天使のくれた時間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『天使のくれた時間』とは2000年に製作されたアメリカの映画である。監督はブレット・ラトナー。ウォール街で成功し、優雅な独身生活を謳歌していたジャック・キャンベル。クリスマスイヴの夜、彼は奇妙な男と出会い、翌朝目覚めると13年前に別れた元恋人、ケイト・レイノルズが一緒に寝ていた。さらには2人の子供までおり、ジャックはケイトの夫となった世界を体験していく。以前の価値観が覆されていく中で、家族や愛の大切さ、人生の選択がもたらす本当の幸せとは何かを描いた心温まる感動のラブストーリー。

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『天使のくれた時間』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『素晴らしき哉、人生!』と共通する点と異なる点をもつ『天使のくれた時間』

本作のモチーフとなっている『素晴らしき哉、人生!』と『天使のくれた時間』の2作に共通している点は、クリスマスに天使によって奇跡がもたらされているところ。両作とも主人公が天使の助けを借りて、それまでとは異なる人生を体験している。そしてジャックの場合は仕事では得られない幸福に気付く素晴らしい時間となった。またどちらの作品ももしもの世界が描かれているが、『素晴らしき哉、人生!』の主人公ジョージ・ベイリーの場合は、彼が生まれていなかったらどうなっていたかという世界を体験している。この体験により彼の存在がどれくらい周囲を幸せにしていたのかをジョージは知った。一方で『天使のくれた時間』のジャックは、彼が違う選択をしていたらという世界を体験。仕事の成功では得られない、家族との暮らしという成功を手に入れた幸せをジャックは知る。

別の世界の始まりと終わりの合図となっているベルの音

別の世界で目を覚ましたジャックがキャッシュから受け取ったベルがある。作中で数回ベルの音が聞こえてくるが、これは別の世界の始まりと終わりを表している。しかしそのベルの音はキャッシュから受け取ったベルではなく、そのベルの音とよく似たアニーの自転車のベルの音。始まりの合図は、ウォール街に逃走したジャックが再び家に戻り、ケイトにこの世界のジャックではないことを説明しようとする時。そしてもう一つは、この世界での最後の夜を迎えた時である。ジャックの背後にいたアニーが自転車のベルを鳴らしている。そしてその後、買い物をしようとしたジャックの向かったコンビニに店員のキャッシュがいた。

ジャックに奇跡をもたらしたキャッシュ・マネーの天使説

重要人物として登場するキャッシュであるが、本作では彼の正体は明確にされていない。それでも『素晴らしき哉、人生!』のオマージュであることや、タイトルの『天使のくれた時間』はキャッシュがもたらした時間であることから、彼が天使であることが窺える。キャッシュの場合は天使ではあっても銃を所持していたり、ジャックを騙すようにして車から降ろし、その場に置き去りにするなど、優しい天使の像とは異なる描かれ方がされている。彼の雰囲気もその時々のキャッシュがなりきっている人物に合わせて変わっており、不思議な存在として描かれている。そのようにすることでキャッシュが本当に天使であるのか、終わりに近づくまで明確さを帯びない点が映画の面白さにも繋がっていた。

『天使のくれた時間』の主題歌・挿入歌

主題歌:SEAL「This Could Be Heaven」

シールはイギリス・ロンドン出身のソウルミュージシャン。顔にある傷などは幼少期にかかった膠原病の一種の慢性円盤状エリテマトーデスの後遺症によるもの。第38回グラミー賞において最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞の3部門などの受賞歴をもつ。どのような場所でも天国にすることができる可能性や希望が、シールのハスキーで力強い歌声と共に届けられている。MVは映画の場面にシールが映り込むようにして進んでいく。高い建物の上や、映画の一部のシーンに映り込みながら歌うシール。それらの場面から、彼もジャックたちをそばで見ていた天使のような存在として捉えることのできる演出がされている。

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