あめつちだれかれそこかしこ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『あめつちだれかれそこかしこ』とは、漫画家の青桐ナツによる和風ファンタジー漫画である。株式会社マッグガーデンが運営しているWebコミックサービス「マグコミ」にて連載が開始された。祖父の遺産として日本家屋を受け継いだ主人公・青司が、そこに住む神々を中心にさまざまな神々や妖怪、人々と過ごす日常を描く。時に切なく、時にホッとするハートフル和風ファンタジーとして人気を集めている。

年神とぎくしゃくした空気が続く中、巧が石の神に魅入られてしまう事件が起こる。年神が持ってきた清めの酒で石の神の中にたまっていた禍々しい気を払った事で、石の神の気持ちが落ち着き、事態は収拾へと向かったが、その出来事を通して青司は巧が今後も神々や妖怪に狙われやすい状態にある事を知る。「あぁいうものは、見えるだけで寄ってくるため、あれらから身を守るのは難しい」という年神。その言葉を聞いた青司は、年神に守ってもらえなかった両親の事を思い出し、「それでも守ってほしかったと願ってしまうのだ」という事を彼に伝える。
青司の悲し気な願いに、年神は「そんな顔をさせたいわけじゃない」と悩む。青司の為に何かできる事はないかと考え始めるが、そのタイミングで年配の神々が年神と稲荷に「出雲に行きたいから連れて行ってほしい」と言い出す。年神達は断ろうとするが、「近所の神とも上手くやらないと、後々困る」と稲荷の狐に言われ、結局2人は神々を連れて出雲へ向かう。しかし、神々の願いは出雲旅行だけでは終わらなかった。2人は出雲を起点に、日本国内から国外まで、あらゆるところへ彼らに連れ回される羽目になってしまう。
一方で青司の方は、突然の年神の外出に驚いていたが、今のぎくしゃくとした関係を冷却するのにいい期間だろうという事で受け入れる。だが、それも最初の数日だけで、まったく帰ってくる気配のない年神に困惑し出す。さらに追い打ちのように、納戸から「人ならざる者は時間の感覚が人と違う」という事を聞かされる。「ちょっと旅行」と言って10年は帰ってこないという事もザラとのこと。それを知った青司は、「自分が生きてる間に年神は帰ってくるのだろうか」と不安を覚え始める。
そんなある日、年神から笹木家に電話が入る。いわく「もう少しで帰って来られる」とのことで、青司は「もう少しとはいつか」と訊ね返す。だが、しっかりした答えをもらう前に電話は切れてしまう。それに怒った青司は、年神のもとへ直接殴り込みに行く事を決める。するとそのタイミングで、笹木家の庭先に年神と神々が不時着。突然の帰宅に、先刻とは違う意味で青司はまた怒りを覚える事になる。
あれだけ色々悩んでいた自分がアホらしくなった青司は、呆れて自分の部屋にこもる。「怒らせてしまった」と青司への土産を手にしたまま落ち込む年神に、納戸は「こうして物をやったり、危機から救ってやる事が青司の喜ぶ事だと思っているなら、それ自体は悪くはないが阿保だ」と説く。
その言葉に考えさせられるものがあった年神は、考えた末にお土産の中からどうしても青司に渡したかった物を持っていく。それは、年神自身が旅行先で作った手作りのテラリウムだった。テラリウムを気に入った青司は、それを受け取る。そんな青司の様子に、年神は「自分は青司が手放しで喜ぶ姿が見たかった」事を改めて自覚する。そうして、ようやく目の当たりにできた光景に、自らも喜ぶのだった。

