天使のくれた時間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『天使のくれた時間』とは2000年に製作されたアメリカの映画である。監督はブレット・ラトナー。ウォール街で成功し、優雅な独身生活を謳歌していたジャック・キャンベル。クリスマスイヴの夜、彼は奇妙な男と出会い、翌朝目覚めると13年前に別れた元恋人、ケイト・レイノルズが一緒に寝ていた。さらには2人の子供までおり、ジャックはケイトの夫となった世界を体験していく。以前の価値観が覆されていく中で、家族や愛の大切さ、人生の選択がもたらす本当の幸せとは何かを描いた心温まる感動のラブストーリー。

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吹替:福田信昭
ジャックの友人。ジャックが別の世界に来て間も無いうちに参加したクリスマスパーティーで会う。節煙中であったジャックだが、彼がジャックに勧めた葉巻がアメリカ製であると知り1本吸うことにした。

ビル(演:トム・マッゴーワン)

ジャックの友人である大柄な男性。クリスマスパーティーでジャック、アーニー、ニック、ビルの4人で会話をする。ジャックがバイパス手術を明日に控えているという話を、ビルからジャックは知らされることになる。またジャックとケイトの結婚式の際には彼がピアノを弾いていた。

トミー(演:ジョエル・マッキノン・ミラー)

吹替:小形満
ジャックの住む高級マンションのドアマン兼受付係。元の世界の彼は、ジャックに今年獲得したチップの詳細を嬉々として伝えるような場面もある。彼はジャックからの助言も喜んで聞き入れた。だが別の世界のトミーはジャックを目の前にしても不審者を見るようにして、騒ぐ彼を見ていた。

家の中にいる男(演:ロバート・ダウニー・シニア)

吹替:小形満
別の世界でケイトたちの暮らしていた家に住んでいる元の世界の住人。別の世界から戻ってきたジャックが会社に向かうよりも先に訪ねた場所が、この家である。男性が家から出てきた際、やはりガッカリした様子を見せるジャック。そんな彼に大丈夫かと声をかける男性であった。

シドニー・ポッター(演:ポール・ソルヴィノ)

登場シーンはカットされている。

『天使のくれた時間』の用語

ウォール街

アメリカのニューヨーク市マンハッタン島南部にある金融街。もともとは地名だが、ここにはニューヨーク証券取引所をはじめ連邦準備銀行、アメリカの証券会社、大手銀行などが集中している為、証券・金融業界を表す代名詞が「ウォール街」となっている。

ブローカー

ジャックは別の世界で自身をブローカーであるとし、会長のピーターに売り込んだ。ブローカーとは売り手と買い手などの2者間の取引を第三者の立場で仲介し、手数料を報酬として受け取る組織や仲介人を指す。不動産業界だけでなく金融、保険、M&A業界と多岐にわたる分野で活躍しているそれぞれの市場経済において不可欠な存在。

孫子

ジャックの会社で社員のトーマスにより欧州との企業間でトラブルが発生。その際にアレンから孫子の兵法を引用するのかと持ちかけられる。以前にもこの兵法を応用して危機を乗り越えていたことが窺える。孫子とは、孫という学匠の著作を意味する中国戦国時代中期に原型ができたと推定されている兵法のこと。この書物は2つあり、1つが春秋時代の孫武が著した一三篇、もう1つが孫武の子孫とされている戦国時代の孫ひんの兵法。現代で孫子と呼ばれているのは孫武の一三篇である。

『天使のくれた時間』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ジャック・キャンベル「自分を救いたければ必死で働くことだ。」

出典: www.b-cafe.net

キャッシュのことを気にかけ、説得しようとするジャック。

宝くじを換金しようとするキャッシュと遭遇したジャック。キャッシュの正体を知らないジャックは銃を持ち歩く彼の身を案じていた。初対面であるにも関わらず「自分を救いたければ必死で働くことだ。」などとジャックは彼に説得を始める。その後キャッシュは急に笑い出し、ジャックには理解できない独り言を言い始めた。彼は心底愉快そうで、この一見お節介ともとれるジャックの行為がキャッシュの心を動かす。必要なものは全て持っていると話すジャックの心の内も、キャッシュにはお見通し。そこでジャックが本当は必要としているケイトとの家庭を築いた世界を体験させたのであった。

ケイト・レイノルズ 「偉大なる成功物語。」

家族で買い物をしている最中、2400ドルのスーツを手にしたジャックであったがケイトは購入を反対する。以前は当たり前に手の届いていた基準が、別の世界では届かない。家のローンや子供の養育費があり、満足に買い物ができないわりに日々のやることは多く、ジャックの限界がきていた。この世界のジャックの人生に失望している彼は、今の何千倍も成功した男になれたと、元いた世界と比べケイトにぶつけてしまう。平凡な一家の主人になるとこは、彼にとってなかなか耐えられるものではない。別の世界に来てから暫くした後、タイヤのセールスマンを別の世界のジャックが始めるきっかけとなった話を彼は耳にする。以前の社長であったエドが心臓発作を起こし、ジャックが引き継いでいたのだ。話を聞き月並みな人生だと言う彼に対し、ケイトはそれを「偉大なる成功物語。」と言ってみせ、ジャックは何も返すことができなくなる。別の世界のケイトとジャックの人生には、仕事の成功からは得られないものが多く詰まっていた。

キャッシュ・マネー「"きらめき"は一瞬だ。永遠には続かない。」

キャッシュはジャックが別の世界に行くきっかけになった人物だが、作中で彼が現れたのは宝くじの換金の場面と、ジャックが別の世界に来た時、そして元の世界に帰る前である。彼が別の世界で2度目に現れた頃にはジャックは家族への愛情を実感し、一家の父として子供たちにとっても本当の父のようになっていた頃のこと。その際、キャッシュはジャックが立ち寄ったコンビニの店員になっていた。対面するなり2人は互いにすぐ気付くが、ジャックには家族と別れたくないという思いが芽生えている。そんな彼をキャッシュは「"きらめき"は一瞬だ。永遠には続かない。」と諭した。そのまま立ち去ろうとするジャックを、キャッシュは静かに見送る。愛情が湧いた頃にやってくる別れ。自身の人生をキャッシュに弄ばれたように感じたジャックだが、本来独りで迎えるはずだったクリスマスを、愛するケイトたちと共に暮らすというプレゼントをジャックは受け取っていた。永遠ではないからこそ、その価値は増す。そして元の世界に戻ってもこの世界にきた記憶を、キャッシュは消さずにジャックに残していた。それは彼が記憶を失わない限り永遠に彼のもの。そしてこの一瞬の"きらめき"をジャックは確かに掴み、その時の体験を元の世界で彼は活かす。別の世界で手にした実際に触れることのできる"きらめき"を失ったからこそ、新しく実感するための行動を起こしたジャック。キャッシュはジャックに対して突き放すようなことを度々するが、その奥には深い優しさをもつ登場人物である。

1968aog
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