人生スイッチ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『人生スイッチ』とは、アルゼンチン、スペイン共作の2014年公開のブラックコメディ映画。脚本と監督はアルゼンチンのダミアン・ジフロン。
本作は、6本の短編で構成されたアンソロジー映画であり、暴力と復讐という共通したテーマを持つ。ひょんなことから立たされる人生の岐路。待ち受けるのは悲劇か、それとも喜劇か。ブラックなユーモア満載の映画である。

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『人生スイッチ』の概要

『人生スイッチ』(スペイン語 : Relatos salvajes、英語 : Wild Tales)とは、アルゼンチン、スペイン共作の2014年公開のブラックコメディ映画。脚本と監督はアルゼンチンのダミアン・ジフロン。
本作は、6本の短編で構成されたアンソロジー映画であり、暴力と復讐という共通したテーマを持つ。
ひょんなことから立たされる人生の岐路。待ち受けるのは悲劇か、それとも喜劇か。ブラックなユーモア満載の映画である。この映画には物理的なスイッチは出てこない。ボタンを押したら誰かが死ぬ代わりにお金が手に入る、といった設定でもない。
ここでいうスイッチとは、知らぬ間に誰もが押してしまっているものなのだ。きっかけ、とも言えるだろう。人生はどこでどう繋がるか分からない。「本当にそうだよなあ」と思える映画である。
本作は第87回アカデミー賞ではアカデミー外国語映画賞のアルゼンチン代表作品となり、ノミネートされている。

『人生スイッチ』のあらすじ・ストーリー

「おかえし」

モデルの美女が仕事へ向かう飛行機で、音楽評論家と乗り合わせた。そこで、美女の元恋人であるガブリエル・パステルナークがクラシック音楽を専攻していたことが2人の間で話題に上がる。音楽評論家も過去にガブリエルの音楽作品を酷評した張本人だった。
会話を聞いていた他の乗客たちも次々と反応し、それぞれが、ガブリエルを落第させた教師、いじめていた同級生、解雇した元店長など、過去に彼に辛い思いをさせた人々であることが判明。違和感を覚えた評論家がほかの乗客に確認したところ、ほとんどの乗客がガブリエルの知人であり、航空券は彼から贈られていたことがわかる。
そこに、怯えた客室乗務員が現れ、ガブリエルがこの便の客室乗務員であることと、彼女が交際を拒否したことで逆恨みされていることを告げる。そして、ガブリエルが機長室に立てこもり、飛行機がハイジャックされたことを一同は知る。
乗客の一人であるガブリエルのかかりつけの精神科医が説得を試みる中、便は急速に降下していく。その先にあったのは、ガブリエルの両親が暮らす家だった。

「おもてなし」

雨の日、ダイナーに一人の男が立ち寄る。男は、店の若いウェイトレスの家族を破産させ、離散と父親の死を招いた高利貸しのクエンカだった。
ウェイトレスから事情を聞いた年配の料理人は、復讐として料理に殺鼠剤を混ぜることを提案。ウェイトレスは葛藤するが、クエンカの尊大な態度に怒りを覚えた。
しかし、毒入り料理が用意された直後、クエンカの幼い息子がやってきて、親子で食事を始めてしまう。巻き添えを恐れたウェイトレスは、息子だけでも助けようとクエンカに訴えるが、口論に発展する。
そして、激昂した料理人がクエンカを刺殺。クエンカの息子は救助され、料理人は殺人犯として逮捕された。

「パンク」

砂漠の高速道路を新車でドライブするディエゴ。ディエゴは前方をノロノロと走るボロ車に腹を立て、追い越す際に激しい罵倒を浴びせて走り去る。
しかし直後に彼の車がパンクし、立ち往生。そこへ先ほどのボロ車が追いつき、怒った運転手がディエゴの新車を徹底的に破壊する。逆上したディエゴは、なんとか車を修理し、ボロ車を追いかけて衝突させ、車ごと川へ突き落とした。這い上がってきた運転手とディエゴは激しい肉弾戦となるが、運転手が車へ着火したことで二人とも爆死してしまう。
最終的に、警察は現場の様子から、ゲイカップルが喧嘩で自滅したと誤解したのだった。

「ヒーローになるために」

優秀な爆破解体技師シモンは、仕事終わりに娘の誕生日ケーキを買うために店に立ち寄る。しかし駐車した車が不当にレッカー移動されてしまった。渋々レッカー代を支払うものの、家族には遅刻を批判される。その後、シモンは制度について陸運局に抗議するも、職員に冷たくあしらわれ、騒ぎを起こしてしまう。その映像が報道されたことでシモンは会社を解雇され、愛想を尽かした妻からも離婚を言い渡される。
孤立し、怒りが頂点に達したシモン。シモンは自分の車に爆弾を仕掛け、意図的にレッカー移動させて、自動車局の事務所を爆破した。
シモンは逮捕されるが、横暴なレッカー制度に不満を持つ市民から英雄として称賛された。そして収監中に妻子からケーキの差し入れを受け、囚人たちと誕生日を祝ったのだった。

「愚息」

裕福な男・マウリシオは、息子が飲酒運転で妊婦を轢き逃げし、死亡させてしまったことを知る。
彼は顧問弁護士と共謀し、大金で使用人のホセに身代わりになってもらおうとする。しかし、この隠蔽工作を知った弁護士、検察官、使用人、さらには被害者遺族までが次々と法外な金銭を要求し始め、事態は泥沼化する。
誰もが自分の利益だけを追求する様を見て、罪悪感にかられた息子が自白を申し出るが、ホセが身代わりとして出頭。そこには妊婦の夫が待ち構えており、ホセに凶器を振り下ろした。

「Happy Wedding」

夢のような豪華な結婚披露宴の最中、花嫁ロミーナは、新郎アリエルが浮気相手を招待していたことに気づく。
怒り狂ったロミーナは、浮気相手を病院送りにし、自暴自棄になって会場のコックとその場で関係を持つなど荒れに荒れる。ロミーナの態度に怒りを見せたアリエルは、実母とともに彼女へ訴訟を示唆。
新郎新婦の喧嘩は親族を巻き込み、泥仕合の様相となり、式を台無しにする。しかし周囲を巻き込んだ狂乱の果てに、周囲の友人に慰められたアリエルは一人でウェディングケーキに入刀し、ロミーナと抱き合うのだった。

『人生スイッチ』の登場人物・キャラクター

「おかえし」

音楽評論家・サルガド(演:ダリオ・グランディネッティ)

吹替:小室正幸

クラシック音楽の評論家。飛行機でイサベルの口からガブリエル・パステルナークの名前が出たことで、自身もかつてガブリエル・パステルナークが出品した曲を批判したことを明かした。

イサベル(演:マリーア・マルル)

ファッション・モデルをしている美女。サルガドが音楽評論家であることを知り、クラシックを専攻していた元カレのガブリエル・パステルナークの話をする。サルガドがパステルナークの曲を批判したことで、彼は1週間も寝込んでいたという。

レギサモン先生(演:モニカ・ビリャ)

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