白昼夢の青写真(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『白昼夢の青写真(THE GIRL WHO'S CALLED THE WOELD)』とは、Laplacianが開発・販売を務めるビジュアルノベルゲームである。本作は少し特殊なノベルゲームであり、プレイヤーはゲームを開始すると3つの「夢」のうち1つがランダムで始まる。それぞれ物語が異なるCase1、Case2、Cace3に分かれており、これらの「夢」の結末を見ると、夢ではない現実のCase0に進むことができる。順番が変わるだけで、選択肢によって結末が変わると言った仕様はない。

『白昼夢の青写真』の概要

『白昼夢の青写真(THE GIRL WHO'S CALLED THE WOELD)』とは、Laplacianが開発・販売を務めるビジュアルノベルゲームである。2020年にR18版のFANZAにて発売され、2022年にはSteamにて全年齢版として発売。Nintendo Switchでも発売されている。いずれのプラットフォームでも好評と評価を受けていることから、本作の人気度合いが窺える。
本作はキャラクターも良いが、魅力は何といってもストーリーだ。本作はランダムで始まる3つの「夢」がある。Case1は人生に疲れ果て妻ともあまり上手くいっていない非常勤講師・「有島芳(かおる)」とその生徒の「波多野凛」の禁断の恋愛模様を描いている。Case2は中世が舞台で貴族のオリヴィア・ベリーと父が運営する酒場で働くウィリアム・シェイクスピアの恋愛模様を描いている。Case3は飴井カンナと彼が通う学校に教育実習生としてやってきた桃ノ内すももの恋愛模様を描いている。そして、3つの夢を全て見終えると、Case0を見ることができる。Case0ではCase1からCase3の合間に「世凪(よなぎ)」と本作真の主人公「海斗」という人物が登場し、彼らが中心の物語となっている。基本的にこのCase0のクリアをプレイヤーは目指すことになる。
ちなみに、題名の「THE GIRL WHO'S CALLED THE WOELD」は「世界と呼ばれた少女」という意味を持つ。この文言が、この物語において重要な意味を帯びていく。

『白昼夢の青写真』のあらすじ・ストーリー

本作の主軸は「夢」である。もちろん「夢」なので、眠りから覚めることがあり、覚醒状態ではCase0の記憶喪失の海斗と赤子のような世凪(よなぎ)の交流が見れる。
夢から覚めてすぐに、海斗はそこで自分と世凪で実験されていることをアンドロイドの「出雲(いずも)」から知らされる。実験の内容は「眠って、夢を見ること」。そして世凪の夢がすべて終われば、記憶を取り戻すことができると出雲は言う。実験を企てた人物は伏せられているが、海斗は少しずつその正体に勘付き始める。
世凪は主人公と同年代だが、わけあって赤子のような状態となっている。

ストーリーが進むにつれて、世凪は少しずつ成長していく。会話能力を得る、本を読むなどの読解力を得る等。また、一定の進行度まで達するとその夢が一旦停止し、別の夢を見るようになる。そして3つの夢を一定の進行度まで見ると、好きな順番で続きから終わりまで見ることが可能。
3つの夢を見終えると、Case0の物語に進む。Case0は海斗と世凪にまつわる話となっている。

Case1

灰色の人生に一筋の光

Case1では主に主人公の中年の有島芳(かおる)と亡き大作家「波多野秋房(しゅうほう)」の娘である波多野凛の恋愛模様が描かれている。3つの夢の中で現代に一番近い時代設定だ。
有島芳(かおる)はかつて小説家を目指していたが大学の同期の「波多野秋房(しゅうほう)」に才能の差を見せつけらたことで筆を折り、非常勤講師として働いていた。更には妻・有島祥子との関係も冷え切っており、編集者である彼女には家でも冷めた目で見られる。惰性で日々を送っていた。
そんな中、あるきっかけを境に非常勤として通うの生徒・波多野凛と話すようになる。苗字にもある通り、彼女は大学の同期の波多野秋房の娘で、父親の印税で暮らしている。そんな彼女は、ある日学園の図書館で有島に「あなたの書く文章を、私は読みたい」と言った。
それまで一度も物語を描いたことのなかった有島は、年甲斐もなく徹夜をして、ものすごい勢いで文章を書き始めるのだった。
同時に有島は凛に対して恋心を抱くようになる。そしてそれを誤魔化すように、もう自分に対しての愛情がないとわかっている妻の祥子を襲ってしまい、更に夫婦仲は悪くなる。

