
『ビフォア・ミッドナイト』とは、2013年に公開されたアメリカの恋愛映画である。監督はリチャード・リンクレイター。主演を務めるのは前作に引き続きイーサン・ホークとジュリー・デルピー。2人は本作でもリンクレイターと共に脚本を手がけている。本作はビフォアシリーズ3部作の完結編であり、出会ってから18年が経過したジェシーとセリーヌの結婚後の様子が描かれている。非日常の時間であっても、出会った当時とはまるで異なる夫婦の会話。ロマンティックさを求める時は過ぎ去り、見つめなければならない現実があった。
吹替:山村響
ジェシーとセリーヌの双子の娘。ピンクのワンピースを着ている。ハンクを空港まで送り届けた後の別荘へ戻るまでの間、ニナは車の後部座席の窓際の席で寝ていた。寝ている間に、彼女のリンゴをジェシーは黙って食べてしまう。起きてからニナに問われ、セリーヌは茶色くなっていたと説得した。
別荘に集まった人々
パトリック(演:ウォルター・ラサリー)

出典: ameblo.jp
一番奥のサスペンダーを付けている男性。
吹替:佐々木梅治
ジェシーとセリーヌを南ギリシャにある別荘に招待した老作家。白のYシャツにサスペンダーをつけており、ラフなスタイルのジェシーを文学者らしからぬ人物と思っていたと話している。またアリアドニが食事の席で性的な話を持ち出すと、頭を抱えて俯いている場面もあった。コンピューターがいずれ優れた作品を作ることが可能になる時代が迫っている話題が出た際に彼は、それを否定していた。パトリックは最新のテクノロジーに抵抗がある様子を見せている。
ナタリア(演:ゼニア・カロゲロプールー)
吹替:宮沢きよこ
パトリックの亡き親友の妻。ショートヘアの白髪の女性。亡くなった夫の記憶が薄らいでいくことを食事の席で打ち明ける。段々と鮮明に思い出せなくなっていくことを、彼を再び失うという言葉で言い表していた。その後、話を聞いた一同は過ぎ去る人生に乾杯をした。
アキレアス(演:ヤニ・パパドプロ)
吹替:矢野正明
パトリックの孫。古いBSAで一晩中アナを乗せて走り回ったと2人の晴れ染めを話す。夜明けに12000の座席が空になっている野外劇場のステージに立ち、一番後ろの席に座ったアナにある言葉を囁いたという。その内容は2人だけの秘密であった。
アナ(演:アリアン・ラベド)
吹替:木下紗華
アキレアスの恋人である舞台女優。話題となっている「冬物語」のパーディータ役を務めたと話す。彼女の舞台を思い出しながらパトリックは”パーディータ、君が踊る時君が海の波であってほしいと思う”と役者の演じた台詞を言ってみせた。舞台の打ち上げパーティーでアキレアスと出会った話から2人の馴れ初めへと話題が移っていった。
アリアドニ(演:アティーナ・レイチェル・トサンガリ)
吹替:相沢恵子
ステファノスの妻。非常に仲の良い夫婦。彼女は自身のカメラを持っており、時々撮影もしていた。また食事の席でステファノスの気に入っている話があると言い、男性と女性の違いの話を始める。看護師であった母親の調べたことであり、昏睡状態から目を覚ました患者の傾向を述べていた。その際女性は子供や夫など自身と関わりのある人物の心配をすると言う。一方で男性は1人の例外もなく、まず男性器の心配をするということであった。
ステファノス(演:パノス・コロニス)
吹替:天田益男
ジェシーのギリシャの友人であり、アリアドニの夫。食事の席でも愛し合っていることを公言している。思ったことを包み隠さず話す人物であった。ジェシーの小説の感想にしても、悪いと思うことも含めて本心を話している。逆にジェシーのすべての本が好きであると言うパトリックの言葉に思うところがあるようであり、その話を出すステファノスの意図をジェシーは汲み取っていた。
その他
ソフィア(演:セラフェイム・ラディ)
ジェシーとセリーヌが宿泊したホテルの女性係員。ジェシーの本の大ファンである。夫のパブロスとのデートで1冊目を贈られたと話す。彼女はギリシャ版の本を持っており、そこにジェシーとセリーヌのサインを求めた。セリーヌのことを登場人物の"マデリン"と認識しており、そのことをセリーヌは良くは思っていなかった。
ホテル受付(演:ヨタ・アギロポウラス)
ジェシーとセリーヌが2人で宿泊したホテルのフロント係の男性。2人の宿泊はステファノスとアリアドニからのプレゼントであるが、男性の話によるとホテルの支払いは済んでいないよう。そのため、この場では自分たちで支払うこととなった。
『ビフォア・ミッドナイト』の用語
アポロ神殿
ジェシーが別荘での食事の最中に自己の概念とは何であるかの問題提起をした際、パトリックはアポロ神殿に「己自身を知れ」と刻まれていると答えた。
アポロ神殿とはプレイストスの渓谷のそばに建つ世界遺産デルフィ(ギリシア中部にある聖域)の古代遺跡の中心に位置する神殿である。現存しているものは紀元前4世紀に建てられた神殿であり、紀元前6世紀に造られたものは焼失した。神殿の入口には「汝自身を知れ」という格言が刻まれており、パトリックはこの格言の話題を持ち出した。
聖オディリア聖堂
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目次 - Contents
- 『ビフォア・ミッドナイト』の概要
- 『ビフォア・ミッドナイト』のあらすじ・ストーリー
- 破局の始まり
- 老作家パトリックの別荘で過ごす時間
- 過去の不満や怒りが爆発した2人の旅行
- 『ビフォア・ミッドナイト』の登場人物・キャラクター
- ウォレス家
- ジェシー・ウォレス(演:イーサン・ホーク)
- セリーヌ(演:ジュリー・デルピー)
- ハンク(演:シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック)
- エラ(演:ジェニファー・プライア)
- ニナ(演:シャーロット・プライア)
- 別荘に集まった人々
- パトリック(演:ウォルター・ラサリー)
- ナタリア(演:ゼニア・カロゲロプールー)
- アキレアス(演:ヤニ・パパドプロ)
- アナ(演:アリアン・ラベド)
- アリアドニ(演:アティーナ・レイチェル・トサンガリ)
- ステファノス(演:パノス・コロニス)
- その他
- ソフィア(演:セラフェイム・ラディ)
- ホテル受付(演:ヨタ・アギロポウラス)
- 『ビフォア・ミッドナイト』の用語
- アポロ神殿
- 聖オディリア聖堂
- ジャンゴ・ラインハルト(1910 - 1953年)
- 『ビフォア・ミッドナイト』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ナタリア「この世に姿を現し消えていく。誰かにとってとても大事な存在…なのに過ぎ去っていくのよ。」
- セリーヌ「2人の喧嘩に私は美しく弾ける活力を見る。誰にも何も奪わせない強さがある。2人の喧嘩は希望の証よ。」
- ジェシー・ウォレス「真実の愛を求めるならここにある。完璧ではないがこれこそ本物だ。」
- 『ビフォア・ミッドナイト』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 登場人物と俳優の実際の年齢が同じスピードで進んでいくシリーズ作品
- パトリック・リー・ファーマー卿がモデルと考えられている老作家パトリック
- アドリブの一切無い映画
- 『ビフォア・ミッドナイト』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ハリス・アレクシウ「Gia ena tango」