アイアムアヒーロー(I Am a Hero)のネタバレ解説・考察まとめ

『アイアムアヒーロー』とは2009年から『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた、花沢健吾による日本のSFホラー漫画である。謎の感染症が世界中で流行り、ほとんどの人間がゾンビになっていく。そのゾンビと戦い、感染から逃れる数少ない人間は、引きこもりやニートといった社会に劣等感を抱いていた者たちが中心となっている。この漫画に出てくるヒーローたちは、人間臭いリアリティーのあるヒーローだというのも見所のひとつ。

演:有村架純(2016年実写映画)
右目の下に泣きぼくろがある、髪の長い女子高生。毛深いこととフケが多いことがコンプレックス。物静かな性格でクラスメイトからいじめを受けていたが、感染者にも怖がらずに救いの手を差し伸べ、感染したクラスメイトの紗衣を安楽死させる為に自ら英雄の銃で撃つことを申し出るなど芯が強い一面もある。紗衣の元彼の小栗真司という男性と付き合っていた。
富士山麓に林間学校できていて、クラスメイトとの樹海での肝試しの最中に、東京から脱出してきた英雄と出会う。その後英雄と行動を共にすることになり、富士山へ向かう集団から逃げる際に感染した赤ちゃんに首を噛まれてしまう。赤ちゃんに歯が生えていなかったからか急激な感染は免れたが、翌日に発症。しかし完全なZQNではなく「半感染」状態で、英雄たちを襲うこともなく意識が混乱したまま共に行動する。アウトレットモールで、伊浦にクロスボウで頭を打たれ意識を失ってしまうが、看護師の小田に手術をしてもらい回復する。手術から目覚めた後は、意識もしっかりして感染前の彼女に戻る。感染の影響で、「遠く離れた覚醒者やZQNとの意思疎通」や「身体能力の向上」などの変化が起きる。感染者たちへのワクチンを作るために、英雄と東京を目指して船で移動してる時、交信してきたクルスに諭され自分の存在意義と運命を知る。そして英雄に別れを告げて自らZQNに操り取り込まれていき、姿を消す。

藪(やぶ)/小田 つぐみ(おだ つぐみ)

小田 つぐみ

演:長澤まさみ(2016年実写映画)
アウトレットモールに避難していたクールな女性。生き抜くために伊浦やサンゴに従っていたが、本心では彼らのやり方を快く思っていない。伊浦たちの目を盗んで英雄と比呂美を助ける。以前は、久喜近辺の病院に勤務していた看護師で、非番だったため感染を免れた。発症後も英雄達を襲わない比呂美を見て、感染拡大の解決のポイントになるのではないかと考えている。コミュニティの崩壊後、英雄と比呂美と共に車でアウトレットモールから脱出。その時に、二人を信頼して本名を明かす(「藪」という呼び名は注射が下手なことや子供が苦手なことからきている)。手術後、比呂美が意識を失っていた間に、立ち寄った宿で英雄と肉体関係を持つ。その後、妊娠が発覚するも英雄と出会う前に既に妊娠していたようである。出産するにしても、堕胎するにしても、英雄たちに迷惑をかけると考えて単独行動を決意。しかしその直後、乗ろうとしたゴミ収集車の下にいた赤ちゃんのZQNに噛まれ発症。自身の意識が残っているうちにゴミ収集車のプレス機構に自ら入り、比呂美が作動ボタンを押し、赤ちゃんのZQNを抱えながらプレス機構に巻き込まれ死亡する。

英雄の仕事関係

黒川 徹子(くろかわ てつこ)/ てっこ

徹子

演:片瀬那奈(2016年実写映画)
英雄の恋人。以前、松尾の漫画アシスタントをしていて、そこで二人は出会った。眼鏡をかけていて口元にほくろがある。アシスタントをしていた時、同僚だった中田コロリと交際していた。別れた後も彼の才能を尊敬していて、連絡を取り合っている。英雄はそのことをよく思っていない。酒を飲むと豹変する。英雄の事は恋人として大事に想っていたが、英雄本人の事は“心を閉ざしている”と評していた。

