超獣機神ダンクーガ(Dancouga)のネタバレ解説・考察まとめ

『超獣機神ダンクーガ』とは、葦プロダクションが製作し、1985年4月から放映されたロボットアニメである。奥田誠治が監督を務め、シリーズ構成を藤川桂介が担当した。異空間からの侵略者「ムゲ帝国」から地球を守るため、野生の本能を武器に転化して戦う主人公達「獣戦機隊」の活躍が描かれた。愛憎入り乱れる人間模様や過酷な戦争描写が物語を盛り上げる。主人公が正規軍人である点など、リアルロボット的な要素がありながらも、主役メカが無敵の巨大ロボット「ダンクーガ」に合体する、スーパーロボット作品として描かれた。

ムゲ・ゾルバドス帝王

CV:仲村秀生
ムゲ・ゾルバドス帝国の皇帝。みずから建国した帝国を率い、地球征服を狙う。恰幅の良い体に紫のローブをまとい、金属製のマスクで口元を隠したような容貌をしている。その出自から権威的かつ独裁的な印象を受けるが、敗退者をねぎらい休養を与えるなど、部下に対する寛容さと温情を持ち合わせている。そのため3将軍などの部下の忠誠と士気は非常に高い。地球人であるシャピロに対しても、その野心を隠さない態度を気に入り、配下に取り立てるほどの度量を示した。OVA『失われた者たちへの鎮魂歌』で真の姿である、光を放つプロテクターに身を包んだ均整のとれた体と美しい顔を披露した。悪霊すら操りダンクーガを追い詰めたが、祈りの力を束ねた断空剣の投擲を受けて敗北する。しかし後のOVA『GODBLESS』にて復讐の念をたぎらせた怨霊として再びダンクーガの前に立ち塞がる。巨大コンピューターを依代にすることで受肉し、巨大な管理局ビル群を背にしたヤドカリのような姿で現世に復活する。しかし忍と沙羅が心を重ねて放った「断空光牙剣」を受けて、2度目の死を迎える。

シャピロ・キーツ

シャピロ・キーツ

CV:若本規夫
ムゲ帝国に亡命した地球人で、軍人らしからぬ華奢な体躯に細面の美男子。自他共に認める天才で、地球人でありながらムゲ帝国3将軍に比肩する地位に取り立てられる。かつて忍達が学んでいた宇宙士官学校の教官であったが、地球侵略の危険についての自説を軍上層部に黙殺されたことに絶望し、地球人類を見限ってムゲ帝国に亡命した。その後地球から持ち出した情報と知略を駆使して、ムゲ帝国内で3将軍を上回る地位にのし上がる。しかし心中では、ムゲ・ゾルバドス帝王すら下して全宇宙の支配者となる野望をたぎらせていた。しかし己の力のみに固執するあまり、月前線基地を失う失態を犯してしまう。落ち目の彼を見限って逃亡するルーナに追いすがるも、短剣を投げつけられ、ついには発狂してしまう。虚空に向かって妄言を叫んでいるところに沙羅の銃撃を受けついに絶命、野望を追い求めた人生に終止符を打った。

OVA『白熱の終章』で新たなる敵、ディラドにより蘇生されて再登場する。記憶を半ば失いかつての覇気を失っていたが、忍達の戦いを目の当たりにするうちに記憶と感情を取り戻す。しかしディオレに用済みとして始末されかけ、深手を負いつつも脱出する。そこでダンクーガと遭遇し、沙羅の手でランドライガーのコクピットに乗せられる。沙羅の語りかけと魂の叫びに呼応して、野心ならぬ野生の力に目覚め断空剣に光を与えるとともに、ディオレの居場所を指し示す。戦いを終えた時にはすでに息絶えており、地球の土は踏みたくないだろうとの沙羅の配慮で、ランドライガーごと宇宙葬に付される。

伝統的な美形敵キャラとしてだけではなく、才能ゆえに認められず悩む、どことなく儚く人間くさいキャラ設定が視聴者の人気を掴んだ。その影響かTV版後期エンディングでは、主要人物を尻目にほぼ絵面を独占していた。

ルーナ・ロッサ

ルーナ・ロッサ

CV:島津冴子
ムゲ帝王直属の宰相として振る舞う妖艶な美女。地球外生命体であるはずだが、容姿は地球人とほとんど変わらず、女性として振る舞っている。これが生来のものかシャピロを懐柔するための擬態なのかは不明。上昇志向の高い男に惚れるタイプのようで、野心をたぎらせるシャピロに惚れ込む。逆に失態を重ねる3将軍を露骨に嘲笑する場面も目立つ。長らくシャピロの参謀として付き従っていたが、月基地損失の際に、苦言に激昂する彼の狭量さを目の当たりにして見限る。その後ギルドロームの元に走ると、共にシャピロを嘲笑しながら火星に置き去りにした。やがてアステロイド基地におびき寄せたシャピロの最後を見届けようとモニターで監視する。侵入する沙羅を誘導して殺させようとするが失敗、追いすがってきたシャピロの胸に短剣を投げつけ突き立てた。「私が愛するには足りない男だったわ」と吐き捨てて脱出艇で去る。その後異空間を通ってムゲ本国に帰還しようとしたが、突入してきたダンクーガと接触してしまい、乗機の爆散に巻き込まれて死亡する。