大天狗・向山紅白坊(むかいやまこうはくぼう)の来訪

年神が不在の一件から、再び元の距離感に戻る事ができた青司と年神。しばらくの間は妖怪や神々、時には人間の友達に振り回されたりしながらも、それなりに平穏な日々を過ごしていたが、ある日突然、納戸が「家を締め切る」と言い始める。その理由は、大天狗である向山紅白坊の来訪にあった。
向山紅白坊は、年神や納戸、稲荷神同様に昔から笹木家と縁がある山に住む天狗である。人柄は悪くないのだが、少々感情が暴走気味で人の話を聞かないところがあり、その無鉄砲さを危惧した納戸は、彼を家の中に入れまいと奮闘していた。しかし納戸の奮闘虚しく、向山紅白坊は笹木家の中に入ってきてしまう。さらに青司を見た向山紅白坊は、青司をかつて自身が懸想していた女性・ヨネに似ていると絶賛する。ヨネは青司の祖母にあたる女性で、稲造の妻にあたる人物であった。
青司を気に入った向山紅白坊は、彼に構い始める。今までにないタイプの人外に、戸惑いと驚きを覚える青司。勢いで家を壊されても何も言えない状態であったが、
彼が真剣にヨネを好いていた事を知り、神々にも色々な者がいるのだなと思う。一方、向山紅白坊の方は、青司の事を「いい子故に弱い人間」という印象を抱いていた。対して「ヨネは強く美しかった」という向山紅白坊に、納戸は「お前が見えていなかっただけでヨネも弱いところがあった」と伝える。実は納戸は、過去にヨネから向山紅白坊に貰った花を納戸の奥底に隠しておいてほしいと頼まれた事があったのだ。それは、ヨネ自身が向山紅白坊の想いに応えられないが故に、己の気持ちの置き場に悩んだ末の行動だった。
翌日、青司の弱さを心配した向山紅白坊は、青司を気に入っていた事もあり「天狗の修行をしないか」と彼を山へ誘う。青司はその誘いを受けようとするが、納戸に止められた事から、いともあっさりと保留に変更する。その心変わりの軽さに混乱する向山紅白坊と納戸に青司は、「妖怪や神々の傾向を掴む為にいいかと思った」「毎度やられっぱなしは困るから、自分から知りに行こうかと考えていた」と行動の理由を明かす。「笹木家のてっぺんは自分だから、自分が家を守らなければ」と胸の内の決意を明らかにした青司。それを聞いた納戸は、家に住む神として、天狗から家と青司を守る為に納戸にあった天狗除けの一部を持ってくる。
そんな彼らの姿勢を見た向山紅白坊は、自分が思う以上に青司は強い人間であったのだと、認識を改めた。そうしてそんな青司の事を好ましく思い、これまで以上に気に入る。それと同時に、自分にも見えていないものがまだあるのだと知り、自分が見えていなかったヨネの弱さへ想いを馳せた。
その後、彼は自身の部下と共に壊した笹木家を直す。そのさまを縁側で青司と眺めていた納戸は、青司に「納戸には他にも秘密があるのか」と訊ねられる。納戸はそれを肯定した後、「青司も預けたい物があったら預けていい」と返す。予想外の返答に驚いた青司は、「覚えておく」と納戸に返した。

熊野との出会いと年神の優しさの理由

天狗の騒動もひと段落し、再びいつも通りの妖怪や神々に振り回される日々に戻ってきた青司。そんなある秋の日、彼は年神に連れられて、年神が作ったという野菜を配りに闇市へ向かう。
最初は闇市だけで配る予定だったが、様々な神々に会った流れから、2人は笹木家の近所の神々にも野菜を配りに行く事になる。だが、熊野神社と呼ばれる神社の神域に入った途端、青司は寝起きで機嫌の悪い神の気に当てられてしまう。そこで年神は青司を置いて、1人で神の元へ向かう事にする。
その後、青司が1人で動けずにいると、そこへ熊野神社に祀られている神の1人・熊野がやってきた。熊野は青司を神域の外へ連れて行く。実は熊野も笹木家とは深くはない縁がある神で、稲造や彩とも面識があった。青司が年神との付き合い方で失敗する事が多いと知った熊野は、自身の力を使って神域内で熊野神社に祀られている別の神と話す年神の姿を青司に見せる。そこには、青司との付き合い方に悩みながらも、ただただ青司の安泰を願う年神の姿があった。
年神の真意を垣間見た青司。熊野は「思っている事はちゃんと伝えないと意味がない」と彼に説く。そうして「神からの加護を受けているという自覚があるなら、お供えをしてみるのがいい」と助言する。
ずっと年神や納戸に助けてもらっていた自覚があった青司は、熊野の助言に従う。そうして、これまた熊野に助言をもらい、家の庭で育てていたプチトマトを年神達に備える事にする。それは、かつて青司が種を貰い、自らの手で育てていたトマトだった。
青司からお供えを貰った年神と納戸は大喜び。「絆を深めるため」という理由で、青司と一緒にトマトを食べる。なんとなくいつもより空気がよくなったように感じた青司は、そこでふと年神に「どうして自分に優しくしてくれるのか」と疑問をぶつけてみた。返ってきたのは、「かわいそうだったから」というもの。そこには、ずっと笹木家と共にあり、様々な人間の喜怒哀楽を見てきた年神だからこそ、この家に来たばかりの頃の青司の表情の固さが気になってしまった、という深い理由があった。だが、そのような理由を青司が知れるわけもなく、「自分がかわいそうな人間に見えたから」という表面的な理由だけを受け取ってしまう。自分に同情しての事だと解釈した青司は、年神に激怒する。
そんな2人を横で見ていた納戸は、青司が昔よりも自分達の方に歩み寄り、表情が豊かになっている事に気づかない年神と、彼の言葉の足りなさに呆れるのだった。

