ワンダー 君は太陽(Wonder)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワンダー 君は太陽(Wonder)』とは2017年のアメリカ合衆国のドラマ映画。原作は、2012年に発表された新人作家R・J・パラシオの処女作「ワンダー」である。
外見からわかる先天性の障害がある少年が様々な困難に立ち向かい、周囲の考え方を変え、周りと共に成長していく。少年の視点だけでなく、複数の登場人物の視点が導入されている。「見た目ではなく中身を見る」という事の大切さを伝えている物語。

ジュリアンのグループの一員。ジュリアンがオギーに対して行っていたイジメを知っており、ブラウン先生にイジメの証拠となったクラスの集合写真(オギーだけが編集で消えた写真)が見つかった時にジュリアンが主犯格とブラウン先生に伝えた人物。エイモスも最初はオギーを避けていたが、クラスに溶け込んでいくオギーが気になり最後にはオギーを守るため上級生に立ち向かいオギーと友達になる。

『ワンダー 君は太陽』の魅力

異なる視点からの物語構成

『ワンダー 君は太陽』は主人公オギーの成長の物語だけでは終わらない、オギーの初めての友達であるジャックの物語、姉であるヴィアの物語、姉の親友であるミランダの物語構成で作られている映画である。「実はあの時こうだった」や「あの時あんな事を話していた」という本人の語りで物語の全体が明らかにされていく。この構成により、まずは一方向からだけの見方を見せて、それから視点を変えて行く事により外から見ただけでは分かり切れないそれぞれの事情や思いをきちんと見せていく。オギー以外にもそれぞれの問題を抱え戦っているのだという事を表す事ができる。

家族愛いっぱいの心温まる映画

オギーの周りにはたくさんの愛で溢れている。オギーの持って生まれた性格の明るさを作り出したのも家族の愛からである。オギーの笑顔が好きなんだと言い、いつも勇気付けてくれる父親。オギーのために仕事ややりたかったことを中断し、オギーの将来を思って学校に行かせる決断をした母親。両親がオギーの事でいっぱいになっている事に気付いているが、それでも自分よりもオギーの事を心配する弟想いの優しい姉。家族愛がいっぱいな環境で育ったオギーだからこそ、ユーモアのセンスが抜群で誰よりも強いのだろう。

『ワンダー 君は太陽』の用語

チューバッカ

オギーが妄想するシーンで度々登場するチューバッカ。映画「スター・ウォーズ」に登場する架空のキャラクターであり、「スター・ウォーズ」の中で英雄的存在であるハンソロの相棒として常に一緒に行動してる。妄想では常にオギーの近くにチューバッカがいるシーンが出てくる。オギーが学校で生徒から避けられて辛い思いをしている時も、大好きな「スター・ウォーズ」を思い浮かべ辛い現実を乗り越えようとしていた。

パダワンの三つ編み

映画の冒頭からオギーが登校1日目までしていたヘアスタイル。後ろの髪一部分だけ長くして三つ編みにするスタイルである。これは映画「スター・ウォーズ」の中でパダワン(銀河系の自由と正義の守護者であるジェダイの見習い)に憧れたオギーが好んで毎日していた。だが、学校に登校した際に、その髪型のことをジュリアンから揶揄われてしまい、傷心して三つ編みを切ってしまう。

『ワンダー 君は太陽』の名シーン・名場面

オギーが初めて友達を連れて学校から帰ってきたシーン

毎日学校に馴染めず孤立してしまい、辛い顔で学校の門から出てくるオギーを迎えに行くイザベルだったが、初めて友達ができて楽しそうに学校の門から出てくるオギーを見て、イザベルが冷静さを保とうとしているが驚きと嬉しさで涙が出そうになるシーン。
イザベルは、オギーが学校で馴染めず孤立し続けてしまうのではないかと不安でいっぱいだったが、校門から笑い合いながら出てくるオギーとジャックを見て、オギーに初めての友達ができたのだと思う。
母親として息子の幸せそうな笑顔を見れた事はとてつもなく嬉しい事である。これからは学校で孤独になる事も無く、オギーにとって友達と過ごす楽しい学校生活がずっと続くのだという淡い期待がイザベルに生まれてくる。

ヴィアと祖母が2人だけで会話するシーン

祖母がまだ生きていた頃、人気のない浜辺でヴィアと祖母が2人寄り添って会話をするシーン。
ヴィアが両親がオギーばかりに世話を焼いて自分の事を見てくれない想いを祖母に告げた時、祖母からあなたが一番好きと言われる。誰か1人でも自分を気にかけていてくれた存在の大きさにホッとするヴィア。

『ワンダー 君は太陽』の名言・名セリフ

「彼の見た目は変わらない。変えられるのは、我々の見る目」

オギーの通う学校のトゥシュマン校長のセリフ。ジュリアンがオギーの事を受け入れる事ができず、オギーに対する嫌がらせを繰り返してしまう。そんなジュリアンをかばう母親に、私たちの考え方を変えないと状況は何も変わらないという事を理解してもらうために「彼の見た目は変わらない。変えられるのは、我々の見る目」と伝えた。
変えられないものを変えるより、変えられるものを変えていく。いろんなことをありのままに受け入れる柔軟性と強さ、そして優しさの大切さがこのセリフには詰まっている。

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