NATURAL(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『NATURAL』とは、成田美名子により1995年から2001年にかけて『LaLa』(白泉社)にて連載された少女漫画。ペルーで暮らしていた少年ミゲールは、訳あって9歳の時に山王丸家に養子になり愛情を受けて成長する。高校生になり、バスケットボール部と弓道部を掛け持ちし部活動に打ち込んでいた。そんな中、何者かに線路へ突き落とされる。この事件をきっかけに、ペルー時代の秘密があきらかにしてゆく青春ホームドラマ。部活をする姿や例祭のシーンの緻密なデッサン。そして、登場人物の前向きな姿が丁寧に描かれている。

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『NATURAL』の概要

『NATURAL』とは、1995年6月号から2001年3月号にかけて『LaLa』(白泉社)にて連載された、成田美名子による1990年代の日本を舞台にした少女漫画。単行本全11巻、文庫版全5巻。ペルーから養子として山王丸家にきた少年ミゲールと、国籍も個性も豊かなバスケットボール部の面々、弓道家で社家の榊原家との交流などを、緻密なデッサンと登場人物の前向きな姿の描写へのこだわりで知られる成田美名子が丁寧に描いている。ペルーからやってきた日本に養子としてやって来た少年ミゲールと、その家族や部活動の仲間達との交流を描く青春ホームドラマ。
訳あって9歳の時にペルーから山王丸家に養子としてやって来た少年ミゲール。山王丸家で実の子のように愛情を受けて育つ。来日して間もなくの頃、義理の姉・山王丸理子(さんのうまるあやこ)にバスケットボールを教えてもらう。中学からは近くの道場に通い弓道に打ち込んでいた。そして、高校生になりバスケットボール部と弓道部を掛け持ちするようになり、バスケットボール部ではそれぞれに事情がある部員たちと共に切磋琢磨し、弱小部だったバスケットボール部は強くなり注目を浴びるようになる。弓道では、通っていた道場で出会った榊原西門(さかきばらさいもん)に憧れ、こちらも精進し腕前をあげていった。仲間に恵まれ順調に日々を過ごしていた矢先、何者かに線路に突き落とされる事件が起こる。犯人は、ミゲールがペルーで暮らしていた時に銃で撃ったファビアンだった。この事件がきっかけでミゲールの複雑な事情が明らかになってゆく。

『NATURAL』のあらすじ・ストーリー

ペルーから来た弟

山王丸理子(さんのうまるあやこ)は、 父が文化人類学を研究している都合で4歳の頃から両親と共に、ペルーの小さな村を転々としながら暮らしていた。ペルーの自然に囲まれて育ったせいか、山王丸という巫女系の血筋を受け継いだせいなのか、理子はその日に起こる良いことを予知夢として見る力がある。父がリマで大学の仕事を始めたのをきっかけに、母と共に東京に戻ってからもペルーの青空にコンドルが昂る影を夢に見るほどペルーでの暮らしを愛していた。
理子は中学3年生になり、父が3年ぶりに日本に帰国する。父はペルー人の少年を養子に迎え一緒に帰ってきた。突然弟ができた理子は戸惑いながらも、異国から来た物静かな弟が少しでも早く日本に慣れて笑顔を見せてくれる事を願う。少年の名前はミゲール。ミゲールの母はリマで暮らす理子の父の家の家政婦だった。そのためミゲールも理子の父とは顔見知りで、街で銃撃戦に巻き込まれた時に偶然出会った理子の父に助けを求める。事情を理解した理子の父は、その後の報復がミゲールやミゲールの家族に及ばないように、ミゲールが銃撃戦で亡くなったと思わせ、彼を山王丸家の養子にして日本に連れてきた。理子は父から銃撃戦に巻き込まれたとしか聞いていなかったが、理子が知る以上にミゲールには深刻な事情があった。理子は、ミゲールが早く日本の生活に馴染めるように自分が好きなバスケットボールを教え、ミゲールは徐々に日本生活に馴染んでくる。

