チャッピー(CHAPPiE)のネタバレ解説・考察まとめ
“感情”や“意識”を持った人工知能内臓の学習型ロボット“チャッピー”を巡り、そのロボットの設計者、ロボットを強奪したギャング・グループ、設計者を妬む同僚などが入り乱れて、ユーモアを交えながら壮絶なアクションとサスペンスが展開する、2015年公開の近未来SF映画。監督は、独創的なSF映画「第9地区」(09)でデビューした南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ。
隠れ家を急襲したムースに立ち向かうチャッピーやニンジャたち
チャッピーを欲しがったヒッポや彼の手下とニンジャ達が銃撃戦を繰り広げる中、突如ヴィンセントが操るムースが襲来し三つ巴のバトルとなる。派手なアクションやバイオレンスが炸裂する見応えたっぷりの名シーンだ。
最初にアメリカがムースによって悲惨な死を遂げ、ディオンが致命傷を負う中でチャッピーは苦戦を強いられるが、最後には爆弾の起爆スイッチのボタンを押してムースを木っ端みじんにするまで、息をもつかせずスリリングなアクションが展開する。
オトリとなったニンジャを救うために、ヨーランディがムースに重火器を発砲するが、あえなく撃ち殺されるというドラマ的にも大いに盛り上がるシーンである。
『チャッピー』の名言・名セリフ
「ボク生きたい、ママといたい、死ぬのはイヤだ」
ニンジャから、バッテリーの残量が少ないからあと数日で死んでしまうんだ教えられたチャッピーが、ディオンに「ボクの創造者なのに、なざ死ぬように作ったの?ホントなの?」と問いかける場面。
ディオンが「決して死ぬように作ったんじゃない。君の成長は、僕の想像を超えていた。考えもしなかったんだ、君の今の姿を」と答えるしかなかったが、チャッピーは「ボク生きたい、ママ(ヨーランディ)といたい、死ぬのはイヤだ」と彼に訴えかける。
チャッピーが自分の死を意識し、それを回避したいと願う人間的感情がほとばしる名シーンだ。
「ボクたちは黒い羊だね」
チャッピーが亡くなったヨーランディの意識の解析データを収めたフラッシュメモリーを使って、彼女の意識を持つロボットを誕生させた時のセリフ。
ディオンがチャッピーに情操教育を施そうと隠れ家に持参した絵本「黒い羊と小鳥」をヨーランディが読んで聞かせるのだが、白い羊の中で一匹だけ黒い羊だけがいたという絵本の物語を引用した言葉だ。
ヨーランディが「黒い羊ってわかる?みんなとは違うって意味なの」と話すと「ボクもママやアメリカと違うの?」と問いかけるチャピー。「でも外見はあまり意味がないの。大事なのは中身。あなたは特別な存在なのよ。だからみんなとは違う。本当のあなたは心の中にあるのよ」とヨーランディは答え、「こういう外見は一時的なものなの。死んだら中にある魂は次の場所へ行くの」ともチャッピーに話す。
そして、チャッピーは彼女の言葉どおりに、死んだヨーランディが残した彼女の“意識”を、次の場所であるロボットに移し、彼女をロボット=黒い羊として蘇らせるのである。
『チャッピー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
『チャッピー』の元ネタである架空の会社のロボット警官CM
03年にニール・ブロムカンプが製作した架空の会社のロボット警官CM。
ブロムカンプは自宅のパソコンを使って、ほとんど一人で作ったそうで、金がないので他の人が作ったモーションキャプチャーのデータを使って作ったらしい。
ロボットが建物の陰に隠れる場面では、ブロムカンプ自身が演じ、それをビデオに撮ってもらってロトスコープの要領でCGでトレースしたんだそう。
日本劇場公開版では、人体切断描写がカットされていた
ムースがニンジャ達の隠れ家に急襲する終盤の場面で、アメリカがムースに上半身と下半身を引きちぎられる人体切断描写がある。
日本で劇場公開時、アメリカ版に比べPG12で上映するために自主規制としてこのシーンの数秒カットが行われ、映画ファンの間で問題視されたが、配給元のソニー・ピクチャーズは「監督の賛同を得た上で編集を行った」と説明した。だが、ブロムカンプ監督は「何も知らない、ワールドワイド版一つだけだ」と語っている。後に、ソニー・ピクチャーズは、日本公開版は委託された編集権に基づいての独自判断であり、「監督の直接の賛同を得ていませんでした」と公式ツイッターで謝罪している。
なお、ブルーレイとDVDのセル盤は、US劇場公開版と同様のアンレイテッド・バージョンだが、レンタル版はカット版となっている。
『チャッピー』の関連動画
『チャッピー』日本版・予告編
映画『チャッピー』特別映像 "ダイ・アントワード"って何者だ!?