波多野秋房の書斎

有島の原稿が完成し、凛はそれを見ると、突拍子もなく自宅に招き入れた。その後、わけあって父の波多野秋房が小説を書く際に籠(こも)っていた書斎に招き入れてもらうことになる。
そこで、有島は凛から「私を助けてほしい」と、涙ぐんだ瞳で言われる。
以降、有島は波多野秋房の書斎に入り浸るようになった。入り浸るだけではなく、自宅、ないし外食で凛と一緒にご飯を食べるようにもなった。
有島は時間を見つけては書斎でひたすら手記を読みこんでいく。手記は秋房が生前に書き込んだものであり、彼の心情がこと細やかにわかる内容となっていた。家にいるのも居心地が悪いので、1日のほとんどを学園と書斎で過ごしていた。読み進めていくと、波多野秋房は自分にかなり似た境遇を持っていることを理解していく。しかしそれは危うい方向へと進んでいってしまう。
いつしか有島は憧れの波多野秋房と同じ結末を辿りたいと思い、波多野秋房が亡くなったという風呂場で自らの命を殺めようとした。
少しずつ水に溺れ、意識も段々とぼやけていく。有島はそれでも止めなかったが、脳裏には凛の存在があった。そんな凛から、こうなることを見越したかのようにメッセージが来る。有島はそれを見て踏み留まった。恋心が彼を救ったのだった。

別れ

救ってくれた凛に有島が告白すると、両想いであったことが判明。付き合い始めた彼らはその日のうちに性行為をする。その後2人は同棲を始め、何事もなく日々は過ぎていった。
しかし、妊娠検査薬で凛は自身が妊娠したことを知る。有島に打ち明けるか迷う凛だったが、もう迷惑はかけられないと考える。そうして凛は、父親が残した莫大な財産を使って、子供を育てながら1人で生きていくことを決意する。玄関から有島をいつものように見送り、有島のいる街から去ってしまった。

Case2

主人公の転機

Case2では盲目の父親に代わって酒場を運営するウィリアム・シェイクスピアと、貴族の愛人のオリヴィア・ベリーの恋愛模様について描かれている。中世のイギリスが舞台だ。
酒場を運営しているウィリアム・シェイクスピア、通称ウィルは金銭的にかなりギリギリの状態だった。
ある日、魔が差したウィルは貴族のハロルド・スペンサーの家にある鹿を盗もうとした。しかし、警吏(現代でいう警察官)にあっさり拘束。スペンサーに処刑されそうになる。
だが、スペンサーと住んでいたオリヴィア・ベリーが身請けし、彼は救われることになった。一方、対価はないわけではなく、ウィルはオリヴィアの命令に背けないようになってしまう。
ウィルに脚本の才能を見出していたオリヴィアはウィルに脚本を書かせる。

オリヴィアの願い

ウィルとオリヴィアの会話。

ウィルが完成させた脚本を見せると、オリヴィアは面白いと言った。それだけでなく、オリヴィアはウィルにも舞台に立つようにと言った。
オリヴィアの命令はもう1つあり、それはウィルが役者として舞台に立つことだった。
オリヴィア率いる「グローヴ座」にはキキとトーマスという団員がいる。しかし、2人のやる気はない。
ある日、仲間が1人殺され、その相手がマーロウと言う劇作家であると知ったウィルは劇で叩きのめすと誓う。実はマーロウとは以前「宮廷演目」にどちらが選ばれるか勝負していたのだった。それからウィルは、持ち前の記憶力でオリヴィアの動きを完全再現して見せ、オリヴィアの過激とも言える説教が劇団全体の士気を下げていることを指摘。オリヴィアは嫌々その指摘を受け入れると、少しずつ劇団として完成していった。
そうして臨んだ初の劇は、大成功を収める。ウィルの並外れた脚本のおかげもあってか、瞬く間にグローヴ座の名が知れ渡り、収入も増えていった。
以降も客脚は好調で、宮廷演目にも選ばれるだろうと言う中、オリヴィアが嫌々スペンサーの元に居たことを知ったウィルがオリヴィアを奪う。だが、分割払い(作中ではBUNKATUという)で借金に追われる身となってしまう。
そうして、オリヴィアとウィルはすぐにお互いの気持ちを確かめ合った。そうして、スペンサーに対する借金を返済すべく、酒場も劇団もより一層精を出すようになる。

