Free!（フリー）のネタバレ解説・考察まとめ

最後の全国大会、そして卒業

遥や真琴にとっては高校生で最後の全国大会が始まった。遥、真琴、渚、怜のメンバーでリレーに出場できる最後の大会である。これまでにないほどに充実した気持ちで大会に挑む4人。結果は6位であったが、自分たちの持てる力を出し切った4人には、結果など関係なかったのである。

岩鳶高校は卒業式を迎えた。遥と真琴は東京の大学へと進学する。遥は競泳で世界を目指すためである。怜は、水泳部の部長を引き継いだ。渚は水泳と勉強の両立を目指し、赤点の教科を克服しようと頑張っている。そして凛は、恩師のもとで世界を目指すことを決意し、オーストラリアへと渡航したのだった。

Free!-Dive to the Future-（第三期）

桐嶋裕也（きりしまいくや）の行方

東京の燈鷹（ひだか）大学へと進学した遥は、そこで岩鳶中学の友人であった椎名旭（しいなあさひ）と再会した。遥は旭とともに燈鷹大学水泳部へと入部する。その水泳部の部長は、元鮫柄学園水泳部部長・御子柴清十郎（みこしばせいじゅうろう）であった。一方、真琴は遥とは違う東京の大学でスポーツ教育科へと進学し、指導者としての道を歩み始めていた。

旭は真琴に連絡を取り、旭の姉が経営する喫茶店で落ち合った。お互いの近況を報告するためである。集まったメンバーは、遥、旭、真琴、そして遥と同じ大学へ通う鴫野貴澄（しぎのきすみ）であった。中学時代のアルバムを見ている内に、4人は同じ水泳部だった桐嶋郁弥（きりしまいくや）を思い出していた。

郁弥は、岩鳶中学の水泳部のメンバーであり、大会での敗戦を機に学校で合宿を行った仲でもある。合宿の夜、遥は、郁弥が彼の泳ぎに憧れていることを聞く。そして、いつか遥とフリーの勝負がしたいというのである。遥が勝負を約束すると、郁弥はきらめく流星群に向かって、何かを願うのだった。しかし、その願いは叶わない。その年の秋にチームが解散してしまったのである。遥が凛を傷つけたと誤解して水泳部をやめ、旭が親の都合で転校してしまったためだ。その後、郁弥とは連絡が取れていない。

故障していた肩の調子が戻ってきた宗介は、岩鳶高校と鮫柄学園の合同練習に参加していた。そこで渚から、遥が郁弥と連絡が取れないと言っていることを耳にする。宗介は以前、水泳大会で郁弥を見かけたことがあった。渚はそのことを遥に伝える。そして、ついに遥は大学水泳新人戦の選手名簿から、郁弥の名前を見つけ出したのだった。

郁弥は、霜狼（しもがみ）大学から新人戦に出場していた。遥は、霜狼大学の人たちに郁弥の行方を尋ねてみる。しかし、郁弥の友人である遠野日和（とおのひより）がわざと会わせないように邪魔をしていたのだ。そのころの郁弥は、精神的に不安定な状態にあったのである。ところが、遥は郁弥と偶然に出会ってしまう。昔話をしようとする遥を無視するような態度をとる郁弥。聞き出せたのは、個人戦に出場するということだけであった。

郁弥と遥、そして日和の事情

オーストラリアにいる凛は、ミハイル新コーチの元で世界を目指していた。そこに、郁弥の兄である桐嶋夏也（きりしまなつや）が姿を見せる。夏也はミハイルに師事したくてオーストラリアに来たのだが、断られてしまったというのだ。夏也と食事をする凛は、郁弥の不調の話を聞かされた。郁弥は岩鳶中学水泳部でのチーム解散後、夏也と一緒にアメリカに渡っていたのだ。そこで練習に無理を重ねたために酸欠を起こして溺れ、精神的に大きなダメージを負って入院したのだという。しかし、退院後は人が変わったように強くなり、チームを嫌って個人で戦うようになったとのことであった。

その頃、遥たちは郁弥が自主練をしている霜狼大学を訪れていた。その時に、遥は東龍司（あずまりゅうじ）と出会うのである。のちに遥は、フリーとリレーだけでは郁弥と勝負ができないと知り、水泳のコーチであった龍司に指導を仰ぐことになる。

日和は、遥たちを郁弥に合わせないように画策していた。郁弥は遥と偶然に出会ってから、泳いでいる最中に酸欠を起こすほど調子を崩していたのである。郁弥に会いたければ自分に勝ってみろといわんばかりの日和の態度に、同じ種目である真琴が勝負することになった。結局、真琴は日和にタッチの差で負ける。当然、郁弥には会わせないという日和。しかし、真琴の実力を認めて、アメリカで郁弥に起こったことを話してくれたのである。

