ゼイチョー!(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゼイチョー! ~納税課第三収納係~』とは2016年から2017年まで慎結が『BE・LOVE』(講談社)で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品。東京都にある架空の市役所、幸野(みゆきの)市役所を舞台に、新人市役所職員である百目鬼華子が、納税課に配属され、徴税吏員として市民と関わっていく中で、税金を払うことができない市民のそれぞれの事情や思いを知り、葛藤しながらも理想の徴税吏員を目指し、成長していく姿を描く。

饗庭蒼一郎「饗庭財務部長に百目鬼納税課長ってよくない?」

第20話「彼の夢 彼女の理想」にて、饗庭は自分の昇任試験についての話題が出たとき、華子に将来の夢を語る。

それまでの激務から国家公務員のキャリアを降り、市役所職員となり役職に興味のなかった饗庭が、昇任試験を受けることを決め、理由を尋ねられ、華子に向かって言ったセリフ。華子の指導係になった際、華子の家庭が強制執行にあった過去を知った饗庭は、華子がどこまで頑張れるか見ており、途中でくじけることも想定していたと言う。しかし、彼女はめげず、その姿勢で、市民にも、そしてキャリア時代の後輩の沖矢のことで行き詰っていた饗庭にも真摯にぶつかっていくことから、饗庭との間にも信頼関係が徐々に生まれていった。それまで華子のことを終始「新人ちゃん」と呼んでいた饗庭が「饗庭財務部長に百目鬼納税課長ってよくない?」と華子を苗字で呼ぶこのシーンからは、彼女のことを自分の相棒として認めていること、信頼しているからこその彼女とともに働く未来を真剣に考えていることを想起させる。

『ゼイチョー! ~納税課第三収納係~』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者の市役所勤務経験をもとに描かれた作品

作者の慎結は、2023年8月31日掲載のコミックナタリーによる本作ドラマ化記念のインタビュー記事「徴税吏員の活躍描く「ゼイチョー!」TVドラマ化、菊池風磨が“取り立て屋”の公務員に」の作者コメントの中で、市役所で非正規職員として働いていた経験をもとに、本作を執筆したとしている。また、ドラマ化を記念して短期連載された特別番外編では、主人公の華子と同じ納税課に新しく配属された非正規職員の女子の三輪が登場し、市役所内部から見た問題も描かれている。

登場人物の追加・性別変更多数のドラマ版

ドラマ版では漫画版から比べ、第三収納係のメンバーが増えており、饗庭にライバル心を燃やす浜村、納税課から異動希望を強く出している加茂原などが登場する。前者はドラマオリジナルの要素だが、後者は漫画版の増野に通じる部分がある。また、浜村の下の名前は、漫画版の原田のものであるが、漫画版の原田の立ち位置に近いのはドラマ版では鷺沼である。また、第一係の係長がドラマ版では、女性へ変更され、保育課の課長がドラマ版では、男性へと変更された。

より社会問題を反映したドラマ版

原作では、滞納者とそれぞれのキャラクターが滞納してしまう事情がメインになっているが、ドラマ版では、さらに手当の不正受給問題も取り上げられている。シングルファーザーの木下の登場回において、原作にはない「SNSで称賛されている理想のシングルファーザー」が比較として登場する。しかし、実際にはこの理想のシングルファーザーは偽装離婚をしており、余計に手当をもらう等不正受給をしようとしていた。また、ドラマオリジナルとして、出稼ぎに来てコンビニや特別養護老人ホームで働く外国人労働者が滞納者として登場する。

市の黒幕を追うことに主軸を置いたドラマ版

ドラマ版では、主軸が「徴税禁止リスト」が存在するのか、しないのか、またそれを作らせた黒幕を追うことに置かれている。それに伴い、相楽が副市長に就任した理由が、「徴税禁止リスト」を市に作らせ、特定の企業を税金から免れさせていた相楽グループの会長である父の不正を止めるため、となっている。さらに、ドラマ版における黒幕は相楽の父が経営する相楽グループである他、その企業の裏金疑惑に、みゆきの市の市長が関わっていることになっている。また、原作で国家公務員のキャリアから追われた後輩の沖矢は、ドラマ版では饗庭や相楽の同期という設定に変更され、不正に関与したことになっている。華子の憧れであり、公務員を目指すきっかけとなった羽生も、ドラマ版では、既に市の職員を辞め、「徴税禁止リスト」の作成に関わっていたことになっている。さらに、現在第三係に所属する鷺沼も、過去「徴税禁止リスト」の作成に関わっていたことが明かされる。
原作では、「徴税禁止リスト」の存在は納税課職員の中では暗黙の了解となっており、隠されてはいない。

菊池風磨は本作ドラマ版が地上波の民放GP帯の連続ドラマ初主演

菊池風磨は、本作が地上波の民放GP帯の連続ドラマ初主演となる。また、同じ年の同じテレビ枠で放送された『大病院占拠』にも出演しており、1年経たずして同じテレビ枠での出演を嬉しいと思ったと語っている。最初に本作の作品名を聞いたときは、「固そう」と思い、自分で大丈夫かなと感じたが、自ら演じるキャラクターの役どころを聞き、腑に落ちたと話している。
また、浜村役の白洲迅も『大病院占拠』に出演している。

『ゼイチョー! ~納税課第三収納係~』の主題歌・挿入歌

主題歌:Sexy Zone『人生遊戯』

ドラマ主題歌。作詞は渡辺拓也、真崎エリカ、徳山優、深川琴美、Komei Kobayashi。作曲は渡辺拓也。編曲はCHOKKAKU。歌はSexy Zone。作詞のラップ部分は菊池風磨が手掛けている。Sexy Zoneにとっては25枚目のシングル。

挿入歌:藤原さくら『daybreak』

ドラマ挿入歌。作詞・作曲・歌は藤原さくら。

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