志誠高校バスケットボール部とミゲール

ミゲールが日本に来てから6年が経ち理子は美大に通い、ミゲールは志誠高校(しじょうこうこう)に入学する。
ミゲールは高校の部活動は弓道部にしようと思っていた。理子から教わったバスケットボールは、ストリートバスケのチームで楽しんでいたものの、いざ団体戦となると仲間を思うあまり熱くなりすぎてしまう自分が、いつか人を傷つけてしまうのではないかと怖かった。しかし、同じクラスの堂本王海(どうもとたかみ)と出会い、彼に引き込まれてバスケットボール部と弓道部の両方の部活動をすることになる。
ミゲールのストリートバスケ仲間のひとり、JRと呼ばれている篠宮バーノンJr.(しのみやバーノンジュニア)は、ミゲールが志誠高校に進学しバスケットボール部に入ったと知る。ミゲールと一緒にバスケットボールをしたいJRは、インターナショナルスクールから志誠高校に編入しバスケットボール部に入部した。これで、ミゲール、堂本王海、JR、王海の幼馴染・大沢夏生(おおさわなつみ)の1年生4人が志誠高校バスケットボール部を引っ張る存在となってゆく。
ミゲールたち4人組は、JRの彼女・アリーシャが起こしたミゲール誘拐事件を皆で解決したり、夏には弓道場での先輩・榊原西門(さかきばらさいもん)のつてで青森へ4人で合宿に行ったりと部活動を通じて交友を深める。青森の合宿では西門の実家の神社でのお祭りや神事を手伝ったり、青森の自然にもふれたりした。とくにミゲールは、お祭りでご五穀豊穣などを祈願する為に弓をひく右大臣を仰せつかり、西門と練習を重ね立派にやり遂げる。その他、後にバスケットボール部のコーチをしてくれる西門の祖父・榊原高則(さかきばらたかのり)に練習を見てもらうようになり、メキメキと実力をつける。合宿を通してお互いを深く知り絆が深まり、年末年始にも再び青森で合宿をするくらい4人にとって青森での合宿は良い経験になる。
こうして実力とチームワークを身につけたミゲールたち志誠高校バスケットボール部は、弱小チームから強豪校と肩を並べる注目のチームに育ってゆく。

ファビアンとミゲールの因縁

ファビアンは少年の頃、ストリートチルドレンだった。ペルーではよからぬ組織に入っており、教会のミサが終わって出てくる大人たちに仕事を斡旋して暮らしていた。ミゲールは家族と共に教会のミサに行った時にファビアンに話しかけられたが、ろくに会話もせずこれみよがしに両親の下へ走り去った。その直後、父が何者かに反政府主義者だと密告され拘束される。ミゲールはその密告者がファビアンだと確信し、旧市街での銃撃戦に乗じて報復しようとファビアンを銃で撃った。これがミゲールが日本に逃れてきた本当の理由だった。
ミゲールはファビアンを殺してしまったと思っていたがファビアンは傷を負ったが死に至ることはなく、むしろ傷を負って療養したことで組織と距離ができ組織から抜けられた。今は日本で、同居する女性と一緒に、よく当たると評判の占い師をしている。偶然TVニュースで、ミゲールたちがインタビューを受けているのを見てミゲールが日本にいることを知りミゲールを追うようになる。ファビアンはミゲールを追って合宿先の青森に行ったり、志誠高校の生徒だと知り学校を訪ねたりしたが、なかなかミゲールに会うことができずにいた。しかし、偶然反対側ホームの電車に学校帰りのミゲールを見つけた。ミゲールもファビアンに気付き驚く。ミゲールが自分に気付いたと知ってからのファビアンは、ミゲールに対する行動がエスカレートした。駅のホームでミゲールを線路へ突き飛ばしたり、車で轢こうとしたりと執拗に狙う。
ミゲールの義父は過激な行動に出るファビアンが、ミゲールだけでなく家族全員に害を及ぼすのではないかと心配する。そこで、ファビアンを国外退去させる手立てはないかと模索するが、ファビアンは正式なルートで日本に滞在していたため、国外退去させる手立てはなかった。そんな中、西門のつてでファビアンの連絡先を手に入れたミゲールは、ファビアンに会って銃で撃ってしまったことを謝ろうとしていた。しかし、ファビアンはミゲールの真意を計りかねていた。
ミゲールは、ファビアンとバスケットボール部の試合翌日に会う約束をし、西門に付き添ってもらう予定だった。しかし、ミゲールはファビアンと2人っきりで対峙することでしか、解決しないと感じて内緒で1人でファビアンに会った。
直接会ったミゲールとファビアンは、お互いに相手に対して憎しみの気持ちは湧いてこなかった。ミゲールはファビアンに会って嬉しさのあまり抱きついてしまう。思いがけないミゲールの行動に、驚き戸惑ったファビアンは思わず持っていたナイフでミゲールの背中を刺し逃げてしまった。ミゲールは前日に母が買ってくれた厚手の新しいコートを着ていたため、ナイフが深く刺さらず一命をとりとめた。
一緒に暮らしていた女性の元に逃げ帰ったファビアンは、女性がミゲールと同じように自分のことを真正面から見てくれていたと気づき、ミゲールに謝りに病院にやってきた。
ミゲールは教会の前で出会った子供の頃に戻ってやり直そうとファビアンに言い、2人で生い立ちや今までどう暮らしていたかなどを話しお互いのことを理解しあった。