道で感染している少女に噛まれてしまい、自室で発症。来訪した英雄に襲いかかり噛みつこうとするが、直前に歯が全部抜けるまで玄関のドアを噛んでいたので英雄は感染しなかった。自らの死を感じていたかのように遺書らしきメモを残していたり、部屋の中も身辺整理のような行動が見られた。感染後も英雄に向かってきた他の感染者を倒し彼を守ろうとした。最期は「もう彼女は救えない」と矢島に諭され、英雄の手により、首を切断された。後に大型ZQNに取り込まれた比呂美との会話で、「本当は英雄くん寂しがり屋だから一緒に連れて行きたかった」と言っており、襲われた時に英雄が助かったのは単なる偶然だったようである。彼は自分を感染させない為にわざと歯を抜いたと勘違いしている。

中田 コロリ(なかた コロリ)

中田 コロリ

演:片桐仁(2016年実写映画)
徹子の元彼で、3年前に英雄と入れ替わりで松尾のアシスタントを辞めて漫画家デビューした。実家が渋谷に土地を持っていて裕福。女性の使用済みストッキングに執着を持っている。中田は、英雄の漫画家としての才能を尊敬している。謎の感染症が流行して以来、東京都豊島区の高層ビルに結成されたコミュニティに籠城していた。そこで補給部隊の隊長として物資調達の指揮を執っている。女性に対する下心がすごく変な性格をしているが、頭脳明晰で判断力もあり、危機管理能力も高いために彼を慕う者も多くいる。コロリ隊という派閥が形成されていたが、コミュニティ上層部がそのカリスマ性を恐れてコロリ隊をバラバラにし、現在では瀬戸ともう一人の女性隊員の3人で活動をさせられている。瀬戸から何度もクーデターを持ちかけられているが、「仮に乗っ取っても彼らと同じことをするだけ」と断っている。浅田のやり方やヘリ操縦技能に対して反感や疑念を持っていて、彼に要求されていた浅田教の教典漫画の作成も渋っている。高層ビルにクルスが襲来して大量のZQNが基地へ侵入した時、コロリ隊を再編し応戦した。ヘリコプターで脱出を企み浅田や苫米地らと屋上で対峙し、狙撃されるもののお腹に入れていた英雄の漫画によって一命をとりとめた。その後、苫米地が操縦するヘリコプターでサンライズ高層ビルから脱出。避難先の島で平穏な日々を取り戻し、また漫画を描き始める。

松尾(まつお)

松尾

演:マキタスポーツ(2016年実写映画)
英雄がアシスタントをしている漫画家。妻子がいるが、アシスタントのみーちゃんと不倫していた。三谷曰く、職場に来る女性には手当たり次第手を出していた。感染したみーちゃんに噛まれ、不調を隠してしばらくは仕事をしていたが、後に発症。三谷に撲殺された。

三谷(みたに)

三谷

演:塚地武雅(ドランクドラゴン)(2016年実写映画)
松尾のチーフアシスタント。18歳のときに漫画界に入ったものの、デビュー出来ずに40歳を過ぎてしまったことを悔やんでいる。態度が大きく、偉そうなので英雄は彼を嫌っている。女子アナオタクで、職場でもよくニュース番組を見ている。一方的に、同じ職場のみーちゃんに好意を持っており、しょっちゅうメールをしたりしていたが、まったく相手にされていなかった。YouTubeを通して、この非常事態について何らかの情報を得ていたため、臨機応変に対応して感染を免れた。英雄と一緒に東京からの脱出を試みるが、三原台一丁目の歩道橋に上がる途中で感染者に噛まれ、墜落してきたジェット旅客機の車輪に頭部を巻き込まれ即死。

パッシー

パッシー

英雄の知り合い。英雄とは一緒に合コンに行く仲であった。関西弁を話す。

佐田 和也(さだ かずや)

佐田 和也

超学館『週刊ストリップ』の編集者で、英雄のかつての担当編集であり、松尾を担当していた。英雄の持ち込みネームはことごとくボツにしダメ出しをしている。職場の人から「カズさん」と呼ばれている。愛人のカオリからは「カズくん」と呼ばれている。新人漫画家であり愛人でもあるカオリと共に台湾へ取材旅行に行き、二人ともそこで感染する。ホテルの部屋に、英雄の漫画連載を認める旨を殴り書きしたメモを残して、姿を消した。

カオリ

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