ぼくは明日、昨日のきみとデートする(ぼく明日)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」とは、2014年に刊行され、10~20代女性に絶大な支持を得た七月隆文の同名小説を原作とした映画。京都を舞台に、運命の恋に落ちる美大生の高寿役を今話題の福士蒼汰を演じ、謎めいた魅力を秘め、高寿が一目ぼれする美女のヒロイン役を期待の若手女優である小松菜奈が演じる。20歳の男女の30日という限られた期間の甘く切なくも美しい恋愛を描く。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の概要

映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」は、2016年12月17日に公開された。WEBサイト「読書メーター」の恋愛小説おすすめランキングで1位をキープし続け、10代から20代の女子に絶大な支持を得た七月隆文による同名小説が原作である。略称は「ぼく明日」。
監督は「アオハライド」や「青空エール」といった青春恋愛映画のメガホンを取る、三木孝浩。脚本はこちらも「ホットロード」や「アオハライド」などの恋愛映画を担当してきた吉田智子と、今までにも、多くの作品を作り出した三木と吉田コンビが再び手掛ける。
主題歌は、若い世代の女子から非常に人気が高く、ラブソングを多く作詞作曲しているスリーピースバンド「back number」を起用した。彼らは2011年4月にメジャーデビューをし、映画やドラマ主題歌、CM曲を数多く担当している。今作の「ハッピーエンド」も映画用に書き下され、美しいバラードとなっていて、作品を盛り上げている。

京都の美大生で一目ぼれをする主人公の高寿役を、端正なルックスで人気の「福士蒼汰」が演じる。そして、謎めいた魅力を纏い高寿から一目ぼれされることになるヒロインの愛美役を、様々な映画に多く出演している若手人気女優の「小松菜奈」が演じる。
美しい風景の京都を舞台に、切ない運命を背負い限られた時間の中で、全力の恋愛をするカップルを初主演の2人が演じる。20歳の大切であり、貴重な一瞬をきれいに描ききる。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のあらすじ・ストーリー

京都の美術大学に通う20歳の美大生、南山高寿(福士蒼汰)はいつものように通学電車に乗っていると、ドアの近くに寄りかかって本を読んでいる福寿愛美(小松菜奈)を見かけ、一目ぼれをする。電車を降りた愛美を追いかけて、勇気を振り絞って声をかけた高寿は、「一目ぼれしました。メアド教えてください」と言うが、愛美に「携帯持っていないので」と断られてしまう。諦めかけたその時、愛美は「違うの。本当に持ってないの」と言う。

そのまま、駅で少し話すことになる2人。会話をする中で、2人とも20歳の同い年であり、高寿は美大で「カートゥーン(新聞の風刺画)」を専攻していて、愛美は「美容師」を目指していることを知る。電車が来ると愛美は「もういかなきゃ」と言って立ち上がり、電車に乗り込もうとする。その愛美に高寿は「また会える?」と尋ねる。すると、愛美はなぜか突然、泣き出してしまう。そして、泣きながら「また会えるよ」「また明日ね」と言い残して去っていった。

次の日、学校の課題のために、動物園でキリンを写生をしている高寿の下に、突然、愛美が現れる。どうしてここで書いていることを愛美が知っているのか不思議に思う高寿に、愛美はここで写生していることを聞いていたと説明する。そして、高寿が書いていたキリンの絵を見て、「明日教室に張り出されるやつだ」と予言のように言うのであった。
愛美は宝ヶ池に行きたいと言い出し、行くことになる。実は宝ヶ池は高寿が5歳の時に溺れたことがある所で、女性に助けてもらった経験がある場所であった。そこで、愛美から下宿先の電話番号を教えてもらい、連絡先の交換をした。
高寿が自宅に戻ると、ルームメイトで親友の上山正一(東出昌大)が部屋にいた。上山にここまでのことを話すと、今すぐこの場でデートに誘うようにと、強引に電話をかけさせられる。押し切られた形で電話をかけたため、どうすればいいかわからない状態ではあったが、上山のアドバイスもあり、映画を見る約束をすることに成功する。

翌日、確かにキリンの絵は教室に張り出されていた。嬉しさに浸っていると約束に時間がせまってきていて焦る高寿。上山のアドバイスで、自分の好きなことを共有が出来るようにしておくために下見をすることになっていたのである。
高寿と愛美は、合流した後、喫茶店でゆっくりとした時間を過ごしながら談笑をした。趣味のインテリアの店も気に入ってくれたようだった。ただ、出店で愛美が選んだホットサンドの味に満足がいかず、もう一度食べなおすことになり、映画はギリギリになってしまう。
辺りも暗くなり、植物園のイルミネーションを見ながら、高寿は再度、愛美に告白をする。すると、愛美は後ろを向きながらまた泣いていた。愛美は「涙もろいし、結構わがままで食べ物で気分が左右されるよ」と言うが、正式に2人は付き合うことになる。

高寿の引っ越しに愛美がやってくる。上山が荷物を運んでくれて、そこで3人は自己紹介をしあう。荷物を運び終わり、荷ほどきをしている際に、名前の呼び方を「高寿くん」「愛美ちゃん」と呼ぶことになる。荷ほどきの途中で愛美が、カギのついた小箱を見つける。この小箱は高寿が5歳の時に助けてくれた女性からもらったものであり、その時、女性から「また会えるよ。その時一緒に開けよう」と言われていた。

付き合いだした2人は、ある日料理を作ることにする。材料から、カレーだと予測する高寿だったが、愛美に「秘密だよ」と内緒にされる。出来たのはビーフシチューであった。高寿は一口食べると実家の味と同じだと愛美に伝える。愛美は「隠し味にチョコレートいれたからね」というが、それは実家の隠し味と同じであり、不思議に思う高寿であった。

