アカギ〜闇に降り立った天才〜(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

福本伸行による麻雀漫画。「別冊近代麻雀」(1991年7月号)にて連載開始。その後「近代麻雀」に移行した。「天 天和通りの快男児」に登場する「伝説の雀士」赤木しげるを主人公とするスピンオフ作品。若き日のアカギが不良グループ同士の抗争事件の後、身を隠すためまぎれ込んだ雀荘で麻雀と出会い、幾多の名だたる代打ち雀士たちとの勝負を経て、究極の敵、鷲巣巌との決戦に至るまでが描かれる。

フリー雀荘の賭け麻雀で生計を立てる男。九州弁を喋る。
アカギの噂を聞きつけ、仲間とともに通し(サイン)や牌の送り込みを用いて勝負を挑むも、アカギにその通し(サイン)を読みきられ敗北。アカギとは住む世界や生き方が根本から違うことを語り、ついて行こうとする治を引き止めた。
アニメ未登場。

川島(かわしま)CV:黒田崇矢

玩具工場における治やアカギの先輩。丸眼鏡をかけている。
仲間二人との通し(サイン)やすり替えなどを駆使したイカサマ麻雀で新入社員の給料を巻き上げていたが、アカギとの勝負に完敗。全財産を失い、暴力で取り戻そうとするも返り討ちに遭う。

『アカギ〜闇に降り立った天才〜』のあらすじ・ストーリー(鷲巣編)

1965年(昭和40年)ある猟奇事件が世を騒がせる。山中に埋められた状態で発見された男性の死体。死因は失血死。しかし外傷は腕にぽつりと残った一点の注射痕のような小さな傷のみだった。当初世間は吸血鬼かと騒ぎ立て、そしてほどなくして忘れていった。この事件がアカギ最大の決戦の入り口となる。判明する遺体の身元。平原幸雄、ニセアカギだった男の名前である。
事件の発端はある老人の歪んだ嗜好だった。戦前はエリート官僚として、そして戦後は経営者として成功を収め続け、「昭和の王」とまで呼ばれるようになった鷲巣巌。しかし彼は老境に至り老いと死への絶望から、前途ある若者が崩壊していく様を愛でることに愉悦を見出すようになる。
仰木と安岡は今回の事件もみ消しで大幅に弱体化した鷲巣の残りの資産5億円(現在の価値で約50億円)を奪うため、倉田組から救出したアカギを最強の刺客として送り込む。自身の血液を点棒に換え「鷲巣麻雀」全6回戦の勝負が始まる。

1回戦

序盤は安岡とのコンビで無難な和了からスタートするアカギだったが、徐々に鷲巣の剛運に押される展開に。しかし、鷲巣のサポート役の手牌に第二の河を発見し、鷲巣の余り牌に照準を合わせ始めるなど徐々に本来の洞察力を見せ始めながら、ついに最終南4局では鷲巣の指示で鈴木が切ったロン牌を見逃し、安全を確認したはずの鷲巣から山越しで直撃を討ち取り逆転トップ。次戦に向けて当然血液を補充するものと思いきや、鷲巣に対し希望を持たせ続けるためにこれを拒否。2回戦に望む。

ここまでの赤木の失血量:600CC。

2回戦

鷲巣の満貫ツモで開局するもアカギは跳満直撃で応酬。その後も流れに乗った和了を重ね、アカギ9200点リードで南4局を迎える。ドラを手中に置いたまま3フーロし、聴牌気配の鷲巣。振り込めばもちろん、鷲巣の満貫ツモでも即死亡が確定する窮地で、安岡の差込も確定しないままアカギはリーチを慣行。出したリーチ棒1000点により鈴木からの差込でも逆転条件を満たすようになった鷲巣に間髪入れず差し込む鈴木。が、牌を倒すもアカギが頭ハネのロン。鷲巣のロン牌を読みきった上で待ちを合わせたアカギが和了を拾い、再びトップをさらう。

