超獣機神ダンクーガ(Dancouga)のネタバレ解説・考察まとめ
『超獣機神ダンクーガ』とは、葦プロダクションが製作し、1985年4月から放映されたロボットアニメである。奥田誠治が監督を務め、シリーズ構成を藤川桂介が担当した。異空間からの侵略者「ムゲ帝国」から地球を守るため、野生の本能を武器に転化して戦う主人公達「獣戦機隊」の活躍が描かれた。愛憎入り乱れる人間模様や過酷な戦争描写が物語を盛り上げる。主人公が正規軍人である点など、リアルロボット的な要素がありながらも、主役メカが無敵の巨大ロボット「ダンクーガ」に合体する、スーパーロボット作品として描かれた。
CV:矢尾一樹
獣戦機「イーグルファイター」のパイロット。1968年生まれの18歳。血液型A。ムゲ帝国との開戦時は、オーストラリア宇宙軍士官学校の生徒だった。士官学校での成績は中の上だが、命令違反・暴力事件の常習犯。初期は上官や先輩にため口を叩き、些細な口論の末に殴りかかるなど、軍人以前に人として疑問符のつく素行が目立った。その割にケンカはさほど強くなく、上官のシャピロや拳法使いの亮、果てはゲリラの巨漢やサイボーグなど相手に、戦力差も見極めずに殴りかかっては返り討ちに遭う醜態を晒した。しかし飛行訓練や射撃の腕では飛び抜けた才能を見せ、時に戦局を冷静に分析する才能も見せる。その実力ゆえに訓練生の中でも一目置かれる存在だった。ムゲ帝国襲来後、士官学校の卒業を待たずに獣戦機隊に転属になる。獣戦機「イーグルファイター」のパイロットに任命されると、マニュアルを完読せず、転換訓練すら受けずに乗りこなして見せた。その後、獣戦機隊メンバーでも飛び抜けた「野生の力」を持ち、その異常な闘争本能にイーグルファイターの電磁頭脳が呼応することにより、特別な操作を行わずに「アグレッシブモード」が発動する。ダンクーガ合体時にはメインパイロットを勤め、その観察眼や発想力で幾度となく勝利をもぎ取り、数々の戦いをくぐり抜けてリーダーとしての信任を得ていく。
OVA『GODBLESS』では音楽活動を始め、ライブハウスでバンドのボーカルを勤めていた。沙羅とはケンカ仲間だったが、ともに戦う内にお互い惹かれ合う。蘇ったムゲ・ゾルバドスとの決戦中に沙羅の告白を受けると、亮とダニエラの結婚式に参列中、ブーケを彼女に渡してキスで答える。
OVA『白熱の終章』では沙羅とは離れて暮らしており、危険なクラッシュレースに身を投じていた。戦後の平和な生活に順応できない悩みを抱えていたらしく、鬱屈に耐えかねて叫び声を上げるほどになっていた。その後、獣戦機隊に原隊復帰した後は、苦悩していたのがウソのように以前と全く同じ調子に戻っていた。
結城 沙羅(ゆうき さら)
CV:山本百合子
獣戦機「ランドライガー」のパイロット。静岡県伊豆市出身。赤髪にメッシュの入った長髪とつり目が特徴。ランドクーガーのパイロットとして配属され、初搭乗で乗りこなして見せる。その様は、イゴール将軍が「女豹が乗り移った」と称するほど。性格はとにかく男勝りだが、少年兵の死に人前で涙するなど、情に厚い面もある。語尾がたびたびいわゆる「アネゴ口調」になる。連合宇宙軍士官学校に在籍中はシャピロの恋人だったが、ムゲ帝国に亡命した際に離ればなれになってしまう。シャピロの鬱屈と孤独を埋めたいと思っていたようだが、自分だけでは満足せずに果てない野望に邁進する彼に心中では不満を感じていた。ムゲ帝国に亡命しようとするシャピロについていこうとするが、忍に脱走を阻止される。しかし、シャピロとの離別を嘆くことはあっても忍を恨むそぶりは見せなかった。その後空襲からかばってくれた忍とは和解し、それぞれの任地に旅立つ。その後3話で獣戦機隊に合流する。戦場の悲惨さや散っていく人々を目の当たりにするにつれ、敵に回ったシャピロへの愛想は尽きていき、みずからの手で討つとまで言い放つようになる。しかし深層心理ではシャピロへの未練が残っており、闘争本能を削がれ、獣戦機に適応できずに倒れる。その際に葉月博士が催眠装置でイゴールの死を強く刷り込むことで、深層心理からシャピロの影を追い出すことに成功する。アステロイド基地にて正気を失ったシャピロを射殺することでついに因縁に決着をつけた。
