死印(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『死印』は2017年にエクスペリエンスから発売された都市伝説・心霊ホラーアドベンチャーゲーム。1990年代の東京都H市を舞台に、記憶喪失の主人公が体に謎の痣シルシが刻まれた人物が不審死を遂げるという怪事件の調査を行う様子を描く。ジャパニーズホラー的な「怖さ」を突き詰めた作品であり、本作独自の「デッドリーチョイス」というシステムがプレイヤーに緊張感をもたらしている。

『死印』の概要

『死印』は2017年6月1日にエクスペリエンスから発売された都市伝説・心霊ホラーアドベンチャーゲーム。RPGを主に開発してきたエクスペリエンスとしては、自社のファンを増やしたいという考えから制作された、初のRPG外ジャンルの作品になる。
舞台となるのは1990年代の東京都H市。ここでは体に謎の痣シルシが刻まれた者が原因不明の死を遂げるという噂が広がっていた。記憶喪失の主人公・八敷一男の体にもシルシが刻まれていた。彼は自らと同じ境遇であるシルシが刻まれた者、印人(しるしびと)と共に生き残る術を探っていく。
本作はジャパニーズホラー的な「怖さ」が突き詰められており、プレイヤーの行動から恐怖を呼び起こすポイントが多く用意されている。中でも制限時間内に正解の選択肢を選ばないと即死する可能性のあるシステム「デッドリーチョイス」は、本作の面白さを象徴するものとなっている。

2019年には本作の初期設定をもとにストーリーや設定が再構成されたボイスドラマ『死印 青き終焉』が発売。これは“もう一つの『死印』”と銘打たれている。2024年にはDLC「カエラズの遊園地」が配信された。

『死印』のあらすじ・ストーリー

第1章「花彦くん」

気が付くと、主人公は豪華な館である九条館の前でたたずんでいた。主人公は自分が何者なのかを思い出せず、記憶喪失になっていが、「九条サヤに会う」という目的だけは覚えていた。しかし館では九条サヤらしき女性の遺体が見つかる。動揺する主人公に話しかけたのは西洋人形であるメリイだった。彼女はサヤによって作られた人形だという。
不思議な話す人形のメリイから、自身の腕に刻まれていたシルシについて聞く主人公。彼女によれば、これは怪異によってつけられた呪いであり、時間経過によって徐々に無気力化や記憶の喪失を引き起こし始め、最終的には死に至るという。
そこに九条家から出されていた「シルシ」に関する広告を見た渡辺萌と、吉田つかさという人たちがやってくる。彼らもシルシが刻まれていたため、八敷一男(やしきかずお)と名乗ることにした主人公は、シルシについて2人に話し始めた。最初は信用していなかった2人も、人形のメリイが話すという事実を前にして危機感を持つ。

2人の話を聞くと、シルシが刻まれる原因となった怪異は廃校となったH小学校にいるようだった。早速主人公は同行者を1人きめて探索に出かけた。3人で行かないのは、メリイのアドバイスに従ったからだ。
H小学校には花彦くんという怪異がさまよっていた。探索する中で元刑事の真下悟が新たにシルシを刻まれる。そして一行は、元々は母子家庭で育った花彦くんが、母親が死んだ後に養父となったH小学校の校長によって殺されたことを知る。八敷は調査の中で得られた情報をもとに花彦くんを撃退。すると渡辺と吉田のシルシは消えたものの、八敷のものは消えなかった。館に帰るとメリイが「八敷にシルシをつけた怪異は花彦くんではなかった」と語る。八敷は真下とともに引き続き怪異の調査を行うこととなった。

第2章「森のシミ男」

しばらく怪異の調査に進展がなかったものの、ある夜に不良の長嶋翔が九条館の門を叩く。彼にはシルシが刻まれていた。彼に話を聞いて訪れたH城樹海では、真下が再度シルシを刻まれてしまう。同行者と共に調査を続ける八敷は、樹海で元人気ニュースキャスターの有村クリスティを発見する。彼女を保護した八敷は、彼らと力を合わせて樹海に住む森のシミ男を撃退する。しかし有村と八敷のシルシは消えなかった。彼らにシルシをつけた怪異はまた別にいるようだった。