本命チョコレート

理子は子供の頃から、その日に起きることを断片的に予知夢として見ていた。ミゲールが刺される予知夢を見ていた西門とは違い、理子の予知夢は良い事ばかりだった。それは、理子が臆病だったからだった。ミゲールの襲撃事件の後からは少し怖い予知夢も見るようになってきた。悪いことの予知夢も見るようになったのは、以前の怖がりな理子とは違って、悪い事の奥にある希望も感じられるように成長していたからだった。
季節はバレンタインの季節。理子はコンビニのバレンタインチョコレートコーナーの前で、チョコレートを渡す相手を思い浮かべる。バスケットボール部の面々、西門や西門の祖父、色々と思い浮かぶが、結局義理ではないチョコレートを眠っているミゲールの手元にだけそっと置いた。

『NATURAL』の登場人物・キャラクター

主人公

山王丸 ミゲール(さんのうまる ミゲール)

本作の主人公。都立志誠高校に通う高校1年生、バスケットボール部と弓道部に所属している。
茶色い髪と日焼けした肌を持ち身長は182cm。ミゲールは英語圏ではマイケルと呼び大天使ミカエルのことを指すため、理子や同世代の友人たちからはミカエルと呼ばれている。
リマでトラブルに巻き込まれそうになったところを、山王丸理子(さんのうまるあやこ)の父に助けられる。リマの家族に害が及ばないようにミゲールは死んだことにし、山王丸家の養子として9歳の時に日本にやってきた。リマには実の両親と3つ下の弟、7つ下の妹がいる。実母はかつてリマで義父の元でお手伝いさんをしており、ミゲールも顔見知りだった。
日本に来てからミゲールは、山王丸家の一員として愛情深く育てられ高校生になる。高校ではバスケットボール部と弓道部に所属し、どちらの部活でも才能を発揮する。バスケットボール部ではバスケットボールの才能だけでなく、誰とでも偏見なくフラットに接する性格が好かれ、特に堂本王海(どうもとたかみ)、篠宮 バーノンJr.(しのみやバーノンジュニア)、大沢夏生(おおさわなつみ)とはかけがいのないチームメイトであり信頼し合える親友だ。弓道では榊原西門(さかきばらさいもん)に憧れ、榊原家との交流も深まる。
リコと親しみを込めて呼んでいる義理の姉・山王丸理子は、大切な家族の1人であり、日本に来てから一番近くで世話を焼いてくれたり、見守ってくれてたりしていた。彼女に対して、お互いに成長するとともに姉弟以上の気持ちが芽生えてきている。

山王丸家

山王丸 理子(さんのうまる あやこ)

山王丸家の一人娘。4歳の時父の仕事の関係でペルーに移り住み、自然あふれる小さな村を転々としながら過ごした。12歳の時に父がリマの大学で仕事をするようになり、父を残して母と2人で帰国する。特技はスペイン語とケチュア語。山王丸という巫女系の家の血を受け継ぎ、24時間以内に起こることが予知夢として浮かぶのだが、浮かぶのは良いことだけで悪いことの予知は出来ない。
日本に帰国し新たな暮らしに馴染めずにいた頃、バスケットボールに出会いそれからバスケットボールが大好きで、中学ではバスケットボール部に所属していた。自分が日本に馴染めるきっかけになったバスケットボールをミゲールに教え、ミゲールも早く日本に馴染めるようにと願っていた。
子供の頃からミゲールにはリコと呼ばれ、なんでも話せる大切な弟として可愛がっていた。それがお互いに成長すると共に姉弟以上の存在に感じるようになり、自分でも戸惑っている。そして、成長とともに多くを語らなくなったミゲールに寂しさを感じている。

理子の父

文化人類学を研究する研究者。南米に取りつかれたのをきっかけに理子が4歳の時に、妻と娘と3人でペルーに移り住み研究を行う。リマの大学で仕事をすることになり、娘と妻が日本に帰国したのちも3年間リマに滞在していた。その時のお手伝いさんの息子・ミゲールがトラブルに巻き込まれたのをきっかけに、ミゲールを養子として連れて帰国する。ミゲールを含め家族を大切に思っており、冷静に理路整然と物事を考えるタイプ。

理子の母

7tjiro-toriyama
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@7tjiro-toriyama

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