『しゃばけ』とは、2001年から刊行されている畠中恵によるファンタジー時代小説シリーズ、及びそれを原作としたドラマ、ラジオドラマ、漫画、テレビアニメ等のメディアミックス作品である。江戸有数の大店「長崎屋」の跡取り息子・一太郎と、過保護な妖たちが不可解な事件を解決していく物語が描かれる。多く登場するユニークな妖たちと一太郎との関わりや人の人情や絆が温かく描かれているところが魅力であり、江戸を舞台にした本格ミステリーを楽しむこともできる作品である。
『しゃばけ』の概要
『しゃばけ』とは、畠中恵によるファンタジー時代小説シリーズ、及びそれを原作としたメディアミックス作品である。2001年に刊行されたシリーズ第1弾の『しゃばけ』は作者のデビュー作であり、小説の装画や挿絵などはイラストレーターの柴田ゆうが手がけている。また原作小説に関して、シリーズ第1弾『しゃばけ』で2001年に第13回日本ファンタジーノベル大賞で優秀賞、シリーズ全体で2016年に第1回吉川英治文庫賞を受賞した。
本シリーズは多くのメディア展開がなされている。
2002年と2004年にNHK-FM放送によりラジオドラマ化され、2002年4月に『しゃばけ』、2004年3月に『しゃばけ2』がそれぞれ全10話で放送された。『しゃばけ2』は原作シリーズ2作目の『ぬしさま』の内容となっている。2007年11月、2008年11月にはフジテレビにてテレビドラマ化された。
さらに2013年に「アトリエ・ダンカン」プロデュース、2021年・2022年に「Lol」プロデュースによりそれぞれ舞台化、2017年、2018年に「CLIE」によりミュージカル化もされた。
漫画展開は、トリビュート作品として萩尾望都、高橋留美子など総勢13名の漫画家による『しゃばけ漫画』が、『小説新潮』にて2013年9月号から2014年9月号まで連載された。そのうちの1人だったみもりにより、『月刊コミックバンチ』にて2017年3月号より2023年5月号まで連載され、コミックが全4巻刊行されている。
2021年には20周年記念で、朱夏の制作によりwebアニメが配信された。またオーディオブック化もされ、Audibleにて配信された。1〜20巻を20名の歌舞伎俳優が各1巻ずつ朗読している。
2025年にはBN Picturesの制作でテレビアニメが放送された。
内容は江戸時代の日本橋を舞台に、江戸有数の大店「長崎屋」の跡取り息子・一太郎(いちたろう)と妖たちが協力して不可解な事件を解決していくミステリーとなっている。
一太郎と、一太郎に仕える妖の佐助(さすけ)や仁吉(にきち)との深い絆や妖たちとの交流、温かい家族との繋がりが描かれ、心温まるストーリーが魅力の作品である。
『しゃばけ』のあらすじ・ストーリー
事件の始まり
江戸有数の大店「長崎屋」の跡取り息子・一太郎は非常に体が弱く、幼い頃はずっと床に伏せていた。ある日、祖父から一太郎の手代となる妖の佐助(さすけ)と仁吉(にきち)を紹介される。人の姿をしているが、2人の正体はそれぞれ犬神と白沢であった。
一太郎は成長し、ずっと寝込むといったことはなくなったが、何かあるとすぐに体調を崩してしまう。そうして手代2人に過保護気味に見守られる中、一太郎は屏風のぞき(びょうぶのぞき)という妖に身代わりを頼み、度々1人で屋敷を抜け出していた。
ある日、帰りの籠が見つからず夜まで帰れなくなってしまった一太郎は、殺人事件に遭遇する。
1人での外出と殺人事件目撃を佐助と仁吉に知られ、一太郎は下手人が見つかるまで外出を禁じられた。一太郎は外出禁止を解くために事件解決を目指す。
通町界隈を縄張りとする岡っ引きの日限の親分(ひぎりのおやぶん)からの情報では、殺されたのは大工の棟梁で、殺される少し前から大工の道具を失くしたと話していたという。一太郎は妖の鳴家(やなり)や野寺坊(のでらぼう)、獺(かわうそ)などにも協力を仰ぎ、事件の調査を進めていった。そうして日限の親分から被害者の持ち物はそれぞれ別々の場所に売り払われていたという情報を得る。
ある日、1人の男が飲むと不老不死になると言われる木乃伊(ミイラ)を求めて長崎屋にやってきた。男はミイラを強く求めており、一太郎と仁吉がミイラを保管している蔵に通し、ミイラの匂いを嗅ぐと男は豹変する。この香りじゃないと逆上して仁吉に襲いかかり、一撃で倒してしまった。一太郎はこれまでの情報や男の言動から、男が一連の殺人事件の犯人であると見抜く。男は刃物を持ち出して一太郎にも手をかけようとするが、間一髪で佐助が駆けつけ捕えることができた。
