雑貨店とある(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『雑貨店とある』とは、上村五十鈴による雑貨店での人々の交流を描いた漫画作品である。『週刊漫画TIMES』で2023年まで連載していた。お人好しな店長・守澤智己が営む小さな雑貨店には優しい時間が流れている。コンプレックスや小さな悩みを抱える客達は、守澤が提供する季節のメニューによって元気を取り戻す。大好きな祖父を亡くしたアルバイトの越湖裕介も、守澤と過ごす日々の中で少しずつ悲しみを受け入れていく。単行本は2020年に1巻が発売され、2023年に発売された5巻で完結を迎えた。

目次 - Contents

朝倉 ミソラ(あさくら みそら)

どこへ行っても「可愛い」と人気者のミソラだが、しおりのことが好き過ぎて自身の評価には興味がない様子。

しおりの親友で幼なじみの女子高生。外見は同級生の男子達いわく「ちょっとカワイイ」「ふつうにしてりゃメチャカワ」と言われるほど可愛らしい。どこに行っても友達に囲まれ、男女問わずにファンができる。天真爛漫でどこへ行っても人に囲まれる愛されキャラクターで、動物園のパンダ的な人気者。男性人気は高いが恋愛対象ではなく、ミソラ本人はしおりへの愛が強すぎて本人にもモテている自覚は全くない。しおりが密かに片想いしていた城山とは「しおり好き」という共通点から、いつの間にか結託して「しおり親衛隊」を結成した。
しおりのことはなんでも知っており、今でもしおりがアイドルになりたいと思っていることもわかっている。その夢を応援したいという強すぎる愛ゆえに、本人の許可を得ずに文化祭でのコンサート開催を決めて企画を通すなど、勝手に行動してしおりを振り回しがち。
自分勝手に思えるミソラの行動だが、その裏側には幼い頃、自分の一言でしおりの「アイドルになりたい」という夢を封印させてしまったことへの反省がある。そのため、しおりの夢を叶えたいという想いが人一倍強い。
自分が可愛いということや他人からの評価には無頓着だが、主役のしおり以上に注目を浴びることが多い。学園祭のコンサートでも、しおりに頼まれて一緒にステージに立ったことで、主役のしおり以上に人気を集めた。無自覚で人の目を引く事実が密かにしおりを苦しめている。だが、ミソラ本人には全く悪意がなく、行動のベースは全てしおりに対する愛情。そのことはしおりも理解している。
しおりをアイドルにすることを本気で考えているため、その点に限り非常に計算高い面を持っている。しおりが弱音を吐くと、わざと突き放すような言動を見せ、しおりの「アイドルになりたい」という気持ちに火をつける。ミソラが突き放してしおりが自分でどうにか立ち直ると、何事もなかったかのようにいつも通りの全力応援を再開する。
4巻では其他高校内で結成された「しおり親衛隊」のメンバー4人でしおりを主役に迎えた「銀河宇宙系ゆるっと戦隊ゴショクダン」という動画チャンネルを作り「ゴショク・ブラック(クロミ)」というキャラクターを演じている。ゴショクダンでもしおりが演じる主役以上の人気を得ており、自分の人気度に無頓着ゆえにしおりを落ち込ませている。
「とある」を定期的に訪れており、ゴショクダンが結成されてからは店の2階でみどりやあかねと作戦会議を開いている。
実は洞察力が鋭く、5巻では「銀ダンゴ」のファンだった木月にも確信を突くような発言をして新メンバーになるように説得していた。

城山(しろやま)

銀ダンゴの撮影で実家の山を貸すなど、実は物凄いお金持ちのお坊ちゃん。

しおりが密かに片想いしていた同級生の男子高校生。城山もしおりのことを好きだが、恋愛感情というよりは「面白い奴」という意味合いでの好きに近い。内面では何を考えているのか読めない飄々とした雰囲気。
実はしおりの色々な写真を携帯の中に溜め込んでおり、それがきっかけでミソラと結託した。それが原因でしおりからはミソラと付き合い始めたと誤解されていた。実はミソラと2人で「しおり親衛隊」を結成していただけで交際の事実はない。しおりがアイドルになる夢をミソラと共に応援している。応援の仕方はミソラや他の親衛隊のメンバーよりもゆるい。時々消息不明になることがあり、存在感は薄い方でもある。
実はお金持ちの坊ちゃん。軽井沢に別荘がある他、自分の家で所有している山もあり、その山に『銀ダンゴ』の闇アジトを作るなど財力を『銀ダンゴ』に活かしている。『銀ダンゴ』内では自称忍者の末裔のゴショク・ブルーの青太郎(あおたろう)を担当。

