『アス』とは2019年に公開されたホラー映画である。監督は1作目の『ゲット・アウト』(2017年)でアカデミー賞脚本賞を受賞したジョーダン・ピール。舞台は1986年のアメリカ。幼いアデレード・ウィルソンは両親とサンタクルーズの遊園地を訪れていた。その際アデレードは自身と瓜二つの姿をした少女に出会う。それから月日が経ち大人になったアデレードは家族4人で再びサンタクルーズを訪れ、休暇を楽しんでいた。そこでのある晩、ウィルソン一家は彼らと同じ姿をした赤い服の4人と出会い、巨大な陰謀に巻き込まれていく。
キティ・タイラー/ダリア(演:エリザベス・モス)
出典: theriver.jp
吹替:小橋知子
ウィルソン家の友人一家の母親。演劇学校を出て女優になることが夢だったと話している。CMにも2本出演したが、その時期にベッカとリンジーが生まれていた。妊娠で休業し、サンフランシスコに移住した後には仕事が激減したという。アデレードにプチ整形をしたことを明かしている。度々ふざけるジョシュに対し、いつか殺すかもとアデレードにこぼしていた。彼女のテザードはダリア。別荘で過ごしていた時に外の異変を察知したキティであったが、既に遅かった。一家の中で最後まで生き残っていた人物であるが、なす術もなくテザードに殺された。ダリアはタイラー家を襲った後にキティの私物を使い、メイクをしようとしているシーンがある。人間とテザードの興味を引くものには同じ傾向があった。
ジョシュ・タイラー/テックス(演:ティム・ハイデッカー)
出典: x.com
吹替:中井和哉
ウィルソン一家と親交のあるタイラー家の父親。ふざけたり人をからかうことが度々ある。ガブリエルとの関係はあまり良好とは言えず、何かと張り合っていた。ボートを購入したと話すガブリエルに救命ボートを買ったのかと返すジョシュ。終いにはガブリエルが笑みを浮かべたまま黙るような会話を繰り広げていた。またガブリエルが言うには、彼への当てつけとしてジョシュは新車を購入している。また深夜の別荘の周囲で音を聞き、怖がるキティが周囲を見てくるよう頼んでも、彼はなかなか動こうとしなかった。ウィルソン家がタイラー家に助けを求めようとアデレードらが向かった際、そこで彼らを迎えたのはジョシュのテザードであるテックス。彼は怯むガブリエルの反応を楽しんでいる様子を見せるが、ボートでガブリエルに殺され死亡した。
ベッカ・タイラー/イオ(演:カリ・シェルドン)
出典: theriver.jp
ウィルソン家と親交のあるタイラー家の双子の娘。ベッカとリンジーはいつも一緒であり、ビーチで上半身が水着になっていた女性がベッカである。ジェイソンのことを変わっているとゾーラに話しかけ、その後にはゾーラに海に入らないかと誘う場面もある。少ない会話の中でも気さくでフレンドリーな一面を見せていた。別荘でもベッカは明るい色の服を着ており、色がリンジーとの好みの違いとなっている。ベッカたちはそれぞれのテザードであるイオとニックスに、ハサミで横から切りつけられて死亡した。
リンジー・タイラー/ニックス(演:ノエル・シェルドン)
出典: theriver.jp
ウィルソン家と親交のあるタイラー家の双子の娘。リンジーはビーチでも別荘にいる間にも、黒い服を好んで着用している。ビーチでウィルソン家とタイラー家が集まり遊んでいた際には、ジェイソンが作った砂のトンネルをバク転で破壊。またトイレに行こうとするジェイソンに対しては、海ですれば?と2人でハモる場面もあった。彼女のテザードはニックス。テザードの双子も、タイラー家の別荘でバク転をしてみせている。双子の1人はゾーラにゴルフクラブを使い、力の限り殴られ死亡。もう1人は2階から転落して死亡したと思っていたはずが生きており、最後にアデレードによってハサミで刺し殺された。
その他
ラッセル・トーマス/ウェイランド(演:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)
アデレードの父親。サンタクルーズにある遊園地のゲームでマイケル・ジャクソンの「スリラー」Tシャツをアデレードにプレゼントしている。その後も、ゲームに夢中になるあまりアデレードが1人で遊園地内を歩き始めていたことにも気付かなかった。15分後にアデレードを見つけるが、それでも彼女は話すことができなくなっていた。診断の結果は心的外傷後ストレス障害。突然のことにラッセルは現状を受け入れることが難しく、その後彼女にかける言葉も見つけられなかった。ラッセルのテザードはウェイランド。彼が地上でゲームをしていた際には、地下でウェイランドが何もない場所でゲームをしているような動作をしている。彼の壊れかけたロボットのような動作は、不気味な雰囲気を漂わせていた。
レイン・トーマス/アーサ(演:アナ・ジョップ)
アデレードの母親。ラッセルが景品でマイケル・ジャクソンの「スリラー」Tシャツをプレゼントした際に、彼女が怖がると注意をしている。テレビで見た際にアデレードが怖がっていたのだとレインは言った。しかしラッセルはそのことを知らず、プレゼントに文句を言われると思っていなかった為に、弱った様子を見せている。レインはそんなラッセルにアデレードを見ているよう頼みトイレへと向かうが、その後もゲームに夢中なラッセルを置いてアデレードは歩き出してしまった。彼女のテザードはアーサ。アデレードたちが遊園地を楽しんでいた際に、地下では地上の人間と同じ動作をしている多くのテザードたちがいた。何も無い場所で遊園地を楽しむテザードの密集している光景は異様であった。