Related Articles関連記事
第9地区(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『第9地区』は、作品賞も含め4部門のアカデミー賞にノミネートされたSFアクション映画だ。 製作は『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のピーター・ジャクソン。 ある日突然上空に現れた宇宙船。中には衰弱したエイリアンたちがいた。人類はそのエイリアンたちを「第9地区」と呼ばれるスラム地域に隔離する。 映画にはCGもふんだんに使われ、銃などによる戦闘シーンも迫力満載。SFアクション映画として十分楽しめるが、映画に出てくる「第9地区」はアパルトヘイトを彷彿とさるなど、数々の社会批判も映画の見どころだ。
Read Article
スラムドッグ$ミリオネア(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『スラムドッグ$ミリオネア』とは、2008年製作のイギリス映画。インド人外交官ヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』をダニー・ボイル監督で映画化。インドでオール・ロケーションされた社会派エンタテインメント。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞した。日本でもお馴染みのTVのクイズ番組に出場し、史上最高額まであと1問と迫った青年。彼のスラムで育った過酷にして波瀾万丈の生い立ちを、クイズ番組に巧みに織り込みながら、スリリングかつ躍動感いっぱいに描いていく。
Read Article
グレイテスト・ショーマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『グレイテスト・ショーマン』とは2017年に公開された、アメリカで19世紀に活躍した興行師「P.T.バーナム」をモデルとしたミュージカル映画である。奇抜なアイデア故に奇人扱いされていた「P.T.バーナム」は、ピンチをチャンスに変えて「史上最大のショー(The Greatest Show)」を作りあげていく。主演は『レ・ミゼラブル』でも活躍したヒュージャックマンが務め、音楽は『ラ・ラ・ランド』も担当したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビである。
Read Article
アバター(Avatar)のネタバレ解説・考察まとめ
『観るのではない。そこにいるのだ。』というキャッチコピーで3D上映され話題となった2009年公開のアメリカ・イギリス合作のSFファンタジー映画。監督は、「タイタニック」「ターミネーター」などを手がけた、ジェームズ・キャメロン。世界興行収入は歴代1位を記録した。自然豊かな惑星「パンドラ」を舞台に繰り広げられる人間と先住民族ナヴィの戦いを描いた作品。
Read Article
エイリアン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『エイリアン』とは、1979年に公開された『ブレードランナー』や『ハンニバル』などで知られるリドリー・スコット監督の、SFホラー映画の元祖ともいえる作品だ。監督の出世作でもあるが、主人公のリプリーを演じたシガニー・ウィーバーの名を、世界中に広めた映画でもある。 宇宙船に入り込んだ姿を見せないエイリアンが、次々と乗組員を襲っていくホラーSF映画で、エイリアンという名称を定着させたことでも知られる。 その後もシリーズ化されるなど、映画界に衝撃を与えた作品だ。
Read Article
エイリアン2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『エイリアン2』とは『ターミネーター』で監督として評価された、ジェームズ・キャメロンが監督と脚本を手掛けた1986年の映画だ。 前作から57年後という設定でエイリアンの数も莫大に増え、数々の未来兵器を使ったジェームズ・キャメロンならではの壮大なアクション映画。 前作でたったひとりノストロモ号の脱出艇で生還した、シガニー・ウィーバー演じるリプリー。そのリプリーが戦うのは、エイリアンの母親的な存在のエイリアン・クイーン。 作業用ロボットに乗ったリプリーとクイーンの対決は、大きな見どころだ。
Read Article
レ・ミゼラブル(レミゼ)のネタバレ解説・考察まとめ
2012年に公開されたミュージカル映画。主役のジャンバルジャンが牢獄から仮釈放されるシーンから始まる。ジャンバルジャンを追いかけるジャベール警部、ジャンバルジャンに自分の子供を託すファンティーヌなどの登場人物たちにより彼の人生は激動の時代を駆け抜けることとなる。そしてフランス革命が起き、それぞれの人生が変わるのであった。一人の男の一生を描いた超大作である。
Read Article