対ムゲ戦後は軍籍のかたわらファッション業界に進み、OVA『GODBLESS』ではそのスタイルを活かしてファッションモデルをしていた。忍とはケンカ友達のような関係だったが、戦いの中でその直情的でまっすぐな性格に惹かれていく。蘇ったムゲ帝王との戦いの最中に忍に想いを伝えると、亮とダニエラの結婚式へ参列中に、キスを交わして気持ちを確かめ合った。
OVA『白熱の終章』ではファッション業界に伝手ができたのかファッションショーのプロデューサーを務めていた。忍とは連絡を取り合っていたのか、諜報員が方々探しても見つからなかった忍の元に赴いて、その荒れた様子を見て憂いていた。ディラドとの戦いの最中、シャピロと再会しダンクーガに同乗させると、かつての思い出を語りかけ、精神エネルギーを引き出すことに成功する。ディラドとの決着後、すでに息絶えていたシャピロを宇宙葬に付すべく、ランドライガーを切り離して宇宙の彼方に見送った。
式部 雅人(しきぶ まさと)
CV:中原茂/菊池正美(子供時代)
獣戦機隊に加わった第3のメンバー。ランドライガーのパイロット。士官学校では忍や沙羅の後輩に当たる。容姿は年よりも若く見え、陽気でお調子者という少年のような言動を示す。ノリで独断行動をした挙げ句に窮地に陥るなど未熟な面があるが、いざというときは機転を利かせて勝利に貢献し、また敵メカに喰らいついて離さないなどの気迫を見せる時もある。また銃撃の技能に優れ、作中何度かムゲの偵察ポッドを拳銃で撃墜する場面があった。バイクの運転技術もメンバー随一である。精神年齢の若さ故か、特に子供になつかれやすい。女性とみるや声を掛けずにはいられない、俗に言う「ナンパ野郎」だが、ローラを最初に見た時から「カワイイ」と評し、懸命にアプローチをしだしてからは、他の女性には目が行かなくなった。常に赤いマフラーを首にかけているが、由来については語られなかった。実は世界屈指の軍需産業・式部重工の御曹司である。
OVA『GODBLESS』で後継を望んでいた経営者の父・式部雅男を失い、OVA『白熱の終章』では会社を相続して経営者として振る舞っていた。しかし窮屈さを感じていたらしく、軍関係者が接触してきた時には思わず笑みを浮かべる。バイクで社内を走り回る逃走劇を繰り広げた挙句に獣戦機隊に復帰する。街中でめまいを起こして車道に出てしまったマルテを助け、交友を持つ。しかし逢瀬の最中に諜報員に追跡される羽目になり、途中豹変したマルテもろとも冷凍弾を受けて凍結されてしまう。意識不明ながら精神エネルギー装置とリンクすることで最終決戦に挑むが、ディラド母星に不時着した際に装置が破損したことで戦線を離脱する。
司馬 亮(しば りょう)
CV:塩沢兼人
獣戦機隊に最期に加入したメンバーでビッグモスのパイロットに任命される。長髪にヘアバンドがトレードマーク。士官学校では忍と沙羅の1つ上の先輩であるが、忍達とは対等に話す仲。常に一歩引いた冷静沈着な姿勢を崩さない。しかし時に猛進して状況を打破する度胸も見せる。資質的にはリーダーの器だが、孤独癖がありやや協調性に欠ける面がある。宇宙士官学校卒業と同時に「武者修行の旅」と称して軍務を離れていたが、第5話でイゴール将軍の招集に応じ、何のつもりか白薔薇を咥えて忍達の前に現れた。初出撃では輸送機から投下されてから逆噴射のスイッチを探すほど無学な状態でビッグモスを操って見せた。最初は忍と犬猿の仲だったが、数々の戦いを経るうちに獣戦機隊メンバーと一致団結して戦うようになる。仙人風の師匠から学んだ中国拳法の使い手で、忍がケンカをふっかけた時は寸止めで衣服をズダズダにするなど格の違いを見せつけた。そのためダンクーガ合体後も、格闘戦ではパイロットを任されることが多い。修行の成果か鋭い聴覚を持ち、足音から人物やその心理を読み取る特技がある。
OVA『GODBLESS』の序盤ではスライ・ダンパーら4名の訓練教官をしており、反抗的な態度のスライに鉄拳制裁をしていた。その後メキシコに渡航する描写があり、この頃にはすでにダニエラと交際していたようだ。その後教会でダニエラと結婚式を挙げる。その際作中死亡したと思われていた人物が多数参列していたが、これについての事情は説明されなかった。
OVA『白熱の終章』冒頭ではブラジルのログハウス風新居で結婚生活を送っている描写があり、自分の留守中に押しかけてきた政府関係者に眉をひそめるも、招集命令に従って獣戦機隊に原隊復帰した。
ロス・イゴール