また、日和は子供時代に郁弥と出会っていた。引っ込み思案で友達も作れなかった子供時代の日和は、人に好かれようといつも上辺だけの笑顔を作っていた。そんな日和を、同じ水泳クラブに所属していた郁弥が誘い、一緒に泳ぐようになったのだ。日和は、郁弥によって救われ、本物の笑顔を取り戻したのである。

新人戦での勝負、それぞれのヒーロー

新人戦大会当日も、相変わらず調子の悪い郁弥であった。しかし、隣のレーンで泳ぐ遥の姿を見て、変わったのは遥ではなく自分なのだと気づいてしまう。仲間から置いて行かれてしまうと思い込んだ郁弥は、1人で強くなる道を選び気持ちを紛らわしていた。しかし、大事なのは仲間のために強くなることだったと気づいたのである。これにより、郁弥の泳ぎは目に見えて変化していった。

勝負の結果は郁弥の勝利で終わる。そして、勝負の後に遥と郁弥は「おかえり」「ただいま」と声を掛け合ったのだ。やっと約束を果たせたことに安堵する遥。その様子を見て、約束を覚えてくれていたことに気づいた郁弥は、感極まって遥に抱きついたのだった。
郁弥は、遥を自分のヒーローだと考えていた。そして、自分もヒーローになりたかったと語る。

そんな郁弥の様子を見ていた日和は、もう自分は必要ないと感じていた。その郁弥は、チームのキャプテンからリレーの選手に誘われている。すると郁弥は、日和をチームメイトにすることを条件に申し出を受けたのだ。そして、「一緒に泳ごう」と日和を誘うのだった。

リレーの試合後に微笑む日和を見て、郁弥は子供の頃に勇気を出して誘った子が、日和のような素敵な笑顔を見せてくれたことを話す。その話を聞いた日和は、その子が自分であることに気づくが黙っていた。そして、きっと郁弥はヒーローで、その子は郁弥に救われたのだろうと答えるのだった。

全日本選抜大会、そしてこれから

全日本選抜には、遥、旭、郁弥、日和、そして凛が出場を決めていた。そして、高校水泳全国大会の熱い試合が行われた後、ついに全日本選抜大会が開催されたのである。

郁弥と夏也の兄弟対決は郁弥が勝利し、旭と日和が参加したレースでは鳴武大学の金城楓（きんじょうかえで）が大会記録を出して単独トップとなった。凛はバタフライで基準タイムをクリアしたが2位にとどまる。遥はスタートで出遅れて、3位という不本意な結果となってしまった。

大会3位という結果で終わった遥は、コーチの東から「何かを捨てなければ強くなれない」とアドバイスされる。しかし、大切なものは何も捨てたくない遥は、自分には世界を目指す資格はないのかと悩み始めてしまう。そこで、真琴と凛に相談すると、悩みなど吹き飛ばされるほど励まされた。遥は迷いを振り切り、世界を目指す夢を追い続けることを決意する。遥と凛は全日本選抜最後のレースであるフリー100mの舞台に立っていた。そして、未来を見据えながら、すべての迷いを置き去りにするような勢いでレーンに飛び込むのであった。

『Free!』の登場人物・キャラクター

主要人物

七瀬 遙（ななせ はるか）

CV：島﨑信長、松元惠（小学生時代）

本作の主人公。身長175cm、体重63kg、誕生日6月30日、かに座。
岩鳶高校水泳部副部長。イメージはイルカ。種目はフリー。
泳ぐ事が好きで、特に水の中にいることが好き。泳ぐ姿は人を惹き付ける魅力がある。
競泳の才能があるが、勝敗やタイムには興味がなく、種目はフリーしか泳がないという独自のこだわりを持っていたが、水泳部設立後は仲間と泳ぐリレーの楽しさを思い出す。
一期以降フリーとリレーを泳ぐようになるが、三期では他の種目にも出た。
競泳で世界を目指す事を決心し、そのために東京の大学を選び水泳部に入部し、現在は東をコーチにつけている。
手先が器用で絵が上手い。陸上競技はフォームは綺麗だが、足は遅い。
マイペースな性格で口数が少ないが、他人を気遣う優しさを持つ。精神的に弱いところもある。
口下手であるがためにコミュニケーション不足になりがちで、それを幼馴染で親友の真琴にフォローして貰っている。そのため、真琴には感謝している。
水が大好きで、水の中にいたいがために朝から水風呂に浸かっていたり、いつでも泳げるように常に海パンを穿いている。
無類の鯖好きで、朝から鯖を焼いたり、食事に行っても鯖定食を探す。メロンパンなどの口の中の水分を取るものは嫌い。
高校の時は親が単身赴任しているため一軒家に一人暮らしをしており、大学へ入学してからは東京のアパートを借りて一人暮らしをしている。
どちらも真琴が近くに住んでおり、世話を焼かれている。
凛とはお互いに意識し合うライバル関係にある。