ここまでの赤木の失血量:1100CC。

3回戦

先制はアカギ。流れはアカギかと思われたその直後、鷲巣からドラ3枚の満貫以上が確定のリーチ。さらにその後鈴木による援護の槓と自らの暗槓により、まさかの和了ればドラ12の数え役満が確定する手に膨張する。アカギの手からあふれるロン牌に歓喜しながら手を倒す鷲巣だったが、またもやこれもアカギの狙い通りの差込み。静かに聴牌していた安岡が手を倒し頭ハネ。これに動揺した鷲巣は堰を切ったようにアカギに振り込み続け、そのまま3回戦を終える。

ここまでの赤木の失血量:1100CC。

4回戦

鷲巣は3回戦のショックを引きずったまま立ち直ることなくアカギに勝利を譲り渡す。作中での4回戦の描写はわずかに1コマだった。4回戦終了後、意気消沈する鷲巣にアカギはここまで抜き取った自らの血液を破棄することを宣言し、挑発。鷲巣は気力を取り戻し、さらに隠し資産1億円を追加投入し5回戦へ向かう。

ここまでの赤木の失血量:1400CC。

5回戦

気力を取り戻した鷲巣はここから狙いをツモによる血液採取に変更。
迎えた東4局、振込み覚悟で聴牌を維持する安岡が切ったロン牌を鷲巣は和了らず大明槓。不意に舞い降りた天恵に従って作り直した手は、3200点の三暗刻から役なしの聴牌へ。そのままではハイテイでしか和了れない手だが、これに不穏なきな臭さを感じ取った赤木は早々に局を終了させるべく聴牌していた安岡に差込むも、安岡は自身の倍満の直撃がアカギの順位争いに不利に働くと判断し、アカギの意に反し和了を拒否。アカギに失点させず、かつ鷲巣のハイテイをずらすチーを敢行する。が、これが致命的な裏目。ハイテイをずらされ和了り目が消えたと思われた鷲巣は、手の中に暗刻の5筒を自力で引き寄せ暗槓。その槓で新ドラを4枚乗せた上リンシャン牌でハネ満をツモる。
この和了によってアカギは600CCの採血を強いられ、昏倒。失血が致死量の2000CCに至り万事休すかと思われるも、奇跡的に復活。事前に許容量の上限500CCまで自身の血液を輸血していたことを明かし、勝負を再開する。
奇跡的に生還したアカギは続く南一局では倍満を、そして南四局の親番でも3900点を鷲巣から直撃しトップを確定させたかと思いきや、まさかの連荘を選択。暴挙かと思われたが、実は狙いは直撃のボーナス払いによる鷲巣の現金狙い。5回戦開始時には2億円以上あった資金がこの半荘繰り返された直撃により、既に残り2000万円余り、親の満貫直撃で尽きる状態であることが判明する。
結果、鷲巣は緊急避難で鈴木に差込み、半荘を終わらせる。辛うじて資金を残したまま6回戦へと進む。

