花郎<ファラン>(韓国ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『花郎<ファラン>』とは、2016年から2017年にかけて韓国のテレビ局KBSで放送された時代劇ドラマである。新羅王国の親衛隊「花郎」として活躍する青年たちに焦点を当て、賤民から花郎になったソヌと正体を隠して花郎となった真興王が様々な困難に立ち向かいながら成長していく様子や恋愛模様を描いている。当時人気上昇中のパク・ソジュンが時代劇に初出演したことで話題となった。またBTSのV(テテ)やZE:Aのパク・ヒョンシクなど多数の男性アイドルが出演したことでも有名。

『花郎<ファラン>』の概要

『花郎<ファラン>』とは2016年から2017年にかけて韓国のテレビ局KBSで放送された時代劇ドラマである。新羅国王の親衛隊である「花郎」として生きる青年たちの奮闘や友情、恋愛を描いている。賤民の村で暮らすパク・ソジュン演じる主人公キム・ソヌは、いなくなった家族を探したいという親友マンムンと都に忍び込む。一方、新羅第24代国王真興王は摂政を務める母に命じられ、王宮から離れたところで世間に顔を明かすことなく生きていた。そんな2人が花郎として出会い、切磋琢磨しながら成長していく姿をドラマティックに描いている。

『キルミー・ヒールミー』(2015)や『彼女はキレイだった』(2015)に出演し、人気が急上昇中だったパク・ソジュンの初時代劇作品ということが注目を集めた。またBTSのV(テテ)やZE:Aのパク・ヒョンシク、SHINeeのミンホなど、男性アイドルグループのメンバーが出演したことでも話題となった。アイドルグループのメンバーが多いこともあり、劇中では花郎たちがダンスを披露するシーンなどエンターテインメント性に溢れた演出も用意され、視聴者の話題を呼んだ。

監督は『王の顔』【『最高です!スンシンちゃん!』を手掛けたユン・ソンシク。脚本は『百済の王 クンチョゴワン』のキム・ヨンジョ。

『花郎<ファラン>』のあらすじ・ストーリー

友との別れ

都に潜入するソヌ(下)とマンムン(上)

新羅第24代王の真興(チヌン)王・彡麦宗(サムメクチョン)は、摂政である母・只召(チソ)太后の命令で世間に顔を明かすことなく、幼い頃から王宮を離れて生きてきた。王の顔を隠すため、王の顔を見たものは無条件に殺されてしまう。真興王は「顔無き王」と呼ばれていたが、いつか母親から政権を奪還すると心に決めていた。ある日、不眠に苦しむ真興王は街中で聴衆を集めていたアロの話を聞いているうちに眠りに誘われる。彼女に興味を抱いた真興王に「眠りにつくまで物語を話して欲しい」と頼まれたアロは、多額の報酬に惹かれてしぶしぶ彼の頼みを受け入れた。

一方、賎民の村で暮らす出生不明の男ムミョンは、家族を捜したいという親友のマンムンと共に都に潜入する。手がかりは父からもらったという首飾りのみ。無事都に潜入した2人だったが、マンムンが真興王の顔を見てしまい、禁軍に追われてしまう。深手を負った2人は山の中でアロの父アンジに発見されるが、家族に会えないままマンムンは息絶えてしまう。一命を取り止めたムミョンは、親友の命を奪った者への復讐を心に誓うのだった。そしてアンジがマンムンの父親であることを知る。ムミョンを追っ手から守るため、アンジはムミョンに「ソヌ」を名乗り、アロの兄として生きるよう持ち掛ける。ムミョンの仇を討つことを心に決めたソヌは、アロの兄になることを決意する。一方、アロは突然兄だと名乗る人物が現れて困惑するのだった。