小学校時代にスイミングクラブが同じだった真琴・凛・渚とリレーチームを組む。
中学時代は真琴・旭・郁弥とリレーチームを組むが、凛と水泳勝負して勝ったことで凛を傷つけたと思い込み、水泳を辞める。
高校時代は渚と再会した事で真琴と三人で水泳部を作り入部する。
凛と和解し、競泳で世界へ行くという夢を見つけ燈鷹大学へ進学。水泳部に入部し、東をコーチにつけた。

橘 真琴（たちばな まこと）

CV：鈴木達央、雪野五月（小学生時代）

身長183cm、体重73kg、誕生日11月17日、さそり座。
岩鳶高校水泳部部長。イメージはシャチ。種目は背泳ぎ。
幼馴染で親友の遙の良き理解者で代弁者でもある。
面倒見がよく、いつもみんなを温かく見守っている。特に極度にマイペースな遙の世話を焼くシーンが多く見られる。
逞しい体格に反して怖がりな一面があり、ホラー映画などを見ると遙の後ろに隠れる。
幼い頃は遙達と同じくらいの背であったが、中学時代あたりから背が伸びて体格が良くなっている。
幼少期に近所に住む老漁師に懐いており、金魚を貰うが死んでしまい庭に埋葬している。
その老漁師が海難事故に遭って死亡したことで海にトラウマを持ち、さらに幽霊のような物を見た経験があるため幽霊が怖い。
トラウマをずっと隠していたが、合宿中に遙・渚・怜にトラウマを告白したことで和らいだ模様。
その後、縁日の日に遙からずっと側にいてくれることへの感謝の気持ちで金魚をプレゼントされ、受け取っている。
スイミングクラブでコーチのアルバイトをしたことで子供に水泳を教える喜びを感じ、水泳選手ではなく水泳を教える側になる決意をし、東京の大学へ入学。
遙とは違う大学であるが、遙と同じアパートに住み、これまでのように交流し世話を焼いている。
遙にとっては真琴は小学生・中学生・高校生・大学生とずっと側にいる親友であり、自分の理解者である事を理解し感謝している。
現在は遙を「はる」と呼ぶが、幼少期に遙を「はるちゃん」と呼んでいたため、今でもたまにはるちゃんと呼んでしまう。
家族は両親と弟と妹がいて、子供の面倒を見る事に長けている。

松岡 凛（まつおか りん）

CV：宮野真守、渡辺明乃（小学生時代）

身長183cm、体重73kg、誕生日11月17日、さそり座。江の兄。鮫のようなギザギザの歯が特徴。
一期二期では鮫柄学園の水泳部、三期ではオーストラリアへ行った。イメージは鮫。種目はバッタとフリー。
小6の冬に佐野小学校から遙たちの通う岩鳶小学校へ転校。その後、岩鳶スイミングクラブにも入り、遙たちと水泳仲間となる。
フリーにしか興味が無かった遙を「見たことのない景色を見せてやる」と言ってリレーに参加させた存在。
中学校進学を前にオーストラリアへ留学していたが、高校二年の時に水泳強豪校の鮫柄学園へ編入。寮暮らしを始める。
小学生時代は明るい性格だったが、沢山の挫折を経験し、冷淡な態度で接する性格に変わり遙達の前に戻ってきた。
しかし遙たちと泳いだ事で険のある態度がなくなり、前のような明るい性格に戻る。見た目に反してロマンチストな面がある。
父親は岩鳶スイミングクラブの一期生で、将来の夢はオリンピックの選手になることであった。
結局オリンピック選手にはならず漁師になったが、凛が幼い頃の海難事故（真琴のトラウマと同じ事件）に巻き込まれて亡くなっている。
宗介とは佐野小学校で出会い親友兼ライバルになり、鮫柄で再会する。
宗介が怪我から完全復帰したらまた一緒に泳ぎたいと思っている。
遙とはライバル関係にあるが友情もあり、進路が決まらず途方に暮れていた遙をオーストラリアへ連れて行った。
真琴とはやさぐれていた頃から連絡を取り合っており、真琴のトラウマの件も知っているなど、遙と真琴・遙と凛真だけではなく真琴と凛の友情も成立している。
オーストラリアで出会ったミハイルをコーチにしている。

葉月 渚（はづき なぎさ）