デス・ビリヤード/デス・パレードのネタバレ解説・考察まとめ

『デス・パレード』とは、監督・脚本は立川譲、アニメーション制作はマッドハウスよるアニメ映画『デス・ビリヤード』のテレビアニメ版作品である。映画は2013年に公開され、アニメは2015年に放送された。舞台は「クイーン・デキム」という謎のバーで、バーテンダーのデキムが客としてやってくる死者たちに命懸けのゲームをさせ、彼らの生き様や心の闇を見て魂を裁定するストーリーである。
人間の感情が鮮やかに細かく映し出され、見る人の心を揺さぶる作品となっている。

目次 - Contents

死者の門

各タワーを繋いでいる通路の中心に位置する、死者が最初に訪れる場所。

役職

裁定者

死んだ人間の魂を裁定し、天国(転生)か地獄(虚無)に送り出す存在。
人間と同じような見た目をしているが、感情を持たない人形である。
裁定者はそれぞれバーを持っており、バーに人間が来る前に事前に人間の生前の記憶を頭に転送される。そして客としてやってくる人間に命を懸けたゲームをさせる。
また、ゲーム中には人間の心の闇を引き出すために極限状態を作り出す義務があり、極限状態時の行動と生前の記憶を元に裁定を下す。

タワー担当

トーテムにあるタワーを管理する上級の裁定者。
1つのタワーに1人担当者がおり、タワーはノーナもタワー担当の1人である。
タワーには90階ものフロアがあり、タワー担当は最上階の90階から各フロアの裁定者を管理しまとめ上げている。
裁定者専用のエレベーターで各フロアを行き来し、裁定者を観察。指導する役目がある。
また人事権有している。

情報部

死者の記憶を編集・管理している部署。
死んだ人間の記憶は情報部に送られ、必要な部分を編集されて担当の裁定者の頭に送られる。
死者の記憶はガラス片のような形状をしており、編集後にはステンドグラスのような形になる。
1時間に約7000人もの死者が出ている中、その人数の記憶の編集作業は多忙を極める。

整理係

死者を国籍や性別、人間関係など様々な項目からどの裁定者に送るかを振り分ける作業を担当している。
情報部同様に凄まじい忙しさである。

その他

CHAVVOT(チャボット)

作者不明の絵本。知幸が幼い頃に好んで母親によく読んでもらっていた本である。
舞台は雪国に住むジミーという男の子と耳の聞こえない女の子・チャボの物語で、チャボのことを大好きになったジミーは、耳の聞こえないチャボにどうにかして想いを伝えようとする。

スペースビリヤード

球が太陽系の惑星を模しているビリヤード。ルールは通常のビリヤードにおけるナインボールと同じである。
オクルスがよくノーナを誘いこのビリヤードをしている。

『デス・ビリヤード』『デス・パレード』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ノーナ「人間の最も原始的な感情って何か分かる?恐怖よ」

デキムの裁定の手伝いをすることになった知幸は、最初にノーナと裁定の見学を行った。
死者に恐怖を与えるような裁定の方法に疑問抱いた知幸に対し、ノーナが「人間に最も原始的な感情って何か分かる?」と尋ね、分かっていない様子の知幸に「恐怖よ」と付け加える。
人間の感情が理解できない人形である裁定者たちにとって、人間の心の闇を見ることでこそ裁定を下すことができる。そして裁定者たちは、人間が本性を曝け出す瞬間は極度に恐怖を感じる時だと考え、あえて極限状態を作り出しているのだった。
裁定者の裁定における最も重要な人間の感情が恐怖であること分かるセリフである。

知幸「悲しみだけじゃない 人の数だけ感情があるの。怒りで理性を失う脆さ、愛情があるから恐怖を乗り越えられる強さ 何ひとつ理解できてないくせにどうして裁定なんてできるの?」

ある日「クイーン・デキム」に島田という青年と辰巳という刑事が客としてやってくる。2人とも大切な人を傷つけられ、その復讐のために人を殺したという過去を持っていた。
島田は仕事に行っている間に妹がストーカにより暴行を受けてしまう。実は辰巳は島田の妹が襲われていた時近くにいたが、助けもせずただ見ていただけだった。
辰巳は自分の妻を殺され、その犯人に復讐を果たした後、他の被害者の復讐をするために生きていくことに決める。そして刑事であることを活かし、あらゆる被害者のデータを集めて復讐していた。島田の妹もそのリストに入っていたが、被害にあっているところを最後まで確認しないと復讐はできないとして、助けなかったのである。
その事実を知った島田は、その時に助けてくれていたら妹は傷つくことはなかったと辰巳に激怒する。しかし辰巳は何かを成し遂げるには犠牲はつきものだと淡々と答えた。
ゲームは終了し、2人の残酷な過去を知った知幸はもう裁定を終わるようにデキムを諭すが、デキムは最後まで2人の行動を観察しないと裁定できないと言う。
そして辰巳に激怒する島田に対してどうしたいかと尋ね、島田は「殺したい」と答えた。
デキムは包丁と辰巳の内臓を模したメダルを島田に差し出す。
ゲームは終了しているのにも関わらずさらに島田の心の闇を煽るようなことをするデキムに対して知幸は「悲しみだけじゃない 人の数だけ感情があるの。怒りで理性を失う脆さ、愛情があるから恐怖を乗り越えられる強さ 何ひとつ理解できてないくせにどうして裁定なんてできるの?」と責めた。
その言葉を聞いたデキムはかなり動揺し、苦しそうに胸を抑えるのだった。

デキムはこれまで必要なことだとして、人間の負の感情を煽り心の闇を引き出して裁定をしてきた。しかし知幸が裁定の手伝いをするようになり、知幸の人間に寄り添った考え方を理解できないながらも少しずつ影響を受けるようになる。
そして今回の裁定でついに裁定方法に疑問を持つようになった。デキムが感情を理解し、人間の感情に寄り添う裁定をしようと決めるきっかけになった言葉である。

知幸との別れの時に笑顔を見せるデキム

matefu923
matefu923
@matefu923

目次 - Contents