超獣機神ダンクーガ(Dancouga)のネタバレ解説・考察まとめ

『超獣機神ダンクーガ』とは、葦プロダクションが製作し、1985年4月から放映されたロボットアニメである。奥田誠治が監督を務め、シリーズ構成を藤川桂介が担当した。異空間からの侵略者「ムゲ帝国」から地球を守るため、野生の本能を武器に転化して戦う主人公達「獣戦機隊」の活躍が描かれた。愛憎入り乱れる人間模様や過酷な戦争描写が物語を盛り上げる。主人公が正規軍人である点など、リアルロボット的な要素がありながらも、主役メカが無敵の巨大ロボット「ダンクーガ」に合体する、スーパーロボット作品として描かれた。

主人公のひとり・忍の代名詞とも言える決め台詞。初登場は第一話の終幕直前、「獣戦機だかなんだか知らないが、やってやるぜ!」との独白である。後にたびたび登場し、特に次回予告の締めくくりに多用された。忍の猪突猛進で思い切りのいい性格が現れている。

シャピロ・キーツ「ムゲ帝王様は、私の存在を必要とお認めになったのだ」

ムゲ帝王の言葉に色めき立つヘルマット(右)とギルドローム(左)に対し、不敵な笑みを浮かべながら講釈をたれるシャピロ(中)この時点で3将軍との軋轢は決定的なものになった

第3話でシャピロが地球連合軍に大打撃をあたえ、ギルドローム・ヘルマットの前でムゲ帝王に取り立てられた場面。ムゲ帝王の言葉に動揺する将軍達に「軍人に必要な事は常に的確な状況を把握し行動することにある。ムゲ帝王様は、私の存在を必要とお認めになったのだ」と不敵な笑みを浮かべる。シャピロがムゲ帝国内での地位を確立した瞬間である。しかしそれは同時に3将軍との決定的な確執が生まれた瞬間でもあった。それが後にシャピロ自身の運命に暗い影を落とすことなど、この時は知るよしも無い。

藤原忍「なんだこれは。これが本当に俺たちの力なのか」

ダンクーガでの初勝利にもかかわらず底知れない力に対して怯える忍

第16話でゲラールの死を乗り越え、ついに合体を果たしたダンクーガ。4人の精神エネルギーが共鳴したそのパワーは凄まじく、腕の一振りでムゲの飛行メカ群を消滅させ、裂帛の気迫とともに組み討ちを仕掛けるデスグロームですら風船のように放り投げる。単なるパワーを超えた超常的な力を前に、忍は高揚よりも先に戦慄を感じ、「なんだこれは。これが本当に俺たちの力なのか」と思わずこぼす。大きすぎる力を得てしまった人間の畏怖を感じる場面だ。

ロス・イゴール「この孫を守ってくれ。この子こそ、地球の未来」

最後の言葉を残し、事切れたイゴールを胸に抱くアラン

第29話。イゴール将軍の最期の言葉。獣戦基地をヘルマットの総攻撃が遅い、基地内にも敵兵が踏み込んでくる。怯えたローラはイゴールに抱きついて離れない。「おじいちゃん」と呼ばれて幼い命への愛おしさに目覚めたイゴール。ローラを説き伏せて居住区に向かわせるも、今度は居住区に敵兵が迫る。単身ローラを救うべく全身に敵弾を受けながらも仁王立ちで敵兵と戦うイゴールだったが、ついに力尽きる。万事休すかと思われたが、そこにブラックウイングが駆けつける。今際の際で息子アランと奇跡の再会を果たしたイゴールは、彼にローラを託す。「アラン。他の4人の子供達と共に、この孫を守ってくれ。この子こそ、地球の未来」と言い残して、アランの腕の中で息を引き取った。父から子へ、命のバトンが渡された事を感じさせる場面だ。

司馬亮「心にて悪しき空間を立つ、名付けて断空剣」

断空剣を初めて握るダンクーガ「断空剣」の銘はこの時につけられた

強敵デスガイヤーの駆るザンガイオーとの戦いは熾烈を極め、空間作用で不利を強いられるダンクーガ。亮は出発前に葉月から託された切り札をきるように忍に促す。ガンドール砲の機構を小型化し、精神エネルギーで威力を増す兵器とだけ説明され、テストすらしていないようで、忍が「ぶっつけ本番だ、覚悟してくれ」と発言している。ダンクーガの右腰から飛び出した鞘から刀身が飛び出し、刀身が飛び出して長剣と化す。構えると同時に亮が「心にて悪しき空間を立つ、名付けて断空剣!」と叫ぶ。このことから、断空剣と銘打ったのは亮であることが解る。これより先、断空剣はダンクーガの主力武器となり、数々の戦いをくぐり抜けていく。

『超獣機神ダンクーガ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

年末商戦の商材の払底が放映打ち切りの真の原因

放送当時の超合金。作中の設定通りアグレッシブモード・ヒューマノイドモードに変形し、ダンクーガに合体する

スポンサーが意図した視聴者層である玩具の購買層、すなわち低学年男児からは支持を得られずに打ち切りの憂き目に遭った本作品だが、直接の打ち切り原因はそれだけでは無かった。スポンサーが発売していた超合金玩具は当然売り上げがかんばしくなく、ダンクーガの超合金は国内では在庫が積み上がる一方であった。しかし当時偶然にも米国で超合金ブームが起こる。これ幸いにと超合金はどんどん輸出されていき、放映当時の年末商戦前に国内の商材が払底するという珍事に発展した。そのため販促としてのTV放送の必要性がなくなり、打ち切りの決定打になった、とする説がある。

ひそかに埋め込まれていた制作陣の感謝メッセージ

購入者への感謝メッセージ。ムゲの惑星が地割れした一瞬に写っている

OVA『失われた者たちへの鎮魂歌』の終盤、ムゲの母星が崩壊する場面で、割れた地表から閃光が放たれるが、その中に一瞬、「ビデオ買ってくれてありがとー」という隠しメッセージが映し出される。セルビデオ販売当時の購買層への感謝メッセージと思われる。

初代「C.C.ガールズ」のメンバーとして活躍したローラ・サリバン役の藤原理恵

忍達の側に寄り添う可憐な少女、ローラ・サリバンに声を当て、前後期通して主題歌を担当した藤原理恵。初々しい声音が印象的であったが、その後はそのプロポーションを活かしてグラビアアイドルとして人気を博した。1990年、青田典子、原田徳子藤森夕子と共に芸能ユニット「C.C.ガールズ」を結成、1995年の脱退まで活動を続けた。

C.C.ガールズのメンバー時に某社から発刊された写真集

『超獣機神ダンクーガ』の主題歌・挿入歌

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