
『無能の人』とは、つげ義春原作の連作漫画。1985年から1986年まで『COMICばく』に掲載された。同作品は、竹中直人監督・主演の映画版や『つげ義春ワールド』の1エピソードとしてのテレビドラマ版がある。『無能の人』は、『ねじ式」や『紅い花』と並ぶ、つげ義春の代表作の1つに数えられている。人生に行き詰った中年男性の助川助三を主人公にして、彼と彼の家族の悲哀をリアリティとユーモアを交えて描いたストーリーによってコアなファンを獲得した。

助川家の1人息子。年齢は不明だが、小学生くらいだと考察されている。初登場時は喘息持ちだったが、その設定は第1話『石を売る』以降描かれなくなった。助川と妻の喧嘩をダイレクトに見ているが、父親と母親ともに好きなもよう。また、高所から飛び降りようとしたり、石山たつ子の誘惑を受けたりした父親の前に現れて窮地を救う役割を果たしていた。性格は気弱で、少しのことでオドオドする様子が見受けられた。
テキ屋(演:哀川翔(テレビドラマ版))
第1話『石を売る』に登場した男性。多摩川の河原でテキ屋を営んでおり、同じ河原で石屋をしている助川に興味本位で話しかけた。売られている石が多摩川で拾ったものだと知ると、大いに呆れていた。助川がおんぶで川渡しをした際は、あまりの惨めさに彼を止めようとしている。
山井(やまい)

助川の知人で、古本屋を営んでいる男性。第2話『無能の人』、第4話『探石行』、第6話『蒸発』に登場した。いつも寝てばかりで、無気力な様子である。古本屋は家業ではなく、フラッと立ち寄った場所であり、1人で同店を切り盛りしていた女性と肉体関係を持って婿に入った。妻の連れ子からは馬鹿にされているが、意に介さず家族の中で最下層にいる。自分のことを、「たまたまこっちにいるだけ」と語っており、謎の多い人物であることが示唆された。
石山石雲(いしやませきうん/演:マルセ太郎(映画版))
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美術石の鑑賞・オークションを主とする「美石狂会」の主催者で、第2話『無能の人』に登場した。自らも石を鑑定しており、弟子もいるなどその筋では名の知られた存在であることが窺える。しかし、実際には阿漕な商売をしているようで、オークション会場では助川の石を叩き売りにして、彼に大恥をかかせた。
石山たつ子(いしやまたつこ/演:山口美也子(映画版))
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石山の妻。ニンフォマニアであり、かつて石山の弟子だった山川軽石(やまかわかるいし)と肉体関係を持っていた。助川のことも誘惑したが、三助に邪魔される。オークション会場では、助川の妻に嫌味な態度を取って険悪な状態となった。
山川軽石(やまかわかるいし/演:神戸浩(映画版))

石山の弟子だった男性。たつ子と肉体関係を持ってしまう。また、美術石の商売で石山に利用されたようで、彼に対する恨みつらみを助川にぶちまけていた。
鳥屋の主人

第3話『鳥師』に登場する助川の知人で、鳥屋を営んでいる。インコなどの外来種を扱うことを嫌い、飼育の困難なメジロをはじめとする和鳥ばかりを売っている。そのため、店は流行らず、時代に取り残されている。
鳥屋の妻
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鳥屋の妻で、ゴリラのような風貌が特徴。時代に取り残されている夫と助川を、激しく罵倒した。
鳥男(演:神代辰巳(映画版))

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目次 - Contents
- 『無能の人』の概要
- 『無能の人』のあらすじ・ストーリー
- 石を売る男
- 石をオークションに出す男
- メジロと男
- 家族と石探しの旅行へ出かけた男
- カメラを売る男
- 古の俳人に思いを馳せる男
- 『無能の人』の登場人物・キャラクター
- 漫画版『無能の人』
- 助川助三(すけがわすけぞう)(演:竹中直人(映画版)/北見敏之(テレビドラマ版))
- 助川助三の妻(演:風吹ジュン(映画版)/水木薫(テレビドラマ版))
- 三助(さんすけ)(演:三東康太郎(映画版)/松山健二(テレビドラマ版))
- テキ屋(演:哀川翔(テレビドラマ版))
- 山井(やまい)
- 石山石雲(いしやませきうん/演:マルセ太郎(映画版))
- 石山たつ子(いしやまたつこ/演:山口美也子(映画版))
- 山川軽石(やまかわかるいし/演:神戸浩(映画版))
- 鳥屋の主人
- 鳥屋の妻
- 鳥男(演:神代辰巳(映画版))
- 中田(なかた)
- 井上井月(いのうえせいげつ)
- 映画版『無能の人』
- 暗原(くらはら/演:大杉漣)
- 暗原の妻(演:船場牡丹)
- 佐藤(さとう/演:いとうせいこう)
- 初老の警官(演:草薙幸二郎)
- 散歩の紳士(演:須賀不二男)
- 散歩の婦人(演:久我美子)
- 田舎宿の老婆(演:野村昭子)
- 高層ビルの浮浪者(演:原田芳雄)
- サングラスの男(演:三浦友和)
- 『無能の人』の用語
- 石屋(いしや)
- 多摩川の河原 (たまがわのかわら)
- 美石狂会(びせききょうかい)
- 『無能の人』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 助川助三「おれはとうとう石屋になってしまった」
- 三助「父ちゃん、虫けらってどんな虫?」
- 助川助三の妻「あんたにはマンガしかないのよ」
- 助川助三「いいじゃねぇか俺たち3人だけで」
- 『無能の人』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 短編の多いつげ義春作品中異色の連作となった『無能の人』
- 『無能の人』執筆後に休筆したつげ義春
- 原作者つげ義春の人生を描いたのではないかと考察された『無能の人』
- 竹中直人監督・主演で大ヒットした映画版『無能の人』
- 『無能の人』の主題歌・挿入歌
- 映画版『無能の人』メインテーマ:ゴンチチ『無能の人』