1989年にアメリカのFOXテレビで放送を開始した「シンプソンズ」。アメリカのごく一般的な家庭を描いたコメディアニメで、ちょっと抜けていて冗談好きの父ホーマー、アメリカの主婦像を具体化したような母マージ、サザエさんでいうところのカツオ的ポジションにいるバート、頭の回転が速い妹のリサ、そしてまだ赤ちゃんのマギーの5人家族の物語です。
アニメ―ションながらも、日本のアニメーションと全く違うのは、ストーリーの中に社会風刺や時事ネタを盛り込み、シニカルな笑いをとったりする部分です。父ホーマーは原子力発電所で働き、それが環境やエネルギー問題に対して疑問を投げかけているという説もあり、現代のアメリカで持ち上がるニュースがそのままシンプソンズの中では生きています。
息子バートが必ず言う決め台詞が「アイカランバ!(!Ay, caramba!)」。スペイン語で「Oh my god !」という意味のこの言葉。実はバートが生まれてから初めて発した言葉でもあります。準レギュラーまでの登場人物のほとんどが決め台詞を持っているので、誰がどのような決め台詞を言っているのか探すのも、視聴者の楽しみとなっています。
シンプソンズに隠されているユーモアは、物語のあらすじやキャラクターが発するセリフだけではありません。背景や小物の中に隠されていたり、場面が切り替わる瞬間にうつり込むなど、視聴者が必ずしも気付くことがない場合もあります。アニメーターの遊び心に気付くことがファンの楽しみの一つにもなっています。
シンプソンズにはハリウッドセレブも度々ゲスト出演しています。多くのゲストが出演映画やパフォーマンスをアニメの中でも同様取り上げられ、ブラックユーモアたっぷりの笑いで迎えられています。これまでマイケル・ジャクソンやエルトン・ジョン、レディ・ガガなどの歌手の他、これまで登場したゲストは100以上。ドラマ24で有名になったジャック・バウアーなども登場しました。
ブリトニー・スピアーズなどのティーンアイドルも度々登場しました。最近ではジャスティン・ビーバーやケイティペリーなども登場しています。一体どのような設定で登場するのか、ゲストの役どころなどもシンプソンズを見る楽しみの一つとなっています。
シンプソンズ一家は日本への来日経験や、ジャパンメイドで話題になった事柄を取り入れる放送回も度々登場します。父ホーマーが天皇陛下を投げ飛ばすなどブラックユーモアたっぷりの来日回は日本で放送に自粛になってしまう程でした。さらにアメリカにきた日本女性を主役としたエピソードや、日本を代表するジブリアニメを思わせるようなキャラクターが登場する回などがあります。
シンプソンズのオープニングは本編の内容には関係なく、実は毎回変わっています。その中にはシンプソンズ一家が日本のアニメキャラクターに扮した場面も。アトムやセーラームーンなど、日本のアニメのアメリカでの認知度の高さを実感します。