太陽(Wonder)』の劇場予告動画

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@yumesa2830068

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