「萌え」で異世界侵略?『アウトブレイク・カンパニー』
2013年秋に放送されていたアニメ『アウトブレイク・カンパニー』に関する記事です。『アウトブレイク・カンパニー』とは、ひきこもりだったオタクが、偶然にも日本と繋がってしまった異世界で、オタク文化を広めるオタク文化の伝道師として奮闘する物語です。この記事では作中に登場する個性的なキャラクターとその世界観について紹介します。
ウェアウルフの少女で「神聖エルダント帝国」の隣国「バハイラム王国」から送り込まれた密偵でした。慎一の暮らす洋館をスケッチしていたところを自衛隊に捕獲され、スパイ嫌疑によって殺されてしまうところを慎一に助けられます。ウェアウルフは元々狩猟本能や闘争本能の強い種族でしたが、人間社会に組み込まれたことで、本能行動を抑え込むように強要されました。絵を描くことで本能行動を昇華するように躾けられていた彼女の才能を見込まれ「アミュテック社」のお抱え絵師として雇われます。
主人公の葛藤
慎一は自分の知識を生かして、できるだけ多くの人にオタク文化を楽しんでもらおうと学校を建てたり、エルダントの人々や自衛隊の力を借りて映画を作ったり、サッカーをしたりします。
また「平等」という概念がない異世界で、根付いた差別を解消できないかと苦悩することもありました。中にはオタク文化を広めようとする慎一を「侵略者」と見なし、反旗を翻す者もいました。そして、日本から輸入されたオタク文化をエルダントの人達が奪い合うまでに発展しました。
慎一はオタク文化に熱狂的にはまったエルダントの人達を目の当たりにして、オタク文化がときには人をダメにすると改めて思い知らされます。
需要と供給のバランスが崩れていることを彼の上司にあたる的場さんに相談すると、それを好都合と捉えていることを知り、日本政府にとって、自分はオタク文化を使ってエルダントを支配しようとするための駒の一つであることに気づきます。
慎一はオタク文化を侵略のために使われ、自分もその片棒を担いでしまったことに大きなショックを受け、自分の行動に疑問を持ってしまいます。
しかし、ミュセルの助言で自分の信念を貫くことを決意し行動に出ます。
作品の魅力
この作品ではエヴァや進撃の巨人、まどマギなどの有名な作品のパロディネタが豊富で「萌え」を全面的に出したコミカルなアニメです。しかし、それでありながらも「現代日本とエルダントとの文化の隔たり」や「オタク文化の境遇」「主人公の複雑な立場と葛藤」などシリアスなテーマも扱っている作品と言えます。文化の絡む駆け引きを無理なく気軽に楽しめる作品で、オタクであればあるほど、より楽しめる作品であります。