ここまでの赤木の失血量:2000CC。

6回戦

5回戦までで鷲巣の資産6億円のうちほぼ全てを手中に収めたことに沸き立つ一同だったが、アカギだけは5回戦で殺し損ねたことに危うさを感じつつ6回戦に臨む。
開局早々連続でチャンス手を入れる鷲巣に対して安岡への差込みや懇親のブラフでかわしていくも、流れの悪さを感じ取るアカギ。
そして迎えた東3局鷲巣は13枚中10枚まで字牌という驚愕の配牌を手にする。字一色の役満への警戒から字牌を徹底的に絞るアカギ陣営。それに対応し、鷲巣は3枚持っていた南を一枚外しチートイツに路線変更する。そのことに安堵し、安岡は留めていた東を切るがこれが痛恨のミス。すぐさまその牌をポンし、先に切ったばかりの南をすぐさま鈴木からポンし直す鷲巣。瞬く間に字一色を聴牌し鈴木の差込で役満和了、と思いきや和了を拒否しまたしてもその牌をポン。フリテンの裸単騎に受け直しツモでアカギを殺しにかかると、今度は字一色だけでなく小四喜まで追加される北をツモりダブル役満を張り返す。差込む鈴木の牌をいったんは見逃そうとするが、アカギの圧力により無意識のうちに和了。この局でアカギを殺すことはできなかったが、親のダブル役満96000点の圧差をつけることに成功する。
国士無双のブラフやまさかのピンフのみのリーチなど、じわじわとアカギならではのやり方で流れを取り戻しつつ、迎えた南1局アカギの親番、大三元にも受けれる手を拒否し小三元の親満を鷲巣から直撃する。ダブル役満での点差を詰めることが困難と見るや、直撃による資産枯渇による勝利へと焦点を絞る。そして連荘1本場チートイツと見せかけた面子手で再び鷲頭から親満を討ち取り、ついに資金が枯渇。ここからは鷲巣も自身の血液を賭けたデスマッチへと突入する。続く連荘2本場では5800点、3本場では2000点を直撃され立て続けに採血されるが、迎えた4本場でついにアカギの親を流すことに成功する。
この流れそのままに続く南2局で鷲巣はハネ満をツモりあげ、久しくなかったアカギからの採血へと至る。300CCの血液を抜かれ瞬間的に気を失うが、ぎりぎりの状態で再び生還。生の実感を口にするするアカギ。
南3局混一色気味に仕掛けるアカギに、ベタ降りする鷲巣という構図が終盤続く。安牌に窮した鷲巣が北の暗刻落としをすることを確信したアカギは、まずは3200点の時点で出たロン牌の北をスルー。次順ドラと振り替え6400点に昇華させたところで出た鷲巣の暗刻落としの2枚目もさらにスルー、そして安岡がチーしたことで流れたハイテイで打たれた最後の北でついにロン。満貫を討ち取る。これにより鷲巣の失血量は1900CCに達し、昏倒。舞台を「地獄」へと移す。
その後、通常時ですら神懸かっている剛運が極限まで高まった状態で地獄の幻想から舞い戻った。

ここまでの赤木の失血量:2300CC。

主要登場人物・キャラクター(鷲巣編での初登場キャラ)

鷲巣巌(わしず いわお)CV:津嘉山正種/演:津川雅彦(TVドラマ「アカギ」)

卓越した先見性と頭脳、そして神懸かり的な剛運をもち、「昭和の怪物」と呼ばれる。アカギが唯一同類と認める究極の敵。
旧帝大を卒業後内務省に入り、その後現在で言うところの警視庁クラスまで昇りつめるなどエリート街道をまい進するも、ミッドウェー海戦を機に日本の敗戦を予見し退職。敗戦後起こるであろう戦犯追及の動きを市井の一人となることで回避した後、当時誰もがまだその発想すら抱かなかった時代にいち早く経営コンサルタント会社「共生」を設立。内務省時代に掴んだコネやスキャンダルを駆使して巨財と絶対的な権力を築き上げ、日本の政治、経済界を支配する「闇の王」となる。
しかし老境に至り、老いと死への絶望から精神が破綻。独自に考案した「鷲巣麻雀」で若者が敗れ死に絶える様を見ることを最高の愉悦とするようになる。
歴戦の強者に比肩するほどの目立った雀力こそあるわけではないが、手練れの者がミスに乗じて攻めようともそのことをものともしない圧倒的な剛運が何よりの武器。剛運による好配牌とツモをベースにする麻雀はアカギとは対極に「太陽」や「ホワイトホール」と銘打たれる。
致死量に達する1900CCの採血の際には、負けを認め金だけで済ませようと説得する白服たちに対し、取り決めを反故にすることこそ鷲巣巌の死であるとして採血を強行。その後失血の影響で昏睡状態に陥り、地獄で鬼たちならびに閻魔大王を成敗する幻想を見た後、アカギを倒すという強い一念により奇跡的に復活。
地獄から舞い戻った後は通常時ですら神懸かっている剛運が極限まで高まり、アカギをして最強の存在と言わしめる。この段階からアカギは鷲巣を格上として認識しており、もはや神そのものと評される。

仰木武司(おおぎ たけし)CV:二又一成/演:田中要次(TVドラマ「アカギ」)

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