第3章「くちゃら花嫁」

怪異を調査する八敷と有村の耳に、「くちゃら花嫁」という都市伝説が入る。くちゃら花嫁はとある電話ボックスの中で待っていると突然電話が鳴り、受話器を取るとその向こうからクチャクチャという音と共に「あなた見たの?」と問いかけてくる存在だという。それに「見てない」と答えると探し物のありかを教えてくれるというのだ。
調査の過程でくちゃら花嫁の噂を試していた女子小学生の森宮すずと、無職の中松栄太に出会う。彼らもシルシが刻まれていた。
3人と協力しながらくちゃら花嫁の情報を集めて、彼女がH城樹海で首を吊って自殺した女性だと解明した八敷は、その情報をもとにくちゃら花嫁の退治に成功する。しかし八敷のシルシだけは、やはり消えなかった。

第4章「ずう先生」

第4章では九条館にご当地アイドルの柏木愛と、占い師安岡都和子が訪ねてくる。彼女たちもまた、シルシが刻まれた印人だった。彼女たちの情報をもとに、今度の怪異はH小学校を根城にしていると考えて、以前は入れなかったH小学校の2階へ向かうと、広尾まどかという女性を発見する。怪異に襲われていた彼女を助けると、「同僚の研究員である頭川に地下壕の地図を盗まれてそれを追っていた」と話す。今度の怪異は頭川が怪異化した「ずう先生」だった。
ずう先生は地下壕"しゅら様"なる存在と出会い、それを狂信するようになったという。
ずう先生の撃退に成功した一行だが、八敷と広尾のシルシは消えなかった。

第5章「観音兵」

ずう先生が地下壕に出入りしていたという情報から、八敷と広尾は地下壕を探索する。その過程で医師の大門修治と、ホームレスのバンシー伊東と出会う。彼らもまた、シルシが刻まれていた。
地下壕は日本陸軍の研究所があった。そこでは第二次世界大戦の末期、極秘の「天仏計画」というものが行われていたという。そして誕生したのが"しゅら様"、つまり観音兵だった。観音兵は霊的な力を持った呪物によって力を手に入れたとされるが、そこには赤い西洋風のクッションがあるだけだった。

観音兵を撃退した八敷は、バンシー伊東から記憶を失う前の自身の行動について聞かされる。そして館に戻った八敷は、第4章で壊れたはずのメリイと相対する。八敷にシルシをつけた怪異はメリイだったのだ。彼女は天仏計画の中で意思を持つ人形怪異となり、観音兵を生み出した。しかし当時の九条家当主によって事態は収められ、メリイもH神社の御神体である「念持仏」を埋め込まれたことで封印された。しかし本編開始前に九条家当主の九条正宗は「念持仏」が穢れていることに気づいた。このままでは再び悪夢が起こってしまうと判断し、一時的に念持仏を取り出して清め、再度埋め込むという決断をする。しかし取り出した時にメリイが覚醒し、花彦くんや森のシミ男、くちゃら花嫁といった怪異を生み出した。さらに正宗の記憶も奪っていった。つまり主人公の八敷の正体こそが、九条正宗だった。
八敷はメリイとの最後の戦いに臨み、死んだはずの妹サヤの力も借りて彼女の封印に成功した。

『死印』のゲームシステム

パーティ編成

本作では各章ごとに複数の印人が登場する。プレイヤーはその中から1人、同行者を選んで調査に赴くことになる。同行者の変更は拠点となる九条館で行える。同行者によっては、怪異との対決に勝利できないこともあるため、怪異の情報から誰を連れていくべきか、誰を連れて行ってはいけないのかを判断する必要がある。

探索・調査

心霊スポットの調査は主観視点で進んでいく。心霊スポットは複数のブロックで区切られており、方向キーで1ブロックずつ進む。調査時は「探る」、「道具を使う」、「見る」というコマンドが出現。怪しい箇所で適切なコマンドを選択すると、道具や情報を得られる。

デッドリーチョイス

怪異との遭遇時などでは、デッドリーチョイスが発生することがある。これは“生死”をかけた選択であり、複数の選択肢の中から適切なものを選ぶと、危機を切り抜けられる。発生中は徐々に「霊魂」と呼ばれる数値が減っていく。デットリーチョイスで不正解を選ぶと霊魂が減少するか、即死となる。

怪異との対峙

怪異と対峙するパートでは、探索で集めた道具を選択して怪異からの攻撃を防いだり、怪異を退けたりする。道具の選択は主人公と同行者でそれぞれ選択できる。道具によっては特定の人物しか使用できないものもある。

破壊と救済

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