バケモノの子（アニメ映画）のネタバレ解説・考察まとめ

「ガキの頃の自分が本当はどうして欲しかったかを、思い出してみるんだな。」

皮肉屋で口も悪いが、情に厚い猿のバケモノで熊徹の悪友。
熊徹とは子ども時代から一緒におり、ともに成長してきた。頭の回転が速いのでずる賢い印象がある。なかなか弟子がつかない熊徹に「人間でもタワシでもひっ捕まえて弟子にするんだな！」と軽口を言ったが、本当に人間を弟子にするとは思っておらず、始めは九太の弟子入りに反対して冷たくあたる。しかし熊徹が九太とともに修業するようになってからは、もっぱら百秋坊とともに二人を見守るようになる。

【声のキャスト】
大泉洋

百秋坊（ひゃくしゅうぼう）

「お前たち…いがみ合う体力だけは尽きないな…。」

心穏やかな豚のバケモノで、修行中の僧侶。
熊徹、多々良とは友人でともに九太の面倒を見る。いつでも優しく静々と語るが、不道徳には厳しい一面もある。九太にとっては良き助言者で、家事の師匠。自分勝手な熊徹の振る舞いにはいつも頭を悩ませており、馬の合わない九太と熊徹をフォローする姿が目立つ。

【声のキャスト】
リリー・フランキー

宗師（そうし）

「迷いなど微塵もない目をしおって。」

バケモノ界の街、渋天街の宗師（長老のようなもの）で兎のバケモノ。本名は不明。
かなり高齢で、宗師を引退して神様になることを決めた。実は武術の達人で、会話の途中でもふと姿を消したと思えば、別の場所に現れて相手を翻弄して楽しんでいる。子どものころから他の大人に匙を投げられる熊徹をずっと目にかけており、後継者争いに熊徹が名乗りを上げたことにも少なからず喜んでいる節もある。闇に取り込まれた一郎彦と九太が戦う中、九太の助けになりたいと申し出た熊徹に神に転生する権利を譲り、宗師を続投することとなる。

【声のキャスト】
津川雅彦

猪王山（いおうぜん）

「人間はひ弱がゆえに胸の奥に闇を持つという。」

熊徹と跡目争いをする強者で猪のバケモノ。
人望に厚い二児の父親で、多くの弟子がおり、誰もが次期宗師にふさわしいと認める。二人の息子たちは父親を尊敬し稽古をつけてもらいたがっているが、武術館を営む猪王山は息子たちにかまっている時間がないほど多忙を極める。性格が正反対であるため、合い入れないかと思われがちだが、熊徹に街で出会うと自ら声をかけることもある。
熊徹が人間である九太を弟子にすることに大変反対した猪王山だが、長男の一郎彦は人間である（このことは周囲に隠している）。それは自分が育てれば、人間であろうとも心に闇は宿らないと思っていたためで、誇り高いが自分を過大評価している様子もある。

【声のキャスト】
山路和弘

一郎彦（いちろうひこ）

「力はやさしさのためにあると、父上も言っているだろう。」

猪王山の長男。
見目麗しく、女の子たちから黄色い声が上がる正義感の強い少年。
父親を尊敬しており、いつか立派な鼻と牙の剣士になると夢を語る。仙人みたいに触らずに物を浮かすと弟の二郎丸が自慢をする通り、彼は念動力を使うことができる。
実は人間の子どもで、赤ん坊のころ人間界で捨てられていたところを猪王山が拾い、バケモノ界でバケモノとして育てられた。だが、なかなか猪のバケモノの父親のように鼻が伸びない、牙が生えないと、自分だけが家族の中で何かが違うと感じていた。

【声のキャスト】
幼少期：黒木華
青年期：宮野真守

二郎丸（じろうまる）

「弱いやつを見るとむかっ腹が立つんだ！」

猪王山の次男でウリ坊のバケモノ。
ころころとした食いしん坊で、強い父親や兄の一郎彦に憧れる少年。子分をたくさん連れており、強い者が好きだという。はじめは人間である九太へちょっかいをかけるが、修行して強くなった九太に一度負けたことをきっかけに仲が良くなる。兄の一郎彦が人間であることは二郎丸も知らず、そのことが分かっても自分にとって兄は兄であるという、心の正直な青年へと育つ。

【声のキャスト】
幼少期：大野百花
青年期：山口勝平

チコ

「ネズミの子？」

九太が夜の渋谷の路地裏で初めてチコ出会ったときに発する言葉だが、それ以降チコの正体は謎のままだ。きゅ、きゅ、と鳴き声を発し、九太の肩や髪の中などにいることが多い。九太が素直に心を開ける存在で、最初から最後まで九太に寄り添っている。

【声のキャスト】
諸星すみれ

蓮（九太）の父親

「ハム入りオムレツ、一緒に食おう。」

九太の実の父親。
九太の母親とは離婚しており、九太がひとりぼっちになってしまったことを知らず迎えに行けなかった。九太が青年になってから父に会いに行くと、涙ながらに再開を喜んでいる。警察が失踪した九太の捜索を打ち切った後も、探し続けてくれていたのだという。九太が子どもの頃好きだった、ハム入りオムレツのことを覚えており、九太が会いに来る日は材料を買って待っている。

【声のキャスト】
長塚圭史

蓮（九太）の母親