そんな中、只召太后は見目麗しい男性を集めて王の親衛隊「花郎(ファラン)」を作ると宣言。キム・ウィファが花郎の指導者である風月主(プンウォルチュ)として、花郎の指揮全権を任される。花郎を募る触れ書きが貼り出され、騒然とする都。アロはなんでも屋・多易書(タイソ)の主人ピジュギに花郎に相応しい人物を調査する仕事を任され、美しい男性の情報をウィファに報告する。太后派キム・スプの息子スホ、反太后派のパク・ヨンシルの息子パンリュ、中道派のヨウル、好奇心旺盛で若いハンソンなどだ。真興王は、只召太后から王権を奪い返すべく、ジディという偽名で花郎になりたいとウィファに申し出る。

花郎の結成

王の誕生日を祝う祝宴の日。ソヌは親友マンムンを殺した禁衛将(クミジャン)を発見する。その場で斬りかかり禁衛将に復讐しようとしたが、逆にソヌが殺されそうになってしまう。アンジの助けにより命をとりとめるが、太后の怒りを買い、ソヌ、アンジ、アロは投獄されてしまう。太后はソヌが花郎になるのであれば、アンジとアロを解放するという条件を出す。ソヌはアロを守るために花郎になることを決意する。

花郎の任命式当日。只召太后は花郎に加入することになったソヌがいないことに気づく。花郎の結成に反対する反太后派のパク・ヨンシルは、手下のドゴを使ってソヌとジディを監禁していた。なんとか逃げることに成功した2人は、同じくドゴに連れ去られたアロを救い出した。帰路、ソヌとアロの仲睦まじい姿を見て嫉妬したジディは、2人が兄妹だと知り安堵する。任命式の場に到着するソヌとジディ。花郎のメンバーとして真興王が現れたことに、只召太后は驚愕する。その夜、アロはソヌの部屋に忍び込み、傷の手当を行う。「二度と怪我をしないで欲しい」というアロに、ソヌは胸の高鳴りを感じていた。

ウィファは「三度不可を取った者は追放する」という規則を掲げ、花郎の訓練を開始した。読み書きが出来ないソヌはアロに読み書きを教わっている。その姿を見てうらやましく感じたジディもまた、アロに読み書きを教えるよう依頼する。「王」という漢字の解説の際、ジディが本当の王だということを知らないアロは、ジディに向かって王を不憫だと言い放つ。ジディはそんなアロにキスをする。そこにソヌが現れ、アロはとっさにその場を離れるが、微妙な空気感を感じ取ったソヌはジディを殴ってアロに近づくなとけん制する。

花郎たちにとって初の試験の日がやってくる。「道徳経」を課題として、王について論ずる試験だ。ウィファに答えた内容について説明するよう言われたソヌとジディは、お互い全く反対の回答を述べる。ほとんどのメンバーが不合格になる中、試験に合格したのはパンリュとジディだった。規則にのっとっていなかったためソヌは不合格となったが、ウィファは「道なきところに道を作らない王は王ではない」と答えたソヌの回答が心に残った。

そんな中、群舞の先生として、ソヌとマンムンの養父であるウルクが都へやってくる。母についての記憶が全くないソヌに対し、本当の兄なのか疑問に思っていたアロは、ウルクにソヌが自分の本当の兄なのか問う。真実を知ったアロはソヌを問いただし、ソヌは真実を話す。嘘をついていたことに怒るアロであったが、ソヌに惹かれ始めていたため、ソヌが本当の兄でないことを知って内心ホッとしていた。

交錯する想い

2つ目の試験は祝宴での群舞だ。ウィファはこの試験の可否を歓声の大きさで決めるという。花郎たちは群舞の稽古に精を出す。そんな中、祝宴が成功することで花郎が注目されることを恐れたヨンシルは、祝宴を失敗させるようにパンリュに命じる。祝宴当日、花郎たちは群舞で使う楽器が壊されているのを発見する。花郎たちはパンリュを疑うが、犯人はパンリュではなく、花郎に入れなかったカンソンだった。ヨンシルはパンリュだけでなく、カンソンにも楽器を壊すよう命じていたのだ。演舞は中止かと思われたが、ウルクのアイデアにより即席の楽器を使ってステージに立ち、舞台を成功させる。全員が「可」の判定を受けることができた。パンリュはヨンシルの要望に度々胸を痛めていたが、スホの妹スヨンからの手紙に励まされていた。

