超獣機神ダンクーガ(Dancouga)のネタバレ解説・考察まとめ

『超獣機神ダンクーガ』とは、葦プロダクションが製作し、1985年4月から放映されたロボットアニメである。奥田誠治が監督を務め、シリーズ構成を藤川桂介が担当した。異空間からの侵略者「ムゲ帝国」から地球を守るため、野生の本能を武器に転化して戦う主人公達「獣戦機隊」の活躍が描かれた。愛憎入り乱れる人間模様や過酷な戦争描写が物語を盛り上げる。主人公が正規軍人である点など、リアルロボット的な要素がありながらも、主役メカが無敵の巨大ロボット「ダンクーガ」に合体する、スーパーロボット作品として描かれた。

ディラド

ムゲ帝国に代わり地球を狙う異星勢力。女王ディオレを頂点に頂く絶対君主制を敷いている。その最大の特徴は植物を文明・技術の根幹に用いている点である。建築物や兵器なども植物をベースに構築されている。その住人であるディラド人自身も、植物に由来した能力を持ち、鱗粉を浴びせることで他の生物を殺傷する能力をもつ。地球圏に母星をワープさせるが、その実態は惑星などではなく、植物の巨大な群体であった。かつてディラドの母星は2億年前には現在の地球軌道上にあったが、なんらかの事情で消滅し、ディラドの民は宇宙の彼方に放逐された。最終目的はディラドの母星で地球を飲み込み、「生命の種子」と呼ばれるものを解き放つこと、とディオレ自身の口から語られる。ディオレを含む現在のディラド人と呼ばれる人間態は侵略などの行動をしやすいように形作られた仮の姿「命なき者」であり、本来の姿は植物のみで構成された生態系そのものである。ディオレが宇宙を漂っていたシャピロの亡骸を見つけて蘇生させ、その記憶の断片から長年探し求めていた地球の座標を得る。宣戦布告すらなく地球連合軍の最重要拠点である宇宙基地に襲いかかる。ツタ状の生物兵器で包み込んで、基地の全員を「植物化人間」にして使役した。しかし地球連合軍の決死の抵抗とダンクーガの活躍により女王ディオレを討ち取られ、母星は消滅して野望は道半ばで尽きた。

『超獣機神ダンクーガ』の登場兵器

獣戦機(じゅうせんき)

地球連合軍の秘密兵器。イゴール将軍の指揮の下、葉月博士が設計した、戦闘攻撃機1機、機動戦闘車2両、移動要塞1両で構成された兵器群の総称。戦況に応じてその形態を変化させ、柔軟に戦力を投入することが可能な可変型戦闘兵器である。各機体には人間の精神エネルギーを戦闘力に転換する技術が用いられている。機械工学やロボット技術、さらには超心理学までも結集し、果ては神学に踏み込む壮大な技術体系が投入されている。これらの性能を発揮するために特別なエネルギーが開発されているが、これが精神エネルギーに呼応して莫大なパワーを生み出すようだ。このような技術は既存の地球製兵器はおろか、ムゲ帝国にも見当たらない。以下に各形態の特徴と機能、機体別の性能を解説する。

ノーマルモード

獣戦機の4機。イーグルファイター(上)ビッグモス(中)ランドライガー(右)ランドクーガー(左)

各獣戦機の基本形態。外見上は既存の地球製兵器と大差なく、戦闘機や戦闘車両の姿をしている。しかし機関砲やミサイル、主砲の直撃で十分にムゲの戦闘メカを撃破する威力を持ち、再三集中砲火を受けても破損はおろか傷1つ突かない堅牢性は既存兵器を大きく超えている。イーグルファイター以外は飛行能力を持たないので戦線投入時は常に専用輸送機を必要とする。

アグレッシブモード

ランドライガーのアグレッシブモード

変形することで動物型の戦闘形態になる。この形態では超電子頭脳にセットされた「野獣の本能」をパイロットの精神に送り込んで闘争本能を呼び起こし、それをフィードバックすることで野獣の攻撃性や俊敏性を再現する。生存競争相手への過剰な攻撃性や残虐性は、動物よりもむしろ人間に見られる特性だが、それを超電子頭脳が野獣の本能にいわばエミュレートしている。攻撃性は格段に増すが、行動がやや単調になる傾向がある。通常はアグレッシブモード発動用のスイッチを操作することで発動する。忍達4人が装備する専用ヘルメットが獣戦機と脳波のやりとりをするインターフェイスになっているらしく、青かったバイザーがアグレッシブモードでは赤く変色する。ちなみに作中では呼称が「アグレッシブモード」「ビーストモード」など一定しない。