リアル・スティール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『リアル・スティール』とは、2011年制作のアメリカ映画。人間の代わりに高性能ロボットたちが激しい戦いを繰り広げる“ロボット格闘技”が人気を博す、近未来を舞台にした痛快SFアクションムービー。落ちぶれた元プロボクサーの男と、彼の前に突然現れた11歳の息子が、スクラップ置き場で見つけた旧式ロボットATOMに希望を託し、親子の絆を深めながらロボット格闘技の王者を目指す姿を描く。アメリカ劇場初登場1位のヒットを放った。
Read Article
ホテル・ムンバイ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ホテル・ムンバイ』とは、2018年に製作されたオーストラリア・インド・アメリカの合作映画である。2008年にインドのムンバイで発生した同時多発テロの際、タージマハル・ホテルに閉じ込められた人たちの様子を実話をもとに描いている。ホテルのレストランで給仕を担当しているアルジュンはロビーからの銃声を聞いて宿泊客を頑丈な部屋へ避難させ、テロリストとの戦いが始まる。監督はアンソニー・マラスが務め、デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ジェイソン・アイザックスらが出演した。
Read Article
ヴァン・ヘルシング(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ヴァン・ヘルシング』とは2004年に公開されたアクション・ファンタジー映画。監督は『ハムナプトラ』シリーズで知られるスティーブン・ソマーズ、主演はヒュー・ジャックマンが務めた。ドラキュラ、フランケンシュタイン、ウルフマンを一堂に会した事が話題となり、当時のユニバーサル映画史上最高記録を更新した。聖騎士団に所属するモンスターハンター、ヴァン・ヘルシングは不死身の吸血鬼ドラキュラの討伐を命じられる。トランシルバニアへ赴きヴァレリアス家最後の一人アナ王女と共に最恐の敵に挑む。
Read Article
ゴーストバスターズ/アフターライフ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』とは、2021年に公開されたSFコメディ映画である。監督はジェイソン・ライトマン。フィービー、ポッドキャスト、トレヴァーといったような子ども達がメインとなってゴーストを退治する物語である。今は亡き、かつてゴーストバスターズの一員であったフィービーのおじいちゃん家に引っ越すことでゴースト退治の物語は動きはじめる。様々なゴーストがでてくるのも面白く見ていて飽きない要素の一つである。フィービー達が銃や捕獲機を使ってゴーストを退治する場面が迫力があり見どころである。
Read Article
プレステージ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『プレステージ』とは2006年に公開されたアメリカの映画である。監督はクリストファー・ノーラン。主演をヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが務める。第79回アカデミー賞において撮影賞と美術賞にノミネートされた。1995年に発売されたクリストファー・プリースト作の小説『奇術師』が原作となっており、2人の奇術師による因縁の戦いが描かれている。彼らのショーの舞台裏で起きていることを観客は知らない。映画には様々な仕掛けが施されており、人知を超えた世界へと誘われていく。
Read Article
LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』とは2016年に公開されたドラマ映画で、アメリカ合衆国、オーストラリア、イギリスの3国が共同して作成した。サルー・ブライアリーのノンフィクション本が原作となっている。5歳の少年サルーが家族と離れ離れになり、オーストラリアに養子として迎えられる。そして大学生になったサルーがGoogle Earthを使って故郷を探し出す物語である。家族愛が描かれた感動の物語である。
Read Article
「エイリアン」の生みの親、H・R・ギーガー
SF映画の金字塔「エイリアン」をご存知のかたは多いでしょう。劇中に登場する不気味なエイリアンは、スイス出身の画家H・R・ギーガーによってデザインされました。嫌悪感を催すほどグロテスクなのに何故か惹きつけられてやまない、ギーガーの作品をまとめてみました。
Read Article
【レ・ミゼラブル】ヘレナ・ボナム=カーターの七変化まとめ!ジョニー・デップに負けてない!【ハリー・ポッターシリーズ】
ヘレナ・ボナム=カーターといえば、『レ・ミゼラブル』のテナルディエ夫人役や『ハリー・ポッター』シリーズのベラトリックス・レストレンジ役が有名ですよね。なんとなく想像される通り、どこかぶっ飛んでいる役が多いのが彼女の特徴です。他にどんなのを演じているか、この記事でまとめました。ジョニー・デップも良い意味で変な役が多いけど、ヘレナだってそれに負けてないですよ!