CV:池田勝
獣戦機隊を総括する司令官。昔気質の頑固な軍人で、規律違反の常習犯である忍達に鉄拳制裁をも辞さない厳しい姿勢で臨む。成功した作戦の後に、作戦指示に沿わなかった事を理由に全員を営倉に放り込む事さえあった。しかしそれもダンクーガを完成させるために獣戦機隊のメンバーを成長させるための入念な導きだった。反感を募らせていた忍も、その真意をどこかで感じていたのか、「俺たちの親父」と口にしている。第29話にて、基地内に侵入した敵兵からローラを守るために、壮絶な銃撃戦を繰り広げた。全身に敵の銃弾を受け、瀕死になりながらも敵を退けた後、駆けつけた黒騎士=息子のアランと死に際に和解する。ローラを孫であり地球の未来そのものだと告げて託すと、アランの腕の中で息を引き取った。その遺体はガンドールの居場所を敵に察知される危険性も顧みず、レールガンで射出されて宇宙葬に付された。
葉月 考太郎(はづき こうたろう)
CV:石丸博也
獣戦機およびガンドールの設計者である工学博士。常に英国風スーツを着こなす紳士。作中では他にそれらしき研究家や技術者が登場せず、地球側に獣戦機に類似した兵器も皆無であることから、獣戦機の企画から設計までを一からひとりで手掛けた模様。人間の精神エネルギーを戦闘力に転化させるという超技術を実現するほどの天才でありながら、イゴール亡き後は戦闘指揮官として振る舞う多才ぶりを発揮する。さらには沙羅に催眠医療を施すなど、精神医学にも精通している。どのような状況においても、科学者としての冷静さと理論的思考を捨てない鋼の精神力を持つが、「神」の存在に言及する場面もある。戦災孤児であるローラを養女として迎え入れる懐の深さもあり、戦後正式に引き取り、自宅を構えて共に暮らしている模様。ローラの部屋に置かれた絵画や調度品を見る限り、フランスアンティーク調家具にこだわっているようだ。クラシックのバロック以外は音楽を聴かないとの趣旨の発言がある。OVA『白熱の終章』では新たに赴任してきたドイルに司令官の座を譲り、副司令官として補佐に回る。しかしドイルの戦死後は再び陣頭指揮を執る。
ローラ・サリバン
CV:藤原理恵/笠原弘子(『GODBLESS』)
第6話で初登場。北米の作戦中に忍が出会った戦災孤児の少女。「神の泉」で宇宙の波動を聞き分ける才能の持ち主で、よく口ずさむ「ハーモニー・ラブ」は、そこで出会ったシャピロに教わった。常にベッキーというテリア犬を側に置く。死別した母親の遺体に手向ける花を摘んでいるところで忍と出会う。共に花を供えてくれた忍と親交を持つが、葬儀の最中にムゲ帝国の襲撃を受け、一時行方不明になる。その後第9話で日本に辿り着き、忍を探しながら新宿付近を散策していた。その際「ハーモニー・ラブ」を歌っていたところを、その歌声を聞きつけた沙羅と出会う。獣戦基地に保護された後は、葉月博士の養女という扱いになった。精神年齢が近いと感じたらしく、雅人によくなつく。イゴールが死に際に彼女のことを「孫」と呼ぶほど目を掛けられていた。軍属ではなく特に役目があるわけでもないが、頻繁に戦闘中の指揮所に入室している。OVA『GODBLESS』では正式に葉月と養子縁組した上で共に暮らしていた。TV版から成長して中学生程度の容姿になっていた。雅人とは兄妹以上恋人未満といった関係のようだ。OVA『白熱の終章』では何らかの事情で登場せず、雅人のデスク上にあった写真でその姿が確認できるだけである。
ゲラール
CV:玄田哲章
獣戦機専用輸送機の機長で輸送部隊の隊長。現場たたき上げの下士官で、軍人としては士官学校出身の上士官である忍達より立場は下になるが、やんちゃさが抜けない忍達には兄貴分として厳しく接する。しかし心中では、華々しい活躍をする忍達に嫉妬を覚えていた。義侠心あふれる人柄に忍は彼を「ゲラールの兄貴」と呼んで慕っていた。第14話で窮地に陥った忍達を救うため、命令違反を犯して輸送機で突撃し、共に営倉行きになる。第16話にてエネルギー切れで動けなくなり絶体絶命の忍達を救うために、ただ一人輸送機で敵陣に突貫、敵を引きつけて集中砲火を浴びる。輸送機は墜落炎上し、ゲラールは乗機と運命を共にした。彼の死は、獣戦機隊メンバーに衝撃を与え、ダンクーガ合体の呼び水になった。
クリス
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目次 - Contents