ダニー/トニー(演:デューク・ニコルソン)
サンタクルーズにある遊園地のゲームコーナーのスタッフ。冒頭でアデレード、ラッセル、レインが立ち寄り、ラッセルがゲームで景品を獲得する。その際、選ぶことができたようで彼女が11番を選び、ダニーはアデレードに「スリラー」のTシャツを渡した。ダニーのテザードはトニー。ダニーがゲームコーナーのスタッフをしている際、トニーも地下でスタッフの役割をして動いていた。彼の前に立つレッド、ウェイランド、アーサを前に、静かにTシャツを掲げている。そこにプリントされていたのは「スリラー」とは異なるものであった。地上のトニーのような人間らしい無意識の動作はなく、肩幅に開かれた足が動くことはない。
ナンシー/シド(演:カーラ・ヘイワード)
サンタクルーズでアデレードが1人で行動をし始めた際に見かけた女性。男性と向かい合いじゃんけんをしていた。男性がチョキばかり出すことを指摘している。彼女の反応に対し、男性は怒るなよと宥めていた。ナンシーのテザードはシド。地下では近すぎる距離で頭を付け合うような体制になり、じゃんけんをしている。シドの右手は黒くなっており、その手でじゃんけんをしていた。
グレン/ジャック(演:ネイサン・ハリントン)
アデレードがサンタクルーズの遊園地で見かけた「Jeremiah11:11」と書かれた段ボールを手にして立っている男性。アデレードに気付き、彼女をじっと見ていた。しかし何をするでもなく、ただ見ているだけ。そして母になったアデレードが家族と共に再びサンタクルーズのビーチへと車を走らせていた際、タンカで運ばれる血を流した老人をアデレードは目撃する。その人物はグレンであった。老人は運ばれながらも、その手にはボロボロになった「Jeremiah11:11」と書かれている段ボールが握られている。グレンのテザードはジャック。ジャックはジェイソンがビーチでトイレに行った際、手から血を滴らせながら不気味に立っていた男性。ジェイソンに背を向け両手を広げ、ただその場に立っていた。ジャックの額には「1111」の切り傷の痕が残っている。
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目次 - Contents
- 『アス』の概要
- 『アス』のあらすじ・ストーリー
- 再びサンタクルーズのビーチを訪れたアデレード・ウィルソン
- 瓜二つの姿をしている赤い服の集団
- 地下で作られていたクローン人間のテザード
- 『アス』の登場人物・キャラクター
- ウィルソン一家とテザード
- アデレード・ウィルソン/レッド(演:ルピタ・ニョンゴ/マディソン・カリー(子供時代)/アシュリー・マッコイ(10代))
- ガブリエル・ウィルソン/アブラハム(演:ウィンストン・デューク)
- ゾーラ・ウィルソン/アンブラ(演:シャハディ・ライト・ジョセフ)
- ジェイソン・ウィルソン/プルートー(演:エヴァン・アレックス)
- タイラー一家とテザード
- キティ・タイラー/ダリア(演:エリザベス・モス)
- ジョシュ・タイラー/テックス(演:ティム・ハイデッカー)
- ベッカ・タイラー/イオ(演:カリ・シェルドン)
- リンジー・タイラー/ニックス(演:ノエル・シェルドン)
- その他
- ラッセル・トーマス/ウェイランド(演:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)
- レイン・トーマス/アーサ(演:アナ・ジョップ)
- ダニー/トニー(演:デューク・ニコルソン)
- ナンシー/シド(演:カーラ・ヘイワード)
- グレン/ジャック(演:ネイサン・ハリントン)
- 『アス』の用語
- ハンズ・アクロス・アメリカ
- エレミヤ書
- テザード
- 『アス』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ガブリエル・ウィルソン 「砂浜で走れ。負荷がかかりキツいからさ。砂浜で鍛えれば地上で無敵だ。」
- レッド「そしてある日影は気付いたのです。彼女は神によって試されていたのだと。」
- レッド「空の下で育つのはどんな気分だ。太陽を感じ、風を感じ、木々を感じる。お前らには当然のことか。」
- 『アス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作中に点在するエレミヤ書の11章11節を象徴する数字
- 分断や断絶を象徴するハサミやサンタクルーズ
- 「ハンズ・アクロス・アメリカ」が元になっている手を繋いだテザードの並ぶ光景
- 『アス』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):Minnie Riperton「Les Fleurs」
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