デスガイヤー

デスガイヤー

CV:屋良有作
ムゲ帝国軍3将軍のひとり。筋骨隆々たる偉丈夫で、足が逆関節になっている。強敵との戦いに高揚する武人タイプ。建国時に多大な功績を残しており、ムゲ帝王みずからが肩に手を置き「貴様とふたり、また思う存分戦おうではないか」と語りかけるほど、他の将軍とは別格の信頼を寄せられている。専用の戦闘ロボット「デスグローム」を駆って獣戦機隊に挑む。しかし第16話で初合体を果たしたダンクーガに挑みかかるも、鉄拳の一撃でデスグロームを破壊され、更迭の憂き目にあう。第38話で再登場し、ムゲ帝王の前で打倒ダンクーガを誓う。やがてムゲ本星に辿り着いたダンクーガを、新型戦闘メカ「ザンガイオー」で迎え撃つ。異空間から供給される無制限の再生エネルギーと数々の重武装でダンクーガを追い詰める。しかし再生能力を逆手に取った忍の奇策に破れ、急激に痩せ衰えた後に爆死した。余談だがエンドロールでキャストクレジットが「デスガイヤ将軍」「ディスガイヤ」と表記揺れが激しかった。

ギルドローム

ギルドローム

CV:佐藤正治
デスガイヤー・ヘルマットと並ぶムゲ帝国3将軍のひとり。細面に石仮面のようなヒビ割れた顔が特徴。デスガイヤーとは正反対に、相手の弱点を突く、精神的な揺さぶりをかけるなど、搦め手が得意な策士タイプ。特に幻術を使った戦法を盛んに使う。胴体に巨大な一つ目を持った専用ロボットを駆り、催眠術を絡めた戦闘スタイルでダンクーガに何度も挑む。波状攻撃で獣戦機隊を疲弊させ追い詰める。しかしシャピロと内通していたビストールに足を引っ張られ、勝利寸前で更迭を言い渡される。その後第36話で、火星に陣地を構えて再登場する。撃破された月基地から逃げ出して落ち目のシャピロを罠にはめ、敵前に置き去りにした。その後ムゲ帝国へ向かう途中のガンドールを襲撃する。専用の戦闘ロボットを操り、得意の幻術を放つが、ガンドール砲の威力を身にまとったダンクーガの体当たりであえなく散っていった。

ヘルマット

ヘルマット

CV:二又一成
更迭されたギルドロームに代わり地球攻撃を任じられた3将軍のひとり。裂けた口と背中のコウモリのような翼が特徴。苛烈な残虐性と攻撃衝動を見せる。その獰猛さとは裏腹に、大艦隊を完璧に統制し火力を集中させて相手をねじ伏せる戦法と得意としている。シャピロからの情報で獣戦基地を攻撃し壊滅寸前まで追い詰め、さらにはイゴールを仕留めるなど多大な戦果を挙げるが、起動したガンドールの一撃で旗艦は轟沈し、辛くも撤退する。その後もガンクーガを何度も追い詰める。その後月基地を攻撃にきた忍達を迎撃するも、ブラックウイングに乗艦の核融合炉への特攻を許し、艦もろとも爆死した。

ビストール

ビストール

CV:戸谷公次
ムゲ帝国の参謀。ムゲ帝国内を権謀術数でのし上がろうとする。ゲルの亡骸を前に、忠義が過ぎての自死を責め、自分は卑怯者と罵られようとも生き延びようと決意する。元はデスガイヤーの参謀だったが旗色が悪くなると遁走し、今度はギルドロームに取り入る一方、シャピロとも内通していた。しかしギルドロームに裏切りを悟られ射殺される。

ゲル

ゲル

CV:田中和美
ギルドロームの腹心。白髪に隻眼でしわだらけな痩身の老人のような姿をしている。第27話で、らしくもない大攻勢を多用するギルドロームを諫めるが、意見を無視された挙げ句に休養とは名ばかりの更迭を言い渡される。その後、秘密兵器「レプリカーン」の培養槽の前で、命を賭してギルドロームの勝利に貢献すべく拳銃自殺する。しかし彼のその自死がギルドロームにとってどのような利益をもたらすのかについては描かれなかった。ちなみにギルドロームに相当長い間仕えていたらしく、回想には覇気に満ちあふれた若き日のゲルが描かれていた。

ディラド

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