- 『超獣機神ダンクーガ』の概要
- 『超獣機神ダンクーガ』のあらすじ・ストーリー
- ムゲ帝国襲来
- デスガイヤーの猛攻
- ダンクーガ誕生
- ギルドロームの罠
- 獣戦基地壊滅
- ムゲ帝国の最期(OVA『失われた者たちへの鎮魂歌』より)
- よみがえるムゲ・ゾルバドス(OVA『GODBLESS』より)
- 新たなる敵の襲来(OVA『白熱の終章』より)
- 『超獣機神ダンクーガ』の登場人物・キャラクター
- 獣戦機隊(じゅうせんきたい)
- 藤原 忍(ふじわら しのぶ)
- 結城 沙羅(ゆうき さら)
- 式部 雅人(しきぶ まさと)
- 司馬 亮(しば りょう)
- ロス・イゴール
- 葉月 考太郎(はづき こうたろう)
- ローラ・サリバン
- ゲラール
- クリス
- テッド・カイゲル
- スライ・ダンパー
- リンダ 麻生(リンダ あそう)
- 早瀬 優(はやせ まさる)
- ケイ・ベックリン
- ドイル
- 黒騎士隊(くろきしたい)
- アラン・イゴール
- フランシス
- 速水(はやみ)
- 敷島 麗美(しきしま れいみ)
- シド
- ハシモト
- マシュー
- マキシム
- チャーリー
- スティーブ
- ムゲ帝国(むげていこく)
- ムゲ・ゾルバドス帝王
- シャピロ・キーツ
- ルーナ・ロッサ
- デスガイヤー
- ギルドローム
- ヘルマット
- ビストール
- ゲル
- ディラド
- ディオレ
- アベル
- ケイム
- マルテ
- その他
- ダニエラ
- 結城 タケル(ゆうき タケル)
- 結城 アリサ(ゆうき アリサ)
- 式部 雅男(しきぶ まさお)
- 道那賀 小百合(みちなか さゆり)
- 加山(かやま)
- 藤岡(ふじおか)
- 木下(きのした)
- 『超獣機神ダンクーガ』の用語
- 獣戦機隊(じゅうせんきたい)
- 獣戦基地(じゅうせんきち)
- ムゲ帝国(むげていこく)
- 黒騎士隊(くろきしたい)
- バンデッツ
- ディラド
- 『超獣機神ダンクーガ』の登場兵器
- 獣戦機(じゅうせんき)
- ノーマルモード
- アグレッシブモード
- ヒューマロイドモード
- イーグルファイター(AGT-1)
- ランドクーガー(AGT-3)
- ランドライガー(AGT-2)
- ビッグモス(AGT-4)
- ダンクーガ
- ダイガン
- 断空砲(だんくうほう)
- ブースターユニット
- 断空剣(だんくうけん)
- 断空光牙剣(だんくうこうがけん)
- ガンドール
- 黒騎士隊(くろきしたい)
- ブラックウイング
- ムゲ帝国(むげていこく)
- デスグローム
- ザンガイオー
- デザイア
- レプリカーン
- グザード
- 『超獣機神ダンクーガ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 藤原忍「やってやるぜ!」
- シャピロ・キーツ「ムゲ帝王様は、私の存在を必要とお認めになったのだ」
- 藤原忍「なんだこれは。これが本当に俺たちの力なのか」
- ロス・イゴール「この孫を守ってくれ。この子こそ、地球の未来」
- 司馬亮「心にて悪しき空間を立つ、名付けて断空剣」
- 『超獣機神ダンクーガ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 年末商戦の商材の払底が放映打ち切りの真の原因
- ひそかに埋め込まれていた制作陣の感謝メッセージ
- 初代「C.C.ガールズ」のメンバーとして活躍したローラ・サリバン役の藤原理恵
- 『超獣機神ダンクーガ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):藤原理恵「愛よファラウェイ」(第1話 - 第33話)
- OP(オープニング):藤原理恵「ほんとのキスをお返しに」(第34話 - 第38話)
- ED(エンディング):いけたけし「バーニング・ラヴ」(第1話 - 第33話)
- ED(エンディング):東郷昌和「SHADOWY DREAM」(第34話 - 第38話)
- 挿入歌:藤原理恵「ハーモニー・ラヴ」
- 挿入歌:藤原理恵「ディアダンサー」(OVA『失われた者たちへの鎮魂歌』)