ヒューマロイドモード

ランドクーガー(右)ビッグモス(中)ランドライガー(左)のヒューマノイドモード

第11話で初登場した形態。2足型ロボット形態で、四肢と完全に機能する手指を備え、頭部には目鼻口が揃った人面が施されている。アグレッシブモードとは違い、葉月博士が遠隔で機能ロックを解除すると、特に困難もなく起動した。人間同様の細かい作業や戦闘をこなす。そのためアグレッシブモードでは難しかった高度な作戦行動が可能になった。それぞれに専用の銃器を持って戦う。忍達のヘルメットバイザーの色は緑色になる。

イーグルファイター(AGT-1)

イーグルファイター

忍が搭乗する獣戦機第1号。初登場は第1話。その名の通りワシを模した姿をもつ戦闘機型。速度よりも運動性を重視したらしい直線翼をもつ。自由度の極めて高い偏向ノズルと合わせて、驚異的な機動性を発揮する。さらに大陸間を無補給で往復するほどの長大な航続距離を備えている。航空機としては破格の強度を誇り、敵メカに地面に叩きつけられても全く損傷しなかった。武装は機関砲と両翼端から発射するミサイル。機密保持のためか、この機体だけ新規建造ではなく、忍が基地に乗り付けた制式戦闘機のコンポーネントを流用する形で建造された。獣戦機唯一の航空機ということで、他の獣戦機の空輸中を護衛する役割を担う。獣戦機の中で唯一、ノーマルモードとアグレッシブモード間で変形しないが、アグレッシブモード時には青いオーラのようなバリアに身を包み、敵メカを体当たりで撃破する。ヒューマロイドモードでは獣戦機中最小の体躯を持つ。敏捷性や機動性がずば抜けており、主に牽制や攪乱を得意とする。サイズ的な制限のためか、マニピュレーターは4本指になっている。バッテリーカートリッジ式の専用ビームガンが武器。ダンクーガに合体時は頭部を形成し、翼を折り畳んで人面を展開し、ビッグモスが頭部を格納したところに合体する。

ランドクーガー(AGT-3)

ランドクーガー。写真はアグレッシブモード

第3話で登場した第2の獣戦機。黒い車体の機動戦闘車型で、機体上部に長砲身の主砲1門を備え、その基部近くに5連装ミサイル発射口がある。パイロットの視界確保を優先しているためか、装甲車両としては珍しくコクピットキャノピーが機首に露出している。機動力が非常に高く、シミュレーターで対戦した忍が驚愕するほどの回避性能を見せた。このことから、耐弾性よりもパイロットの視界を確保しての機動戦闘を優先していると思われる。搭載する長砲身の主砲は命中率重視のようで、基部に照準用と思われるレーダーアンテナを装備している。アグレッシブモードでは折り畳んでいた四肢を引き出し、主砲を尾のように後ろに向けて、クロヒョウを模した姿に変形する。4足になったことで機動性は飛躍的に高まり、主に爪による襲撃と牙による引き裂きという、まさにクロヒョウのような野性的な戦いをする。ヒューマロイドモードでは直立して前足がマニピュレーターに変形、頭部が展開することで完成し、連射可能なブラスターガンを手に戦う。ダンクーガに合体時は、左の足首から下を形成する。ノーマルモードの状態で主砲だけを180度回転させて格納し、合体基部とする。

ランドライガー(AGT-2)

ランドライガーのアグレッシブモード

第4話から登場した第3の獣戦機。登場したのはランドクーガーの後だったが、型式番号はこちらが若い。灰色の機体に黄色い装甲を持つ機動戦闘車型。ランドクーガーに比べやや短砲身だが2連装の主砲を備え、さらに機体前面に機銃を2門持つ。キャノピー前面に追加装甲を持つなど、同規格の車体を持つランドライガーよりも重武装重装甲になっている。ランドライガーと同様に変形し、キャノピー前の追加装甲を展開してタテガミのように冠することで、雄ライオン型のアグレッシブモードに変形する。重装甲な分動きはランドライガーよりも遅いが、特に牙での攻撃を得意とし、敵ロボットの装甲をたやすく切り裂く。ヒューマノイドモードもランドライガーと共通の変形と武器を持つが、タテガミ状の追加装甲が腹部を守る形になる。ダンクーガに合体時は右足先を構成する。これもランドライガーと同様にノーマルモードから主砲を180度回転させて合体基部とする。OVA『白熱の終章』のラストでは、息絶えたシャピロを葬る棺とすべく、ダンクーガから切り離されて宇宙の彼方に漂い去った。

ビッグモス(AGT-4)

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