一方、アロはジディが只召太后のことを「母上」と呼ぶのを偶然目撃する。ジディの正体が真興王だということに気づいたアロは、禁衛将に捕らえられてしまう。アロは殺されそうになるが、ジディが駆けつけ間一髪で命拾いする。ジディはアロに正体を知られたことでアロへの想いが一層膨らんでいく。只召太后の兄フィギョンはアンジに、只召太后がアロの命を狙っていることを伝える。

その後、花郎たちは直属の部下となる郎徒(ナンド)をそれぞれ迎える。ソヌの郎徒になったのは、ハンソンの兄であるタンセだ。兄を慕うハンソンは、兄が自分ではなく、ソヌの郎徒になったことを知り複雑な気持ちになる。真興王の護衛であるパオも年齢を偽って、ジディの郎徒となった。そんな中ソヌは弓を稽古している最中、落馬して意識を失ってしまう。ソヌに駆け寄ったアロは抑えていたソヌへの思いを告白する。ソヌは意識を取り戻し、アロに口づけする。アロに実の兄でないことを知られたソヌは、これからも兄妹として生きようと、アロに冷たい態度をとっていた。しかし、それはアロへの気持ちを抑えていたためだと自らの想いを明かし、2人はお互いの気持ちを確かめ合った。

ソヌは、以前ジディが落とした王だということを証明する腕飾りを持っていた。しかしソヌがそれを落としたことで、花郎の中に真興王がいるのではないかという噂が流れだす。ソヌが王ではないかという噂が流れる一方、ソヌも王探しを開始する。真興王の顔を見たことで殺された親友マンムンの復讐のためだ。只召太后は反太后派から命を狙われる真興王を守るために、ソヌを王に仕立て上げようと考える。

揺れ動く新羅

そんな中、ジディの妹であり只召太后の娘・叔明(スンミョン)王女がウィファの元を訪れ、ある提案をする。それは、花郎は王室のために命を落とせる覚悟が必要であるため、命を懸けて対戦させるというものだった。なんとか死人を出すことなく、命を懸けた戦いは終わった。ソヌとジディは試練を乗り越える度に友情を深めていた。ジディの「新羅の国を良くしたい」という思いを耳にしてきたソヌは、ジディが真興王ではないかと疑い始める。戦いが終わると、ソヌはジディに剣を向けて「おまえが真興王なのか」と尋ねる。ジディの正体を知っているアロは、剣を向けられたジディを庇う。その様子にソヌは再びアロに冷たい態度を取るようになる。

同じ頃、新羅の国境では南扶余(ナムプヨ)に挑発される事態が続いていた。只召太后は叔明王女と花郎たちを南扶余に遣わせ、親善を図ることを提案する。叔明王女に同行をすることになったアロを守るため、派遣に志願するソヌ。最終的にソヌをはじめ、ジディ、スホ、パンリュの4人が花郎として同行することとなった。南扶余への道中、盗賊団に遭遇する。彼らが持つ武器をよく見ると、それは武器ではなく農具だった。彼らの正体が貧しい民だと気付いたジディは盗賊団を逃がすが、南扶余への贈り物を奪われてしまう。南扶余に到着した彼らは昌王子に接見するが、昌王子は和平に応じる気がない。かわりに叔明王女に婚姻で親善を深めることを提案する。

王の正体をあぶりだそうとしているヨンシルの企みにより、使節団の花郎の中に王がいるという手紙をヨンシルから受け取った昌王子はアロをとらえ、王が正体を明かさなければアロを殺すと脅す。アロたちを守るため、ソヌは自分が王だと名乗り出る。昌王子と一対一の勝負をすることになったソヌは、片腕を負傷したが昌王子に勝利することができた。