稲造の初命日と年の瀬

神々との絆を深めた後も、青司は様々な妖怪や神々に振り回されながら日々を過ごす。そうして毎日をくり返していく中で、いつしか彼は、納戸や年神との暮らしがまるで「家族のようではないか」と感じ始めるようになる。
そうして年の瀬が近づいてきた冬の日、稲造の命日がやってくる。稲造の初盆の時同様、稲造の命日に参りに来た人ならざる者達の宴会場と化す笹木家。初盆の事もあり、ある程度の心構えはしていた青司だが、それでも実際に宴会となるといくらかの疲労は溜まる。だが年神を知る他の者達いわく、「正月は年神の力が一番発揮される時期だから、時が来ればこの場に居る者たちを皆追い出してくれるはず」とのこと。その話を聞いた青司は、年神が本来は正月に山から降りてくる豊穣神であった事を思い出し、正月の準備をしっかりした方がよいのではないか、と考える。
一方、年神の方は年神としての仕事をする為に、山へ向かおうとしていた。「ほんの少しだが家を空ける」という年神を見送る青司。すると、そんな2人の様を見ていた妖怪達が、年神がいなくなった事をいい事に、稲造を黄泉から呼び出す術を行おうと企む。それに気づいた稲荷の狐達と宴会場で青司の手伝いをしていた向山紅白坊の部下の天狗達が、彼らを止めようと奮闘。ギリギリのところで術を邪魔する事に成功するが、その影響で笹木家の庭が木っ端みじんに吹き飛んでしまう。
その理不尽な光景に憤った青司は、年神の一件もあり、彼の見せ場である正月をいい正月として迎える為に、宴会場にいた神々や妖怪全員に庭の掃除をやらせる。帰り道を閉ざされた人ならざる者達は、青司の命に従って庭を綺麗にした後、新年と共に笹木家を去って行った。
だが、いざ新年を迎えても、当の年神だけが家に帰ってこない。青司がそれを不思議がっていると、そこへ狐が、笹木家の玄関にある年神の依り代が壊れている事を告げにくる。実は庭が吹き飛んだ際、それに巻き込まれる形で年神の依り代の木も折れてしまっており、そのせいで年神が家に帰ってこれなくなっていたのだ。