捕まった下手人は棒手振りで、殺した大工の棟梁を生き返らそうとしていたことが判明する。しかし人を生き返らせる薬など置いている店などなく、下手人がなぜ長崎屋にあると考えていたのかということに、一太郎は疑問を抱いていた。
明かされる過去と行末
殺人事件が解決したかと思うと、今度は相次いで薬種問屋が殺される事件が発生する。一太郎は、幼馴染であり長崎屋の隣にある菓子屋「三春屋」の跡取り・栄吉(えいきち)と事件の瓦版を見ながら話をしていた。瓦版に描かれた下手人の姿を見て、栄吉が妖術使いのようだと言ったことをきっかけに、一太郎はこの事件が妖に関係しているのではないかとひらめく。
一太郎は、大工の棟梁が殺された事件と薬種問屋が襲われる事件が繋がっていると考えていた。そして改めてそれらの事件についての疑問点を考える。挙げた疑問点は、妖が原因だと考えると納得いくものであった。
そして一太郎は、妖たちに協力を仰いでバラバラに売られた大工の棟梁の道具の調査を行う。その結果、ある「墨壺」の存在を知った。とても古いもので付喪神になりかけていたが、壊れてしまったことで「なりそこない」となってしまったのである。その強い無念の思いから、棒手振りに取り憑いて大工を殺したというのが、最初の事件の一太郎の推理だった。事件の真相は分かったが、さらに殺人を続ける理由となりそこないが探し求める薬の謎が残ったままである。一太郎は、どうしてもなりそこないが手に入れたいものが気になるのだった。
そんな中、栄吉が何者かに襲われたという知らせが入る。一太郎の腹違いの兄・松之助が職を失うかもしれないと聞いた一太郎は、栄吉に援助の金を届けてほしいと頼んでいた。栄吉は、そのお金を届けに行く途中で襲われてしまったのだった。一太郎は、栄吉の話から狙われているのは自分ではないかと考え始める。
その日の夜、事件について佐助たちと話をしている時、見越の入道(みこしのにゅうどう)という妖が一太郎を訪ねてきた。見越しの入道は一太郎の祖母・おぎんの古くからの馴染みで、代わりに一太郎の様子を伺いにきたという。
見越の入道は一太郎の出生について話し、一太郎が生まれてすぐに死んでしまった赤子を「反魂香」という神の薬で蘇らせた存在なのだと語る。
一太郎は自分の過去に衝撃を受けつつ、自分から発している反魂香の香りから、なりそこないがかけてしまった魂を取り戻そうと求めているのではと推理した。しかし反魂香はもうこの世にはないという。一太郎は存在することで、関係のない人々がこれ以上犠牲にならないよう、なりそこないを止めることを決意する。
妖封じの護符や妖を切ることができる刀を用意し、対決に備えていたところ、松之助が仕えていた奉公先から火事が起こった。護符の影響で近づくことのできない一太郎を誘き出そうと、なりそこないが火をつけたのである。一太郎はこれ以上被害を出さないために、その誘いに乗ることにした。焼け崩れた東屋で、一太郎たちはなりそこないと対峙する。なりそこないの抵抗に苦戦しながらも一太郎は、なりそこないを退治することに成功した。
一連の薬種問屋殺しも終息し、日常が戻ってきた頃、一太郎の計らいで松之助が長崎屋で働くことになる。こうしてまた新しい日常が始まるのだった。
『しゃばけ』の登場人物・キャラクター
主要人物
一太郎(いちたろう)
演:手越祐也(ドラマ)、沢村一樹(舞台初演)、前川優希(舞台2021年・2022年 )、植田圭輔 (ミュージカル)
CV:山下大輝(テレビアニメ)、榎木淳弥(スペシャルアニメ)、金子貴俊(ラジオドラマ)
物語の主人公であり、廻船問屋兼薬種問屋で江戸有数の大店「長崎屋」の一人息子。
周りからは「若だんな」と呼ばれている。
心優しく穏やかな性格でとても利発であるが、芯が強く無茶な行動を起こすこともある。
生まれながらに病弱で、とても大切に育てられた。特に手代として幼い頃から一太郎に仕えている佐助や仁吉は、一太郎が成長してからも過保護気味で、仕事をしようとすると引き止められたり、取り上げられたりする。本人は自分の体の弱さで周囲に心配をかけることに心を痛めている。
祖母が大妖であるため、妖の姿を見ることができる。
佐助(さすけ)
演:高杉亘(ドラマ)、マギー(舞台初演)、小沼将太(舞台2021年・2022年)、滝川英治(ミュージカル初演・弍)
CV:八代拓(テレビアニメ)、阿座上洋平(スペシャルアニメ)、中村まこと(ラジオドラマ)