別れ

劇の売れ行きは依然好調で、このまま借金の返済ができると考えていたウィル。しかし、オリヴィアが女性であると知られてしまいが演劇中に全員警吏(現代で言う警察官)に捕えられてしまう。オリヴィアが女性であると気付いていたマーロウがそれを密告したのである。
そして牢屋に入れられたウィルたちだが、なぜか釈放される。
しかし、オリヴィアだけはいない。その後、ウィルたちはオリヴィアが自分をスペンサーに売って保釈金を払ってもらったことを知る。
ウィルはオリヴィアを取り返そうとスペンサーの家に再度訪問するが、あっさり突き放されてしまう。
傷心していたある日、宮廷演目に選ばれたことが通達される。オリヴィアがいないウィルたちではとてもじゃないが劇なんてできない。そこでウィルは考えた。
堂々と、エリザベス女王の前でそのことを話したのだ。するとエリザベス女王の懐の深さによって、例外的に許可される。そして、宮廷演目での撃破に大成功した。

だが、スペンサーと釈放のために「結婚」という契約をしていたオリヴィアは、ウィルたちの元を離れてしまう。

Case3

母親が遺した車と絵

Case3は飴井カンナと桃ノ内すももの恋愛模様を描いている。時代はCase2から大きく飛び、2060年頃となる。「人工鳩」という、今でいうネットワークの役割を担っていた人工鳩がいたが、突如障害が発生してネットワークが全く使い物にならなくなったという背景がある。
学校に行かず写真ばかり撮る日々を過ごしていた飴井カンナには夢と目標があった。夢は、カメラマンになること。目標は7月28日に来るハレー彗星を、母の遺したスケッチの場所から撮ることだった。そのためには「ハチマル」という旧式の車を治す必要があったが、ハチマルはカンナの知識では治せそうになかった。
ある日、不登校のカンナを学校に来させるために教育実習生の桃ノ内すももが家にやってきた。しかし、カンナは父親と喧嘩してしまう。
カンナはより一層ガレージに籠るようになり、前々から気になっていた出張の「無料見積り」を呼ぶことにした。やってきたのは「松風梓姫(まつかぜあずき)」。年上の女性で、「スクラップハンター」を名乗った。カンナは彼女とトラブルになりハチマルを直すことを条件にガレージに寝泊まりさせることになった。
更にはなぜか近くにいた桃ノ内すももおり、今回の件を秘密にする条件として夏休みまで学校へ行かされることになってしまった。

桃ノ内すももの生き方

カンナは言われた通りに学校に通った。すももは授業内容を完全に把握していなかったり、言葉遣いが適切でなかったりと、大目に見ても教師にふさわしくない授業だ。

カンナは廃れた国際空港でよく写真を撮っていた。物語もそこで写真を撮るところから始まっている。そこへ行って写真を撮っていると、いつもは誰もいない閑散とした場所だったが、白髪で毛先が桃色の女性が珍しく居た。話してみると、いつもの明るい「桃ノ内すもも」であることを知って、カンナは驚くと同時に写真を撮る。
だが、学校に行くと、相変わらずすももはおどおどしくて暗い雰囲気を纏っていた。
そんなすももに、カンナは国際空港で撮った写真を渡す。すももはそれを見て、教員免許を取るために我慢していた自分をさらけ出すのだった。

umeco777f5
umeco777f5
@umeco777f5

目次 - Contents