帰ってこない年神

年神の依り代について、稲荷に訊きに向かった青司。稲荷いわく、依り代の木は年神にとってはいわゆる「目印」にあたるもので、それがなくなった今、年神は帰り道がわからなくなっている迷子状態にある可能性が高いとの事だった。
そうと知った青司と納戸は、依り代の代わりとなるものを作る。最初は、元の依り代から挿木したものを神々の力によって依り代そっくりの木に再現した物を用意した。が、それでも帰ってくる気配はない。他にもお正月らしい事をしてみるも、やはり年神が帰ってくる様子はなかった。すると、事態を知った巧から「元の木を整えて置いてみるのはどうか」と提案される。
それを妙案とした納戸は、旧正月までに青司と一緒に元木を使って年神を模したオブジェを作ろうと決意。青司も最初こそ嫌がっていたが、年神の為という事もあってか、苦手な工作に奮闘していくようになる。結局、オブジェは酷い出来になってしまった為、2人は狐の助言にしたがって、年神が使っていた物と一緒にオブジェを飾りおく事にする。出来は酷かったが、ここまで頑張った事もあり、納戸と青司は年神が帰ってくる事を心の底では期待していた。しかし、旧正月を迎えても年神が帰ってくる事はやはりなかった。
年神が帰ってこない事に、心が沈む青司。それを察してか、稲荷の狐達や巧は青司を気遣って笹木家に頻繁的に訪れるようになる。さらには稲荷からも「年神がいないせいで、家によくないものが集まりやすくなっている」と、青司は忠告を受ける。稲荷も稲荷なりに自分に気を配ってくれていると知った青司は、神々や友人の優しさに少しばかり心救われる。
そんな時、謎の黒い化け物が笹木家を目指している事が発覚。青司は鳥天や狐、納戸の力を借りて、化け物を家におびき寄せて撃退する事を決める。しかしその時、青司は納戸から「化け物を退治するか封印するかは、青司が決めなければいけない」と言われ、心が揺らぐ。今まで考えた事もない重たい命題に、困り果てる青司。家で一番力がある年神がいない以上、これからは自分がこうした問題を決めなければいけないのかと気づき、心が重たくなる。そんな青司に気づいた化け物は、そこを青司の隙と見てか、彼の心を揺さぶる問いかけを行う。だが、家を守る為には必要な事だと覚悟を決めた青司は、「生活を脅かすなら力ずく」「ご先祖様の物だろうと使える物は使って生き延びる」と化け物に宣言する。
すると、それを聞いた化け物は急に喜びながら笑い出す。次の瞬間、その身体がドロドロに溶け始め、中から年神が出てくる。

青司の抱えていた不安

化け物の正体は、家に帰ろうと迷子になっていた年神が、途中で遭遇した澱に飲み込まれてしまったものだった。こうして無事に戻ってきた年神だったが、以来、青司の様子が大人しくなってしまう。どんな失敗をしても怒らなくなった青司に困惑する年神。年神は稲荷に助言を求めるが、「今はただ傍にいてやれ」と返されてしまう。納戸にも助言を求めてみるが、納戸からも助言らしい助言は貰えなかった。それどころか、今回の一件は青司にとっては「自らの年神に対する信仰心を試されている」「帰ってこないという事は、己の年神への信仰心は不合格だった」とでも感じたのではないか、と返されてしまう。
困った末に、年神は青司を連れてピクニックに出る事にする。自らの力を使い、家の庭先を自然で溢れる場所に改装し、そこに青司を連れて行く。庭先が植物だらけになっている光景を見た青司は、久々に激怒。年神に「自分の機嫌は自分で取る」と怒鳴る。だが、「それじゃつまらない」と年神は青司の意見を一蹴。そうして、青司を安心させる為に、「どんな事があっても、自分はこの家を見捨てない。絶対に帰ってくる」と続ける。
そんな年神の言葉を聞いた青司は、自分が抱えていた不満をぶちまける。実は、彼は年神がいなくなってしまった事に、ずっと恐怖を覚えていた。両親を失った経験がある彼にとって、家族といって差し支えない者が失われる感覚は忘れられないトラウマに近いものだったのである。
それを知った年神は、青司が抱えていた不安が、自分が思う以上に彼の心に暗い影を落としていた事に気づく。本音をぶちまけて泣く青司を抱きしめながら、年神は自分が化け物になってしまっていた時、かろうじて聞こえていた声の存在を思い出す。それは確かに、自分を呼ぶ青司の声だった。

