ゴッサム・シティの守護者「バットマン」を支え続けたアルフレッドとは

クリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演のダークナイト・トリロジーに登場するアルフレッドについてまとめた。アルフレッドとは、執事として幼い頃に両親を亡くしたブルース・ウェインの世話をし、彼がゴッサム・シティのために闇に紛れてバットマンとして戦うようになってからも献身的にサポートしてきた人物である。ここでは、『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』の3部作で、アルフレッドがバットマンをどのように支え続けてきたかを解説する。

アルフレッド・ペニーワースとは

アルフレッド・ペニーワースは、ゴッサム・シティに大きなビルを構える実業家のウェイン家に代々仕えているベテラン執事である。クリスチャン・ベールが主演を務めた『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』では、マイケル・ケインがアルフレッドを演じた。

アルフレッドのサポート

『バットマン ビギンズ』

ブルースへの献身

アルフレッドはウェイン家で6代にわたって仕える、超ベテラン執事。朝は主人を起こし、食事を用意し、客が来れば出迎えをする、といったように、彼の仕事は膨大。それでも彼はウェイン家、そしてブルースのそばにいることを誇りに思っていた。

本作の冒頭部分で、ブルースの両親は浮浪者に撃たれて死亡する。犯人は逮捕されたものの、幼くして目の前で親を亡くしたブルースの悲しみが癒えることはない。
「お父さんとお母さんに会いたい」と幼少期のブルースが泣きつくシーンでは、アルフレッドは「私もです」と呟く。「大丈夫ですよ」と励ますのでもなく、「私が精一杯お支えしましょう」と自分を頼れる存在だと見せるのでもなく、「私もです」とポツリといった彼の様子から、彼がウェイン家に誠心誠意仕えていることが伝わってくる。

策略家としての一面

ブルースがバットマンとして活動を始めたばかりの頃、バットマンのスーツを作る段階で、アルフレッドの知恵がブルースを助ける。謎めいたスーツを発注すれば、発注された側は不審に思うかもしれない。正体を隠さなければならない以上、不安要素は完全に排除しておきたい。

そこでアルフレッドは「スーツの部品は個別に別の会社に発注し、さらに耳のパーツのみ1万個発注するなど、大量発注をかける」という、ブルースが思いつかなかった提案をするのだ。
このアイディアであれば、それぞれの会社は少なくとも個人が何か特殊な目的のために利用するとは思わないはず。こうした的確なアドバイスによって、バットマンとして町を守ろうとするブルースの意思は尊重され、誰にも怪しまれること無く、スーツの発注に踏み切ることができた。

ブルースを守るために見せた素晴らしい行動力

アルフレッドは、ブルースを守るために思いがけない行動力を発揮することがある。ブルースの修行中、何も言われなくとも持ち株を守り続けていたりと機転が利くアルフレッドだが、彼の行動力の素晴らしさはそれだけではない。
ラーズ・アル・グールによってウェイン邸が襲撃され、ブルースが燃え上がる木材の下敷きになって気を失うシーン。ラーズ・アル・グールは家から誰も出さないようにと手下に告げ去るが、アルフレッドはその部下の1人をゴルフのアイアンで殴り倒してブルースのところへ向かう。満身創痍のブルースを起こし、「今こそ腕立て伏せの成果を見せるときです!」と鼓舞するのだ。アルフレッドがアイアンと共に映るシーンやブルースが腕立て伏せで体を鍛えているシーンがしっかりと提示されるという演出も素晴らしい。

『ダークナイト』

ブルースの身を案ずる

バットマンの名が世間に知れ渡るにつれ、偽物が登場するようになる。アイスホッケーの防具を身に着けていたり、小太りだったり、銃を使ったりと、本物とは程遠い姿や戦い方をするものばかり。
冒頭でスケアクロウや偽物たちとの戦闘を繰り広げて帰還したブルースは、自分の偽物が増えていることに対する不満をアルフレッドに打ち明ける。そんなブルースに向かって彼は「彼らに任せればあなたも休暇がとれる」と言うのだ。
このシーンはクスっと笑ってしまうジョークとも、「もう、これ以上ブルースが傷つき死の危険と隣り合わせの状況にいることは耐えられない」という意味として受け取ることもできる。
傷だらけのブルースの背中を見て、これまで全力でサポートしてきたアルフレッドの心も、限界に近付いていたのだ。そして溜まりに溜まった不満が、3作目『ダークナイト ライジング』であふれ出ることとなったのだ。

ブルースを初心に立ち返らせたアルフレッドの言葉

今作におけるメインヴィランであるジョーカーは、これまでバットマンが対峙してきた敵とは一味違う。力ではなくバットマン、そしてブルース・ウェインという人間の立場に悪影響を及ぼす精神的かつ社会的な攻撃をしてくるのだ。しかしそんなジョーカーを殺すこともできず、頭を抱えるブルース。アルフレッドは「人々がどんなにバットマンのことを嫌っても、バットマンはもともと社会のはぐれ者。だからこそあなたは正しい決断を下すことができるのです」と、励ましの言葉をかけた。
「悪に恐怖を植え付ける」という目的で始めたバットマンとしての活動。「ブルース・ウェイン」として振舞っている間、彼は様々な人から「バットマン」に対する意見を聞くうちに、人の目を自然と気にしてしまうようになっていたのだ。ブルースはアルフレッドの言葉を聞いて、かつて1人で雪山を登り自分の目的のために必死に特訓していた頃の初心に立ち返ることができた。
そしてこのセリフは劇中における最後のゴードン警部による「彼はヒーローではない。ゴッサム・シティを影から見守る暗黒の騎士(ダークナイト)だ」というセリフとも似ている。人々にほめたたえられる表舞台に立たず、孤独な世界にあえて身を置くことで大衆の意見に影響されず、判断を下すことができるのだ。

『ダークナイト ライジング』

ブルースを守るための苦渋の決断

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