長崎屋の手代。人の姿をしているが、正体は妖の犬神である。
一太郎が幼い頃から仕え、大切に守っている。
体が大きく強い力を持ち、片手で人を持ち上げることができる。
性格は豪快で大雑把なところがある。
手代としては、水夫たちを仕切り廻船問屋の仕事をこなしている。
仁吉(にきち)
演:谷原章介(ドラマ)、山内圭哉(舞台初演)、井澤勇貴(舞台2021年・2022年)、中村誠治郎(ミュージカル初演・参)
CV:沖野晃司(テレビアニメ)、内山昂輝(スペシャルアニメ)
長崎屋の手代。人の姿をしているが、正体は万物を知ると言われる白沢という妖である。
佐助同様に一太郎が幼い頃から仕え、大切に守っている。以前は一太郎の祖母である大妖・おぎんに仕えていた。
冷静で落ち着いた性格をしている。
手代としては、薬種問屋の仕事をこなしている。薬の知識が豊富で、一太郎に様々な薬を調合している。
屏風のぞき(びょうぶのぞき)
演:宮迫博之(ドラマ)、反橋宗一郎(舞台2021年)、瀬戸佑介(舞台2022年)、藤原祐規(ミュージカル初演・弍・参)
CV:浪川大輔(テレビアニメ)、木村良平(スペシャルアニメ)、頭師孝雄(ラジオドラマ)
一太郎が暮らす屋敷の離れに置かれた古い屏風の付喪神。
皮肉屋で、一太郎に対して度々偉そうな態度を取るため佐助や仁吉に叱られる。
憎まれ口をきくこともあるが、一太郎のことは気に入っており、一太郎の遊び相手になったり、一太郎がこっそり外出する際の身代わりになったりしている。
紙ばりの屏風であるため、火や水が苦手である。
鳴家(やなり)
演:岡部浬功、金田茉子、小峰遥音、田中一瑳、田中士道、新野杏樹(ミュージカル弍)
CV:松永あかね、和久野愛佳、田中貴子(テレビアニメ)、下山彩那、鈴木つばさ、石川由依、鈴木里彩、小川李子(ラジオドラマ)
古い家に住み、家の中できしむような音を鳴らす小鬼たち。
「きゅわきゅわ」と鳴く。とても気が小さい。
一太郎と甘いお菓子が大好きで、家づたいに自由に動けることを活かし、一太郎からのお願いで事件の調査を行う。
一太郎には鳴家それぞれの見分けがついている。
目次 - Contents
- 『しゃばけ』の概要
- 『しゃばけ』のあらすじ・ストーリー
- 事件の始まり
- 明かされる過去と行末
- 『しゃばけ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 一太郎(いちたろう)
- 佐助(さすけ)
- 仁吉(にきち)
- 屏風のぞき(びょうぶのぞき)
- 鳴家(やなり)
- 長崎屋
- 藤兵衛(とうべえ)
- おたえ
- 松之助(まつのすけ)
- 伊三郎(いさぶろう)
- おぎん
- 三春屋
- 栄吉(えいきち)
- 春(はる)
- 妖
- 鈴彦姫(すずひこひめ)
- 野寺坊(のでらぼう)
- 獺(かわうそ)
- ふらり火(ふらりび)
- 蛇骨婆(じゃこつばば)
- 見越の入道(みこしのにゅうどう)
- 織部の茶器(おりべのちゃき)
- 荼枳尼天(だきにてん)
- お獅子(おしし)
- 金次(きんじ)
- 禰々子(ねねこ)
- その他
- 清七(せいしち)
- 正吾(せいご)
- 源信(げんしん)
- 於りん(おりん)
- お雛(おひな)
- 寛朝(かんちょう)
- 秋英(しゅうえい)
- 『しゃばけ』の用語
- 長崎屋(ながさきや)
- 反魂香(はんごんこう)
- なりそこない
- 『しゃばけ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- なりそこないとの対決を決意する一太郎
- 改めて一太郎に忠誠を誓う佐助と仁吉
- 一太郎「強くなりたいんだ」
- 『しゃばけ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作小説の公式サイトでわかる設定や時代用語
- アニメオリジナルキャラクターで描かれる人と妖の瞳の差
- 原作小説とは異なる最終話のアニメオリジナルの解釈
- 『しゃばけ』の主題歌・挿入歌
- テレビドラマ版
- 主題歌:Dragon Ash「thought and action」
- テレビアニメ版
- OP(オープニング):くじら「いのちのパレヱド」
- ED(エンディング):KAFUNÉ「脈脈」
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