巨人の星(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『巨人の星』とは星飛雄馬が主人公の日本を代表する野球マンガで、1960年代と1970年代に大ヒットした。その後も続編『新・巨人の星』が制作されただけではなく、原作を母体とした別の作品まで制作された。『巨人の星【特別編】 猛虎 花形満』などである。『巨人の星』の内容は、飛雄馬が野球のスターを目指していく物語。最初は速球での勝負だが通用しなくなると魔球で戦っていくことに。この基本ストーリーに、父、姉、ライバル、巨人軍実在選手との人間関係を絡ませていき、当時の社会情勢も背景に取り入れている。

大リーグボール2号で飛雄馬が活躍していた頃のことである。当時スポーツ界で八百長が社会問題化したことがあった。当時の社会情勢を反映したセリフである。しかしまた「真剣勝負は恐ろしい」という言葉も花形が言う。「八百長」はもちろん道徳的に見ても認められない。しかし現実的に考えて、この人間世界ではすべてきれいごとで行けるのであろうか、というわれわれ人間の弱さの気持ちをも含んでいる言葉である。

星飛雄馬「18.44メートルにあるのは」

星飛雄馬が中日の伴宙太と戦う時の言葉。ピッチャーマウンドからホームベースまでの距離である18.44メートル。かつての大親友であった伴宙太との距離を表現している。伴宙太と親友であった時は、宙太はキャッチャーだった。だからやはりその時も、二人の距離は18.44メートであった。しかし同じ18.44メートルでも違う距離になってしまった気持ちを表現した言葉。

観衆「懐かしのメロディー」

飛雄馬が伴宙太に投げた大リーグボール1号。これに対しての観衆からのヤジ。この頃の飛雄馬にとっては大リーグボール1号はもはや昔の色あせたつまらない投法になってしまったという、象徴的な言葉。

伴宙太「飛雄馬は父の呪いで野球をしている」

伴宙太は中日に入団してから、父一徹とともに飛雄馬と戦ってきた。敵として。しかしもともとは飛雄馬の高校からの大親友。そこで飛雄馬がこれ以上野球で自分の体を壊してまで、続けていくことが耐えられなくなったことを象徴した表現。そこで自分が飛雄馬を早く楽にしてやりたいという気持ちがこもっている。それは飛雄馬に勝つことである。勝ち続けるのはつらいことであるから。

星明子「なんで戦うの」

父一徹が大リーグボール3号の飛雄馬といつまでも闘っているのに対しての言葉。もともと敵だった花形満と左門豊作はもはや飛雄馬と戦うことはなくなった。それなのに、父親と息子、そして高校時代からの大親友の伴宙太たちだけが、なぜ最後までいつまで戦うのか、という疑問の言葉。

星一徹「確実に殺す」

アニメの最終回、一徹の気持ちを表現した言葉。中日は巨人軍と戦うことになった。一徹は、この試合で飛雄馬の大リーグボール3号を永久に葬り去ることを決意した。そこで一徹は、伴宙太に逆立ちを命じたり、3本のバットを持たせ素振りをさせたりして疲労させる作戦をすることになった。大リーグボール3号の弱点は弱小打者に打たれやすいからである。飛雄馬を打ち負かして、もう息子を野球から楽にさせたいという親としての気持ちを含んだ言葉。

花形満「大リーグボール3号打たれる」

伴宙太が逆立ちをしたり、たくさんのバットを持っての素振りをしたりしている姿を見たときのセリフ。花形が一徹の飛雄馬を倒す作戦を見抜いた言葉。花形満がこの言葉を言った時は、まだ飛雄馬と宙太は戦ってはいない。予言としての言葉である。しかし不確かな未来の事なのに確定してしまった過去の事のように表現している。確信している気持ちが伝わってくる。しかしそれだけではなく、そうあってほしい、という強い願望の気持ちも含まれている。今の飛雄馬はもう自分のライバルではなくなった。だからいつまでも頑張ってないで、早く楽になってほしいという気持ちも。負けることによって。

星飛雄馬「大リーグボール3号が見破られました。説明してる時間はありません」

飛雄馬も伴宙太の動きを見て、大リーグボール3号が負けるかもしれないと悲痛な気持ちになった言葉。飛雄馬は、絶対に負けたくないという気持ちが依然として持っている。しかし、父一徹、伴宙太、花形満たちは、飛雄馬が負けて早く野球から楽になってほしい、という気持ちであるのにもかかわらず、飛雄馬本人だけは、後戻りできない気持ちを持ち続けているのだ。たとえ自分の体が壊れても。

登場人物たちの個性的な呼びかけ

星飛雄馬「とーちゃん」

星飛雄馬が父の一徹に呼びかける時の言い方。「おとーさん」とは言わない。飛雄馬の発音の仕方も、「とー」の部分を強く発音するため、厳しい家庭環境にいる雰囲気が伝わってくる。「ちゃん」の部分を強く発音すると、なんだか仲良し親子の雰囲気になってしまう。飛雄馬と父親の一徹との関係は、子供のライオンを谷底に突き落とす親ライオンのようであるからだ。そのためこのような発音の仕方はうまい演出である。

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