作曲家・伊福部昭とは?シン・ゴジラの世界観を演出した天才を解説!

2016年に公開された『シン・ゴジラ』が高い評価を受ける中、劇中で使用された伊福部昭の楽曲にも注目が集まった。伊福部昭はほぼ独学で作曲家になった天才で、『ゴジラ』には欠かせない音楽をいくつも生み出している。

ゴジラのテーマには、実は元ネタがある。伊福部が尊敬して止まなかったモーリス・ラヴェル(1875~1937)の『ピアノ協奏曲ト長調』(1931年)だ

出典: trendy.nikkeibp.co.jp

これは、盗作とかパクリというものではなく、伊福部の心の奥底に深く刻み込まれたラヴェルの音楽が、長い時間を経て全く違う装いで浮かび上がり、響き始めたものと見るべきだろう

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伊福部は"ゴジラ"に並々ならぬ思いを注いでいた

ゴジラ

「ゴジラ」は科学文明へのアンチテーゼが大きなテーマであった。戦時中に科学研究所で働いていた伊福部は敗戦後、科学というものに対して限界を感じていた。そのような中で登場した「ゴジラ」という怪獣に対して、伊福部はある種の共感を覚えていたという。

『ゴジラ』の一回目の打ち合わせの時に、作品のスケールとテーマの深さに改めて「えらい事になった、こんな大きな音楽をどうやって作るか?」と呟いたというエピソードが残されている。

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「日本がアメリカのテクノロジー、って言うんですか、それで負けたっていう感じがあったのに、ゴジラと言う生物が出てきて、その近代のテクノロジーをものともしないで壊していきますね」

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「伊福部昭語る—伊福部昭 映画音楽回顧録—」

「それに対する爽快さと言うか共感と言うか、そういうものもあって必要以上に興味を持ったんですけどね」

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「伊福部昭語る—伊福部昭 映画音楽回顧録—」

『ゴジラ』のオファーが来た時、周囲からは「見せ物映画に関わると作曲家として命取りになりかねない」と反対されたにも関わらず引き受けたのは、そうした理由に起因しているのだろう

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後の音楽家に影響を与える数多くの言葉を残している

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伊福部は音楽人であると同時に、知の人でもあり、哲学人でもあった

その独自の音楽観に裏打ちされた哲学は後世の音楽家に多大な影響を与えている。

「作曲家は氏・素性を音楽で語らねば駄目だ」

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「芸術が最後にインターナショナルになるためには、まず地方的になければない」

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「芸術はその民族の特殊性を通過して共通の人間性に到達しなくてはならない」

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