ミステリと言う勿れ(田村由美)のネタバレ解説・考察まとめ

『ミステリと言う勿れ』とは田村由美により『月刊フラワーズ』2017年1月号に読み切りとして掲載され、2018年1月号より連載を開始したミステリー漫画である。2022年1月より、菅田将暉主演でテレビドラマ化された。心理学を学ぶ大学生・久能整(くのうととのう)が様々な事件に巻き込まれ、会話から事件の本質をあぶり出していく。ミステリー漫画でありながら、謎解きよりも登場人物の悩みを解決することに重きを置いており、整が話す内容に読者は共感したり既成概念に疑問を持つこととなる。

汐路は自分が朝晴に父親のことを話したせいで、父親達が死んだことを知りショックを受けていた。そんな汐路に整がカウンセリングを勧めるも「わたしどこもおかしくないもん」と拒否されてしまう。
整はアメリカでは人の弱さが認められているが、日本ではあまり弱さが認められていないとして、「弱くて当たり前だと誰もが思えたらいい」と汐路に弱いことは恥ずかしいことではないと伝えた。

このセリフは、弱いことをいけないことだと思っている人が多い日本人に考え方の変化を促す名言である。

整「サラツヤにしたからといってイケメンになるわけではない」

天然パーマの整は、ストレートヘアーに憧れを抱いていた。テレビ通販でどんな癖毛でもストレートになるというヘアアイロンを購入し、苦労してストレートヘアーになる。しかし憧れのストレートヘアーになった自分を鏡で見た整は「サラツヤにしたからといってイケメンになるわけではない」と気付く。そしてヘアアイロンはすぐに返品された。

このセリフは、憧れている姿になれたからといって必ずしも素敵になれる訳では無いということに気付かされる名言である。

天達「人に会い人を知りなさい それは自分を知る旅だよ」

整はライカと出会い自分の考えが変わってしまったことを悩む。食事等の代金は折半が当たり前だと思っていた整が、ライカに対して奢りたいと思った。そのことを大学の教授であり、幼少期からの恩師でもある天達に相談する。そんな整に天達は「人に会い人を知りなさい それは自分を知る旅だよ」と言う。
天達は整に人と出会い考えが変わることは悪いことでも、恥ずかしいことでもないと伝える。

このセリフは、変わることに困惑している人に寄り添うような優しい名言である。人と出会い考えることは、すなわち自分を知ることでもある。

整「向いてるから教師になりたいわけではないです」

整の将来の夢は、教師である。アルバイトも部活動もしたことが無い、人付き合いが不得手な整を同級生の相良は教師に向いていないと評した。そんな相良に整は「向いてるから教師になりたいわけではないです」と答える。
天達からは自分に苦手があることを認識している教師は生徒の苦手を理解できるとフォローされる。

このセリフは、「したいこと」と「出来ること」の違いに気付かされる名言である。将来の夢は「出来ること」ではなく、「したいこと」だ。

整「役割じゃなくて名前で呼んでほしいって」

鳩村家の家庭教師をしている整は、亡くなった双子の母である一葉が母親から「お姉ちゃん」と呼ばれていたことを知る。そのことを整は鳩村家の家政婦である詩に「役割じゃなくて名前で呼んでほしいって」と溢す。そんな整に詩は「わかるわ」と肯定する。詩も親から「お姉ちゃん」と呼ばれていたため、夫から「詩さん」と呼ばれた時が嬉しかったと明かす。だが歳を重ねた詩は、名前で呼んでくれる人は増える可能性があるが「お姉ちゃん」という呼び名は家族が死ぬと無くなってしまうと言う。それは一人っ子の整には無かった視点で、整は自分の未熟さを認識する。

このセリフは、親から役割で呼ばれている人が共感出来るセリフである。だが、その後の詩のセリフで新しい視点を与えられる。

『ミステリと言う勿れ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

広島弁の監修は友人で声優の佐々木望

広島編で登場人物達が話している広島弁は、田村が佐々木に状況やセリフを送り広島弁に直して貰っていた。

下書き中に中島みゆきの楽曲を聴く田村由美

田村由美は漫画の下描きをする際、中島みゆきの楽曲を聞いている。そのことを知っていた編集者の取り計らいで、『ダ・ヴィンチ』2020年3月号の中島みゆき特集に「空と君のあいだに」をイメージしたイラストとコメントが掲載された。

1カ月の電子版の売り上げが小学館の歴代最高を記録

2021年7月の1カ月の電子版の売り上げが、小学館の歴代最高を記録した。

『ミステリと言う勿れ』の主題歌・挿入歌

主題歌:King Gnu「カメレオン」

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