納戸の怒りと年神のこれから

青司を泣かせた年神は、その後、納戸から彼を泣かした事をネチネチと責められる。不用意に青司の心の奥底に足を踏み入れ、彼を泣かせた事を納戸に責められる年神。実は、年神がいない間、笹木家に住まう神として年神の代わりを務めていた納戸は、その時の苦労から年神に対してずっと静かな怒りを抱いていた。しかし、今は青司の方が先に年神に感情をぶつけるべきだろうと判断し、自分の番が来るのをずっと待っていたのである。年神にとって青司が大事な相手であるように、納戸にとっても青司は、自身が守るべき大事な家の子であり、彼なりに青司を大事にしていたのだ。
納戸の怒りを浴びた年神は、自らの行いを反省する。そうして青司と改めて話をする事を決める。しかし、そんな年神の決意に対して、翌日から青司の態度はそっけないものになってしまう。それは、年神に泣きついてしまったという羞恥心からのものだった。だが、年神の方は青司の心情に気づけずに戸惑ってしまう。
しかし、そこでめげず、年神は狐達と青司を連れて闇市に行く。そこには、先日年神が庭で咲かせた植物達が飾りつけとしてあらゆるところで使われており、年神の帰宅祭という建前上の祭りごとが行われていた。青司を楽しませようと、狐達と一緒に彼をあらゆるところに連れて行く年神。青司はそれなりに祭りを楽しむが、年神への態度は一向にそっけない。それに年神が頭を抱えていると、そこへ熊野が現れる。年神の悩みを聞いた熊野は、年神に「人の暮らしから離れた方がいい」「年神には向かない」と返す。しかし、先日の青司の様子を見ていた年神は、それだけはやってはいけない事だと首を横に振った。
その後、熊野の提案で年神達は空飛ぶ茣蓙に載って、木の上で花見をしながらご飯を食べる事になる。そこで青司と2人きりになる機会に恵まれた年神は、改めて自分が青司に構う理由を彼に話す。以前「かわいそう」だと言った真の理由を彼に語る。「人の心がなんたるかもわからないのに、青司が抱えているものをどうにかできたらと思った」「こんな年神でいいか」と、自らの胸の内にあったものを明かす年神。それを聞いた青司は、「神がいたから、今の家を広く感じずに暮らせている」と返し、今まで一切信仰も願いもできずにいた自分を見捨てずにいてくれた事にお礼を述べた。
互いに心の内を明かしあった2人は、ようやくお互いに心が軽くなる。そうして、これからもこうやって紆余曲折しながらも一緒に暮らしていく事を決めるのだった。

『あめつちだれかれそこかそこ』の登場人物・キャラクター

主要キャラ

笹木青司(ささき せいじ)

本作の主人公にあたる男子高校生。両親を亡くし、孤児となる。両親が家族と距離を置いていたからか親戚の類と顔を合わせた事がなく、祖父の遺産の存在も話が持ち上がるまで知らなかった。
基本的には落ち着いており、人当たりもいい少年だが、理不尽な事をしてきた者に対しては対応が厳しくなる一面も持ち合わせている。作中では、人智の範疇を越えた行動ばかり取る神々や妖怪達によく怒っていた。
また、神である年神や納戸に出会った当初は、そうした者達の存在を信じられず、疑いの眼差しを向けている。現実的な思考の持ち主である模様。しかしその反面で神を敬う心もあるようで、神棚の掃除をしたり、地元の神である稲荷の神社へお参りをしたりといった描写も見られる。

年神(としがみ)/年男(としお)

笹木家と昔から付き合いがある年神。本来なら山に住んでおり、正月になると各家に降りてくるといった穀物・農耕の神だが、人間界に興味があったためか笹木家で暮らし続けている。笹木家の当主であった稲造がいなくなった後も、跡取りである青司が来ると信じて家で待ち続けた。誰も自身を敬う者がいない家で暮らしていたせいか、一時はその存在が消えかけもしたが、第1話で青司が家を綺麗にしてくれたおかげで神として復活する。
基本的には人がいい、穏やかなおじさん。青司を喜ばせようと奮闘するが、価値観が人ではなく神に寄っているためか空回りする事が多い。
なお、他の妖怪に恐れられるほどには神としての力は強く、位も高い模様。いざという時は、彼に頼ればどうとでもなると思っている者も多いようで、人外の者達によく頼られている。しかし、青司にはなかなか神と信じてもらう事ができず、「年男」(としお)という愛称で呼ばれるようになってしまう。

納戸(なんど)

笹木家の納戸に住まい、納戸を管理する神。年神と共に長らく笹木家で暮らしており、先代当主の稲造が亡くなってからも彼と共に笹木家にいた。青司がやってきた当初は彼の事を気に入らず納戸にこもっていたが、青司の荒療法にも似たやり方で引きずり出され、以降は家の中を自由に歩き回るようになる。青司の事も、彼が真面目な人間である事を知って以降は、共に暮らす事を受け入れる。
小学生ぐらいの子どものような容姿をしており、言動も子どもっぽく我儘なところが多い。また、年神よりも人間に近しい場所に住まう神であるからか、彼よりも人間に対する理解度が高い。だが長年神としてあり続けた者である事も確かで、時折それっぽい発言をする事がある。

1215chika
1215chika
@1215chika

目次 - Contents