みどり

しおりの大ファンのみどり。人形のようなスタイルの持ち主だが大変な大食い。

しおり親衛隊のメンバー。文化祭で「野原しおりコンサート」を見て以来、しおりの大ファンになった1年生。等身が高くスラリとしたモデル体型だが大変な大食い。子供の頃から大食いを「普通じゃない」と言われてきたことから、人前では自分の大食いを隠して生きてきた。しかし、ミソラに人気を持っていかれてばかりで、同級生の男子達からからかわれていたしおりが「私は私だ!」と強く反論していた様子に励まされた。しおりへの愛を語り始めると止まらなくなる。
大食いがコンプレックスだった経験があるため、自己評価の低いしおりが落ち込んでしまう様子には共感する姿勢を見せることが多い。
しおりが通う「とある」をあかねと一緒に訪れた際には、ありのままの自分を肯定して生きているあかねからの励ましも受け、思い切って分厚いパンケーキを合計20枚食べきった。
『銀ダンゴ』で演じているのはゴショク・イエロー。モデルで超大食いという設定の黄味江(きみえ)を担当している。動画内で登場する団子を少なくとも20本は食べている様子を視聴者にも見られている。だが、本人のスタイルの良さとのギャップが輝き、ミソラが演じるクロミに次いで人気を得ている。

あかね

みどりの幼なじみ。ありのままの自分を認めており、自己肯定感がしっかり備わった青年。

みどりの幼馴染。フィギュア制作が得意。中肉中背にチェックシャツをズボンにインしたオタクファッションの男子高校生。みどりと一緒に「野原しおりコンサート」を観ていた。他のしおり親衛隊のメンバーと違ってはっきりと「好き」とは言わないが、しおりのことは気になっている様子。なぜかしおりのスケジュールを把握しており、しおりが「とある」に来ない日を狙ってみどりを連れて「とある」を訪れた。
しおり本人に無断でフィギュアを作っており、ポーカーフェイスで分かりづらいがしおり愛はかなりのもの。そんな自分のこともしっかり「これが俺だ」と肯定している。クールだが「とある」では大食いを公にできずにいたみどりを励まし、食べきったみどりを褒め称えるなど優しい一面もある。他のしおり親衛隊のように熱烈なしおり愛は語らないが、みどりよりも一足早くにしおり親衛隊となっていた。
『銀ダンゴ』ではIQ200のスーパー頭脳を持つゴショク・パープルの紫音(シオン)を演じている。

木月(きづき)

長身で前髪の長い青年。アーティストとして言葉を紡ぎ、作曲もしている。

長身の青年。アーティストとして生計を立てており、その界隈では有名人。子供の頃は自分を宇宙人だと思っており、いつか宇宙船で元の星に帰ると思っていた。自分の言葉は他人に届かないと思い込んでおり、当時からノートにたくさんの言葉を書いていた。その経験が大人になってからは作詞作曲に活かされている。
小学生の頃、遅刻したことがきっかけで同じく遅刻してきた転校生の日野と仲良くなり、よく遊ぶようになった。小学校卒業と同時に日野が海外に引っ越していった後は、年賀状のやりとりを続けていたが、「会おう」という日野の言葉に返事ができずにいた。
「とある」でヨモギの貼り紙を見てふらりと店内に入り、ヨモギ茶の香りで日野と原っぱで遊んでいた日々を思い出し、当時に引き戻された。更にその場で1曲作り、越湖と守澤を感動させた。
その直後に、自分と同じくヨモギの貼り紙を見ている青年が日野であることに気付き、急いで追いかけて日野と再会を果たす。その後も小学生の頃と同じように2人で仲良く「とある」を訪れるようになった。なお、大人になって1人で暮らすようになってからは2,3日食事を摂らない日もあり、日野を心配させることもしばしば。
しおり達が配信している動画『銀河宇宙系ゆるっと戦隊ゴショクダン(通称・銀ダンゴ)』にハマり、日野にも紹介する。なお、4巻の巻末では「とある」を訪れた際にミソラと出会った瞬間にシンパシーを感じ、ものすごい速さで連絡先を交換していた。これがきっかけとなり、銀ダンゴのオープニングを制作した。更にその流れでミソラから新メンバーとして日野と共に招集され、最終回で「銀ダンゴ」のカウントダウンライブで新メンバーとして生配信に参加することになった。

日野(ひの)