またある日、愛美に髪を切ってもらうことになる。そこで、今までは、「高寿くん」「愛美ちゃん」と呼ぶ所まで進んでいたが、呼び捨てでもいいかを愛美に尋ねると、またしても愛美は泣いてしまう。門限の12時がせまり、愛美が帰った後、愛美の忘れていったノートを見つける。悪いと思いながらも、中を見てみるとそこには未来の日付とその日ごとのデート内容が書かれていた。そして、日付はどんどん遡っていく。不思議に思う高寿に、愛美から電話がかかって来る。愛美は「私の忘れ物、もう見た?」と予測していたかのように言う。「私、高寿に隠し事してるの。明日の朝6時に高寿の教室に来て。あの箱、持ってきてね。」愛美はそう言って、高寿が返事をする前に電話は切れてしまう。

高寿は言われるがまま教室に向かう。そこで、愛美は奇妙な話を始める。話によると、愛美は並行世界の人間であり、高寿の世界とは時間の流れが逆の世界から来たと説明する。今までに、愛美が予言めいたことをいっていたのはこれが理由であった。0時を境に切り替わる。愛美の世界から高寿の世界には、5年に1度、それも30日間しか来ることが出来なかった。そして、5歳の時に高寿が宝ヶ池で溺れた際に助けてくれた女性は、35歳の愛美であったことを、愛美から明かされる。また、愛美も以前に爆発事故に、巻き込まれそうになった経験があり、この時に35歳の高寿に助けてもらった。これが愛美の初恋であった。
そして、持ってきた小箱のカギを愛美が取り出す。なぜなら、10歳の時に、高寿に小箱を渡したのが30歳の愛美であったからだ。箱を開けると中には高寿の家族と愛美が映った写真が入っていた。
時間が逆に進んでいくということは、思い出の共有が出来ないということであった。高寿は恋人になり、これから思い出を積み重ねていくが、一方で愛美は恋人から、徐々に他人になっていくのであった。

愛美から秘密を明かされた翌日から、高寿はデートをしていても違和感が拭えない。徐々に2人の間の記憶がずれ始め、それに耐えられない高寿はデートの途中で愛美の静止も振り切り、帰ってしまう。
これから少しずつ気持ちが離れていってしまうことがわかっているのに、デートを積み重ねていこうとする愛美の気持ちがわからない高寿は、上山に相談するがすっきりしない。しかし、ふと今までのことを思い返し、おかしなタイミングで愛美が泣いていたことに気づく。高寿にとっての初めては、愛美にとっての最期であった。
これに気づいた高寿はさっそく、愛美に電話をする。「明日の君に、酷いことを言うけどもう乗り越えたから。君にとっての昨日、デートをしよう。」と高寿は伝えた。その日から、あの手帳の通りにデートを進めていくのであった。

デートを進めていく中で、高寿は地元へと愛美と一緒に戻って来る。帰ることは事前に伝えてあったため、父親はぶっきらぼうであったが、母親は歓迎し、その日の夕飯はビーフシチューであった。この時に愛美は母親から、隠し味のチョコレートを教えてもらっていたのであった。
そして、夕食後に例の記念写真を撮った。

ついに、最終日を迎えた2人は、高寿の美大に行き、愛美をモデルに高寿が肖像画を描くことにしていた。しかし、愛美にとってはこれが1日目であり、当然緊張した面持ちだった。愛美の緊張をほぐすために、積極的に話しかける高寿に対し、愛美もこれから起こる30日間のことを積極的に聞いていく。
夜、2人はホームにいて、最後の時間を惜しむように過ごした。高寿は愛美に「僕たちはすれ違っていない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつなっがているんだ。2人で1つの命なんだ。」と伝え、24時ちょうどに、愛美はいなくなってしまった。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の登場人物・キャラクター

南山高寿(演:福士蒼汰)

京都の美大に通う20歳の大学生。本作の主人公で通学電車内で一目ぼれをする。将来の夢はイラストレーターか作家。恋愛には奥手で、自分から積極的に行動に移すことが苦手。5歳の時に宝ヶ池で溺れた過去があり、その時に愛美に助けてもらった。寮に住んでいたが、作中に引っ越しをして、一人暮らしになる。実家は自転車屋を営んでいる。

福寿愛美(演:小松菜奈)

美容専門学校に通っている20歳。将来は美容師を目指している。結構、わががまな性格であり、食べ物で気分が左右される。涙もろい。高寿とは、違う世界から5年に1度しかできない旅行で来ている。あるお祭りの夜に、爆発事故に巻き込まれそうになった経験があり、35歳の高寿に助けてもらった。その時が、愛美の初恋であった。

上山正一(演:東出昌大)

高寿と同じ大学で親友である。一緒の寮の部屋に住んでいて、高寿に恋のアドバイスをし、付き合うきっかけを作った。非常に社交的で友達も多く、恋愛についても詳しい。高寿にとって良い相談相手でもある。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の見どころ

デートシーン

映画の大半は、高寿と愛美のシーンになっている。京都の有名な観光地をデートで周る様子が多く描かれていて、その際の空気感が非常に自然な様子が伝わってくる。アドリブで演じた部分も多くあったとのことだが、とても自然体に演じられていた。

SF設定

今作は、タイムリープの設定が組み込まれている。2人は同じ時間を生きることができず、すれ違っていくという仕組みを理解した時の感動が魅力。1度見ただけで完全に理解することは難しいかもしれないが、わかった時の切なさは大きい。また、視点を変えてみることで新たな発見に見つかるような内容となっている。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の名シーン・名場面

ラストシーン

1iPato_poti1212
1iPato_poti1212
@1iPato_poti1212

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