Read Article
世界が選ぶ!SF映画ベスト100まとめ【洋画】
超現象や近未来的な世界観のSF映画。ユニークな世界観や予想だにしない展開が人気の理由の1つです。ここではそんなSF映画の中でも、特に人気を集める100作品をまとめました。『スター・ウォーズ』や『エイリアン』、『ターミネーター』など日本でも有名な作品もあれば、隠れた名作も見つかるかも?SF映画好きは必見です!
Read Article
初心者にもおすすめ!傑作ミュージカル映画まとめ
ミュージカル映画というジャンルの中には新旧・実写・アニメなど数えきれない名作、傑作が存在する。ここではふだんミュージカルを観ない人にもわかりやすくとっつきやすく、何より面白いミュージカル映画作品をランキング形式でまとめた。
Read Article
CMにサッカーの試合に使われまくる名曲「民衆の歌」の動画まとめ
「民衆の歌」はヴィクトル・ユーゴー原作のミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中歌として作られた曲で、ミュージカル映画でもエンディングテーマとして使われ、世界中に感動をもたらした。「民衆の歌」は『レ・ミゼラブル』に留まらず、テレビCMやフィギュアスケートの曲、サッカーの試合など様々な場所で使われている。
Read Article
ハリウッドの続編企画まとめ!『スター・ウォーズ』から『ターミネーター』まで一挙に紹介
映画産業で栄えるアメリカ・ハリウッド。『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ』、『トランスフォーマー』など「アメリカ映画といえばハリウッド」とも言われるほど、日本でもハリウッド映画は大人気ですよね!続々とヒット作を生み出すハリウッドですが、各作品の続編もどんどん公開されています。ここではハリウッドの続編企画についてご紹介します。気になる作品が見つかるかも?
Read Article
目次 - Contents
- 『チャッピー』の概要
- 『チャッピー』のあらすじ・ストーリー
- 『チャッピー』の主な登場人物・キャラクター
- チャッピー(声&モーションキャプチャー:シャールト・コプリー、日本語吹替:川島得愛)
- ディオン・ウィルソン(演:デヴ・パテル、日本語吹替:羽多野渉)
- ニンジャ(演:ニンジャ<ダイ・アントワード>、日本語吹替:高木渉)
- ヨーランディ(演:ヨ=ランディ・ヴィッサー<ダイ・アントワード>、日本語吹替:新谷真弓)
- ヴィンセント・ムーア(演:ヒュー・ジャックマン、日本語吹替:山路和弘)
- アメリカ(演:ホセ・パブロ・カンティージョ、日本語吹替:江川央生)
- ミシェル・ブラッドリー(演:シガーニー・ウィーヴァー、日本語吹替:日本語吹替:幸田直子)
- ヒッポ(演:ブランドン・オーレット、日本語吹替:天田益男)
- 『チャッピー』の見どころ
- 感情を持ったロボットの心情を描く斬新な設定のSFムービー
- 個性的ミュージシャン「ダイ・アントワード」のプロフィール
- 『チャッピー』の名シーン・名場面
- ニンジャにスラム街に置き去りにされ、気が沈むチャッピーと野良犬
- 隠れ家を急襲したムースに立ち向かうチャッピーやニンジャたち
- 『チャッピー』の名言・名セリフ
- 「ボク生きたい、ママといたい、死ぬのはイヤだ」
- 「ボクたちは黒い羊だね」
- 『チャッピー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『チャッピー』の元ネタである架空の会社のロボット警官CM
- 日本劇場公開版では、人体切断描写がカットされていた
- 『チャッピー』の関連動画
- 『チャッピー』日本版・予告編
- 映画『チャッピー』特別映像 "ダイ・アントワード"って何者だ!?