ジョーカー・ゲーム(ジョカゲ・Joker Game)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョーカー・ゲーム』とは、柳広司による日本の短編ミステリー・スパイ小説および、それを原作とした漫画、アニメ作品である。「D機関シリーズ」と呼ばれている。2016年4月から6月までAT-X、TOKYO MX他にて放送された。第二次世界大戦前の帝国陸軍内に結城中佐によって、秘密裏に設立されたスパイ養成部門「D機関」。アニメでは、そのD機関員たちが世界で暗躍する全12話のストーリーが描かれている。

ドイツとソ連の二重スパイ。D機関の小田切の監視対象だったが、安原ミヨ子に殺害される。劇団員野上百合子と交際していた。

野上百合子(のがみゆりこ)

CV:中原麻衣

劇団員の女性。ソ連とドイツの二重スパイであるカール・シュナイダーと交際していたが、安原ミヨ子に嫉妬される。D機関員の小田切にとって親がわりに育ててくれた「ちずねえ」に容姿が似ている。シュナイダーが亡くなり、安原ミヨ子が逮捕されたあと、満州へと渡る。

安原ミヨ子(やすはらみよこ)

CV:坂本真綾

野上百合子が所属する劇団の後輩。シュナイダーと百合子が関係をもっていることに嫉妬し、シュナイダーを殺害する。

『ジョーカー・ゲーム』の用語

D機関

昭和12年秋、帝国軍人結城中佐によって陸軍内に設立されたスパイ養成機関。受験者は経歴、氏名、年齢などが一切極秘事項として扱われ、数カ国に及ぶ外国語の取得、医学、薬学、物理学、通信技術、プロのすり、金庫破りの常習犯による実技指導、ジゴロによる女性の口説き方などを様々な技術が求められる。しかし、陸軍士官学校の卒業生ではなく、帝大などの一般の大学を卒業している若者たちで最終的に8人の学生が残る。
D機関の学生たちがいる寮には門限はなく、夜遊びは各人の自由である。三好、神永、小田切、甘利、波多野、実井、福本、田崎の8人の学生たちは互いに偽名を名乗り、偽の経歴を答える。
D機関には「死ぬな、殺すな、とらわれるな」という絶対戒律がある。これは設立者である結城中佐の「スパイの本質は見えない存在となってその国の情報を集め、本国に送る仕事に従事する事。殺人及び自決はスパイにとって最悪の選択肢だ。平時に人が死ねば、必ずその国の警察が動き出す。考えるまでもなくスパイが人を殺し自決するのは馬鹿げている」という考えからきている。

風機関

D機関の存在を忌み嫌う風戸哲正中佐及び陸軍上層部によって設立された帝国陸軍の精神を備えた軍人中心の諜報機関。D機関は民間人を起用しているのに対し、風機関は天保銭組と呼ばれる陸軍のエリートから組織されている。親英派で英国外交官を務めたことがある白幡樹一郎が陸軍の最高機密である「統帥綱領」を盗読した疑いがあるとし、白幡が統帥綱領を盗読した証拠をD機関よりも先に掴めば風機関を陸軍内の正式な諜報機関にすると阿久津中佐は風戸中佐に持ちかける。

スパイマスター

『ジョーカー・ゲーム』の中では結城中佐がかつてスパイマスターであり、ドイツに渡航した三好がスパイマスターであった。スパイの中でも、スパイたちを操り、情報収集網を握っているリーダー的な存在のことを指す。

天保銭組

天保通宝は江戸時代末期から明治期にかけて流通した通貨であるが、陸軍大学校卒業生の徽章が天保通宝に似ていることから「天保銭組」と称せられていた。なお陸軍大学校を卒業していないものは「無天保銭組」と言われていた。

『ジョーカー・ゲーム』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

結城中佐「諸君の未来に待っているものは真っ黒な孤独だ」

ポーカーに興じていた機関生たちに誘われた佐久間中尉だったが、佐久間の手札は機関生に読まれていた。それに対し佐久間は「イカサマ」だと激昂していたところに結城中佐が現れる。スパイに求められるのはいつ帰ることができるかどうかもわからずに見知らぬ土地に溶け込み、本国に情報を送り続けるのに従事すること。それはスパイにとって真っ暗な孤独でもあるという。

陸軍参謀本部からやってきた佐久間中尉はD機関の学生と共にポーカーに興じるが、そこで密かに佐久間中尉の手札を巡って学生たちの間で駆引きが行われていた。佐久間中尉はポーカーで惨敗してしまうが、学生たちから種明かしを聞き、「そんな卑怯な真似をして勝って、楽しいか?」と激昂する。そこに現れたのが結城中佐であった。「スパイは卑怯」という発言をした佐久間中尉に対し、結城中佐は「スパイは卑怯か」と問う。結城中佐は国際政治のなかで自らの手札が他の諸国に見えてしまっているのが日本の現状でもあると言い、D機関の学生たちはスパイとして滞在先に溶け込みながら本国に情報を送らなければいけないことを説く。「諸君の未来に待っているのは真っ黒な孤独だ」という結城中佐の言葉は、第2話以降から各々の派遣先に潜入していく学生たちの前途を表しているようでもある。

結城中佐「貴様はD機関への採用は男だけだと思う?女は必要もないのに殺すからだ。愛情や憎しみなどといった取るに足らないもののためにな」

D機関を辞めて陸軍へと戻ろうとする小田切に対し、結城中佐はなぜD機関は男だけ採用しているかどうかを問う。女は愛情や憎しみなど取るに足らないもののために人を殺したりするからであるという。この世界の何物も信じないことは愛情や憎しみを取るに足らないものと切り捨て、唯一の心の拠り所さえ裏切り捨て去ることだと小田切は悟る。

12話で結城中佐がD機関に辞表を出した小田切に対して言った言葉が、「貴様はD機関への採用は男だけだと思う?女は必要もないのに殺すからだ。愛情や憎しみなどといった取るに足らないもののためにな」である。唯一の心の拠り所である親代わりの西山千鶴との思い出もD機関員として活動するのであれば捨て去る必要があると思い知らされた小田切は陸軍に戻り、満州へと行くことになる。そんな小田切に対し、別れ際に結城中佐はなぜD機関への採用が男だけなのかを問う。第3話から第11話までの話はスパイとして見知らぬ土地に溶け込みながら本国に情報を送り続けることに従事するD機関員たちの話だった。「死ぬな、殺すな、捉われるな」を結城中佐は機関員たちに叩き込むが、捉われるなというのは単に身柄を拘束されるなということだけではない。D機関に所属する以上、自分の働きに対する名誉も功績も求めなければ、ひたすら架空の他人を装い、感情を殺して諜報活動に従事する。自分という存在に捉われてはならないということであった。
第12話はそんな「捉われてはならない」D機関員であったにも関わらず、自分の過去や親代わりの女性への思慕を捨て去ることができずにやめる事になった小田切の話であった。第12話と結城中佐が小田切に対して言った言葉からは、これまでのストーリーに出てきたD機関員たちには、ひたすら諜報活動に従事することが求められていたということが改めて分かる。

『ジョーカー・ゲーム』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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