使節団は無事新羅に戻る。帰国後、ソヌに惹かれている叔明王女はソヌに口づけする。ソヌにその気はなかったが、その場をアロが目撃してしまい、アロはショックを受ける。一方、ジディが真興王だと確信していたソヌはジディの元を訪れ、王を名乗らず隠れていることを責める。しかし同時に、良い国にしたいと願うジディの葛藤と思いを知る。

その頃、賤民村では疫病が流行っており、その薬をヨンシルが独占しているという事態が起こっていた。

王の正体

ジディ(中央)が真興王として即位する場面

ウィファに、ヨンシルによる買い占めを暴くよう命じられたソヌたちは計画を練る。ウィファが衛兵たちの気を引いている隙を狙って、ヨンシルの屋敷で薬を盗み出す計画だ。これまでヨンシルの悪事を手伝ってきたパンリュも、ヨンシルの悪行を見かねてソヌたちに加勢した。その結果、ヨンシルの薬や金品を押収することに成功した。

真興王の正体を隠したい只召太后はソヌに王のふりを続けさせるため、アロを利用することを考えた。花郎を統率する女性、源花にアロを任命し人質とした。アロは只召太后に邪魔になれば殺すと脅されたが、なんとか生き残ろうと決意する。アロの状況を知り、只召太后の兄であるフィギョンに助けを求めたソヌ。ソヌが王だと名乗ったことで、民衆はソヌを王だと思い込んいた。フィギョンはソヌに「本当に王になる気はないか?」と問う。実はソヌはフィギョンの息子で、王位継承権があることを知る。

大臣の前に姿を現し、自分が真興王であることを明かしたジディは、ソヌも王になる資格があることを知る。ジディは何かを決意してアロを監禁したが、アロはジディの想定外の行動に驚いていた。一方、只召太后は長年ヨンシルの手下に毒入りのお茶を飲まされており、倒れてしまう。只召太后は真興王に譲位することを決める。

譲位の日。ヨンシルはジディではなく、ソヌを王に推薦する。ヨンシルは、ソヌが王になれば傀儡にできると考えたのだ。しかしそこにソヌと花郎たちが現れ、「真興王、万歳!」と唱える。ソヌは以前からジディに忠誠を尽くすことを決めていた。こうしてジディは正式に王となった。アロを軟禁したのは、アロが政治の動乱に巻き込まて危険な目にあわないためだった。

軟禁から解放されたアロはソヌの元へ向かう。ソヌは「もう1人にしない」と言い、アロを抱きしめた。

『花郎<ファラン>』の登場人物・キャラクター

主要人物

キム・ソヌ/ムミョン(演:パク・ソジュン)

CV:櫻井孝宏
親友のマンムンと共に養父の元、賤民村で育った。賤民村では「犬鳥」というあだ名で呼ばれていた。都を訪れた際にマンムンを殺され、自分も傷を負ったが、マンムンの父であるアンジに助けられたことで一命をとりとめる。アンジの娘、アロの兄として生きることをアンジに提案され、承諾。復讐のため花郎になる。最初はアロのことをマンムンの妹として見守るが、次第に恋心を抱くようになる。賤民村出身だが、実は只召太后の兄フィギョンの息子であり、王位継承権がある。

真興王(チヌン王)/彡麦宗(サムメクチョン)/ジディ(演:パク・ヒョンシク)

CV:小野大輔
新羅第24代王・真興王。普段は摂政を務める母の命令で身分を隠していきている。そのため「顔無き王」と呼ばれている。しかし、いつか母に反旗を翻すため、身分を偽り花郎に入る。不眠症で苦しんでいたが、アロに物語を読んでもらうと眠ることができる。次第にアロに恋心を抱くようになるが、アロはソヌと仲が良くなかなか振り向いてもらえないことに苛立ちを感じている。新羅を良くしたいという熱い想いを秘めており、花郎として様々な試練を乗り越える中で王とはどうあるべきかを学ぶ。

キム・アロ(演:コ・アラ)

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