木月の小学生時代の友人。木月とは対照的に明るく朗らかで、太陽のような存在。

木月の小学校時代の友人。木月の通う小学校に転向してきた明るく屈託のない少年で、少し世間知らずな木月と仲良くなり、木月に世間のいろいろなことを教えていた。小学校卒業と同時に外国に引越し、木月とはその後も年賀状で交流をしていた。子供の頃は医者になりたいという夢を持っていた。今は心の方へアプローチしたいという理由から心理療法士として働いている。大人になってからは日本に戻ってきており、木月が訪れていた日に偶然にも「とある」の貼り紙を見ていたことで木月との交流を再開することができた。アーティスト気質のため創作に没頭すると食べることを忘れがちな木月を心配している。
どこにいても変わらず自分のままでいる木月を密かに尊敬しており、久しぶりに再会してからも木月とは良好な関係を続けている。
木月から「銀ダンゴ」の存在を教えられ、ハマる。その後、木月と共に新メンバーとしてカウントダウンライブに参加することになった。しおりいわく「イケメンで歌がメチャ上手い」。

横川 ミト(よこかわ みと)

学園祭でジュリエットを演じた越湖のファンになったミト。占い師とスピリチュアルカウンセラーとして働いている。

越湖の同級生、横川チサの姉。少し現実離れしたスピリチュアルな雰囲気の漂う女性で、その雰囲気を活かして占い師兼スピリチュアルカウンセラーとして働いている。
猫を見つけると声をかけずにはいられなかったり、その場の波動を感じ取ったことを人前で話したりと不思議な言動が目立ち、チサに制止されることもある。他人には見えないものが見えるようで、守澤を初めて見た時には彼の心のガードのなさに驚き、波動が異次元で掴めないと明かしている。紅茶に詳しい。
文化祭でのジュリエット役の演技を見てから越湖のファン。ジュリエットを演じていた時の越湖が暗い部分を抱えていたことを気にかけていたが、祖父の死を受け入れた越湖の手を握り「もう大丈夫ですよ」と伝えた。越湖が大丈夫だと感じた原因には「とある」と守澤の存在も関係していることを示唆していた。
仕事場でもある「魔女の館」では、11匹の猫たちと暮らしている。館を訪れる少年・ヒロの話し相手でもあり、個性的な性質の持ち主のヒロからもとても好かれている。
ヒロと「とある」を訪れた際は、ヒロの落ち着きのない行動を止めようとした梅がはずみで売り物を壊してしまったが、それを梅のせいにしようとしたヒロに対してハッキリと「梅ちゃんの気持ちを考えなさい」といった趣旨の発言をしている。いつでも笑顔で優しく掴みどころがないように見えるが、良くないと思った時にはきちんと相手に伝えることができる人でもある。

ヒロ

宇宙人や宇宙の話が大好きな少年・ヒロ。学校ではなく私塾に通っている。

猫を追いかけて「魔女の館」を訪れた梅が出会った髪の長い少年。初めて会った梅を見て「シリウス人ぽい」と言ったり、前世や宇宙人の話をし始めたりと、かなり個性的かつ自由な発想の持ち主。他の人には理解されづらい自分の話を聞いてくれるミトのことが大好きで信頼している。ミトが仕事場にしている「魔女の館」に出入りしている。
発想や行動が自由過ぎて学校では合わないという理由で、私塾に通っている。気になることがあると、そのことで頭がいっぱいになってしまい、他のことは考えられなくなってしまう。
宇宙や宇宙人に興味があり、梅が「宇宙人ぽい人」として守澤を挙げた際には、すぐに「とある」のことで頭がいっぱいになり、ミトに連れられて梅と3人で店を訪れた。
店内では落ち着きなく、売り物のツボやはたきなど、興味のあるものを見つけては手に取って遊んでいた。絵を描いたり作ることが好きで、描きたい気分になると紙を求め、その場に紙がなくても我慢をせずに執拗に求め続ける。落ち着かないヒロを止めようとした梅からはたきを取り上げられた際には、取り上げたはたきが売り物に当たって壊れてしまった。
売り物を壊してしまったことにショックを受ける梅に追い打ちをかけるように「梅が壊した」と守澤に告げたが、この時のヒロに悪気はない。すぐに相手の気持ちを察することができないことを理解しているミトは、ヒロのその発言に対しては少し厳しく注意していた。ミトから注意されたことで、梅のことを気にして声をかけていた。
小麦を食べられないがクッキーやパンを食べたいと言い、米粉のパンを「とある」で食べて嬉しそうにした。守澤のことをとても気に入り、店から帰る頃には肩車をしてもらっている。越湖いわく、守澤にシンパシーを感じている様子。
和歌は落ち着きがないヒロの様子を見ながら、守澤の子供の頃と重なると話している。

ren_58
ren_58
@ren_58

目次 - Contents